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家の前の道が私道だった|大阪市の戸建てを売る前に見る3枚と、承諾書はいつ取るか

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家の前の道が私道だった|大阪市の戸建てを売る前に見る3枚と、承諾書はいつ取るか

家の前の道が私道だった|大阪市の戸建てを売る前に見る3枚と、承諾書はいつ取るか

2026/09/22

家の前の道が私道だった|大阪市の戸建てを売る前に見る3枚と、承諾書はいつ取るか

相続した実家を売ろうと一括査定サイトに入力したら「対象外」と出た。近所の不動産会社に聞いたら「前の道が私道なので、承諾書を取ってもらえたら受けられます」と言われた。承諾書って何? 誰に、いつ、何を頼めばいいの? そこで手が止まっている方に向けて、この記事を書きました。

私は大阪市淀川区で、不動産の売却だけを専門にしている紙谷といいます。20年この仕事をしてきて、私道の家は「売れない家」ではなく「順番を間違えると止まる家」だと思っています。売り出す前に見る3枚と、承諾書をいつ取るかを、一緒に整理していきましょう。

この記事で分かること

・自分の家が「私道4パターン」のどれに当たるかを、3枚の書類で自分で確かめる方法

・承諾書を「売り出し前・契約前・決済前」のどこで取るのが、自分の事情に合うか

・隣の家に頼む順番と、承諾書に入れておきたい一文

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目次

    第1章:「前の道は私道です」と言われた家で、何が起きているのか

    第1章:「前の道は私道です」と言われた家で、何が起きているのか

    この章では、「私道」「持分」「承諾書」という3つの言葉がどうつながっているのかを、まず頭の中で1枚の図にします。ここが見えると、「うちの話だ」と自分の位置が分かるようになります。

    ▶ 敬老の日の帰り道で

    一例として、Aさん(58歳)の話をさせてください。名前も事情も、想定の一例です。連休に施設のお母さんを妹さんと見舞い、その帰りに東淀川区の実家へ寄る。行き止まりの細い道に6軒が並ぶ、昭和50年代の小さな分譲地。妹さんに「で、いつ売るん?」と聞かれて、「業者に承諾書が要るって言われてて」と答えたら、「承諾書って何?」と返される。自分も説明できない…。

    その夜、スマホで「私道 承諾書 売却 大阪市」と打っても、出てくるのは買取業者の広告と「私道とは」の解説ばかり。結局うちが売れるのかは分からない。

    ▶ 私道とは何か(1段落だけ)

    私道(しどう)とは、国や市ではなく、個人や会社が所有している土地を道として使っているものです。小さな分譲地では持ち方がいろいろで、「6軒で共有している」「分譲した会社がそのまま持っている」「奥の1軒だけが持っている」などの形があります。

    ▶ 「通る」「掘る」「建て替える」は別々の問題

    ここが一番大事なところなんです。私道の家で問題になるのは、実は3つの別々の話です。

    「通る・掘る・建て替える」の3つの問題。私道の家で起きる3つの問題を横に並べ、それぞれ「誰の承諾が要るか」「何の書類で分かるか」を対応させた図。「通る」「掘る」は道の所有者の承諾(承諾書)、「建て替える」は道路種別に加え接道条件などの確認が必要で、承諾書では解決しないことを示す

    1つ目は「通れるか」。道の所有者ではない人が、その道を歩いたり車で通ったりしてよいか。
    2つ目は「掘れるか」。水道管やガス管を直したり引き直したりするために、道を掘ってよいか。
    3つ目は「建て替えられるか」。まず、その道が建築基準法(建物を建てるときのルールを決めた法律)上の道路かを確認します。そのうえで、敷地が道路に原則2m以上接しているか、後退やほかの建築制限を満たすかも確認が必要です。道路の種類だけで建て替え可とは決まらず、所有者の承諾書だけでも解決しません。

