株式会社ヒーローズプロパティ

修繕積立金の値上げが決まった大阪市のマンション|大規模修繕の前に売るか後に売るか、先に取り寄せる3枚

  • #
お問い合わせはこちら

修繕積立金の値上げが決まった大阪市のマンション|大規模修繕の前に売るか後に売るか、先に取り寄せる3枚

修繕積立金の値上げが決まった大阪市のマンション|大規模修繕の前に売るか後に売るか、先に取り寄せる3枚

2026/09/20

修繕積立金の値上げが決まった大阪市のマンション|大規模修繕の前に売るか後に売るか、先に取り寄せる3枚

総会で修繕積立金の値上げが決まった。おまけに一時金まで。議案書を引き出しにしまったまま、「売るなら修繕の前?それとも工事が終わってから?」で家族の話が止まっていませんか。ネットで調べても「値上げ前に今すぐ買取を」と「修繕積立金とは」ばかりで、自分の棟の答えは出てこない…。

私は、大阪市でマンションの売却だけを専門にしている、ヒーローズプロパティの紙谷です。お話しするのは3つ。売却日を「修繕前・工事中・修繕後」のどこに置くかを自分の数字で決める方法。売り出し前に管理会社から取り寄せておく3枚の書類。そして、その3枚を買主さんへ見せる順番です。読み終わるころには、議案書を出して1つの数字を書くところから動けるはずです。

株式会社ヒーローズプロパティ

株式会社ヒーローズプロパティ

一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

〒532-0003
大阪府大阪市淀川区宮原4丁目4−64
新大阪千代田ビル9階C号室

06-6842-7377

目次

    第1章:「値上げが決まった」は隠せない——議案書から重要事項調査報告書に載るまで

    第1章:「値上げが決まった」は隠せない——議案書から重要事項調査報告書に載るまで

    この章では、「値上げを買主に言ったら安くなるんじゃないか」という一番の不安を、「どの書類に、いつ載るのか」という事実に置き換えていきます。ここが片付くと、悩みの種類が変わります。

    ▶ 日曜の夜、議案書を出したAさん

    一例として、Aさん(56歳)の話をさせてください。淀川区の御堂筋線の駅から歩いて10分弱、1998年分譲・総戸数60戸ほどの9階建てにお住まいです。金額も含めて、すべて想定の一例です。

    今年6月の総会で、2つの議案が可決されました。1つは、修繕積立金を月12,000円から18,000円に上げる議案。もう1つは、3回目の大規模修繕(給排水管とエレベーターの更新、2028年春に着工)に向けて、一時金を1戸50万円、2027年秋に徴収する議案です。定年後は奥さんの実家に近い奈良へ住み替えたい。でも「修繕の前か後か」で夫婦の話が毎回止まる。

    日曜の夕食後、奥さんに「あの一時金、いつ払うんやったっけ」と聞かれて議案書を出す。「一時金50万円 2027年秋」の文字を見てスマホを開く。管理会社に電話したときは「重要事項調査報告書に記載されますので」で終わった。そして一番怖いのは、「値上げのことを買主に言ったら、値段が下がるんちゃうか」ということ。…これ、私が売主様からよく聞く順番そのままなんです。

    ▶ 可決された値上げは、買主が契約前に必ず見る書類に載る

    先に結論から。可決された値上げも一時金も、隠す・隠さないの選択肢はそもそもありません。

    マンションを売るとき、契約の前に「重要事項調査報告書」という書類が買主さんに渡ります。管理会社が発行するもので、管理費・修繕積立金の今の額、値上げの予定、滞納の有無、これまでの修繕の履歴、長期修繕計画の中身などをまとめた書類です。私たちの場合、この書類を管理会社から取り寄せるのは売主側の私。媒介契約を結んだらすぐに1通目を取り、買主さんが決まれば契約日の前にもう一度、最新のものを取り直します。可決された値上げと一時金は、この書類に載ります。売主のあなたが黙っていても、買主さんは契約の前に知ることになるわけです。

    もう一歩先の話をすると、私たちは金額が決まっている値上げや一時金を、売り出しの段階で物件資料(買主さんや買主側の会社が最初に見る販売図面)に書きます。「2027年4月から月額18,000円に変更」「2027年秋に一時金1戸50万円」という書き方です。隠さないどころか、最初から書いてある状態で売り出すんです。

    だから、悩むべきところは「言うか、言わないか」ではないんですね。悩むのは「いつ・どの書類で・どの順番で見せるか」。ここに気づくだけで、議案書を引き出しにしまう理由がなくなります。

