遠方から大阪市の実家を売る|大阪に来るのは何回?来る日と任せる日
2026/09/27
この記事で分かること
・大阪に来る日の目安と、その回数を自分で決める方法
・年末年始の帰省で、ここまで済ませておけること
・大阪にいない間も、売れ方を遠くから見る3つの確認
「何回、大阪に行けばいいですか?」
遠方にお住まいの売主様から、最初の相談でいちばん多く聞かれる質問です。東京や名古屋で働きながら、大阪市の実家を相続した。盆と正月に帰っても片付けは終わらない。固定資産税の通知が届くたびに「今年こそ」と思って、気づけばまた1年…。
この記事では、売却の6つの場面を「来る日・来なくていい日・任せる日」に分けます。そのうえで、あなたが大阪に来る日の目安を一緒に決めていきます。次の帰省で何をするか、来ない間に売れ方をどう見るか。読み終えるころには、手帳に書き込める形になっているはずです。
目次
第1章:「何回大阪に行けばいい?」の答えが人によって違う理由
▶ 日曜の夜、妹さんからのLINE
たとえば、こんな方を思い浮かべてください。東京のメーカーにお勤めの54歳の男性です。大阪市東淀川区の実家は、築45年ほどの木造2階建て。お母様が亡くなってから2年半、空き家のままになっています。
9月の日曜の夜、名古屋に住む妹さんからLINEが届きます。「お正月、実家どうする?そろそろ決めないと」。スマホで調べると、出てくるのは「一度も行かずに売れます」という記事ばかり。うちは大阪市の古い家だけど、本当にそうなのかな…と、手が止まる。
同じところで手が止まっている方は、実はたくさんいます。国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査を見てみましょう。同調査では、空き家のおよそ4軒に1軒(23.4%)が、持ち主の住まいから1時間を超える場所にあります。取得のきっかけは、57.9%が「相続」でした。遠くの実家を相続して「さて、どうしよう」と考えているのは、あなただけではありません。
▶ 先に正直に言います
「一度も大阪に来なくても売れますよ」とは、私は言いません。来なくて済むことは確かに増えています。それでも、来たほうが結果的に早く、安心して進む日もあるのが正直なところです。
回数は、物件と家族の事情、手続きの進め方で変わります。この記事では、「訪問査定」と「決済」の両日に来訪する場合の2回を、一つの計画例にしています。必ず2回来なければならない、という意味ではありません。事前確認などで決済当日の来訪を省ける場合もあれば、確認のために3回、4回と増える場合もあります。まず整理したい条件が、次の3つです。
▶ 回数を決める3つの条件
①名義と書類の状態
遺産分割協議書(相続人どうしで誰が何を受け継ぐかを決めた書類)はできていますか。相続登記(実家の名義をお母様からあなたに変える手続き)は済んでいますか。書類がそろっていれば、郵送や電話で進められることが一気に増えます。逆に、きょうだいの話し合いがまだなら、話し合いのための帰省が別に必要になるかもしれません。
②鍵を誰に預けられるか
売り出し中は、買いたい方が家の中を見に来ます(内覧といいます)。そのたびにあなたが新幹線で鍵を開けに来るわけにはいきませんよね。鍵を不動産会社に預けるのか、近くに住む親族に持ってもらうのか。預け先が決まれば、売り出し中に大阪へ来る必要はほとんどなくなります。
③家族の窓口が1人に決まっているか
相続人が複数いると、「兄には話したけど妹は聞いていない」ということが起きがちです。窓口を1人に決めておくと、連絡の行き来が減り、帰省の回数も減ります。
この3つを紙に書き出して、それぞれ「済んでいる/まだ」に丸を付けてみてください。「まだ」の項目が残っていると、追加の来訪が必要になる場合があります。ただ、電話やオンラインで整理できることもあります。まずは来訪が必要な作業かどうかを、一つずつ確かめましょう。
