大阪市の家を売る日の固定資産税|4月1日から数える?契約前に見る1行
2026/09/29
買付が入って、担当者から届いた売買契約書の案。ページをめくっていくと「公租公課の分担起算日 4月1日」という1行があります。ネットで調べると、どの記事も「1月1日から数えると…」の例ばかりで、自分の契約書と数字が合わない。「売ったのに、引渡し後も固定資産税の通知が来るの?」「このままサインして大丈夫?」と、夜のダイニングで手が止まっていませんか。
この記事を読むと、次の3つが分かります。
・契約書の「起算日」の1行が何を決めていて、自分の引渡し月だと精算金がいくらくらいになるか
・1〜3月に引き渡すとき、4月に届く新年度分の固定資産税を契約前にどう決めておくか
・手付金から引渡し後の通知書・確定申告まで、売却のお金が「いつ動くか」を1枚に並べる方法
書いているのは、株式会社ヒーローズプロパティ代表の紙谷一徳(かみたに かずのり)です。宅地建物取引士で、不動産業界に20年います。今は大阪市淀川区・新大阪の事務所で、家を「売る」お手伝いだけをしています。
目次
第1章:契約書の「起算日」の1行が、何を決めているか

契約書の中で、いちばん見慣れない1行が「公租公課の分担起算日」かもしれません。まずは、この1行が何を決めているのかを話します。ここが分かると、あとの章の計算がすっと入ってきます。
よくある場面から始めますね。契約書の読み合わせの席で、売主様がふと指を止めて「すみません、この4月1日って何の日ですか?」と聞く。担当者は「関西ではだいたい4月1日なんですよ」と答えて、次の条文へ進んでしまう。聞いた側は分かったような、分からないような…。実はこの1行、決済の日に受け取るお金の額を決めている行なんです。
▶ 固定資産税は「1月1日の持ち主」に1年分がかかる
まず土台の話です。家や土地を持っていると、毎年、固定資産税と都市計画税(どちらも市の税金)がかかります。ここからは2つをまとめて「固定資産税」と書きますね。この税金は、その年の1月1日に持ち主として登記されている人に、1年分がまとめてかかります。大阪市の場合、4月上旬に納税通知書が届き、4月・7月・12月・翌年2月の4回に分けて払う仕組みです。
意外と知られていないのが、年の途中で家を売っても、市はその年の分を日割りにしてくれないことです。10月に売っても、その年の固定資産税の納税者は1月1日の持ち主、つまり売主様のまま。12月や2月の残りの支払いも、通知書の名前が売主様なので、売主様が払うことになります。
▶ 引渡し日から先の分を、買主様と分け合うのが「精算」
「え、売ったあとの分まで払うの?」と思いますよね。そこで出てくるのが固定資産税の精算です。引渡し日から先の期間は買主様が持ち主なので、その日数分を買主様が負担し、決済の日に売主様へ渡します。売主様から見ると「受け取るお金」です。
ただし、これは法律で決まった手続きではありません。売買契約の中で、売主様と買主様が合意して決める取り決めです。だから市役所に聞いても「当事者どうしで決めてください」という話になりやすく、起算日の1行と、精算方法を定めた条文・特約を合わせて確認することになります。
▶ 起算日は「1年をどこから数えるか」の約束
では「起算日」とは何か。1年分の税金を日割りにするとき、その1年を1月1日から数えるか、4月1日から数えるかの約束です。どちらで数えるかで、同じ引渡し日でも受け取る精算金の額が変わります。
業界でよく聞くのは、「関東は1月1日、関西は4月1日で数える契約が多い」という話です。ただ、最近は関西でも1月1日で組む契約を見かけるので、「大阪だから必ず4月1日」とは限りません。
どちらが正しい、という話ではないんです。見てほしいのは、あなたの契約書ではどちらになっているか。答えは、契約書のあの1行に書いてあります。