    ▶ 後から分かった契約は、壊れやすい

    20年この仕事をしてきて、はっきり言えることがあります。値上げや一時金が「あとから分かった」契約は壊れやすく、「先に見せた」契約はほとんど壊れない、ということです。

    買主さんの立場で想像してみてください。気に入った部屋に申込みを入れて、ローンの審査も通った。その契約の直前に「実は来年から積立金が月6,000円上がって、再来年に一時金50万円があります」と知らされる。金額そのものより、「なんで先に言ってくれへんかったんや」という気持ちのほうが大きくなります。ここで値引きの話が始まるか、白紙に戻るか。この場面でうまくいった例を、私は正直ほとんど見ていません。

    逆に、物件資料に「次の工事はいつで、一時金がいくら」と最初から書いてあり、検討の段階で重要事項調査報告書も渡してあると、買主さんはそれを織り込んだうえで検討します。あとから出てくる話がないので、価格交渉も穏やかで、契約後にひっくり返ることもまずない。値上げが決まった棟の売却で一番大事なのは、実はこの順番なんです。

    もう1つ。中古マンションでは、売主が引渡し後の不具合の責任を負わない「免責」の特約を付けて売ることが多いです。ただし、売主が知っていて告知書(物件状況報告書。売主が知っている物件の状態を書く書類)に書かなかった事項には、この免責が効きません。「知っていたのに書いていない」は一番まずい形なんです。告知書と付帯設備表の書き方はこちらの note で → 契約の前に売主が書く2枚。告知書と付帯設備表は「不明」と書いていい

    ▶ 「うちの棟だけ」ではありません

    ここで少しだけ、大阪市全体の話を。大阪市の計画資料(令和2年末時点)では、分譲マンションは約35万3千戸で、そのうち築30年以上が約4割を占めていました。大阪市では、高経年の棟の管理や修繕が大きな課題になっています。そして国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、回答したマンションの36.6%で、計画上の額に対して修繕積立金が不足していました。

    さらに、修繕積立金の目安を示す国のガイドラインが2024年6月7日に改定され、長期修繕計画は5年程度ごとに見直すのが目安とされています。この時期に値上げの議案が回ってくるのは、あなたの棟に特別な問題があるからではありません。大阪市の多くの棟が同じ議題を抱えている、というのが実際のところです。

    「隠せない」「うちだけじゃない」。この2つが腹に落ちたら、次は「じゃあ、いつ売るのか」。修繕の前と後、実は選択肢はもう1つあります。次の章で表にして見ていきましょう。

    第2章:売却日の置き場は3つ——修繕前・工事中・修繕後で何が変わるか

    第2章:売却日の置き場は3つ——修繕前・工事中・修繕後で何が変わるか

    「前か後か」の二択を、ここで「修繕前・工事中・修繕後」の三択に広げます。それぞれであなたが負うお金と、買主さんから見える景色がどう変わるかを1枚の表にしました。どれが正解、という話ではなく、自分がどれに近いかを見つける章です。

    ▶ 決済日をどこに置くか、という考え方

    「いつ売るか」は、正確に言うと「決済日(お金を受け取って鍵を渡す日)をどこに置くか」です。一時金は、徴収日と決済日の前後だけで負担者が決まるとは限りません。管理規約・総会決議で誰に支払義務があるかを確認し、売主・買主のどちらが負担するかを売買契約でも明記します。徴収日前に引き渡し、買主負担と整理できれば、売主の支出を抑えられます。値上げ後の月額を払う期間も、決済日までで終わります。

    なので、見る日付は2つだけ。「次の大規模修繕の時期」と「一時金の徴収日」。この2つの前・最中・後で、3つの置き場ができます。

    売却日の3つの置き場。横に「修繕前に売る」「工事中に売る」「修繕後に売る」、縦に「売主が負う一時金・値上げ後の月額」「買主に見えるもの」「内覧の印象」「向いている人」を並べた3列の比較表。上部に「次の大規模修繕の時期」と「一時金の徴収日」の2つの日付を置いた帯がある
    修繕前に売る工事中に売る修繕後に売る
    売主が負う一時金・値上げ後の月額値上げ後から決済までの月額差。一時金の負担は規約・決議・売買契約で確認一時金の負担は規約・決議・売買契約で確認。月額差は決済日まで決済までの月額差と、売主負担となる一時金を見込む
    買主に見えるもの「これから工事がある棟」。一時金と値上げが物件資料と重要事項調査報告書に載る足場とシートに覆われた外観。「工事中の棟」「工事が終わったばかりの棟」。今回分の支払状況と、将来の計画を確認
    内覧の印象普段どおり。次回工事の説明が要る外観・バルコニーからの眺め・日当たりが見せにくい。反響が下がりやすい傾向外壁・共用部がきれい。説明がしやすい
    向いている人住み替え先の時期が決まっている人。手元のお金を工事に回したくない人事情があってその時期に売らざるを得ない人(第5章で対策を書きます)住み替えを急がない人。工事後の見た目で勝負したい人