なお、親御さんがご存命で施設に入られたケースの帰省の目安は、こちらの記事で書いています → 不動産売却で大阪府の老人ホームに入った親の実家を3,000万円控除で現金化する実践ガイド
▶ 本当につまずくのは「回数」ではなかった
20年この仕事をしてきて感じるのは、遠方の売主様がいちばん不安になるのは、実は回数ではないということです。「来ない間に、誰が何をしているのか分からない」。こちらのほうが、ずっと重くのしかかります。
だからこの記事では、来る日を決めるのと同じくらい、来ない日の「見え方」を大事に書いていきます。まずは売却の全体を1枚の表にするところから。次の章で一緒に色分けしてみましょう。
第2章:売却の6つの場面を「来る日・来なくていい日・任せる日」に色分けする
▶ 3つの色の意味
まず、色の意味を決めておきます。
・来る日:現地での立ち会いを予定する日。来訪の必要性は事前に相談し、来ておくと後の帰省が減るかも考える
・来なくていい日:電話・オンライン・郵送で済ませられる日
・任せる日:自分では動かず、誰に任せるかを先に決めておく日
ポイントは3つ目の「任せる日」です。「来なくていい」と「任せる」は、似ているようで違います。来なくていい日は、あなたが東京で電話に出れば済む日。任せる日は、あなたの代わりに誰かが大阪の実家で動いている日です。だから任せる日だけは、「誰が」を最初に決めておかないと始まりません。
▶ 大阪に来る日の色分け表

| 場面 | 色分けの目安 | 中身 |
| ①相談 | 来なくていい日 | 電話・オンライン・LINEで話せることが多い |
| ②訪問査定 | 来る日(立ち会う計画例) | 室内を一緒に見る。鍵の受け渡しもこの日に |
| ③媒介契約 | 来なくていい日(場合による) | 訪問査定の日にまとめるか、郵送でやり取りできる場合がある |
| ④売り出し(写真・資料・内覧) | 任せる日 | 撮影・資料作り・内覧の立ち会いを担当者に任せる |
| ⑤売買契約 | 来なくていい日(場合による) | 持ち回り契約や、担当者が伺う形で来なくて済む場合がある |
| ⑥決済 | 来訪の要否を事前調整 | 本人確認・意思確認は必要。事前確認などで当日の来訪を省ける場合があり、司法書士・金融機関と事前調整する |
②訪問査定と⑥決済の両日に来訪するなら、2回という計画になります。②は立ち会っていただくと確認をまとめやすい日ですが、必須の回数ではありません。⑥は本人確認・意思確認と来訪を分けて考え、司法書士さんや金融機関と事前に調整します。③と⑤も「場合による」。第1章の3つの条件を伝えて、自分の場合の予定を決めましょう。
たとえば書類がそろっていれば、訪問査定の日に媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)まで済ませられます。そうなれば、③のための帰省はいりません。売買契約も、持ち回り契約(売主と買主が別々の日・場所で署名する方法)が使えれば、大阪に来なくて済む場合があります。
▶ 「任せる」の相手が途中で変わらないこと
④の「任せる日」について、私たちの場合をお話しさせてください。私たちは、写真の撮影、図面や広告文の資料作り、内覧の立ち会いを、すべて私自身が行っています。
大きな会社だと、写真は撮影担当、内覧は営業担当と分かれていたり、途中で担当者が異動したりすることもあります。それが悪いわけではありません。ただ、遠くにいる売主様からすると、「今、誰が自分の家を見てくれているのか」が分かりにくくなりがちです。
私たちは売却だけを専門にしている会社なので、任せる相手は最初から最後まで私1人。電話1本で「この前の内覧、どうでした?」と聞ける相手がはっきりしている。これが遠方の売主様にとって、けっこう大きな安心になるようです。
▶ あなたの表に印を付けてみる
