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大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行

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大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行

大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行

2026/10/04

大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行

テーブルの上に、2枚の紙が並んでいます。1枚は業者からの「1,380万円で買います。今月中にお返事を」。もう1枚は、一括査定で一番高かった会社の「仲介なら2,280万円」。差は900万円です。でも仲介はいつ売れるか分からないし、片付けも、境界のことも、毎年の固定資産税も気になる。「どっちの数字を信じたらいいの?」と、返事の期限だけが近づいてきていませんか。

この記事を読むと、次の3つが分かります。

・業者の提示額が「何を引いた数字なのか」を、業者に聞いて確かめる方法

・仲介の査定額を「実際に売れそうな値段」に直してから、差を測る方法

・手取り・入金日・条件・責任・確実性の5行を1枚に並べて、どちらを選んでも家族に理由を説明できる状態にする方法

この記事を書いた人:紙谷一徳(かみたに かずのり)。株式会社ヒーローズプロパティ代表/宅地建物取引士/不動産業界20年。大阪市淀川区・新大阪の事務所で、家を「売る」お手伝いだけをしています。
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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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目次

    第1章:届いた提示額を「自分の話」として置き直せる|市場の数字と提示額をどう読むか

    第1章:届いた提示額を「自分の話」として置き直せる|市場の数字と提示額をどう読むか

    「どっちが正しいの?」と聞きたくなる気持ちは、よく分かります。でも最初にやるのは、2枚のどちらかを選ぶことではありません。同じ机に、同じ向きで並べることです。その前に、大阪市の市場の数字の読み方と、私の立ち位置を書いておきます。

    ▶ よくある場面から

    ここでは、よくある場面を1つ置かせてください。

    Aさん(54歳)は吹田市にお住まいの会社員です。2025年の春にお母様を亡くし、旭区の実家を相続しました。木造2階建てで築48年、土地は75㎡くらい。家の中にはまだ家財が残っていて、庭の隅にあるはずの境界標(土地の境目を示す杭)が一部見当たりません。遠方に住む弟さんからは「姉ちゃんに任せる」と言われています。

    月に1〜2回、仕事の休みに風を通しに行くのが、正直しんどくなってきた。そんなときポストに業者の案内が入り、来てもらったら「現況のまま、家財もそのままで1,380万円。決済は1か月後。今月末までにお返事を」。念のため一括査定にも出したら、一番高い会社が「仲介なら2,280万円」と言ってきた。

    10月中旬の平日の夜、ダイニングで2枚を並べて、「900万円も違うのに、なんでこんなに安いの?」「でも2,280万円って、本当に売れる値段なの?」とスマホで検索する。もし今のあなたがこの場面にいるなら、この記事はあなたのために書いています。

    ▶ 2026年7月の集計から、売れるまでの時間を考える

    売却の見込みを考えるために、市場の数字を見ておきましょう。近畿レインズ(近畿圏の不動産会社が物件情報を登録する仕組み)の2026年7月度の集計を見てみます。大阪市の中古戸建の成約は92件。前年同月より7.1%少なく、3か月続けて減っています。近畿圏全体の中古戸建の在庫は、49か月続けて増えています。

    大阪市の成約件数と近畿圏の在庫は、集計範囲が違います。また、この統計だけで個々の家の販売期間や業者からの案内の増減は分かりません。出典:近畿レインズ・2026年7月度市況レポート。

    成約件数や在庫の動きが気になるとき。こういう時期は「仲介だと時間がかかりますよ」という説明が通りやすくなります。「早く・確実に」をうたう業者の提示にも、心が動きやすい。10〜12月は「年内に片付けたい」という気持ちも重なるので、迷いが深くなりやすい時期かもしれません。

    ▶ 業者に売るのは「負け」ではない

    先にはっきり書いておきます。業者に売る(いわゆる「買取」)は、損な選択でも、逃げでもありません。

    ・早い。日付が読める

    ・家財も含めて、現況のままでいい

    ・近所に「売りに出している」と知られにくい

    ・内覧の対応がいらない

    この4つが本当に効く人がいます。遠方に住んでいて片付けに通えない人、年内に終わらせる理由がある人、近所付き合いが濃くて知られたくない人。そういう人にとって、業者に売るのは立派な選択肢です。