私は売却専門で、売主様側だけのお手伝いをしています。だから、この1行を「いつものことなので」と流す理由がありません。読み合わせの席で最初に一緒に見ておくほうが、決済の日の「え、こんな金額だった?」を防げると考えています。
では、実際にあなたの引渡し月だといくらくらいになるのか。次の章で、手元の通知書を使って一緒に出してみましょう。
第2章:自分の引渡し月で、受け取る精算金の目安を先に出す
▶ 用意するのは、今年度の納税通知書だけ
4月に届いた固定資産税の納税通知書と課税明細書を、引き出しから出してみてください。見るのは売る物件の固定資産税と都市計画税を合わせた「年税額」です。通知書にほかの土地や家屋も載っている場合は、売却対象の分を分けて確認します。4回払いの1回分ではなく、1年分の合計の数字に丸を付けておきましょう。
マンションの場合は、建物(お部屋)の分と土地(敷地の持ち分)の分が並んで書かれていることが多いです。どちらも合わせた金額が精算の対象になります。見当たらなければ、担当者に「今年度の年税額はいくらで計算しますか」と聞けば大丈夫です。
▶ 計算式は1本だけ
計算と聞くと身構えるかもしれませんが、スマホの電卓で1分ほどです。精算金の目安は、この式で出せます。
精算金(受け取る額)= 年税額 ×(引渡し日から、起算日で数えた1年の終わりまでの日数)÷ 365
1年の終わりは、1月1日起算なら引渡した年の12月31日。4月1日起算なら、その引渡し日を含む4月1日〜3月31日の期間の末日です。10〜12月の引渡しなら翌年3月31日、1〜3月なら同じ年の3月31日になります。引渡し日の当日をどちらの負担にするかは、契約書の書き方で変わります。ここでは2026年10月〜2027年3月の引渡しを例に、対象期間を365日、引渡し当日を買主様の負担に含めて計算します。うるう年を含む期間の日数、端数処理、使う年度の税額は契約で確認してください。
たとえば年税額12万円、引渡し日が11月20日だとします。1月1日起算なら、11月20日から12月31日までの42日分。12万円×42÷365で、約1.4万円です。4月1日起算なら、翌年3月31日までの132日分なので、約4.3万円。同じ日に渡しても、3万円近く違ってきます。
▶ 引渡し月×起算日の早見表
毎回計算するのは大変なので、2026年10月〜2027年3月の各月20日で並べてみました。

| 引渡し日 | 1月1日起算で受け取る目安 | 4月1日起算で受け取る目安 |
| 2026年10月20日 | 約2.4万円 | 約5.4万円 |
| 2026年11月20日 | 約1.4万円 | 約4.3万円 |
| 2026年12月20日 | 約0.4万円 | 約3.4万円 |
| 2027年1月20日 | 約11.4万円(新年度の見込み額で計算) | 約2.3万円+新年度分 |
| 2027年2月20日 | 約10.4万円(同上) | 約1.3万円+新年度分 |
| 2027年3月20日 | 約9.4万円(同上) | 約0.4万円+新年度分 |
※年税額12万円・365日の架空例です。「+新年度分」は契約で定める買主様の負担分で、決済時に受け取るか、後日精算するかも決めます。あなたの家の年税額に置き換えるときは、表の金額に「あなたの年税額÷12万円」を掛けてみてください。年税額15万円なら1.25倍、8万円なら約0.67倍です。
▶ 表の読み方で、つまずきやすい2か所
1つ目は、10〜12月の引渡しだと、4月1日起算のほうが受け取る額が大きく見えること。「じゃあ4月1日のほうが得?」と思いますよね。でも、1〜3月の引渡しになると、新年度分の段取りが1つ増えます。それに、起算日は買主様との合意で決まるもの。どちらかが必ず得、とは言えないんです。
2つ目は、1〜3月の引渡しで、1月1日起算の金額が急に大きくなること。これは1月1日の時点でまだ売主様が持ち主なので、新しい年度の固定資産税が丸ごと売主様にかかるからです。その1年のほとんどは買主様が持つ期間なので、大半を買主様から受け取る計算になります。まだ新年度の税額が出ていない時期なので、前の年度の額を見込みとして使うことが多いです。