表を手元の紙に写して、右端に自分の事情を書き込んでみてください。「②訪問査定:12月28日の帰省で」「⑥決済:来年春? 来訪の要否は相談」のように、ざっくりで大丈夫です。③と⑤は「?」のままでもかまいません。
この計画例で、最初に来訪を予定するのは訪問査定です。多くの方にとって、その日にちょうどいいのが年末年始の帰省でしょう。次の章では、その数日で何をどこまで済ませておけるかを見ていきます。
第3章:年末年始の帰省1回で、ここまで済ませておける
▶ 帰省の前(10〜11月・自宅から)
年末の数日を無駄にしないために、10〜11月のうちに動き始めておくのがおすすめです。自宅にいながらできることは、意外と多いんですよ。
1. 相談する:電話やオンラインで、不動産会社に状況を話しておく。実家の住所、建物の古さ、相続の状況、帰省の予定日を伝えるだけで十分です
2. 相場をつかむ:机上査定(現地を見ずに、資料から出すおおまかな査定)で相場の幅を知っておく。机上査定と訪問査定の違いはこちら → 不動産売却で大阪府の机上査定と訪問査定の違いを徹底比較し最適な方法を選ぶコツ
3. 日程を押さえる:帰省中のどの日に訪問査定をするか、先に決めておく。年末は込み合うので、早めに声をかけておくと安心です
私たちの事務所は、新大阪駅のすぐ近く(大阪市淀川区宮原)にあります。新幹線を降りたその足で事務所に寄っていただけます。そこから東淀川区や淀川区の実家へ、一緒に向かう動き方もしやすい場所です。年末年始の日程は年によって変わるので、帰省の予定が決まったら早めに教えてください。合わせられるかどうか、ご相談させていただきます。
▶ 帰省中(大阪で)にやる5つのこと
①訪問査定に立ち会う
担当者と一緒に、家の中と外を見ます。雨漏りの跡、増築した部分、隣との境目。あなたが知っていることを話してもらえると、査定の精度が上がり、後の資料作りもぐっと良くなります。
②鍵の預け先を決める
売り出し中の内覧に備えて、鍵を誰が持つかを決めます。私たちがお預かりする形を取れる場合もありますし、近くの親族の方に持っていていただく形もあります。どちらがいいかは、この日に一緒に決めましょう。
③書類を探す
実家の中で、次の3つを探しておきます。
・権利証または登記識別情報(家の持ち主であることを示す書類。12桁の英数字が書かれた紙のこともあります)
・固定資産税の納税通知書(毎年春ごろに届く、税額が書かれた書類)
・遺産分割協議書(すでに作ってあれば、その控え)
ついでに、登記簿に載っているお母様の住所が、亡くなったときの住所と同じかも見ておくと安心です。違っていると、相続登記のときに書類が1つ2つ増えることがあります。手続きの細かいところは司法書士さんに相談してください。
④残置物は「方針」だけ決める
家具や衣類を、帰省中に全部片付ける必要はありません。「残すもの・形見として持ち帰るもの・処分するもの」の方針だけ決めておけば十分です。片付けの進め方はこちらの記事で詳しく書いています → 大阪市の実家を不動産売却する際に残置物を先に処分すると損する3つの理由
⑤家族への共有の段取りをつける
妹さんや弟さんに、何をどこまで決めたかを伝える段取りをつけます。きょうだいで相続した実家の進め方はこちら → きょうだいで相続した大阪市の実家、「全員の同意」の前に揃える4つの材料
▶ 大阪市の古い家は、現地で見て初めて分かることが多い
大阪市の実家、とくに昔からの住宅地に建つ古い家には、書類だけでは見えない論点がよくあります。
・長屋や連棟(となりの家と壁がつながっている)で、切り離しや建て替えに制限がある
・家の前の道が私道(個人や近所の人が持っている道)になっている → 家の前の道が私道だった|大阪市の戸建てを売る前に見る3枚と、承諾書はいつ取るか
・塀や屋根、植木がとなりの土地にはみ出している(越境) → 「屋根が越境しています」と言われた大阪市の家|売る前に外せる・直せる・直せないに分ける