    「承諾書」は1つ目と2つ目の話で、3つ目は承諾書では解決しません。ここを混ぜると、「承諾書を取ったのに建て替えできないと言われた」という食い違いが起きます。

    ▶ 私道4パターン表

    自分の家がどこにいるのかを、次の表で当ててみてください。縦が「道の持分(もちぶん=道の土地を共有している割合)を持っているか」、横が「承諾書がすでにあるか」です。

    承諾書あり承諾書なし
    持分ありA:一番動きやすい。承諾書の中身(通行だけか、掘削も含むか)を確認するだけB:持分があるので通行は基本的に問題になりにくい。掘削の承諾を他の共有者からもらう相談になることが多い
    持分なしC:承諾書が「次の買主にも引き継げる形」かを確認するD:通行と掘削の両方について、道の所有者に承諾をお願いするところから始まる

    Aさんの実家は、司法書士さんに「私道の持分は登記されていないようですね」と言われ、承諾書も見当たらない。「D:持分なし・承諾書なし」からのスタートです。一番遠く見えますが、私の経験では、Dの家も順番どおりに進めれば仲介で売れることが多いです。

    ▶ なぜ大阪市の下町に私道の家が多いのか

    淀川区の事務所から自転車で回れる範囲だけでも、私道に接した家はいくらでもあります。昭和に建て込んだ木造密集地、小さな分譲地の行き止まり道、もともと水路だった場所をふさいだ道…。こういう道は、市に引き取られないまま個人名義で残っていることが多いんです。

    全国の数字でいうと、幅4m未満の道路に接している住宅は32.0%(総務省統計局・平成20年住宅・土地統計調査)。3軒に1軒ですね。大阪市だけの数字は私も確認できていません。ただ、昭和の木造密集地が多い土地柄を見ていると、全国平均より低いとは思えないというのが正直なところです。

    ▶ 「売れない」ではなく「入口で止まる」

    だから、私道の家を「売れない家」と呼ぶのは正確ではありません。正しくは「買主の資金調達と工事の入口で止まりやすい家」です。入口で止まる理由が分かれば、止まらないように先回りできます。

    じゃあ、その入口で何が起きているのか。次の章で、買主のローンが止まる本当の理由を見ていきましょう。

    第2章:買主のローンが止まる本当の理由——金融機関は「通れる・掘れる」の証拠を見ている

    第2章:買主のローンが止まる本当の理由——金融機関は「通れる・掘れる」の証拠を見ている

    この章では、「法律が変わったから承諾書はもう要らない」という話がなぜ危ないのかを、仕組みから説明します。読み終えると、家族に「なぜ今も承諾書が要るのか」を自分の言葉で話せるようになります。

    ▶ 権利は明文化された。でも実務はまだ承諾書

    2023年4月1日に施行された改正民法で、「ライフライン設備設置権」というものが明文化されました(民法213条の2・213条の3)。ざっくり言うと、こういう権利です。他人の土地を通さないと水道やガスを引けない土地の所有者は、必要な範囲でその土地に設備を設置できる。

    これを読んで「じゃあ承諾書は要らないんだ」と思った方、気持ちは分かります。私も最初に条文を読んだときはそう思いました。ただ、この権利には条件があります。事前に通知すること、相手の損害が一番小さい方法を選ぶこと、損害が出たらお金で償うこと。「いつでも自由に掘れる」わけではなく、「もめたときに主張できる根拠がある」というものなんです。

    そして、買主にお金を貸す金融機関は、もめる可能性がある物件を担保として高く見ません。だから今も、多くの金融機関が「通行と掘削の承諾書はありますか」と聞いてきます。私の現場の実感とも、不動産業界向けの解説(LIFULL HOME'S Business)の整理とも一致します。

