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家の相場は自分で調べられる?|大阪市の家で「売れた値段」を3件写す

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家の相場は自分で調べられる?|大阪市の家で「売れた値段」を3件写す

家の相場は自分で調べられる?|大阪市の家で「売れた値段」を3件写す

2026/10/24

家の相場は自分で調べられる?|大阪市の家で「売れた値段」を3件写す

「生野の家、いくらくらいやろ。業者に聞く前に、だいたい知っときたいな」

先に答えを3行で

  1. 自分で分かるのは「近所で実際に売れた値段の幅」までです。売り出し中の値段も参考になりますが、実際に売れた値段とは分けて見ます。
  2. マンションは㎡単価(1㎡あたりの値段)で、長屋・古家付きの家は土地の取引も参考にします。ただし、更地と同じ値段で売れるという意味ではありません。
  3. 今日できるのは、国の無料サイト「不動産情報ライブラリ」で、自分の区で売れた家を3件メモに写すことです。

書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年。今は宅地建物取引士として、売主様の側に立って仕事をしています。査定をする側の人間が「相場は自分で調べられますよ」と書くのは、少し変に聞こえるかもしれません。でも、買う側の人はふだんから数字を見比べています。売る側のあなたも、同じ公開の数字を持っていていいはずです。この記事では、その数字の出し方と、自分の家への当てはめ方を手順で書きます。

読みながら「うちの家だと、どの画面を見ればいいの?」と思ったら、公式LINEに一言どうぞ。売ると決める前でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する

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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

〒532-0003
大阪府大阪市淀川区宮原4丁目4−64
新大阪千代田ビル9階C号室

06-6842-7377

目次

    第1章:「うちの家、だいたいいくら?」——自分で分かるのは「近所で売れた値段の幅」まで

    第1章:「うちの家、だいたいいくら?」——自分で分かるのは「近所で売れた値段の幅」まで

    「うちの家、だいたいいくらなんやろ」

    この一言が頭に浮かんだら、そこが売却の入口です。先に「相場は自分で調べられるのか」に答えを出して、自分で分かること・分からないことの線を引いておきます。

    ▶ 日曜の夜、弟からのLINE

    説明のための例で、Aさんという方を思い浮かべてください。56歳、淀川区のマンションにご主人と大学生の息子さんと3人で暮らしています。

    2年前にお母さんが亡くなり、弟さんと2人で生野区の家を相続しました。2軒続きの長屋の片側で、土地は55㎡くらい、木造2階建て、築55年前後。前の道は車1台がやっと通れる幅です。相続の登記はもう済んでいます。

    月に1回は換気と草むしりに通い、固定資産税の通知も毎年届きます。弟さんは「早く売ろう」、Aさんは「安く手放したくない」。気持ちは少しずれたままです。

    ある日曜の夜、片づけが終わったダイニングで、弟さんからのLINEを読み返します。「生野の家、いくらくらいやろ。業者に聞く前に、だいたい知っときたいな」。SUUMOで生野区の中古戸建てを並べてみても、目につくのは建て替えた新しい家ばかり。「うちみたいな長屋、値段つくんかな……」。

    業者に聞く前に、だいたい知っておきたい。この気持ちは、とても自然なものです。

    ▶ 分かること・分からないことを2列に分ける

    先に答えを言うと、家の相場はある程度まで自分で調べられます。ただし、分かるのは「近所で実際に売れた値段の幅」まで。自分の家そのものの値段までは出ません。

    自分で分かること自分では分からないこと
    同じ区・近い町で、実際に売れた値段自分の家の傷み・雨漏り・設備の状態を足し引きした値段
    似た広さ・似た築年の家が、いくらくらいで売れたかの幅日当たり・前の道の条件・再建築できるかで、どれだけ上下するか
    マンションなら1㎡あたりの値段の目安今、買いたい人がどれくらいいるか
    長屋・古家付きなら、土地としての値段の目安売り出してから、いくらで決まるか