・昔増築した部分が登記されていない(未登記の増築) → 未登記の増築がある大阪市の戸建てを売る|売り出し前に見比べる3枚
これらは、訪問査定の日に一緒に見ておくのがいちばんです。年が明けてから「確認したいことがあるので、もう一度来てもらえますか」となると困りますよね。有給をもう1日取っての帰省が増えてしまいます。私は大阪市の古い家を長く見てきたので、訪問査定の段階でこうした点を拾い上げるようにしています。
▶ 帰省の後(自宅に戻って)
自宅に戻ったら、帰省中に決めたことを家族にLINEやメールで共有します。査定の結果が届いたら、電話やオンラインで説明を受けて、売り出しの価格や時期を考えていきます。ここから先は、しばらく大阪に来なくていい期間です。
では、来ない間にどうやって売り出しが進んでいくのか。次の章で中身を見ていきましょう。
第4章:来なくていい日に、遠くから売り出しを進める

売り出して3週間。東京の会社の昼休みに、ふと「そういえば、内覧って入っているのかな」と思う。担当者に電話するのも気が引けて、そのまま午後の会議へ…。遠方の売主様からよく聞く場面です。
この章では、あなたが大阪にいない間に現地で何が起きているのかと、それを自宅から知る方法をお話しします。「任せっぱなしで何も分からない」状態にしないための章です。
▶ 売り出し中に現地で動くこと
売り出しが始まると、現地では次のことが進みます。
・写真の撮影(部屋の明るさや季節も考えて撮ります)
・図面や広告文などの資料作り
・不動産ポータルサイトへの掲載(私たちは SUUMO に掲載しています)
・内覧の立ち会い(買いたい方を家に案内する)
私たちの場合、これをすべて私が担当します。空き家の内覧は、売主様がその場にいなくても進められます。むしろ家具が少ない空き家は、買いたい方が部屋の広さをイメージしやすいという良さもあるんです。
▶ 内覧のあとに届けてほしい「内覧報告の4点」
遠くにいるあなたが知りたいのは、「内覧がありました」の一言ではないはずです。内覧のあとは、次の4点を届けてもらうように頼んでおきましょう。
1. 誰が:どんな方が見に来たか(家族連れ、ご夫婦、近くにお住まいの方など)
2. いつ:何月何日の何時ごろか
3. どこを見て:どこを長く見ていたか、どこで質問が出たか
4. 何と言ったか:「日当たりがいいね」「駅から少し遠いかな」といった感想
この4点がそろうと、東京のリビングにいながら、実家に誰が来て何を感じたのかが目に浮かぶようになります。妹さんに説明するときも、「先週の土曜に若いご夫婦が来て、2階の日当たりを気に入っていたらしい」と具体的に話せます。
▶ 数字で見る売れ方
内覧の感想に加えて、ネットでどれくらい見られているかの数字も大事な材料です。私たちは、SUUMO に載せた物件の閲覧数や問い合わせ数を報告書にして、売主様にお届けしています。頻度と届け方(メール・LINE・郵送のどれか)は、契約の前に売主様と決めるようにしています。
数字が見えると、遠くにいても一緒に作戦を立てられます。「閲覧は多いのに問い合わせが少ないなら、写真か価格を見直そうか」といった話です。
▶ 打ち合わせは電話やオンラインで
遠方の売主様とのやり取りは、電話やオンラインで進めることが多いです。価格の見直しや、買主様からの条件の相談も、画面越しに資料を見ながら話せます。平日の夜は難しい、週末なら大丈夫、といったご都合も最初に教えてください。
▶ 「売るまでの最低限」は最初に聞いておく
空き家の心配ごとは、売却だけではありませんよね。郵便受けにチラシがたまる、庭の草木が伸びる、窓を閉め切って湿気がこもる…。こうした「売るまでの最低限」を、売却の中でどこまでお願いできるか。これは最初の相談で聞いておきましょう。
私たちは空き家の管理サービスをしている会社ではありません。そのため、何でも引き受けます、とは言えません。たとえば、内覧で家に入ったときに気づいたことをお伝えする。こうした売却に関わる範囲で、できることとできないことを最初にはっきりお話しします。できないことは、別の方法を一緒に考えます。