    仲介と業者に売ることの違いそのものは、以前の記事でまとめています。基本から押さえたい方は先にこちらをどうぞ → 大阪の不動産売却|仲介と買取の違いと選び方を徹底比較

    ▶ 私の利益の出どころを、先に書いておきます

    ここで、私の立ち位置を正直に書かせてください。

    私は自社で家を買い取りません。売主様の家を、買主様に向けて販売する「仲介」が仕事です。収入の約8割は仲介手数料なので、仲介をすすめると私の利益になります。

    だからこそ、この記事では「仲介のほうがいいですよ」と結論を押しつけません。私が渡したいのは、業者と仲介を同じ物差しで並べる1枚の紙です。比べる紙は、売主様の手元に置いてください。その紙を見て「業者に売るほうが合う」となったなら、それも正解です。

    読み進める前に、1つだけお願いがあります。2枚の紙の右上に、それぞれ「受け取った日」と「返事の期限」を書いておいてください。期限が目に見えていると、この先の話を「自分にあと何日あるか」で読めます。

    では、まず業者の提示額から見ていきましょう。1,380万円という数字は、どこから出てきたのか。次の章で一緒に分解します。

    第2章:業者の提示額がどこから引き算されたかを聞ける|妥当かを確かめる3つの数字

    第2章:業者の提示額がどこから引き算されたかを聞ける|妥当かを確かめる3つの数字

    1,380万円を見て「買い叩かれているんじゃないか」と感じるのは、自然な反応です。ただ、安いか高いかは、数字の中身を見ないと決められません。ここでは提示額を「何をいくら引いた数字か」に分けて、業者にそのまま送れる質問文を3つお渡しします。

    ▶ 提示額は「引き算の答え」

    業者は、買った家を直したり、建て替えたりして、もう一度売ることで利益を出します。だから提示額は、だいたい次のような引き算で決まっています。この記事では、これを「提示額の引き算」と呼びます。

    業者か仲介か:提示額の引き算

    20年この仕事をしてきて感じるのは、業者ごとに一番大きく違うのは「再販の見込み価格」と「工事の中身」だということです。同じ家でも、見方は業者によって分かれます。「解体して土地として売る」と見る業者と、「リフォームしてもう一度家として売る」と見る業者。それだけで、引き算の形がまるで変わります。

    業者に売る値段と仲介で売れる値段の差は、物件の状態や業者の事業計画によって変わります。「7〜8割が相場」とだけ覚えてしまうと、自分の家がどこに当てはまるのか分からないんですよね。幅が大きいのは、この引き算が家ごとに違うからです。

    ▶ 確かめる3つの数字

    提示額が妥当かは、3つの数字で確かめます。近所で決まった値段、業者が見込む工事の費用、そして返事の期限の日付です。

    ① 近所で実際に決まった値段

    これは売主様が自分で見られます。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサイトがあります。地域と種類(戸建・土地など)を選ぶと、実際に取引された値段の目安が出てきます。Aさんなら「大阪市旭区」「戸建」「土地70〜80㎡くらい」で絞ってみる。完全に同じ家は出てきませんが、「だいたいこの辺で決まっている」という感覚がつかめます。

    ② 業者が見込んでいる工事の費用

    解体前提なのか、リフォームして再販する前提なのか。ここで引き算の大きさが変わります。築48年のAさんの家なら、どちらの見方もありえます。前提と工事費の見込みを聞けば、提示額のうち「工事に消える分」の大きさが見えてきます。

    ③ 期限の日付と、その理由

    「今月中に」の理由が何なのか。社内の決裁の締め日なのか、他の物件との兼ね合いなのか。期限そのものを責める必要はありません。理由が分かれば、延ばせるかどうかも聞きやすくなります。

    ▶ 業者にそのまま送れる質問文

    電話でその場で聞くより、メールやLINEで書面にして聞くほうが、答えも残るし落ち着いて読めます。

    1. 「この金額は、どのあたりの成約事例を参考にした数字でしょうか?」

    2. 「解体して土地で売るご予定ですか、リフォームして再販するご予定ですか?工事費はどのくらい見込んでいますか?」

    3. 「お返事の期限は、どういう理由で今月末なのでしょうか?期限を過ぎると金額は変わりますか?」

    全部に細かく答えてくれる業者ばかりではないと思います。それでも、聞いたこと自体で「この売主様はちゃんと比べている」と伝わります。

    もう1つ。業者1社だけだと、引き算の違いは見えません。2〜3社に同じ質問をすると、「この会社は解体前提、あの会社はリフォーム前提」と、金額が違う理由が見えてきます。業者の選び方や比べ方は、こちらの記事に書いています → 大阪の不動産売却相場は?買取業者の比較と高く売る手順