    ひとことで言えば、「権利は明文化された。でも実務はまだ承諾書」。条文の細かい解釈は、弁護士さんの領域なので私は踏み込みません。

    ▶ 承諾書なしで契約すると、どこで止まるか

    流れを追ってみましょう。承諾書がないまま売り出す。買主が見つかって契約する。買主が住宅ローンを申し込む。金融機関が「私道の承諾書を出してください」と言う。ない。ローンが通らない。ローン特約(ローンが通らなければ契約を白紙に戻せる約束)で、契約が消える。

    売主様からすると、契約までいったのに振り出しに戻る。しかも「ローンが通らなかった家」として次の買主にも説明が要る。ここが一番つらいところです。ローン特約の仕組みそのものは、こちらの記事で書いています → 不動産売却を大阪府で成功させるローン特約の白紙解除回避術

    ▶ 水道局の扱いは、市内と市外で違うかもしれない

    もう1つ、地元で仕事をしているからこそ気になっていることがあります。大阪市の外で、家庭までの水道事業を直接運営している市町村がある大阪広域水道企業団は、2023年4月1日から扱いを変えました。給水装置工事(家に水道を引く工事)の申込みに伴う、私道・私有地の掘削承諾書の提出義務を原則廃止したんです。ただし「必要と判断した場合は提出を求めることがある」という但し書きは残っています。

    一方で、大阪市水道局の今の扱いは、届出書類の一覧を確認した範囲では承諾書の記載が見当たらず、正確なところは確認できていません。同じ「大阪」でも、市内と市外で水道局の求めるものが違う可能性があります。大阪市内の家なら、担当者に大阪市水道局の今の運用を確認してもらってください。

    では、自分の家が4パターンのどれなのかを、どうやって確かめるのか。次の章から、手を動かす話に入ります。

    第3章:売り出す前に見る3枚——登記事項証明書・公図・道路判定で「自分の家の4パターン」を決める

    第3章:売り出す前に見る3枚——登記事項証明書・公図・道路判定で「自分の家の4パターン」を決める

    この章は、いよいよ手を動かす章です。3枚の書類をどこで取って、どこを見るか。読み終えたら、第1章の4パターン表に自分で印を付けられるようになります。

    私は資料作りも現地の確認も自分でやっているので、はっきり言えます。「私道ですか、ちょっと難しいですね」で終わる担当者は、この3枚を見ずに言っている可能性が高いです。査定の場で「この3枚を並べてもらえますか」と頼んでみてください。担当者の答え方で、どこまで見てくれる人かが分かります。

    ▶ 1枚目:土地の登記事項証明書——「家の地番」と「道の地番」の2通を取る

    登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)は、その土地が誰のもので、どんな権利が付いているかを法務局が証明する書類です。昔の言い方だと「登記簿謄本」ですね。

    ポイントは、家の敷地の分だけでなく、「道の地番」の分も取ること。地番(ちばん)とは、土地1筆ごとに付いている番号で、住所とは別物です。道にも地番が付いていることが多く、その道の証明書を取ると3つのことが分かります。所有者欄に誰の名前があるか、何人で共有しているか、持分の割合はいくつか。

    見るところは、道の証明書の「権利部(甲区)」。ここに自分(または亡くなった親)の名前があれば「持分あり」、なければ「持分なし」です。Aさんの実家は、ここに父の名前がなかったわけですね。

    登記事項証明書は法務局の窓口でも、オンライン請求でも取れます。手数料は法務局のサイトで確認してください。平日は仕事で動けない方でも、オンラインなら夜に手続きができます。

    ▶ 2枚目:公図——道に地番が振られているか、何筆に分かれているかを見る

    公図(こうず)は、土地の形と地番の並びを示した法務局の図面です。これも法務局で取れます。

    公図で見るのは3つ。①家の前の道に地番が振られているか。②その道が1筆なのか、複数の筆に分かれているか。③分かれているなら、それぞれの地番は何番か。

    行き止まりの分譲地でよくあるのが、道が6筆に切られていて、各家の前の部分をその家が持っている形です。この場合「うちの前は持分あり、隣の前は持分なし」が起きます。通り抜けには全部の筆を通るので、公図で地番を1つずつ追って、それぞれの登記事項証明書を取る必要が出てきます。