    左の列は、国の無料サイトで今夜から調べられます。右の列は、家を実際に見て、法令や道の条件を調べないと分かりません。ここを見る仕事が査定です。

    ▶ 「調べたら査定は要らない」ではなく「幅を持って査定へ」

    だから、この記事のゴールは「自分で調べれば査定は要らない」ではありません。「近所で売れた値段の幅を持って、査定を頼む」です。

    幅を持っていると、3〜4社の査定額が出てきたときに、自分の物差しで眺められます。「この会社は幅の上のほう、この会社は下のほう」という具合です。高すぎる額にも安すぎる額にも、気づきやすくなります。Aさんなら、弟さんと「だいたいこのくらい」を同じ物差しで話せるようにもなります。

    じゃあ、その「売れた値段」はどこで見ればいいのか。実はネットには、似ているようで中身の違う数字がいくつも並んでいます。次の章で、見る数字を1つに決めましょう。

    第2章:見る数字を1つに決める——売り出し中の値段・地価・評価額と「売れた値段」の違い

    第2章:見る数字を1つに決める——売り出し中の値段・地価・評価額と「売れた値段」の違い

    見る数字が1つに決まると、ポータルの値段やニュースの地価に振り回されなくなります。

    ▶ 「同じマンションがSUUMOに出てる。うちもこの値段?」

    もう1つ、説明のための例を出します。淀川区の分譲マンションに住む40歳前後の共働きのご夫婦。子どもが大きくなって、もう少し広い家への住み替えを考え始めました。

    ある晩、奥さんがスマホを見せます。「見て、うちと同じマンションの部屋がSUUMOに出てる。この値段なら、うちもこれくらいで売れるんちゃう?」

    気持ちはよく分かります。でも、その値段は「この値段で売りたい」という売主様の希望の値段です。その値段で売れるかどうかは、まだ決まっていません。

    査定の準備をするとき、私もSUUMOなどで今売り出し中の家を確認します。ただ、それは「今、どんな家がいくらで並んでいるか」を知るためのもので、売れた値段とは別のものとして見ています。

    ▶ 5つの数字を並べてみる

    家の値段に関わる数字は、主にこの5つです。

    数字誰が決めたか建物を含むか売れる値段との関係
    売り出し価格(ポータルの値段)売主様と不動産会社物件による希望の値段。ここから下がって決まることもある
    成約価格(売れた値段)売主様と買主様の合意物件による実際に売れた値段。比較の中心にする数字
    公示地価・基準地価国・都道府県含まない(土地だけ)決まった地点の土地の目安。ニュースで見る数字
    路線価国税庁含まない(土地だけ)相続税などを計算するための値段
    固定資産税評価額市町村(大阪市)含む(土地と建物は別々)税金を計算するための値段。納税通知書に載っている

    売出価格、取引・成約価格、公示地価・基準地価、路線価、固定資産税評価額の役割を比較する図

    公示地価は土地取引の指標、路線価や固定資産税評価額はそれぞれの税の計算に使う評価額です。間違いではないけれど、「この家がいくらで売れるか」を直接は教えてくれません。地価や評価額を何倍かして売れる値段を出す計算もネットで見かけますが、この記事ではおすすめしません。家ごとのずれが大きすぎるからです。

    見る数字は1つ。「近所で実際に売れた値段=成約価格」です。

    ▶ 売り出し中と成約済みは、別の集団の数字

    売り出し中の家の平均価格と、成約した家の平均価格は、集計した物件が違います。大阪市の中心部のマンションでも、広さ・築年・場所などの構成が違えば平均は変わります。平均の差だけで「同じ家がこれだけ値下がりした」「値下げ幅が広がった」とは判断できません。