ただ、どれだけ丁寧に報告を届けてもらっても、まだ残る不安があります。「本当に広く売り出してくれているのか」。次の章では、そこを契約の前に確かめる方法をお話しします。
第5章:来ない間も「見える」ようにする、媒介契約の前の3つの確認
▶ 遠くの売主様ほど気づきにくいこと
少しだけ、業界の話をさせてください。不動産の世界には「囲い込み」という問題があります。
売却を頼まれた不動産会社に、ほかの不動産会社から「買いたいお客さんがいます」と連絡が入る。それを「もう話が進んでいます」などと言って通さず、自分の会社で買主も見つけようとする。これが囲い込みです。売主と買主の両方から手数料を受け取れる(両手取引といいます)ために、こうしたことが起きてしまいます。
囲い込みがあると、本来なら出会えたはずの買主様に物件が届きません。売れるまでの時間が延びたり、値下げを迫られたりすることにつながります。そして、これは遠くに住んでいる売主様ほど気づきにくいんです。現地の様子も、ほかの会社の動きも見えないからです。
「この会社は大丈夫だろうか」と疑い続けるのは、遠くにいるあなたにとって疲れるだけです。それより、見える仕組みを最初に決めておくこと。そのための質問が、次の3つです。
▶ 見える化の3つの質問
①「レインズの登録証明書はもらえますか?」
レインズとは、不動産会社どうしが物件の情報を共有するネットワークのことです。ここに登録されると、全国の不動産会社があなたの実家の情報を見られるようになります。登録すると「登録証明書」が発行されます。それを受け取れば、売主様自身がスマホで登録の状況を確かめられます。
証明書の見方はこちら → 不動産売却でレインズ登録証明書の正しい確認方法と大阪府での活用ポイント
自分で登録状況を確認する方法はこちら → 不動産売却時のレインズ登録は自分で確認できる?透明性と確認手順を詳しく解説
②「報告は、何の数字を、どの頻度・方法で届けてもらえますか?」
売主様への状況の報告は、法律(宅地建物取引業法)で頻度の下限が決まっています。専任媒介契約(1社だけに売却を頼む契約)なら2週間に1回以上。専属専任媒介契約(1社だけに頼み、自分で見つけた買主とも直接は契約しない形)なら1週間に1回以上です。一般媒介契約には、この法定の報告頻度はありません。契約の種類を確かめたうえで、報告方法と頻度を決めておきましょう。
そのうえで聞いてほしいのは、中身です。閲覧数、問い合わせ数、内覧の件数と第4章の「内覧報告の4点」、ほかの会社からの紹介があったかどうか。そして、それがメールや書面など、どの形で届くのか。標準媒介契約約款に沿う業務報告は文書等で受け取り、必要な説明は電話などで補ってもらいます。遠くにいるあなたにとっていちばん見やすい形を、先に決めておきましょう。
③「鍵は誰が持ち、内覧のたびにどう連絡が来ますか?」
鍵の持ち主が決まっていないと、内覧の申し込みが入っても案内できず、せっかくの機会を逃してしまいます。誰が鍵を持つのか。内覧が決まったとき、終わったときに、どのタイミングで連絡が来るのか。ここまで決まっていれば、東京にいても「今週は2件見に来る」と分かります。
▶ 「囲い込みはしないですか?」への私たちの答え
この質問、実際に私もよく聞かれます。正直に言うと、聞いてもらえるのはありがたいことです。
私たちは、囲い込みをしません。そして、それを言葉だけでなく会社の仕組みで支えています。私たちは売却だけを専門にしていて、家を探している買主様側の仲介を本業にしていません。ほかの会社が連れてきた買主様を、両手取引のために断る動機が、構造的に薄いんです。
私は「買は情報、売は信頼」だと考えています。売却は、担当者の動きが売主様から見えにくい仕事です。だからこそ、見えないところで信頼を裏切らないこと。そして、見える仕組みを売主様に渡すこと。この2つを大事にしています。