▶ マンションなら、管理費と修繕積立金も日割りになる
マンションを売る方は、固定資産税と同じように管理費と修繕積立金も日割りで精算することが多いです。こちらは月単位のお金なので、引渡し日から月末までの分を買主様から受け取る、という形がよくあります。ただ、管理費などは口座振替で先に引き落とされていることも多いです。「何月分まで自分の口座から落ちるか」を、管理会社に確認しておくと安心です。修繕積立金の値上げが決まっている場合の話は、こちらの記事で書いています → 修繕積立金の値上げが決まった大阪市のマンション|大規模修繕の前に売るか後に売るか、先に取り寄せる3枚
4月1日起算の数字を先に並べたこの表は、1月1日の例が中心の全国向けの記事では、あまり見かけない形だと思います。大阪で契約書を読む売主様の目線に合わせて、新大阪の事務所で作りました。
最後に、表の4月1日起算の欄にある「+新年度分」。4月1日起算だと、4月から始まる新しい年度は、まるごと買主様が持つ期間になります。その1年分の税金を誰が、どう払うのか。1〜3月に引き渡す方にとって、ここが一番もめやすく、この記事でいちばん伝えたいところです。次の章でじっくり話します。
第3章:1〜3月に引き渡すなら、4月に届く新年度分の扱いを契約前に決める

1〜3月に引き渡す方には、4月にもう1通、固定資産税の封筒が届くかもしれません。その「新年度分」を、契約の前にどう決めておくか。「売ったのに通知書が来た」を、あとから慌てる話ではなく、先に片付けておく話に変えましょう。
▶ 1月1日にまだあなたの名義なら、4月の通知書はあなたに届く
たとえば2027年1月20日に引き渡すとします。2027年1月1日の時点では、家の名義はまだあなたです。すると、2027年度の固定資産税の納税通知書は、2027年4月上旬にあなたの住所へ届きます。もう住んでいない、鍵も渡した家の通知書が、です。
家族で新居に移って、ようやく段ボールが片付いた4月。ポストに大阪市からの封筒が入っていて、開けたら売った家の固定資産税。「え、なんで?二重に払うの?」と、ここで初めて慌てる方が少なくありません。
安心してほしいのは、これは二重払いではないこと。市のルールどおりに、1月1日の持ち主に通知が届いているだけです。問題は、その税金を最終的に誰が負担するのか、契約で決まっているかどうか。決まっていないと、買主様と連絡を取り直して話し合うことになり、気持ちのうえでもしんどいんです。
▶ 12月に決済しても、登記が年明けにずれると同じことが起きる
もう1つ見落としやすいのが、年末ぎりぎりに決済するケースです。お金のやり取りは12月に済んでいても、名義を変える登記の申請が年明けにずれ込むことがあります。そうなると、1月1日の時点で登記上の持ち主は、まだあなた。やはり4月に通知書が届く可能性があります。
年末ぎりぎりの決済を考えている方は、「登記はいつ申請される予定ですか」と担当者に一言聞いておいてください。
▶ 精算の3点メモ:起算日・基準年度・新年度分
そこで、契約の前に確かめたいのが次の3点です。私はこれを「精算の3点メモ」と呼んでいます。

①起算日:1月1日か、4月1日か。第1章で見た1行です。
②どの年度の税額で計算するか:1〜3月の引渡しでは、新年度の税額がまだ決まっていません。前の年度の額を見込みとして精算するのか、4月に通知が来てから本当の額で精算し直すのか。ここが決まっていると、差額が出たときに困りません。
③新年度分を誰が、いつ、どう払うか:4月に届く通知書の分を、決済の日に見込みで受け取っておくのか。通知が届いたあとに買主様から受け取るのか。それとも通知書を買主様に渡して払ってもらうのか。決め方はいくつかあって、どれが正解というものではありません。大事なのは書面で決まっていることです。ただし、買主様に納付を任せても、市に対する納税義務は売主様に残ります。通知書を渡して終わりにせず、納期限と納付確認の方法まで決めてください。