    売出価格は競合の状況を知る資料、取引・成約価格は実際に成立した取引を比べる資料。役割を分けて、条件の近さを確認することが大切です。

    査定書が届いた後に、会社ごとの額の違いをどう比べるかは、こちらに書いています → 査定額が会社ごとに違うときの比べ方

    見る数字が決まったら、次は「その売れた値段を、どこで見るか」。無料で、スマホからでも見られるサイトがあります。

    第3章:無料サイトで「近所の売れた値段」を出す——不動産情報ライブラリの開き方と絞り方

    第3章:無料サイトで「近所の売れた値段」を出す——不動産情報ライブラリの開き方と絞り方

    「国のサイトって、むずかしそう」と思われるかもしれません。でも、押す場所は数か所だけで、スマホでもパソコンでも見られます。

    不動産情報ライブラリは、国土交通省が2024年4月1日に公開したサイトです。ここでは、2種類の「売れた値段」を1か所で見られます。1つは、レインズ(国が指定した、不動産会社どうしが物件情報をやりとりするしくみ)に登録された成約の情報。もう1つは、国が取引した人へのアンケートで集めた取引の情報です。

    ▶ 手順1〜2:サイトを開いて、価格の情報へ

    1. 検索窓に「不動産情報ライブラリ」と打ちます。国土交通省「不動産情報ライブラリ」を開いてください
    2. トップページの「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」のところにある「データの検索・ダウンロード」を押します

    ▶ 手順3〜5:区・種類・時期で絞る

    検索の画面で、条件を3つ入れます。画面の表記は少し違うことがあるので、近い言葉を探してください。

    1. 地域:「大阪府」→「大阪市生野区」のように、区まで選びます。阪神間・京都・奈良の家も、同じ手順で市や区を選べば使えます
    2. 種類:家に合わせて選びます。マンションなら「中古マンション等」、一戸建ては「宅地(土地と建物)」、土地の取引は「宅地(土地)」です。長屋・古家付きは建物付きの取引と土地の取引を分けて見ます
    3. 時期:直近の1〜2年にします。古すぎる取引は今の相場から離れていることがあり、短すぎると件数が足りなくなります

    ここで「検索」を押すと、条件に合う取引が一覧で出てきます。

    ▶ 手順6:「成約価格」と「取引価格」を見分ける

    一覧には、2種類の情報がまざって出ることがあります。

    • 成約価格:レインズに登録された、不動産会社を通して売れた値段
    • 取引価格:国のアンケートに、取引した人が答えた値段

    どちらも実際の取引を調べる材料ですが、成約価格情報は戸建てとマンションが対象です。土地を調べるときは「取引価格情報」を選びます。両方を使う場合、同じ取引が重複して載る場合があるので、似た所在地・時期・面積・価格の行を別々の3件と即断しないでください。

    なお、以前書いた「レインズに登録されているかを確かめる方法」は、売り出した後の話です。今回の成約の情報とは別物なので、混ぜなくて大丈夫です。

    ▶ 表示のくせ:町の名前まで・値段は上2桁

    このサイトは、どの家の取引かが分からないように、わざと少しぼかして表示しています。価格や所在地に加え、面積なども加工されています。

    1つ目は場所。番地までは出ず、町の名前のくくりまでしか分かりません。

    2つ目は値段。取引の総額は、上から3桁目を四捨五入して、上の2桁だけが表示されます。たとえば3,450万円で売れた家は「3,500万円」と表示されます。逆に「3,500万円」と出ていたら、丸めのルール上は3,450万円以上3,550万円未満の範囲、ということです。

    面積も丸められているため、表示価格を表示面積で割った単価には誤差があります。また、情報は四半期ごとに追加され、直近の全取引が即時に載るわけではありません。1件の数字をそのまま「うちの値段」にせず、取引時期と条件を一緒に見てください。

    ほかに、レインズを運営する団体の「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサイトもあります。同じレインズの成約の情報を元にした別のサイトで、マンションと戸建てを地域ごとに見られます。慣れてきたら、2つ目の目として使ってみてください。