3つの質問は、私たちに対しても遠慮なく使ってください。
見える仕組みが整えば、残るのは最後の2つの場面、売買契約と決済です。「ここだけは2回とも大阪に来ないと」と思っている方は多いのですが、実はそうとも限りません。次の章で順番に見ていきましょう。
第6章:契約と決済の日に、大阪に来るかどうかを決める順番
▶ 売買契約の日は、来なくて済む場合がある
買主様が決まると、売買契約を結びます。売主様と買主様が同じテーブルで署名するのが昔ながらの形です。遠方の場合は、持ち回り契約という方法もあります。売主様と買主様が、別々の日・別々の場所で契約書に署名する方法です。
持ち回り契約の流れや注意点は、こちらの記事で詳しく書いています → 不動産売却で大阪府の持ち回り契約の流れと手付金や日付設定の実務リスクを徹底解説
遠方の売主様の場合、契約の手続きは、私が売主様のお住まいの近くまで伺うことが多いです。契約書の中身を対面で一緒に確かめられるので、安心感が違うようです。どの形がいいかは、買主様の事情も含めて最初の相談で一緒に決めましょう。
▶ 本人確認と、大阪への来訪は分けて考える
決済は、買主様から代金を受け取り、鍵を渡し、名義を買主様に移す日です。名義を移す手続きを担当する司法書士さんによる、売主様の本人確認・意思確認は必要です。ただし、これは「決済当日に本人が大阪に来なければならない」という意味ではありません。事前に確認や書類の準備を済ませるなど、当日の来訪を省ける場合もあります。対応できる方法は司法書士さんや金融機関、取引の事情で変わるため、事前の調整が必要です。
決済当日に来訪しない形を希望する場合は、事前に司法書士さんへ相談してください。本人確認・意思確認の方法、必要書類、準備の期限、費用、当日の連絡方法を確かめ、金融機関とも調整しておきます。オンラインや郵送だけで必ず済むと決めつけないことが大切です。私たちからも、早めに司法書士さんにつなぐお手伝いをします。直前になって「来られない」と分かると、日程そのものを組み直すことになりかねません。
▶ 相続登記の前から、売り出しは始められる
ここは、遠方の売主様にぜひ知っておいてほしいところです。相続登記がまだでも、遺産分割協議書ができていれば、媒介契約、売り出し、売買契約までは進められます。一方、買主様への所有権移転登記には相続登記が前提となるため、決済・引渡しに間に合うように整える必要があります。
決済の前には、相続登記を済ませておきます。住宅ローンの抵当権(ローンの担保として銀行が付けている権利)が残っていれば、その抹消も必要です。決済と同時の抹消を含め、司法書士さんと金融機関に手順を確かめておきます。必要書類の収集や登記の準備には、数週間から数か月かかることもあります。
帰省の回数に置き換えると、こうなります。年末年始の帰省で訪問査定と鍵の受け渡しを済ませ、自宅に戻ってから売り出しを始める。並行して司法書士さんに相続登記を進めてもらう。買主様が決まって決済を迎えるころには、登記も終わっている。これなら「登記が終わるまで待つ」ための時間も、帰省も減らせます。
なお、2024年4月1日より前に相続による取得を知っていた不動産は、原則として2027年3月31日までに相続登記の申請が必要です。2024年4月1日以降に取得を知った場合は、知った日から3年以内が基本です(法務省・相続登記の申請義務化)。売却の予定がある方は、その準備もかねて早めに司法書士さんへ声をかけておくといいと思います。相続登記がまだの家の売り方は、こちらでも書いています → 不動産売却で大阪府の相続登記してない家を安全に現金化する手順と注意点
▶ 契約と決済を同じ日にまとめる方法も