3枚のうち1枚でも空欄なら、契約の前に担当者へ聞いてください。サインしたあとで「そういえば」と言い出すより、ずっと気楽に聞けます。売主様側だけに立つ私から見ると、空欄のまま契約の席に進むのは、決済の日と引渡した年の4月に宿題を残すのと同じです。
▶ もう通知書が届いてしまった方へ
すでに引き渡しが終わって、4月に通知書が届いてしまった方もいると思います。そのときの動き方は、note に詳しく書きました → 「売ったのに納税通知書が来た」——引渡しの後に売主がする・しない・任せる
ここまでで、精算金の額と、新年度分の段取りが見えてきました。では「結局、12月と1月のどちらで渡すのがいいのか」。次の章で、自分の条件で比べる物差しを用意します。
第4章:12月引渡しと1月引渡しを、3つの物差しで比べる

「引渡しは12月にしますか、1月にしますか」。担当者からこう聞かれている方は、この章で答えの材料がそろいます。損得の決めつけではなく、あなた自身の条件で比べる方法です。
住み替えの方なら、新居の段取り、子どもの学校の区切り、年末年始の親戚の集まり。日付を決める理由は、家ごとにいろいろあります。「1月にしたほうが税金で得ですか?」と聞かれることもあるのですが、そこはひとことで言えません。物差しを3つに分けて並べてみましょう。
▶ 物差し①:受け取る精算金
第2章の早見表を見てください。4月1日起算なら、12月20日の引渡しで約3.4万円、1月20日で約2.3万円+新年度分。1月1日起算なら、12月20日で約0.4万円、1月20日で約11.4万円。
1月の引渡しで受け取る額が大きく見えるのには、理由があります。そのぶん、4月に届く新年度の固定資産税を払う(または払う段取りをする)のが、あなたの側になるからです。受け取る額だけ見て「1月のほうが得」と考えないようにしてください。
▶ 物差し②:4月の通知書と、新年度分の段取りが要るか
12月中に決済と名義変更が終われば、翌年4月の通知書は買主様に届きます。売主様としては、固定資産税のことをそこで終わりにできます。
1月以降の引渡しなら、第3章の「精算の3点メモ」を契約前に埋めることになります。手間としては1つ増えますが、書面で決まっていれば困ることはありません。「年を越してまで家のことを引きずりたくない」という気持ちが強い方には、この物差しが大きいかもしれません。
▶ 物差し③:「売った年」が変わる
もう1つ、12月と1月で変わるのが「家を売った年」です。国税庁の説明では、税金の上で家を売った日は、原則として引渡しの日。契約の効力が生じた日を選んで申告することもできる、とされています。12月に渡すか1月に渡すかで、売った年が1年ずれることがあるわけです。
売った年がずれると、確定申告をする年や、持っていた期間の数え方が変わることがあります。住み替えで売却益が出そうな方は、こちらの記事の第4章で詳しく書いています → 大阪市の住み替えで売却益が出たら|3,000万円控除と住宅ローン控除、売る前に決める順番 。税率や申告の判断は、税理士さんに相談してみてください。役割を分けると、税理士さんは税金の計算を、私は日付の組み方をお手伝いする、というイメージです。

| 物差し | 2026年12月に引き渡す | 2027年1月に引き渡す |
| ①受け取る精算金 | 起算日で変わる(早見表) | 起算日で変わる(新年度分を含めて見る) |
| ②2027年4月の通知書 | 名義変更が年内に終われば、買主様に届く | 売主様に届く。3点メモを契約前に |
| ③売った年 | 原則2026年(申告は2027年) | 原則2027年(申告は2028年) |
▶ 日程の現実:銀行への連絡は逆算で