    提示額の中身が見えてきたら、次はもう一方の紙です。実は、仲介の「2,280万円」にも直すべきところがあります。

    第3章:仲介の数字を「査定額」から「成約見込み」に直せる|差額を正しく測る1つの手直し

    第3章:仲介の数字を「査定額」から「成約見込み」に直せる|差額を正しく測る1つの手直し

    「2,280万円−1,380万円=900万円の損」。夜、この引き算を何度もして、ため息をついていませんか。実はこの式、左側の数字が「売れた値段」ではありません。ここでは、仲介の数字を本当に売れそうな値段に直す「査定額の手直し」をやってみます。

    ▶ 査定額は「売れた値段」ではない

    仲介の会社が出す査定額は、「このくらいで売り出せば、売れる見込みがあります」という見立てです。実際に買主様と決まる値段(成約価格)とは別のもの。ここを混ぜてしまうと、差額を大きく見すぎてしまいます。

    査定額・売出価格・成約価格の3つの違いは、note でくわしく書きました → 「いくらで売れる?」の答えは3つある。査定額・売出価格・成約価格は別物

    数字でも見ておきます。近畿レインズの2026年7月度で、近畿圏の中古マンションを1㎡あたりの単価で比べてみました。「売りに出ている値段(在庫)」は、「実際に決まった値段」の約1.18倍です(公表値から計算)。在庫の平均は56.48万円、成約の平均は47.94万円で、別々の物件群の集計です。同じ物件が約18%値下がりしたという意味ではなく、査定額を1.18で割れば成約価格になるわけでもありません。戸建とマンションでも事情が違います。自分の家は、条件が近い成約事例で確かめてください。出典:近畿レインズ・2026年7月度市況レポート。

    ▶ 一括査定の「一番高い数字」だけを見ていませんか

    Aさんが見ている2,280万円は、一括査定で届いた数社の中で一番高い数字でした。一番高い数字は、目に入るとどうしても基準になってしまうんですよね。

    でも、査定額は会社によって出し方が違います。少し高めに出して「うちに任せてほしい」と思ってもらう、ということも業界では起きています。仲介が収入の中心の私にとって、これは自分の商売に不利な話です。それでも書くのは、ここを知らないまま比べると、業者の提示を「安すぎる」と感じすぎてしまうからです。

    一括査定の使い方そのものは、こちらにまとめています → 不動産売却の一括査定で後悔しない!安全な選び方と注意点

    ▶ 担当者に聞く2つのこと

    査定額を成約見込みに直すために、仲介の担当者にはこの2つを聞いてみてください。

    1. 「この査定額の根拠になった成約事例を、3件教えてください」

    2. 「この値段で売り出したら、何か月くらいで決まる見込みですか?決まらなかったら、どこまで下げる想定ですか?」

    成約事例が出てこない、見込みの期間がふわっとしている。そんなときは、その査定額を少し割り引いて見たほうが安全です。

    ▶ Aさんの場合で直してみる

    ここからは想定の数字です。Aさんが担当者に聞いたところ、近所で最近決まった戸建が3件出てきたとします。2,050万円、1,980万円、2,120万円。どれも土地の広さや築年数が近い家です。

    そうすると、Aさんの家の成約見込みは「2,280万円」ではありません。「1,950万〜2,100万円くらい」と、幅で持っておくのが現実的です。この幅で比べると、業者の提示との差は900万円ではなく、570万〜720万円くらい。まだ大きな差ですが、ここからさらに「仲介で売るときにかかるお金」を引く必要があります。

    両方の紙の数字が直せたところで、いよいよ1枚に並べます。次の章が、この記事の中心です。

    第4章:5行の表を1枚に書ける|手取り・入金日・条件・責任・確実性

    第4章:5行の表を1枚に書ける|手取り・入金日・条件・責任・確実性

    金額だけで比べると、どうしても差額ばかりが頭に残ります。でも実際の暮らしに効くのは、いつお金が入るか、片付けに何回通うか、売ったあとに何が起きうるか、のほうだったりします。それを全部1枚に並べるのが「同じ物差しの5行」です。