    ▶ 修繕前に売る

    一時金の徴収日より前に決済まで終え、規約・決議と売買契約で買主負担と整理できれば、売主が一時金を負担せずに済む場合があります。値上げ後の月額も、決済日までの分だけです。手元のお金を工事に回さずに済むぶん、住み替えの頭金に回せる。これが修繕前のいちばんの利点です。

    そのかわり、買主さんからは「これから工事がある棟」に見え、一時金と値上げを織り込んで価格を考えます。「安く見られるのでは」と感じるかもしれません。でも、先に見せていれば話は穏やかに進むことが多いです。

    ▶ 工事中に売る

    正直に言うと、3つの中で一番売りにくい時期です。外壁の工事中は建物全体が足場とシートに覆われ、バルコニーからの眺めも日当たりも見せられません。売り出して1か月経っても内覧が入らない、というご相談は工事中の棟から来やすい、というのが私の感覚です。反響が伸びないときの見直し方はこちらの記事にまとめています → 不動産売却で大阪府の物件が1ヶ月内覧ゼロの原因と解決策を徹底分析

    ただ、事情があってこの時期に売る方もいらっしゃいます。「工事中は売れない」ではなく「工事中なりの見せ方がある」ので、その方法は第5章で書きます。

    ▶ 修繕後に売る

    外壁も共用部もきれいになった状態で売り出せます。「工事が終わった棟」というのは内覧で説明しやすいですし、今回の一時金が支払い済みなら、その点も説明できます。ただし、将来の工事に向けた追加負担がないとは限らないので、最新の長期修繕計画も確かめます。買主さんにとって分かりやすい状態です。

    そのかわり、決済までの値上げ後の月額差と、規約・決議・売買契約に照らして売主負担となる一時金を見込む必要があります。大規模修繕の工事費は、国土交通省の調査(令和3年度)では1戸あたり「100〜125万円」の帯がいちばん多いという結果でした。平均で見ると、1回目が約152万円、3回目以上でも約106万円。これは工事費を戸数で割った金額で、各戸への追加請求額ではありません。既存の積立金で賄える部分もあり、一時金や値上げが必要かどうかは、その棟の資金計画によります。

    「修繕後は高く売れる」という言い方をよく見かけますが、私の実感では、修繕の前と後で査定額そのものは基本的に変わりません。値上げや一時金は「決まった段階」で分かることなので、修繕前の査定にも修繕後の査定にも同じように織り込まれるからです。管理費・修繕積立金が上がっているぶん、買主さんの毎月の負担は大きくなっていますし。ただ、外壁や防水、サッシ周りがきれいになると「売りやすさ」は上がります。売りやすさが上がる=高く売れる可能性が上がる、ということ。上がるのは「査定額」ではなく「可能性」。この区別が、次の章の計算で効いてきます。

    ▶ 私が3つを並べて書ける理由

    ここで1つだけ。私たちは売却だけを専門にしていて、自社で買い取ることはしません。買取業者さんの記事が「値上げ前に売れ」と書くのは早く買いたいから。逆に「修繕が終わるまで待ちましょう」と専任の契約を長く続けたがる会社もあります。私たちにはどちらに寄せる動機もないので、こうして3つを横に並べて書けるんですね。

    さて、表を見て「やっぱり修繕後のほうが得なんちゃう?」と思った方。その感覚を、次の章で数字にしてみましょう。

    第3章:「待つコスト」を3行で数える——月額差 × 値上げ後から決済までの月数 + 売主負担の一時金

    第3章:「待つコスト」を3行で数える——月額差 × 値上げ後から決済までの月数 + 売主負担の一時金

    この章では、「修繕後まで待つべきか」を自分の棟の数字で確かめられるように、「待つコストの3行計算」という私たちのやり方をお渡しします。電卓と議案書があれば5分でできます。

    ▶ 待つ判断が「無料」だと思っている売主様が一番多い

    20年この仕事をしてきて感じるのは、「売る」判断には慎重なのに、「待つ」判断は無料だと思っている売主様がとても多いことです。待っている間も値上げ後の積立金は毎月引き落とされ、一時金の徴収日はやってきます。それを払ったうえで、修繕後に本当にその分を取り返せるのか。ここを数字にしないまま決めてしまうのは、少しもったいないと思うんです。