    一覧が出たら、いよいよ自分の家に当てはめます。ここからが、この記事でいちばん手を動かすところです。

    第4章:自分の家に当てはめる——3件メモを「幅」に直す

    第4章:自分の家に当てはめる——3件メモを「幅」に直す

    一覧から自分の家に近い3件を選んで、「◯◯万〜◯◯万円」という幅を自分で出します。これを、この記事では「売れた値段の3件メモ」と呼びます。用意するのは、紙1枚かスマホのメモだけです。

    ▶ 3件の選び方は3つの条件

    一覧には何十件も並ぶことがあります。全部を見る必要はありません。次の3つの条件で、近いものを3件だけ選びます。

    1. 場所:同じ区で、最寄り駅が同じか近い(町の名前で見当をつける)
    2. 種類:自分の家と同じ種類(マンション/土地と建物/土地)
    3. 広さと築年:広さが近く、建てた年が近い(マンションは専有面積、一戸建ては土地の広さを先に見る)

    取引時期も近いものを選びます。場所が近くても、種類・広さ・築年・接道条件が大きく違う事例を無理に混ぜないでください。似たものが足りなければ地域や期間を少し広げ、その違いをメモに残します。

    3件は比較を始めるための目安です。選んだ事例の高低は見えますが、市場全体や自宅の価格の上限・下限を示すものではありません。条件の近い事例が増えれば、追加して確かめましょう。

    ▶ 基本7項目に、時期と条件を添える

    選んだ3件は、次の7つを写し、取引時期・情報区分・道路や建物の条件も添えます。分からない欄は「未確認」のままにします。

    項目例
    区・町の名前淀川区◯◯
    最寄り駅◯◯駅
    種類中古マンション等
    面積65㎡
    建てた年2005年
    値段(表示どおり)3,200万円
    ㎡単価(自分で計算)値段÷面積=約49万円

    架空の土地と建物の3件メモ。総額950万〜1,100万円は事例の範囲で、自宅の売値ではない。取引時期と条件も記録する

    ㎡単価は、スマホの電卓で「値段÷面積」を打つだけです。サイトによっては単価が表示されている行もありますが、自分で計算して同じ物差しにそろえたほうが、あとで比べやすくなります。

    ▶ 幅の出し方は家の種類で3通り

    3件の数字から幅を出すやり方は、家の種類で変わります。

    マンション:3件の㎡単価を出し、いちばん低い単価と高い単価に、自分の部屋の専有面積をかけます。

    土地と建物(一戸建て):総額を並べ、土地・建物それぞれの面積、築年、構造、状態、道路の条件を比べます。総額には建物の価値も含まれるため、総額を土地面積だけで割って自宅の面積にかける比例計算では、自宅の売値を出せません。

    土地:条件の近い土地の単価を参考にします。自分の面積にかけた額は単純な面積換算であり、接道・形状・利用制限・解体費などを調整した売値ではありません。

    ここで平均を取らないのがポイントです。上と下の端を残して「幅」のまま持つ。表示が上2桁に丸められているので、1つの数字にまとめると、かえって正確そうに見えてしまうからです。

    ▶ 記入例:淀川区のマンション(架空の数字)

    第2章のご夫婦の部屋(淀川区・専有70㎡)で、やってみます。数字はすべて説明のための架空のものです。

    面積建てた年値段㎡単価
    1件目65㎡2005年3,200万円約49.2万円
    2件目72㎡2007年3,600万円約50.0万円
    3件目68㎡2004年3,100万円約45.6万円

    いちばん低い約45.6万円×70㎡で約3,190万円、いちばん高い約50.0万円×70㎡で約3,500万円。単純な面積換算は「約3,190万〜3,500万円」です。時期・階数・向き・管理状態などを調整する前の参考額で、この部屋がその範囲で売れるという意味ではありません。

    SUUMOの売出価格がこの参考額より高くても、希望額が上乗せされているとは限りません。階数・眺望・内装や取引時期などの違いを確認し、価格の根拠を聞く材料にします。

    ▶ 記入例:Aさんの長屋を「土地と建物」で見る(架空の数字)

