「やめとき」と言う前に、電卓を1つ用意してみてください。
2026/11/01
「やめとき」と言う前に、電卓を1つ用意してみてください。
売却専門の紙谷です。note で、家を売る前に迷いやすいところを一つずつ書いています。今回は、離れて暮らす親が「リースバック(家を売って、そのまま借りて住み続ける取引)」の話を聞いてきたときの話です。
「業者さんが2回来てくれたの」「修理代もかかるし、お金があったほうが安心でしょ」。電話の向こうの声は明るいのに、こちらは聞きたいことが次々に浮かぶ。かといって「そんなのやめとき」と言えば、親は意地になる。
リースバックは、それ自体が悪い取引ではありません。ただ、国民生活センターによると、相談は2024年度に全国で200件を超え、契約した方の約7割は70歳以上でした。
「そのまま住める」は1つの約束に聞こえますが、中には3つ入っています。いくらで売るか。毎月いくら家賃を払うか。いつまで住めるか。1つが良くても、ほかも良いとは限りません。家賃が安くても、住める期間が2年で終わる契約もあります。
まずは業者さんの資料を、紙1枚の4行に書き写します。
①売る値段(親の手元に入る額)
②家賃(何年後に上がることがあるか)
③住める期間(何年の契約か。更新できるか。「定期借家」とあれば、期間が来たら終わるのが基本の借り方です)
④やめたいとき(買い戻す額・違約金・修繕費をどちらが払うか)
空欄の行が、そのまま業者さんに聞く行です。2026年10月1日からは国土交通省のガイドラインも始まり、こうしたことを伝えないことは問題になると示されました。聞きにくいことではなく、聞いていいことです。
次に、割り算を1つ。売る値段÷(月の家賃×12)で、家賃の合計が売った額に追いつく年が出ます。国民生活センターが公表した事例(約1,000万円で売って家賃7万円)で私が計算すると、約11.9年。家賃が約10万円に上がると、約8.3年です。親が78歳なら、約11.9年後は90歳ごろ。
もっとも、これは損か得かの答えではありません。売らずに住んでいても、管理費や固定資産税、修理代はかかります。「何年住むつもりなら、どう見えるか」を測る物差しです。
そのうえで、仲介で売る列(査定は3〜4社に)と、売らない列を横に並べる。どの列を選ぶかは、親とご家族の事情で決めることです。体の事情で引っ越しが難しい、住む期間が追いつく年より短いなど、リースバックが合う場合もあります。
ここだけ注意です。業者さんに家を売る契約には、クーリング・オフが使えません。4行が埋まるまでは、契約の日を決めずにおいてください。
正直に言うと、私自身はリースバックをあまりお勧めしていません。相談を受けたら、まず取引の中身をご説明します。それでもという方には、扱っている業者さんをご紹介したこともあります。ただ、説明を聞いたあとに「やめておきます」となる方がほとんどです。
私は自分の会社で家を買い取ることはしていません。仲介で売れたほうが私の仕事にはなります。だからこそ、「売らない」の列も同じ紙に置くようにしています。
親への声のかけ方、書き込める「住み続けの1枚」、3列の書き方まで、詳しくは note にまとめました。最後まで無料です。
プロフィールのリンクから読めます。
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