    待つコストの3行計算。月額差に値上げ後から決済までの全月数を掛け、確認した売主負担の一時金を加える。6か月分の例は36,000円と500,000円の合計536,000円で、修繕完了まで待つ総額ではない

    ▶ 1行目:値上げ後の月額差 × 値上げ後から決済までの月数

    まず、値上げ前と後の月額の差を出します。Aさんなら 18,000円 − 12,000円 = 6,000円。

    次に、値上げが始まってから決済まで、売主が増額分を負担する全期間の月数を置きます。修繕後を待って売り出すなら、売り出す前に工事完了を待つ期間も含めます。販売期間だけでは足りません。売却は「売り出し〜申込み」「申込み〜契約」「契約〜決済」の3つの時計が順番に動くものです。大阪市18区の一例として3〜6か月くらいを置いておくと、現実に近いことが多いです(時期や物件で変わります)。3つの時計の話はこちらの note に書きました → 家を売るのは何か月?答えは「3つの時計」で決まる

    計算の仕方を示すため、増額分を負担する期間を仮に6か月だけ置くと、6,000円 × 6か月 = 36,000円です。ただし、これは6か月分だけの例。Aさんは2027年4月の値上げ後から、2028年春着工の工事が終わり、決済するまで負担するので、修繕後に売る場合の月数は6か月ではありません。工事の完了予定日と販売期間を合わせて数え直します。期間が長ければ、1行目も大きくなります。

    ▶ 2行目:一時金

    2行目には、規約・総会決議と売買契約を確認して、売主が負担する一時金を入れます。Aさんの一例なら1戸50万円ですが、2027年秋の徴収日前に引き渡すだけで、自動的に負担がなくなるわけではありません。管理組合への支払義務と、売主・買主の間の負担・精算を整理しておくことが大切です。

    売主が一時金50万円を全額負担し、増額分を6か月だけ負担すると仮定すれば、36,000円 + 500,000円 = 536,000円(約54万円)です。これは「6か月分の増額分と一時金」の計算例で、Aさんが2028年の修繕完了まで待つ総額ではありません。実際には、値上げ後から決済までの全月数と、確認した売主負担額に置き換えてください。ここでは増額分と一時金に絞っています。従来分の管理費・修繕積立金、税金やローン利息などの保有費用も含めた手取りは、別に確かめます。

    ▶ 3行目:修繕後の「売りやすさ」で上がる可能性

    ここが一番難しい行です。第2章で書いたとおり、修繕の前と後で査定額そのものは基本的に変わりません。値上げも一時金も、決まった段階で査定に織り込まれるからです。変わるのは「売りやすさ」。外壁・防水・サッシ周りがきれいになった棟は内覧の印象がよく、反響が集まりやすい。その結果として高く売れる可能性が上がる、という順番です。

    だから私はここに「○○万円」と数字を書きません。書けるのは「可能性」までで、棟の立地・築年・市況・同じ棟の売り出し状況で変わるからです。代わりに、査定に来た不動産会社に「修繕の前と後で、査定額と売りやすさはどう変わりますか」と聞いてください。「査定額はほぼ同じです。修繕後のほうが反響は集まりやすいと思います」と分けて答える会社なら、この行を一緒に考えてくれます。「修繕後なら必ず上がります」としか言わない会社の数字は、いったん保留でいいと思います。

    ▶ 判定:1+2 と 3 を比べる

    1行目+2行目は、決まった月額差と確認した一時金負担から計算する支出見込みです。決済が延びれば月数も増えるので、総額まで確定しているわけではありません。3行目は、上がるかもしれない可能性。具体的な支出見込みと、可能性を比べる。待つコストが大きく、住み替えの時期も決まっているなら修繕前が候補。待つコストが小さく、急がないなら修繕後が候補。「候補」と書いたのは、ここに住み替え先の時期や家族の事情が乗ってくるからです。ただ、数字を見てから家族で話すのと、見ずに話すのとでは、話の進み方がまったく違います。

    あなたの棟の数字を入れる欄を置いておきます。議案書を横に、鉛筆で埋めてみてください。

    あなたの棟の数字Aさんの一例
    1行目:値上げ後の月額差 × 値上げ後から決済までの月数___円 × __か月 = ___円6,000円 × 仮に6か月 = 36,000円(6か月分のみ)
    2行目:一時金(規約・決議・契約で確認した売主負担額)___円500,000円
    1+2:待つコスト___円536,000円(約54万円)。修繕完了までの総額ではない
    3行目:修繕後の「売りやすさ」で上がる可能性(数字ではなく ○・△ で)__査定額はほぼ同じ。売りやすさは上がる
    4行目:買取の提示額___円仲介の見込みと同じ表で見比べる