物差しとは別に、日程の現実も見ておきましょう。住宅ローンが残っているなら、決済の日に一括返済をします。そして、抵当権(銀行が家に付けている担保の権利)を外してもらいます。たとえば三井住友銀行は、売却に伴い完済日と同日に抵当権抹消書類を受け取る場合、3週間前、大型連休を挟む場合は4週間前までの事前申込みを案内しています。一括返済の申込みや書類受取りの期限は、借入先へ確認してください。
たとえば12月25日前後に決済するなら、11月下旬〜12月初めには銀行へ連絡しておきたいところです。年末は銀行や司法書士さん(登記の手続きを代わりにしてくれる専門家)の予定が詰まりやすく、年末年始の休みも挟みます。金融機関ごとに期限は違うので、借りている銀行の窓口で確かめてください。
契約から引渡しまでは、1か月半〜2か月くらいで組むことが多いです。年内に引き渡したいなら、10月から11月中旬くらいまでの契約が1つの目安になります。今まさに売り出し中の方は、ちょうどこの境目に立っているかもしれません。
契約日と引渡し日を買主様と調整して組むのは、仲介の担当者の仕事です。20年この仕事をしてきて、日付の組み方ひとつで売主様の気持ちの負担がずいぶん変わることを見てきました。
相続した実家を年内に手放したい方は、空き家の通知についてのこちらの記事もあわせてどうぞ → 空き家の通知が届いた大阪市の実家、年内に何を決める?段階と4択
さて、日付の話が出てきたところで、固定資産税だけでなく、売却のお金全体を日付の順に並べてみましょう。次の章で「お金のカレンダー」を作ります。
第5章:契約日から決済日まで、5つのお金を日付の順に1枚に並べる

売却で動くお金を、日付の順に1枚に並べた「お金のカレンダー」を作ります。「売れたら、その日に全額入る」という思い込みを外しましょう。住み替え先の支払いに間に合うかが、自分で確かめられるようになります。
意外と多いのが、「売れたら一度にドンと入る」と思っていた、という声です。住み替え先の手付金や引っ越し代の支払い日が迫っているのに、手元のお金がいつ入るか分からない。通勤電車の中でスマホの電卓をたたいて、何度計算しても不安が消えない…。そんな状態を、1枚の紙で終わりにしましょう。
▶ ①契約日:手付金を受け取る
売買契約を結ぶ日に、買主様から手付金(契約の証として先に受け取るお金)を受け取ります。売買代金の一部で、残りは決済の日です。手付金を受け取ったあとの解除のルールは、こちらの記事で書いています → 売主必見!大阪市の不動産売却・手付解除とは?ペナルティを全解剖
▶ ②契約日または決済日:仲介手数料を払う
不動産会社への仲介手数料は、契約の日に半分、決済の日に残り半分、という形が多いです。会社によっては決済の日にまとめて、ということもあります。いつ、いくら払うのかは、媒介契約(売却を不動産会社に頼むときに結ぶ契約)の時点で聞いておくと安心です。
▶ ③決済前:ローン完済と抹消書類の準備を申し込む
第4章で見たとおり、住宅ローンが残っているなら、金融機関へ一括返済と、決済日に必要な抵当権抹消書類の準備を申し込みます。3〜4週間前は銀行の一例で、借入先の期限から逆算します。ここは「受け取る」でも「払う」でもなく、段取りの日です。カレンダーに赤丸を付けておいてください。ローン残債がある家の売り方は、こちらの記事で詳しく書いています → 【大阪】ローン残債がある家の不動産売却!安全に売る手順と対策
▶ ④決済日:いくつものお金が、この順番で動く
決済の日は、一日でお金がいくつも動きます。よくある順番はこうです。
1. 買主様から残代金(売買代金から手付金を引いた残り)が振り込まれる
2. 着金を確かめて、住宅ローンを完済し、抵当権を外す手続きに入る
3. 固定資産税の精算金を受け取る(第2章の表の金額)
4. マンションなら、管理費・修繕積立金の日割り分を受け取る
5. 仲介手数料の残りなど、諸費用を払う
6. 鍵を渡して、引渡し完了
見落としやすいのは、残代金が入っても、その多くはその場でローンの完済に回ることです。手元に残るのは、そこから諸費用を引いた金額。手取りの金額の出し方は、費用の一覧と合わせてこちらの記事にまとめています → 不動産売却費用(大阪)一覧とシミュレーション!手取り額の計算