    公図で地番を拾い、登記事項証明書に戻る。この往復で「誰に頼むのか」が見えてきます。

    ▶ 3枚目:道路に関する資料——公開地図で確認し、不明なら市へ相談する

    3枚目は、道路参考図や市への確認結果など、道路種別を確認する資料です。まず「マップナビおおさか」で家の前の道を調べます。ただし、公開地図は参考図で、正確な幅や境界、建築できることを証明するものではありません。ここでいう「3枚」は3種類の資料という意味で、地番の数などによって実際の枚数は増えます。

    未判定の道や表示が不明な道は、大阪市役所3階の計画調整局建築指導部建築企画課(道路判定)へ相談します。判定に必要な資料の提出を求められる場合があり、窓口へ行けばその場で必ず判定が終わるわけではありません。道路種別については電話・FAX・メールでは回答していないため、公開地図で分からない点を整理して窓口へ持っていく順番です。確認先:大阪市「建築基準法上の道路種別と道路判定等」

    なぜこれが要るのか。42条1項5号(位置指定道路)でも、接道条件などの確認が必要です。42条2項道路では、原則として中心線から2mの位置までセットバック(後退)が必要になりますが、向かい側が崖や川などの場合は扱いが異なります。42条の道路に接していない場合は原則として建築が制限され、43条2項の認定・許可の対象になるかも個別の確認事項です。道路種別と敷地の条件を合わせ、市や建築士に確認しましょう。所有者の承諾書だけで建築上の条件が変わるわけではありません。再建築不可のときの売り方は、こちらの記事で書いています → 不動産売却で損しない大阪府再建築不可物件の高値売却術

    ▶ 3枚合わせ判定表——「何の承諾を、誰に頼むか」が決まる

    3枚が揃ったら、こう掛け合わせます。

    道の3枚合わせ判定表。縦軸に「持分あり/なし」、横軸に「道路判定の結果(42条道路/該当なし)」を置き、4つのマスに「確認する承諾の種類」と「建て替え条件の確認事項」を書き込んだ表
    建築基準法上の道路に当たる当たらない(通路扱い)
    持分あり掘削の承諾を他の共有者に確認。建て替えは接道条件・後退などを別途確認掘削の承諾+建て替えの制約を買主に開示
    持分なし通行+掘削の承諾を所有者に頼む。建て替えは接道条件などを別途確認通行+掘削の承諾+建て替えの制約を開示。買主の層が絞られる

    この表で、「掘削の承諾」を確認するか「通行+掘削の承諾」を確認するか、そして「誰に」頼むのかが決まります。承諾書には「何について」を正しく書く必要があるので、ここで決めておくと後で効いてきます。

    境界や測量の話も、私道の家では一緒に出てきやすいです。そちらはこちらで書いています → 境界確認 不動産売却で大阪府の境界ポイント確認が売却成功のカギとなる理由とトラブル防止策 / 測量 不動産売却で大阪府物件の現況測量と確定測量を使い分けてトラブル回避する具体策

    3枚で「何を、誰に」が決まりました。次は「いつ」。ここが今回の核心なので、次の章でじっくり見ていきましょう。

    第4章:承諾書を取る時期を、売り出し日・契約日・引渡し日のどこに置くか

    第4章:承諾書を取る時期を、売り出し日・契約日・引渡し日のどこに置くか

    この章では、承諾書を取るタイミングを「3つの置き場」に分けて比べます。読み終えたら、急ぎ度と隣家との関係からどこに置くかを選び、年内引渡しなら何月に何をするかを逆算できます。

    「承諾書が要ります」と言われても、「いつまでに」は教えてもらえなかった方が多いんです。実は置き場は3つあって、どれが正解というものではありません。

    承諾書の3つの置き場。売り出し日・契約日・引渡し日の3つの日付を横軸に置き、承諾書を「売り出し前」「契約前」「決済前」のどこに置くかを矢印で示した図。それぞれの下に「買主の付きやすさ」「開示の文言」「取れなかったときの行き先」を添える