    ▶ 4行目:買取の提示額を並べる

    値上げが決まった棟には、「値上げ前に今すぐ買取を」という広告が刺さりやすい時期です。買取そのものが悪いわけではありません。ただ、買取の提示額は仲介で売れる相場の7〜8割くらいに落ち着くことが多い、というのが私の実感です。しかも「積立金の値上げがあるので」が減額の理由に使われやすい。

    なので、4行目に買取の提示額を書いて、仲介の見込み(1〜3行目の計算)と同じ表で見比べてください。私たちは自社で買い取ることはしません。ただ、売主様が買取をご希望のときや、事情から買取で進めたほうが売主様のためになるときは、高く買ってくれる買取業者を探します。だからこそ、仲介と買取を同じ表に並べてお見せできるんです。仲介と買取の違いはこちらで詳しく → 不動産売却で大阪府に最適な仲介と買取の違いと選び方徹底比較

    売却でかかる費用と手取りの全体像は、こちらの記事で一覧にしています → 不動産売却に必要な費用を大阪府で具体例から徹底シミュレーション

    3行の計算で「いつ売るか」の候補が見えたら、次は「何を用意するか」。売り出しの前に管理会社から取り寄せる3枚の話に移ります。

    第4章:売り出し前に取り寄せる3枚と、買主に先に見せる順番

    第4章:売り出し前に取り寄せる3枚と、買主に先に見せる順番

    売り出し前に揃えておく書類を3枚に絞って、「誰に頼むか」「いつまでに」「買主さんにいつ渡すか」まで決めます。第1章の「先に見せる」を、実際の工程に落とす章です。

    ▶ 「聞かれたら答える」を「先に渡す」に変える

    多くの売却現場では、こうした書類は買主側の不動産会社が契約前に取り寄せ、売主は「聞かれたら答える」立場に置かれます。私たちはこれを逆にしています。売主側の私が媒介契約の直後に取り寄せ、金額が決まっている値上げ・一時金は物件資料に最初から書き、買主側の会社から依頼があれば検討の段階でも渡す。告知書や付帯設備表を売主様と一緒に細かく書くのと同じ延長線上です。

    先に見せる3枚。縦に「① 重要事項調査報告書」「② 直近の総会議事録」「③ 長期修繕計画」、横に「誰に頼む」「いつまでに」「買主にいつ渡す」を並べた表。下に「物件資料に先に書く → 報告書は依頼があれば検討段階でも渡す → 内覧当日に口頭でも伝える(議事録・計画は基本契約時)」の順番を示す帯
    3枚誰に頼むいつまでに買主にいつ渡す
    ① 重要事項調査報告書管理会社に、売主側の不動産会社(私)が依頼。発行に費用と日数がかかり、額と日数は管理会社ごとに違う。媒介契約書がないと発行してくれない管理会社がほとんど媒介契約を結んだらすぐ。買主が決まれば契約日の前に最新分をもう一度買主側の不動産会社から依頼があれば、検討の段階でも(内覧の申込み前でも)渡す
    ② 直近の総会議事録管理組合・管理会社(手元に配られたものがあればそれで足りる)売り出し前に手元に基本は契約のとき。先に見たいというご希望があれば、その前にも。値上げ・一時金が可決された箇所に付箋を
    ③ 長期修繕計画管理組合・管理会社売り出し前に手元に基本は契約のとき(希望があれば先に)。次回工事の時期・内容・一時金の記載箇所を示す

    ▶ 1枚目:重要事項調査報告書

    第1章で出てきた、買主さんが契約前に必ず見る書類です。発行には費用と日数がかかり、その額と日数は管理会社によって違います。そして、媒介契約書がないと発行してくれない管理会社がほとんど。だから取り寄せるのは売主様ご本人ではなく、媒介契約を結んだ売主側の会社——私たちの場合は私です。媒介契約の直後に1通目を取り、買主さんが決まれば契約日の前に最新分をもう一度取ります。売主様にしていただくのは、「管理会社名を教えてください」に答えることくらいです。

    そして、金額が決まっている値上げ・一時金は、この書類の到着を待たずに、売り出しの段階で物件資料に書きます。「2027年4月から月額18,000円に変更」「2027年秋に一時金1戸50万円」。買主さんも買主側の会社も、最初からそれを見て検討に入ります。

    取り寄せた書類は、売主様にもそのまま見ていただきます。買主さんが見るのと同じ書類を自分の目で先に見ておけます。「ここに一時金の記載があるんやな」と確認しておけば、内覧で聞かれても落ち着いて答えられます。