    ▶ 同じ物差しの5行

    表は、項目名の列と比較用の3列、行が5つです。比較用の列は「業者に売る」「仲介で売る」「自分にとっての重さ(◎○△)」。行は次の5つです。

    1. 手取り:最後に手元に残るお金

    2. 入金日:お金が入る日の読みやすさ

    3. 条件:現況のままでいいか、片付け・測量は要るか、引渡し日の融通

    4. 責任:引き渡したあとに不具合が見つかったときの責任

    5. 確実性:契約が途中で崩れる可能性

    右の列の◎は「自分にはとても大事」、○は「大事」、△は「そこまで気にならない」の印です。

    業者か仲介か:同じ物差しの5行:Aさんの例

    Aさんの想定で埋めると、こんな表になります。

    行業者に売る仲介で売るAさんの重さ
    手取りの比較用の概算(税金・未計上費用・ローン返済前)1,380万円から必要費用を控除約1,790万〜1,940万円(下記4費用のみ控除)○
    入金日約1か月後の想定(契約・決済条件を確認)成約まで3〜6か月の想定+契約から決済までの期間◎
    条件現況のまま・家財そのまま・測量なし片付け・境界の確認が要る◎
    責任免責の予定(契約書で確認)免責で売ることもできる(第5章)△
    確実性減額の条件を契約書で確認(第6章)ローン特約で白紙になることがある○

    数字と条件はすべて想定です。あなたの家の数字で、空欄から埋めてみてください。

    ▶ 1行目「手取り」の出し方

    まず仲介の成約見込みから、次の4つの費用を引く概算例を作ります。ここで出す数字は、税金・未計上費用・ローン返済前の比較用の概算です。最終的な手取りではありません。

    ・仲介手数料:この例の価格帯での通常の上限は「売れた値段×3%+6万円」に消費税がかかった額です。1,950万円なら約71万円、2,100万円なら約76万円

    ・測量:境界標が見当たらない家では、境界を確かめる測量を頼むことがあります。費用は土地の状況で大きく変わるので、Aさんの例では仮に40万円と置きます

    ・家財の処分:これも量しだい。仮に40万円

    ・売れるまでの維持費:固定資産税・火災保険・通う交通費など。引渡しまでの半年分として仮に7万円。売り出しから成約までに半年かかり、その後に決済するなら、決済までの期間も含めて計算し直します

    1,950万円で売れた場合は、約1,950万−71万−40万−40万−7万=約1,792万円。2,100万円なら約1,937万円です。業者の提示額1,380万円をまだ費用を引く前の数字として置くと、差は約410万〜560万円です。ただし、これは最終手取り同士の差ではありません。両方について譲渡所得税・住民税、登記費用、印紙代などの未計上費用とローン返済額を確認し、同じ範囲を引いて比べ直します。最初に見た「900万円」とは、ずいぶん違う数字ですよね。

    費用の全体像と手取りの計算は、こちらの記事でもくわしく書いています → 不動産売却費用(大阪)一覧とシミュレーション!手取り額の計算

    家財の処分については、先に片付けてしまうと損をすることもあります。業者に売るか仲介か決める前に、こちらも読んでみてください → 大阪市の実家を不動産売却|残置物を先に処分すると損する3つの理由

    業者の側にも1つ確かめることがあります。業者と直接やりとりしているなら、手数料はかからないことが多いです。ただ、仲介の会社を通して業者に売る場合は、仲介手数料がかかることがあります。提示額が売買代金なのか、どの費用を引いた数字なのか、書面で確かめておきましょう。業者に売る場合も必要な税金・登記費用等やローン返済額を引いて、最終的に残る金額を出します。

    ▶ 2行目から5行目

    入金日:業者は日付が読めます。仲介は、売り出してから決まるまで3〜6か月くらいの幅で見ておくことが多いです。これは成約までの想定で、入金までの期間ではありません。入金日を考えるときは、契約から決済までの期間も加えます。物件と時期しだいで、もっと早いことも遅いこともあります。

    条件:業者は「現況のまま・家財そのまま」が多く、Aさんにとってはここがとても重い行です。仲介でも、家財を残したまま売り出すこと自体はできますし、引渡しまでに片付ける段取りを組むこともできます。