    ▶ 置き場①:売り出し前に取る

    一番きれいな形です。承諾書を揃えてから売り出すので、買主は「承諾書あり」の物件として見られ、金融機関にもそのまま出せます。価格交渉で承諾書の有無を材料にされることもありません。

    弱点は時間です。隣家に事情を説明して、書式を見てもらって、ハンコをもらう。6軒あって1軒は代替わりして誰か分からない、となると、私の経験では1〜2か月は見ておいたほうがいいです。年内引渡しなら、ここで2か月使うと後ろが苦しくなります。

    ▶ 置き場②:契約前に取る(売り出しと並行)

    私が一番多く使う形です。承諾のお願いを進めながら、同時に売り出す。物件資料と告知書(売主が物件の状態を買主に知らせる書類)に、「前面私道の通行・掘削承諾書は現在取得中です」と正直に書いておく。買付(購入の申込み)が入ったら、契約日までに揃える。

    いいところは、時間を二重に使えることと、買主に「隠していない」と最初から分かってもらえること。「取得中」と書いてあれば、買主側の不動産会社も金融機関に事前相談ができます。

    私たちは告知書を売主様と一緒にできるだけ細かく書く方針なので、この「まだない事実を先に見せて売る」やり方は、私たちの売り方そのものです。告知書の書き方は note にまとめています → https://note.com/heroes_property/n/ne9b981d8b0f5

    ▶ 置き場③:決済前に取る(停止条件付き契約)

    承諾書の取得を「停止条件」にして契約する方法があります。停止条件は、決めた条件が成就したときに契約の効力を生じさせる仕組みです。取得期限、必要な承諾書の内容、期限までに取れなかった場合の扱い、受領済みの金銭や費用の精算を、契約条項に具体的に定めます。取れなければ自動的に白紙・違約責任なし、とは限りません。 当事者が取得を妨げた場合なども含め、責任の有無は条項と事情によります。担当者と法律専門家に確認したうえで使う方法です。

    ただ、正直に言うと、私が最初から勧める形ではありません。第2章で書いたとおり、ローンを使う買主は金融機関から承諾書を求められるので、承諾書が届く見込みが立っていないと審査が前に進みにくい。私の経験では、現金で買う方か、承諾のめどが立っている場合に限られる形です。買主が付きにくくなること、契約書の作り込みが要ることも知っておいてください。この条件を入れるかどうかは、担当者と司法書士さん・弁護士さんに相談してから決めるものです。

    ▶ 開示が遅いほど、値引きの材料になる

    もう1つ。承諾書がないという事実は、いつか買主に伝わります。伝わるのが早いほど「そういう物件ですね」で済む。遅いほど「聞いてなかった」となって、値引きの材料になりやすい。これが20年見てきた実感です。

    だから、置き場①〜③のどれを選んでも、「承諾書がまだない」ことは売り出しの時点で書いておく。ここは共通です。

    ▶ 年内引渡しの逆算例

    Aさんのように「年内に引渡しを終えて妹と分けたい」なら、私ならこう組みます。あくまで一例で、相手次第で前後します。

    時期やること
    9月下旬登記事項証明書(家と道)・公図をオンライン請求。公開地図で道路種別を確認し、未判定・不明なら市へ相談・資料提出
    10月上旬隣家へ承諾のお願いを始める(置き場②なら同時に売り出し準備)
    10月中売り出し。資料に「承諾書は取得中」と開示
    11月買付→承諾書を揃えて契約
    12月決済・引渡し
    年内引渡しの逆算カレンダー。9月から12月までを1本の線にして、「3枚を揃える」「承諾のお願い開始」「売り出し(取得中と開示)」「買付→承諾書→契約」「決済・引渡し」の5つを打った簡単なカレンダー