もう一つ、契約と決済を同じ日にまとめて、最後の2つの場面を大阪1回で済ませる方法もあります。ただし、買主様が住宅ローンを使う場合は審査に時間がかかるため、同じ日にするのが難しいことがあります。相続登記が済んでいることも前提です。向き不向きがあるので、「うちの場合はどうか」を相談してみてください。
▶ 決める順番をまとめると
1. 売買契約:持ち回り契約か、担当者が伺う形か、大阪で結ぶかを決める
2. 決済:本人確認・意思確認の方法と来訪の要否を、司法書士さん・金融機関と事前に調整する
3. 相続登記:売り出しと並行して進め、決済に間に合わせる
4. まとめる余地:契約と決済を同じ日にできるかを確認する
この順番で確かめれば、「最後に2回は来ないと」と決めつけずに、あなたに合った回数が見えてきます。最後の章では、ここまでの話をまとめて、今日からやることを段に分けてお渡しします。
第7章:まとめ+今日からやるべきこと
▶ 今日できること
・色分け表を紙に写して、自分の予定を書き込む(「?」のままの欄があってもOK)
・妹さんや弟さんなど家族に「窓口は自分でいいかな?」と1通送る
▶ 1週間以内にすること
・固定資産税の納税通知書、遺産分割協議書、権利証(登記識別情報)がどこにあるかを確かめる。実家に置いたままなら、帰省中に探すリストに入れる
・年末年始の帰省日程を仮で押さえ、訪問査定の候補日を決める
・相談先の不動産会社に、第5章の3つの質問を投げてみる
お金の期限も確かめておきましょう。相続した空き家を売ったときに使える、最大3,000万円の特別控除という税金の特例があります(売って出た利益から差し引ける制度)。2024年1月1日以後の譲渡で、対象の家屋と敷地の両方を相続・遺贈により取得した相続人が3人以上いる場合は、1人当たりの上限が2,000万円になります。
期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。さらに、現行制度は2027年12月31日までの譲渡が対象です。たとえば2023年の相続なら2026年末、2024年の相続なら2027年末が期限になります。年末に売り出すだけでは間に合わないので、まず自分の期限を確認してください。
日程は、期限までに決済・引渡しを終える形で逆算しておくと安心です。相続した時期や建物の条件など細かな要件があるので、適用の可否と譲渡日の扱いは税理士さんか税務署に早めに確認してみてください(国税庁・被相続人の居住用財産を売ったときの特例)。
▶ 相談したくなったら
「うちの場合、大阪に何回来ればいい?」を一緒に整理したい方は、公式LINEから「遠方から実家の相談」と一言送ってください。
公式LINE(友だち追加)→ 公式LINEで相談する
電話やオンラインで、今の状況を伺うところから始めます。帰省の日に合わせて、新大阪の事務所でお会いすることもできます(営業時間は10時〜19時、水曜定休です)。話を聞いてみて「まだ売らない」という結論になっても、もちろんかまいません。無理に売却をおすすめすることはありません。
サイト:https://heroes-property.jp
メール:info@heroes-property.co.jp
おわりに
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
遠くに住みながら実家を売るのは、それだけで大きな仕事です。仕事も家庭もある中で、有給をやりくりして、新幹線に乗って、懐かしい家の片付けをする。「次の帰省で考えよう」と先延ばしにしてしまうのは、あなたが怠けているからではなく、見通しが立たないからだと私は思います。
見通しは、表1枚から立てられます。来る日と任せる日が分かれば、大阪に来る回数はぐっと減らせますし、来ない間のことも見えるようになります。
お母様との思い出が詰まった家を、次に大切に住んでくれる方へ。そのバトンを、遠くからでも安心して渡せるように。私はこの仕事を続けています。あなたの実家の話も、いつか聞かせてもらえたらうれしいです。