    責任:「引き渡したあとの責任」の行です。ここは誤解が多いので、次の章で丸ごと使ってお話しします。

    確実性:仲介では、買主様の住宅ローンが通らなかったときに契約が白紙に戻る「ローン特約」があります。くわしくはこちら → ローン特約で白紙に?大阪市不動産売却を確実に成功させる5つのコツ 。一方、業者に売る場合でも、契約書に「調査の結果で金額を見直す」といった条件があれば、話が変わることがあります(第6章)。

    ▶ 期限がある方へ

    住み替えなどで「この日までに現金が必要」という方もいると思います。その場合は、「期限を決めて仲介で売り出し、届かなければ業者に売る」という並べ方もあります。最初から2つを対立させず、カレンダーの上で順番に並べる考え方です。「売れなければ買い取ります」という保証の仕組みについては、注意点をこちらに書いています → 大阪の不動産売却で買取保証は危険?悪質業者の罠と安全な選び方

    ▶ 税金のこと

    税金の計算のしかたは、業者に売っても仲介で売っても同じです。変わるのは、売れた値段と、差し引ける費用(仲介手数料など)と、いつ売ったか。税率や特例の条件も確かめ、納税分を残したうえで比較してください。なお、手取り計算で差し引く支出が、すべて税金計算上の「譲渡費用」になるわけではありません。固定資産税などの維持管理費は、原則として譲渡費用にはなりません。参考:国税庁・譲渡費用となるもの。細かいところは、税務署や税理士さんに確かめてみてください。

    ▶ 最後は「重さ」で決める

    5行を並べたら、右の列に◎○△を付けます。手取りが多いほうが正解、というわけではありません。

    Aさんにとって「通わなくていい」「年内に終わる」が◎なら、税金なども含めて比べ直した結果、業者の手取りが少なくても、業者に売る理由になります。逆に「弟さんに説明するには、この差は大きい」と感じるなら、仲介を選ぶ理由になる。どの行を重く見るかは、売主様が決めることです。私は仲介で売ることも、業者を探す側に回ることもあるので、この表の両側を同じ重さで埋めるようにしています。

    さて、表の中で一番誤解の多い行が「責任」でした。次の章で、ここを組み直しましょう。

    第5章:「責任を負いたくないから業者へ」を組み直せる|仲介でも引渡し後の責任を外して売る場合

    第5章:「責任を負いたくないから業者へ」を組み直せる|仲介でも引渡し後の責任を外して売る場合

    「仲介で売ると、あとで責任を取らされる。業者に売れば責任はない」。業者に傾く理由として、よく耳にする言葉です。この二分法を、Aさんの家に当てはめて組み直してみます。

    ▶ 契約不適合責任とは

    契約不適合責任とは、引き渡したあとに「契約の内容と違う不具合」が見つかったときの、売主の責任のことです。雨漏り、シロアリ、給排水管の故障などが見つかると、修理や値引きなどに応じることになります。

    築48年の家を売るAさんが一番怖いのは、たぶんここだと思います。「売ったあとで、雨漏りしてましたって言われたらどうしよう…」。遠方の弟さんと2人で相続した家なら、なおさらですよね。

    ▶ 仲介でも、責任を外して売ることはできる

    売主と買主がどちらも個人の取引では、契約書に特約を入れて、この責任を負わない(免責)と決めて売ることができます。これは業者だけの特別な話ではありません。

    私が販売する場合は、基本は売主様の契約不適合責任と設備の保証を「免責」にして売っています。古い家は、どこかに不具合があって当たり前。買主様には「心配なら、契約の前に工務店さんなどに見てもらってください」とお伝えして、納得したうえで買っていただく。それが私の売り方です。

    ただ、免責は「引き渡したあとは知りません」という意味ではありません。だから私は、後で出てくる「2枚の紙」を、売主様と一緒にできるだけ細かく書くようにしています。

    「責任を負いたくないから業者へ」という理由は、仲介でもかなり解消できる場合があります。表の「責任」の行は、業者と仲介でそこまで差がつかないこともあるんです。

    ▶ ただし、限界も3つ

    免責は万能ではありません。一緒に知っておいてほしいことが3つあります。

    1. 知っていて書かなかったことには、免責が効かない。たとえば雨漏りを知っていたのに告知しなかった場合、特約があっても責任を問われることがあります。これは業者に売る場合も同じです