▶ ⑤引渡し後:通知書と確定申告の年を分ける
2027年1〜3月に引き渡した場合、新年度分の通知書は同じ2027年4月上旬に届きます(第3章の3点メモの出番です)。原則どおり引渡した日を譲渡日として申告するなら、確定申告は2028年2〜3月です。2026年12月に引き渡した場合の申告は原則2027年2〜3月。この2つの時期を混同しないでください。申告の要否は売却益だけでなく、利用する特例などによっても変わります。控除で税額がゼロになっても、特例のために申告が必要な場合があります。
もう1つ、受け取った固定資産税の精算金の扱いも知っておいてください。国税庁の説明では、精算金は売買代金と同じ扱いで、売ったときの収入に含めるとされています。「税金が戻ってきたお金」ではないんです。申告が要るかどうかや計算の細かいところは、税理士さんや税務署に確かめてみてください。
▶ カレンダーの作り方
紙1枚で十分です。2027年1〜3月に引き渡す例なら、横に線を1本引き、左から「契約日」「一括返済・抹消書類の準備申込み」「決済日」「2027年4月の納税通知書」「2028年2〜3月の確定申告」と書きます。2026年12月に引き渡す場合は、申告を原則2027年2〜3月に置くなど、自分の年と日付に直してください。線の上に「受け取るお金(手付金・残代金・精算金)」、線の下に「払うお金(仲介手数料・ローン完済・諸費用)」。そして一番下に、住み替え先の支払い日を書き込んでください。
これで、「住み替え先の手付金は、うちの手付金が入ったあとだから大丈夫」と確かめられます。「新居の残金の支払いが決済日より先だと、つなぎのお金が要る」といったことも、ひと目で分かります。
写真撮影、資料作り、内覧の立ち会いまで、私は自分でやっています。売主様に「当日になって初めて見る数字」を作らないためでもあります。決済の日の数字も同じで、前もって1枚に並べておけば、当日は確認するだけで済みます。
遠方にお住まいで決済に立ち会えるか心配な方は、こちらもどうぞ → 遠方から大阪市の実家を売る|大阪に来るのは何回?来る日と任せる日 。契約から引渡しまでの6週間の動きは note でも書いています → 契約が終わってから引渡しまでの6週間。売主がすること・しないこと・担当者に任せること
お金の流れが見えたら、あとは契約の前に1つだけ確かめれば大丈夫。次の章で、担当者に聞く「1行」を用意します。
第6章:契約書にサインする前に、担当者に聞く1行を決める

聞きづらかった精算の質問を、角の立たない1行にまとめます。「こんなこと聞いたら、面倒な客だと思われるかな」という心配は、ここで置いていってください。
契約の直前って、なぜか質問しにくいものです。「せっかく買主様が見つかったのに、細かいことを言って話がこじれたら…」と思ってしまう。気持ちはとてもよく分かります。でも、精算の話は「値下げ交渉」でも「クレーム」でもなく、決済の日の数字を確かめるだけの質問です。
▶ 担当者に送る1行
LINE やメールで、そのまま送れる形にしました。
「起算日はどちらで、どの年度の税額で計算して、新年度分はどう払う予定ですか。精算の見込みを、契約の前に1枚で見せてもらえますか。」
第3章の「精算の3点メモ」を、そのまま質問にしたものです。この1行で、起算日・基準年度・新年度分がすべてそろいます。1〜3月の引渡しでなければ、後半の「新年度分」は省いて大丈夫です。
▶ 返ってきた答えの見方
返ってきた答えが「普通はこうです」「関西はみんな4月1日ですよ」だけだったら。そのときは、それが契約書のどの条文に書いてあるかを確かめてください。「普通」は人によって違います。書面に書いてあることだけが、あとで頼りになります。