    この逆算例では、9月中に3種類の資料を揃える想定です。未判定の道路などで調査に時間がかかれば、日程の見直しも必要になります。逆に言えば、今日登記事項証明書を請求すれば、まだ間に合う可能性がある時期です。

    「いつ」が決まったら、次はいよいよ「どう頼むか」。隣の家に行くのが気まずい…という気持ちを、順番と言い方に変えていきましょう。

    第5章:隣の家に頼む順番と言い方、承諾書に入れる一文——ハンコ代は義務ではない

    第5章:隣の家に頼む順番と言い方、承諾書に入れる一文——ハンコ代は義務ではない

    この章では、隣家に頼む順番と言い方、承諾書に入れる一文、「ハンコ代」の考え方を話します。読み終えたら、「気まずい」が「この順番でやればいい」に変わっているはずです。

    「なぜ今さら」と言われたらどうしよう。お金を要求されたら…。この不安で手が止まっている方が本当に多いです。私も同行するとき、チャイムを押す前は少し緊張しますから。

    ▶ 頼む順番の4段

    順番があります。上から順に。

    1段目:登記で相手を確かめる。 第3章の道の登記事項証明書で、所有者の名前と住所を確認します。表札の名前と登記の名前が違うことは珍しくありません。代替わりしていたり、住んでいる人が借りている人だったり。「隣の田中さん」に頼んだのに、道の名義はお父さんのままで、実は相続人が3人いた…ということもあります。まず相手を間違えないこと。

    2段目:関係の良い家から。 6軒に一斉に行かなくていいです。親が親しくしていた家から始めます。1軒目が「いいよ」と言ってくれると、2軒目以降は「〇〇さんも押してくれました」と言えるので、ぐっと楽になります。

    3段目:「これからも道を一緒に使う人同士の話」として伝える。 ここが言い方のコツです。「売るので承諾書をください」ではなく、こう伝えます。「次に住む方も、今までと同じようにこの道を通って、水道管が古くなったら直せるようにしておきたいんです」。相手からすると、知らない人が越してきて道でもめるのは一番嫌なことです。だから「先にきちんとしておきたい」という話は通じやすい。

    4段目:売主様一人で行かせない。担当者が同行する。 私は、承諾のお願いに一緒に伺います。資料作りも内覧の立ち会いも自分でやっているので、その延長です。ただ、正直に言っておくと、「承諾を取ります」とはお約束できません。承諾するかどうかは相手が決めることですし、相手は買主がこれから道を一緒に使っていく人です。私ができるのは、書式を用意して、何のための承諾かを相手に説明して、売主様の隣に立つこと。それでも、一人で行くのと隣に誰かがいるのとでは、玄関先の空気がだいぶ違います。

    ▶ 承諾書に入れる一文:「譲渡後も効力を有する」

    承諾書の中身で、これだけは外さないでほしい一文があります。「本承諾は、対象土地が第三者に譲渡された後も効力を有する」という趣旨の条項(承継条項)です。

    なぜかというと、承諾書は基本的に「承諾した人」と「承諾された人」の間の約束だからです。あとから家を買った人には、自動的には引き継がれません。不動産流通推進センターの解説でも、この点から「譲渡後も効力を有する」包括承諾の形が勧められています。「一代限り」の承諾書だと、買主がまた取り直すことになり、金融機関からも同じ質問が来ます。

    ですから、承諾書は「今の売主様」だけでなく「その承継人(次に持つ人)」まで含めた包括承諾の形にする。書式は私も用意しますが、最終的な文言の確認は司法書士さんに委ねています。

    ▶ ハンコ代は法的な義務ではない

    「ハンコ代」というのは、承諾書に押印してもらうお礼としてお金を渡す慣習のことです。まず知っておいてほしいのは、払う法的な義務はないということ。逆に、高額なハンコ代を要求して承諾を拒むことが権利の濫用(らんよう)だと判断された判例もあります(RETIO・不動産適正取引推進機構の判例解説)。