    ▶ 2枚目:直近の総会議事録

    値上げと一時金が「いつ、どんな理由で、どう決まったか」の記録です。買主さんにとっては、「この管理組合はちゃんと話し合って決めている」という安心材料にもなります。手元に配られた議事録があればそれで十分。渡すときは、値上げと一時金の箇所に付箋を貼っておくと親切です。

    ▶ 3枚目:長期修繕計画

    次回工事の時期・内容と、そのお金をどう賄うかが書かれた計画書です。ここで1つ大事なことがあります。計画の中に「一時金を徴収する可能性がある」というような小さな1行が入っていることがあるんですね。今回可決された一時金だけでなく、その先の「可能性」の1行も、隠さずに出す。あとから「計画書に書いてあったやん」となるのが一番もったいないので。

    ついでに1段落だけ。修繕積立金の集め方には2つの方式があります。当初は安く設定して段階的に上げていく「段階増額積立方式」と、最初から一定額を積み立てる「均等積立方式」です。段階増額の棟で値上げの議案が定期的に回ってくるのは、この方式の性質でもあります。買主さんに「なぜ上がるのか」を聞かれたとき、この一言があると説明しやすいです。

    ▶ 見せる順番:物件資料に先に書く、報告書は求められたらすぐ、議事録と計画は契約時

    順番はこうです。まず、金額が決まっている値上げ・一時金は物件資料に最初から書いておく。次に、買主側の不動産会社から重要事項調査報告書の依頼があれば、内覧の申込みがなくても、検討の段階でも渡す。内容を見て内覧をやめる方もいますが、それは「あとで壊れる契約」が1つ減ったということです。内覧当日は、部屋を案内する前に口頭でも先に伝える。「次の工事は2028年の春で、一時金が2027年の秋に1戸50万円です」。総会議事録と長期修繕計画は基本、契約のときにお渡しします(先に見たいというご希望があれば、その前にも)。「あとで」ではなく「先に」。

    私たちの場合、書類の取り寄せから掲載資料づくり、内覧の立ち会いまで私自身が行います。だから、この順番を一人で最初から最後まで守れます。内覧当日に売主様がすること・しないことはこちらの note にまとめました → 内覧の当日、売主は家にいていい?立ち会う私が分ける「する・しない・任せる」

    ここまでは「可決された」方の話でした。でも、読者の中には「まだ総会前」「うちは否決された」「もう工事が始まってる」という方もいるはずです。次の章はその3つの場合を書きます。

    第5章:事情が違う3つの場合——可決前・否決された棟・工事中に売る

    第5章:事情が違う3つの場合——可決前・否決された棟・工事中に売る

    「値上げが可決された」以外の3つの事情——まだ総会前の方、否決された棟の方、工事中に売る方——それぞれで、どこから手を付けるかを書きます。「自分はここ」を見つけてください。諦める必要はありません。

    ▶ 可決前:議案書が届いた時点で不動産会社に見せる

    「議案書は届いたけど、総会はまだ。可決されるか分からないから、今のうちに売ってしまえば言わなくていいのでは」——この考え方は、私はおすすめしません。

    検討段階の値上げや一時金をどこまで伝える法的な義務があるかは、状況で違います。ここは宅地建物取引士や管理会社に確認していただく前提です。ただ、私たちの立場ははっきりしていて、「検討中の事実も、隠さない側から扱う」。議案書が届いた時点で不動産会社に見せて、「議案書に値上げの議案が出ている」ことを買主さんに伝えたうえで進める。買主さんに議案の存在を伝えないまま契約に向かうやり方は、私たちはしません。

    理由は第1章と同じ。可決されてから買主さんが知れば「知ってたやろ」となります。検討中の段階で伝えていれば、「可決されるかもしれない」を織り込んで判断してもらえます。

    ▶ 否決された棟:否決は「管理不全」ではない

    「値上げの議案が否決された。積立不足のまま。こんな棟、売れるんやろか」——こういうご相談もあります。

    まず、否決=管理がダメな棟、ではありません。否決には「値上げ幅が大きすぎた」「説明が足りなかった」「次回に修正案を出す予定」といった背景があるのが普通で、それは議事録に残っています。やることは可決の場合と同じで、否決の事実と、次回議案の予定を議事録で開示する。「否決されました。次の総会で修正案が出る予定です」と、聞かれる前に説明する。

    注意点が1つ。積立不足や否決の事実が、買主さんの住宅ローンの審査に影響することがあります。どう影響するかは金融機関ごとに違い、私からは「影響することがある」としか言えません。だからこそ、買主側に早く伝えて、審査を早めに動かしてもらうことが大事なんです。