もう1つ正直に書いておくと、起算日は売主様だけでは決められません。買主様との合意で決まるものです。「4月1日のほうがいいから変えてください」と言っても、買主様側の事情で1月1日になることもあります。だからこそ、どちらになったとしても、自分の数字を契約の前に見ておくことが大切なんです。
▶ 数字が出てこないときは
「精算の見込みを見せてください」とお願いしても、契約の日まで数字が出てこない。そんなときは、ほかの会社で売却中の方でも、公式LINEから聞いてもらって大丈夫です。通知書の年税額と、引渡しの予定日、契約書の該当の1行が分かれば、目安は一緒に出せます。
▶ 私が数字を先に見せたい理由
私は売却専門で、囲い込み(売却を任された物件を自社で抱え込み、ほかの会社からの購入希望を通さないこと)はしません。賃貸や購入の仲介を事業の柱にしていないので、両手取引(買主様側からも手数料をもらう取引)を狙う理由も薄いんです。だから、精算の数字を売主様に先に見せても、私の側に損も得もありません。
私が大事にしている言葉に「買は情報、売は信頼」があります。家を売る側から見ると、担当者が何をしているかは見えにくい。だからこそ、決済の日に初めて見る数字を作らない。それが、信頼していただくためにできることだと考えています。
最後の章では、ここまでの話をまとめて、今日から動けることを3段に分けておきます。
第7章:まとめ+今日からやるべきこと
▶ まとめ3行
・起算日は契約書の1行で決まる。 1月1日か4月1日かで、受け取る精算金が変わる
・1〜3月に引き渡すなら、新年度分を先に決める。 起算日・基準年度・新年度分の「精算の3点メモ」を契約前に埋める
・売却のお金は、日付の順に動く。 手付金・仲介手数料・完済準備・決済・引渡し後の通知書と申告を、実際の年月で1枚に並べる
▶ 今日できること
1. 今年度の固定資産税の納税通知書を出して、年税額(固定資産税+都市計画税)に丸を付ける
2. 契約書(案)があれば、「公租公課」の条文に付箋を貼る。起算日が1月1日か4月1日かを確かめる
どちらも5分あれば終わります。通知書が見つからなければ、それも1つの発見です。担当者に年税額を聞く理由ができました。
▶ 1週間以内にすること
1. 第2章の早見表に、自分の引渡し予定月と年税額を当てはめて、精算金の目安を出す
2. 第5章のお金のカレンダーを紙1枚で作り、住み替え先の支払い日を書き込んで家族と共有する
3. 担当者に、第6章の1行を送る
家族に「いつ、いくら入って、何を払うか」を1枚で見せられると、話し合いがぐっと楽になります。「12月にするか、1月にするか」も、第4章の3つの物差しを並べれば、家族みんなで同じ紙を見ながら決められます。
▶ 相談したくなったら
自分で計算してみたけれど合っているか不安、担当者に聞いても数字が出てこない、12月と1月で迷っている。そんなときは、公式LINEから気軽に聞いてください。ほかの会社で売却中の方でも大丈夫です。
公式LINE(友だち追加):公式LINEで相談する
LINE を使っていない方は、サイト(https://heroes-property.jp )からもご連絡いただけます。
▶ 動画で見る
売ったお金で住宅ローンが消えるかを、1分ほどの動画にしています。第5章の「決済日」の流れとあわせて見てみてください。
売ったお金で、ローンは消えますか?|残債から手取りまでの順番
おわりに
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
固定資産税の精算は、家の値段に比べれば小さな金額かもしれません。でも、決済の日に知らない数字が出てくる不安は、金額以上に気持ちを重くします。新居で落ち着いた4月に届く、見覚えのない封筒も同じです。
契約書の1行を、サインの前に一度だけ見てみる。それだけで、決済の日を「確認するだけの日」にできます。あなたの売却が、年を越しても何かを引きずらない、すっきりした形で終わりますように。分からないところがあれば、いつでも声をかけてください。