    じゃあいくらが普通なのか。正直に言うと、関西の相場は私も数字として確認できていません。東京の不動産会社が自社サイトで出している目安として、通行のみ0〜3万円、通行+掘削で3〜10万円、という一例があります。あくまで東京の一例で、大阪の下町で同じとは限りません。

    私の考え方はこうです。「払わない」と突っぱねて関係を壊すより、払うなら承継条項と引き換えに。「次の方にも引き継げる形で承諾をいただけるなら、お礼をさせてください」という順番なら、お互いに納得しやすいです。金額は担当者と相談して、相手に失礼のない範囲で決めてください。

    順番と言い方が分かれば、チャイムは押せます。でも、その玄関に誰もいなかったら? 次の章で話します。

    第6章:承諾をもらう相手がいないとき、取れないまま売るとき——専門家に渡す前に調べておく3つ

    第6章:承諾をもらう相手がいないとき、取れないまま売るとき——専門家に渡す前に調べておく3つ

    この章では、道の所有者が亡くなっていた、施設に入っていた、そもそも誰か分からない、というときに何をするかを話します。読み終えたら、専門家に相談する前に自分で調べておく3つと、承諾書が取れないまま売る道が何通りあるかが分かります。

    Aさんの実家の6軒のうち1軒は、代替わりして誰が住んでいるか分からない。こういうケース、大阪市の下町では本当に増えています。「もう無理や」と諦める前にできることがあります。

    ▶ 専門家に渡す前に調べておく3つ

    弁護士さんや司法書士さんに相談するにしても、手ぶらで行くと「まず登記を取ってきてください」で1回目が終わります。次の3つは自分で調べられます。

    1つ目:道の地番の登記事項証明書で、最後の所有者と住所を見る。 第3章の1枚目です。所有者欄に書かれた名前と住所が、そのまま「最後に登記した人」と「その当時の住所」。亡くなっている方なら、そこから相続人を探す出発点になります。

    2つ目:相続人がいそうかを近所で聞く。 「あの家、息子さんが東大阪におるって聞いたことある」くらいの情報で十分です。関係の良い隣家(第5章の2段目)に聞くと、意外と分かります。

    3つ目:共有者の人数を数える。 道が10人で共有されていて、そのうち1人が分からない。道が1人の名義で、その1人が分からない。この2つでは、取れる手が違います。公図と登記事項証明書で、道の所有者が全部で何人かを数えておいてください。

    この3つを持って専門家に行くと、話が進みます。所有者が分からない土地には裁判所を通じた管理の制度もありますが、そこから先は弁護士さん・司法書士さんの領域です。

    ▶ 承諾書が取れないまま売る道は、1本ではない

    ここが、私が一番伝えたいところかもしれません。承諾書が取れない=買取しかない、ではないです。私が並べられる道は3つあります。

    道①:事実を告知書に書いて、仲介で売る。 「前面私道の掘削承諾書は、所有者の一部が不明のため取得できていません」と正直に書く。そのうえで、現金で買う方や、その条件で審査が通る金融機関を使える方に絞って売り出す。買主の層は狭くなりますが、下町の戸建てを現金で買って自分で直したい、という方は実際にいらっしゃいます。

    道②:改正民法の設備設置権を根拠に、買主側が工事を進める前提で売る。 第2章で書いた「権利は明文化された」を使う道です。承諾書がなくても、要件を満たせば買主が水道管の工事を進められる可能性がある。ただし、これは弁護士さんに個別に確認してもらってから、買主にも同じ説明をしたうえで進めるものです。私の判断だけで「大丈夫です」とは言いません。