    私の感覚では、否決された棟で一番損をしやすいのは「どうせ売れへんやろ」と諦めて売り出しを先延ばしにする方です。待っている間に状況が良くなる保証はありません。管理計画認定制度(管理状態が一定の基準を満たすマンションを自治体が認定する仕組み)や、滞納がある場合の考え方は、別の記事に詳しく書きました。旧耐震の棟について書いた記事です → 不動産売却で築40年超の大阪府大阪市マンションを旧耐震でも高く売る実践ポイント

    ▶ 工事中に売る:写真は着工前、内覧は日中、完了予定日は紙で

    第2章で「一番売りにくい時期」と書きましたが、事情があってこの時期に売る方のために、やれることを3つ。

    1つ目、写真は着工前に撮る。足場が組まれてからでは外観も眺めも撮れません。売却を少しでも考えているなら、着工前に外観・共用部・眺望の写真を撮っておいてください。「これが工事前の眺めです。終わればこう戻ります」と見せられます。

    2つ目、内覧は日中に。シート越しでも昼間なら部屋の明るさは伝わります。夜や雨の日は避けて、いちばん明るい時間帯に案内する。

    3つ目、完了予定日と工事内容を紙で渡す。「いつ終わって、何がきれいになるか」が分かれば、買主さんは「工事中の棟」ではなく「もうすぐ工事が終わる棟」として見てくれます。管理組合から配られる工事の案内をコピーして、3枚と一緒に渡してください。

    私は内覧の立ち会いを自分で行っているので、工事中の棟がどう見えるかを何度も現場で見てきました。工事中だからと投げ出さず、見せ方を整えれば、ちゃんと検討してくれる買主さんはいます。

    自分の事情の置き場が分かったら、最後に残るのは「どの不動産会社に頼むか」。値上げをどう扱う会社なのかは、3つの質問で見えてきます。

    第6章:不動産会社に聞く3つの質問——「値上げをどう扱いますか」

    第6章:不動産会社に聞く3つの質問——「値上げをどう扱いますか」

    この章では、査定に来た不動産会社が「値上げを正直に扱う会社かどうか」を、あなた自身の質問で見分ける方法をお渡しします。難しい知識は要りません。3つ聞いて、答え方を見るだけです。

    ▶ 質問1:「値上げと一時金は、査定にどう反映しましたか」

    査定書に値上げと一時金がまったく反映されていない場合、その査定額は「今の月額のまま」で計算されている可能性があります。高い査定額は嬉しいものですが、反映されていない値上げは、あとで買主さんとの交渉で「値引きの材料」として出てきます。

    いい答えは、「一時金と月額差を織り込んでこの幅で置きました」「修繕の前後で査定額はほぼ同じですが、修繕後のほうが売りやすくはなります」というもの。第3章の3行目を一緒に考えてくれる会社かどうかも、ここで分かります。

    ▶ 質問2:「3枚を、買主にいつ渡しますか」

    第4章の3枚——重要事項調査報告書・総会議事録・長期修繕計画——を、いつ買主側に渡す方針なのかを聞いてください。

    「聞かれたらお出しします」という答えは、正直に言うと少し心配です。聞かれるまで出さない進め方は、第1章で書いたとおり、契約の直前で話が壊れやすい。「決まっている値上げは物件資料に書きます」「報告書は媒介契約後すぐ取り寄せて、求められたら検討段階でもお渡しします」という答えが返ってくる会社は、値上げの扱いに慣れている会社だと思います。

    ▶ 質問3:「買取を勧めるなら、仲介の見込みも並べてもらえますか」

    値上げが決まった棟には、「買取のほうが早くて確実ですよ」という提案が来やすいです。買取が向いている事情もあるので、提案そのものは否定しません。ただ、「仲介ならいくらで、何か月くらいか」を並べて見せられない会社には少し注意が要ります。買取に流したほうが会社に都合がいい、という動機がある可能性があるからです。買取保証の落とし穴については、こちらで詳しく書きました → 不動産売却で大阪府の買取保証は危険か見抜く安全な判断ポイント

    ▶ ついでに聞いておきたい、あの一言

    そしてもう1つ、いつもの質問。「囲い込みはしないですか?」

    囲い込み(売却を任された物件を自社で抱え込み、他社からの購入希望を通さない行為)は、売主様の利益を後回しにする会社かどうかを見る一番の物差しです。私たちは囲い込みをしません。見抜き方はこちら → 不動産売却で大阪府の囲い込みを見抜く業界タブーと高値売却の実践ポイント /レインズ(不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組み)への登録を自分で確かめる方法はこちら → 不動産売却時のレインズ登録は自分で確認できる?透明性と確認手順を詳しく解説