    2. 免責で売ると、買主様によっては慎重になることがある。現地を見る回数が増えたり、検討に時間がかかったりすることもあります

    3. 築年数の浅い家は、逆に調べて保証を付けることもある。築5年前後なら、建物の状態を調べる「インスペクション(建物状況調査)」を入れて、保証を付けて売るほうが合うこともあります

    ▶ どちらで売っても、身を守るのは「2枚の紙」

    どちらで売るとしても、最後に売主様を守るのは2枚の紙です。1枚目は物件状況報告書(告知書:家の不具合や過去の修理を書く紙)。2枚目は付帯設備表(エアコンや給湯器など、残していく設備とその状態を書く紙)です。

    ここをできるだけ細かく書いておくことが、「知っていて書かなかった」と言われないための一番の備えになります。分からないことは「不明」と書いていいんです。書き方はこちらの note にまとめました → 契約の前に売主が書く2枚。告知書と付帯設備表は「不明」と書いていい

    Aさんの場合なら、今日できるのは「覚えている修理」をメモすることです。お母様が「台所の水漏れを直した」と言っていた、2階の天井にシミがある、など。小さなことでも、2枚の紙の材料になります。

    責任の行が組み直せたら、最後は「サインの前」です。契約書のどの行を見れば、後から話が崩れないのか。次の章でお話しします。

    第6章:サインの前に契約書で見る行が分かる|減額・手付金・引渡し日と「取り消せない」こと

    第6章:サインの前に契約書で見る行が分かる|減額・手付金・引渡し日と「取り消せない」こと

    契約書は字が小さくて、ページも多い。金額の欄を確かめたら、あとは判を押してしまいたくなりますよね。でも、後から話が崩れるきっかけは、金額の欄の下の行に書かれています。見る行の場所と、「今月中に」と言われたときに返す一文をお渡しします。

    ▶ 売主側にクーリングオフはない

    まず知っておいてほしいことがあります。個人の売主が業者に家を売る契約では、売主側のクーリングオフはありません。クーリングオフとは、契約後に一定期間なら無条件で取り消せる制度です。宅建業者が売主になり、事務所以外での申込みなど一定の条件を満たす買主を守る制度なので、逆向きの取引は対象になりません。

    「サインしてから考え直せばいい」は通用しません。だから、並べて比べるのはサインの前なんです。

    ▶ 契約書で見る5か所

    業者に売る場合も、仲介で売る場合も、ここは見てください。

    1. 契約後に金額を見直す条件:「調査の結果により」「測量の結果により」といった条項がないか。あるなら、どんな場合に、いくらまで変わりうるのか

    2. 手付金と、手付解除の期限:手付金はいくらか、買主は手付の放棄、売主は原則として手付の倍額を実際に提供して解除する仕組みです。期限に加え、相手が履行に着手していないかなどの条件も確認します。くわしくはこちら → 売主必見!大阪市の不動産売却・手付解除とは?ペナルティを全解剖

    3. 引渡し日と猶予:引渡し日はいつか。家財の運び出しなどで少し待ってもらえる「引渡し猶予」があるか

    4. 家財の扱い:「家財そのままで可」が、口頭だけでなく契約書に書かれているか。処分費用を誰が持つのかまで

    5. 免責の書き方:契約不適合責任を負わない旨が、はっきり書かれているか

    特に1番は、金額の欄の次に大事な行です。「1,380万円」の約束が、調査のあとで「1,200万円になります」と変わるかもしれない。そういう余地があるかどうかは、この1行で分かります。

    売る側だけの味方として言うと、この1行は「業者が悪いかどうか」を見る行ではありません。約束した1,380万円が、引渡しの日まで1,380万円のままかを確かめる行です。

    ▶ 「今月中に」と言われたら

    業者が期限を切るのには、それなりの理由があることが多いです。急かすこと自体を悪いと決めつける必要はありません。ただ、比べる時間はもらっていい。そんなときは、この一文をそのまま使ってください。