    道③:売主様のためになる場合は、高く買ってくれる買取業者を探す。 私たちは自分で買い取ることはしません。だから「取れないなら当社が買います」という誘導をする動機が、そもそもないんです。そのうえで、年内にどうしても現金化したい、承諾のお願いを続ける時間がない、という売主様には、複数の買取業者に当たって一番高いところを探します。仲介と買取の違いは、こちらで書いています → 不動産売却で大阪府に最適な仲介と買取の違いと選び方徹底比較

    この3つをどれかに誘導せずに並べて、売主様の事情に合うものを一緒に選ぶ。売却だけをやっている会社だから、それができると思っています。

    最後に、今日からやることを3段に分けてまとめますね。

    第7章:まとめ+次のアクション

    第7章:まとめ+次のアクション

    この章は、記事を閉じた直後に動けるように、やることを「今日」「1週間以内」「相談したくなったら」の3段にまとめます。

    ▶ この記事のまとめ

    ・承諾書は「通る」「掘る」の話。「建て替える」は道路種別に加え、接道条件・後退なども確認する

    ・自分の家の4パターンは、3種類の資料(登記事項証明書・公図・道路種別の確認資料)で自分で確かめられる

    ・権利は明文化、実務はまだ承諾書。「承諾書は要らない」は危ない

    ・置き場は「売り出し前・契約前・決済前」。どれでも「まだない」事実は売り出し時に開示する

    ・頼む順番は4段。承諾書には「譲渡後も効力を有する」の一文。ハンコ代は義務ではなく、払うなら承継条項と引き換え

    ・取れなくても道は3本。買取に流されない

    ▶ 今日できること

    登記事項証明書と公図を、自宅の地番と「道の地番」の両方でオンライン請求する。これだけです。法務局のオンライン申請なら夜でも申し込めます。道の地番が分からなければ、まず自宅の公図を取って、そこから道の地番を拾えばOKです。

    ▶ 1週間以内にすること

    ・まずマップナビおおさかで道路種別を確認する。未判定・不明なら大阪市役所3階の担当窓口へ相談し、必要な資料を揃える

    ・揃った3種類の資料を並べて、第1章の4パターン表と第3章の判定表に印を付ける

    ・承諾書の置き場(売り出し前/契約前/決済前)を、家族と決める。年内引渡しが目標かどうかで変わります

    ・隣家の誰から頼むかを決める。1軒目は「関係の良い家」

    ▶ 相談したくなったら

    ここまでを自分でやってみて、止まるところが出てきたら。「公図は取れたけど、道の地番がどれか分からない」「登記に知らない名前が出てきた」。そこで止まったら、公図の写真1枚からでも構いませんので、公式LINEに送ってください。私が見て、次の一手をお返しします。

    公式LINE(友だち追加):公式LINEで相談する

    サイト(https://heroes-property.jp)やメール(info@heroes-property.co.jp)でも構いませんが、写真を送るならLINEが早いです。

    姉妹記事として、建物側の「3枚」を書いた記事もあります。未登記の増築がある戸建ての話ですが、「3枚を揃えてローンを止めない」という考え方は同じです → 未登記の増築がある大阪市の戸建てを売る|売り出し前に見比べる3枚
    きょうだいで相続した実家を売るときの、家族の合意の取り方はこちら → きょうだいで相続した大阪市の実家、「全員の同意」の前に揃える4つの材料

    おわりに

    長い記事を最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

    「家の前の道が私道だった」と分かった夜は、誰でも少し暗い気持ちになります。その表情を、私は何度も見てきました。でも、3枚を揃えて、置き場を決めて、順番どおりに動いた方は、ちゃんと次に進んでいます。

    隣の家に頭を下げるのは、たしかに気が重い。だからこそ、一人で行かなくていい。順番と言い方があって、隣に立つ人がいる。それだけで、玄関のチャイムはだいぶ押しやすくなるはずです。

    今日は、登記事項証明書の請求だけで十分です。それが、あなたの家を「止まる家」から「進む家」に変える最初の1枚になります。

    株式会社ヒーローズプロパティ 紙谷 一徳

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    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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