    「どうやって売りますか」と聞いたときの答え方で何が分かるかは、この note にまとめています → 「どうやって売りますか?」の答えで分かる3つのこと。会社を決める前に聞く質問

    ▶ 答え合わせは、押しつけません

    3つの質問に対する私たちの答えは、ここまで読んでくださった方にはもう分かると思います。値上げと一時金は査定に織り込み、決まった金額は物件資料に書く。報告書は媒介契約後すぐ取り寄せ、求められたらすぐ渡す。買取を勧めるときも、仲介の見込みを同じ表に並べる。ただ、これは「うちに頼んでください」という話ではなく、どの会社にも同じ3つを聞いてほしい、という話です。あなたの質問で、あなたが選んでください。

    第7章:まとめ+今日からやるべきこと

    第7章:まとめ+今日からやるべきこと

    長い記事になりました。最後に、ここまでの話を6行にまとめて、記事を閉じたあとに動ける行動を3段で置いておきます。

    ▶ 6行のまとめ

    ・可決された値上げ・一時金は重要事項調査報告書に載る。悩むのは「言うか」ではなく「いつ・どの順で見せるか」

    ・売却日の置き場は「修繕前・工事中・修繕後」の3つ。負うお金と、買主に見える景色がそれぞれ違う

    ・「待つコスト」は、月額差 × 値上げ後から決済までの月数 + 売主負担の一時金の3行で数える。支出見込みと、修繕後の「売りやすさ」の可能性を比べて「候補」を決める

    ・売り出し前に揃える3枚は、重要事項調査報告書・総会議事録・長期修繕計画。報告書は売主側の会社が媒介契約後すぐ取り寄せ、決まった値上げは物件資料に書く

    ・可決前・否決・工事中でも、やることは同じ「先に見せる」。諦めなくていい

    ・不動産会社には「査定への反映」「3枚を渡す時期」「仲介と買取を並べられるか」の3つを聞く

    ▶ 今日できること

    引き出しから直近の議案書を出して、値上げ後の引き落とし額を確認してください。そして、値上げ前と後の「月額差」を1つ、メモに書く。Aさんなら「6,000円」。これだけで、3行計算の1行目が埋まります。

    ▶ 1週間以内にすること

    ・管理会社名を控えておく(重要事項調査報告書は、媒介契約のあとに不動産会社が取り寄せます)

    ・直近の総会議事録と長期修繕計画を手元に揃える(配られたものがあればそれで十分)

    ・3行計算を家族と一緒に見ながら、「修繕前・工事中・修繕後のどれに近いか」を1回だけ話す。結論は出なくて大丈夫です

    ▶ 相談したくなったら

    ここまでやってみて、「うちの棟はどこから取り寄せたらええんやろ」「3行の置き方がこれで合ってるか見てほしい」と思ったら、私たちの公式LINEに議案書の写真を送ってみてください。3枚のどれから取り寄せるかと、3行計算の置き方を一緒に見ます。売り込みはしませんので、気軽にどうぞ。

    ・公式LINE(友だち追加)→ 公式LINEで相談する

    ・サイト → https://heroes-property.jp / メール info@heroes-property.co.jp(LINEが使いにくい方はこちらへ)

    なお、売却にかかる税金の細かい額は税理士さんに、総会の決議の要件はマンション管理士に確認してください。買主さんへの告知の法的な範囲は、契約を担当する宅地建物取引士が契約前に整理します。私がお話しできるのは、20年この仕事をしてきた経験からの「売り方」の部分です。

    おわりに

    最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

    総会で値上げが決まった夜、議案書を見ながら「言ったら下がるんちゃうか」と不安になる気持ちは、私も売主様のそばで何度も見てきました。でも、隠せないと分かって、3つの置き場と3行の計算があれば、その不安は「じゃあ、どう見せるか」という手を動かせる話に変わります。

    先に見せた契約は、壊れにくい。私が「買は情報、売は信頼」と言い続けているのは、こういう場面を見てきたからです。それは買主さんのためであると同時に、あなたが「隠しごとなく渡せた」と胸を張って次の住まいへ進むためでもあります。今日はまず、議案書を出して数字を1つ書くところから。あなたの売却が、納得のいく形で進むことを願っています。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    〒532-0003
    大阪府大阪市淀川区宮原4丁目4−64
    新大阪千代田ビル9階C号室

    06-6842-7377

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。