    「ありがとうございます。契約書の案と条件を書面でいただけますか。いただいてから1週間でお返事します」

    書面が出てくれば、上の5か所をゆっくり見られます。それでも「今日決めてもらわないと」と言われたら、その会社とは少し距離を置いて考えてもいいかもしれません。

    ここまでで、5行の表を埋める材料はそろいました。最後の章で、今日から何をすればいいかをまとめます。

    第7章:まとめ+次のアクション|今日・1週間・相談したくなったら

    第7章:まとめ+次のアクション|今日・1週間・相談したくなったら

    最後に、ここまでを振り返ります。そのうえで、記事を閉じた直後から動けることを「今日」「1週間以内」「相談したくなったら」の3段に分けました。

    ▶ この記事のまとめ

    ・業者の提示額は「再販の見込み価格から、工事・諸経費・利益と備えを引いた数字」(提示額の引き算)。近所の成約価格・工事の前提・期限の理由の3つで中身を確かめる

    ・仲介の査定額は、成約事例3件と見込み期間を聞いて「成約見込み(幅)」に直してから比べる(査定額の手直し)

    ・手取り・入金日・条件・責任・確実性の5行を1枚に並べ、自分にとっての重さを◎○△で付ける(同じ物差しの5行)

    ・「責任を負いたくないから業者へ」は、仲介でも免責で売れる場合がある。どちらでも身を守るのは告知書と付帯設備表の2枚

    ・売主側にクーリングオフはない。サインの前に、金額を見直す条件・手付・引渡し日・家財・免責の5か所を見る

    どちらを選んでも、理由を説明できれば正解です。

    業者か仲介か:同じ物差しの5行:空欄版

    ▶ 今日できること

    1. 業者の提示書面と、仲介の査定書を机に並べる

    2. 5行の表(空欄版)に、今分かっている数字だけ書き込む。分からない欄は「?」のままで大丈夫です

    これだけで、頭の中にあったモヤモヤが「埋まっていない欄」に変わります。何を聞けばいいかが、目に見えるようになります。

    ▶ 1週間以内にすること

    1. 不動産情報ライブラリで、近所の成約価格を見てみる

    2. 業者に、第2章の3つの質問をメールやLINEで送る

    3. 仲介の担当者に、成約事例3件と見込み期間を聞く

    4. 埋まった表を家族に見せる。Aさんなら、弟さんに写真を送って「この理由でこっちにしようと思う」と1行添える

    返事の期限が迫っているなら、第6章の一文で1週間をもらってから、この4つを進めてください。

    ▶ 相談したくなったら

    自分で表を埋めてみたけれど合っているか不安。業者の書面のどこを見ればいいか分からない。そんなときは、公式LINEに提示書面の写真と、途中まで埋めた表を送ってください。一緒に空欄を埋めます。

    公式LINE(友だち追加):公式LINEで相談する

    表を並べた結果、業者に売るほうが合う場合は、高く買ってくれる業者を探す側に私が回ることもあります。仲介を選んで、もしほかの会社に頼むことになっても、それで構いません。その場合は、物件がきちんと他の会社にも紹介されているかを「レインズ登録証明書」で確かめられます → レインズ登録証明書ってなに?大阪市不動産売却で絶対に確認すべき必須の1枚

    売れるまでの固定資産税の精算が気になる方は、こちらもどうぞ → 大阪市の家を売る日の固定資産税|4月1日から数える?契約前に見る1行

    LINEを使っていない方は、サイト(https://heroes-property.jp )からもご連絡いただけます。

    ▶ 動画で見る

    買主様から「200万円引きなら買います」と言われたとき、金額の前に見る3か所を1分半ほどの動画にしています。「金額だけでなく、条件もトータルで見る」という考え方は、この記事の5行の表と同じです。
    動画:「200万円引きなら買います」と言われたら

    おわりに

    最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

    900万円という差を目の前にすると、気持ちが行ったり来たりしますよね。「安く手放したら後悔するかも」「でも、このまま持ち続けるのもしんどい」。それは、あなたが家のことも家族のことも、ちゃんと考えている証拠だと思います。

    業者に売るのも、仲介で売るのも、どちらも間違いではありません。同じ物差しで並べて、「自分で選んだ」と言えれば、それで十分です。1枚の紙に理由が書いてあれば、あとで振り返っても、きっと納得できるはずです。

    あなたの家の話が、焦りではなく納得で終わりますように。表の空欄で手が止まったら、いつでも声をかけてください。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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