    では、Aさんの生野区の長屋(土地約55㎡)ではどうなるか。種類を「宅地(土地と建物)」にして、同じ駅に近い町から3件を選んだとします。

    土地の面積建てた年値段総額÷土地面積(参考)
    1件目55㎡1980年ごろ1,000万円約18万円
    2件目60㎡1975年ごろ950万円約16万円
    3件目50㎡1985年ごろ1,100万円約22万円

    この3件の総額は950万〜1,100万円です。総額÷土地面積の数字には建物の価値が混ざるため、これを55㎡にかけてAさんの家の売値を出すことはできません。まずは、建物や道路の条件がどれくらい似ているかを確認します。

    しかも、この3件が長屋なのか、1軒で建っている家なのかは、一覧だけでは判断しきれません。数字を狭い幅にそろえることより、比較できる条件かを確かめることが先です。次の章では土地の取引も参考にする方法を見ます。

    3件メモができたら、メモの写真か、幅の1行を公式LINEに送ってもらって大丈夫です。「うちの家に当てはめると、この3件で合っていますか?」の一言だけでも構いません。→ 公式LINEで相談する

    第5章:大阪市の家の種類で見る画面を変える——中心部のマンションと、長屋・古家付き

    第5章:大阪市の家の種類で見る画面を変える——中心部のマンションと、長屋・古家付き

    自分の家が「似た例が出やすい家」か「出にくい家」かで、見る画面を変えます。大阪市には、この切り替えが要る家が多いんです。

    家の種類で画面を変える。マンションは中古マンション等を㎡単価で、一戸建ては宅地(土地と建物)を総額で、長屋・連棟・古家付きは取引価格情報の土地事例も参考にし、自宅の売値とは区別する

    ▶ (A) マンションは条件の近い事例を探す

    マンションは、近い地域・築年・面積の事例を探し、㎡単価を参考にできます。ただし、公開情報は物件を特定できないよう加工されているため、同じ建物の取引だと断定しないでください。

    第4章の計算は比較の入口です。階数・向き・眺望・リフォーム・管理状態で値段は変わり、選んだ3件の幅の中に収まるとは限りません。「南向きだから上限」と機械的に当てはめず、違う条件を書き添えます。

    ▶ (B) 長屋・連棟・古家付きは「土地として」見る

    一方で、Aさんのような家はどうでしょう。長屋・連棟(何軒かが壁でつながった家)、古家付きの家、前の道が狭い家。こうした家は「土地と建物」で探しても、似た相手がなかなか見つかりません。大阪市の生野区・東成区・西成区あたりには、こうした家が今も多く残っています。

    「土地と建物」の一覧には、建て替えた新しい家も、1軒で建っている家も、長屋もまざって並びます。築55年前後の長屋の片側と、築10年の一戸建てを同じ物差しで比べても、幅が広がるだけなんです。

    そこで、取引価格情報の「宅地(土地)」も確認します。周辺の土地の価格水準を知るためです。長屋を切り離せるか、再建築できるか、解体に何が必要かが未確認のまま、更地と同じ値段とは扱いません。古家付きかどうかも、表示だけで判断できない場合は未確認とします。

    ▶ Aさんの長屋で当てはめ直す(架空の数字)

    Aさんの家で、種類を「宅地(土地)」にして、同じ駅に近い町から土地の広さが近い3件を選び直してみます。数字はやはり説明のための架空のものです。

    土地の面積値段㎡単価
    1件目50㎡900万円約18万円
    2件目65㎡1,100万円約17万円
    3件目55㎡1,000万円約18万円

    表示単価を約17万〜18万円と丸めて55㎡にかけると、参考計算は約935万〜990万円です。幅が狭くなっても精度が上がった証拠ではありません。これは選んだ土地事例の面積換算であり、長屋の解体・切り離し・接道などを反映したAさんの売値ではありません。

    ▶ ただし、公開の数字では分からないこと

    ここは正直に書いておきます。土地事例にも、取引当事者の事情や個別条件が含まれます。「普通の土地の相場」と決めつけることはできません。Aさんの家には、さらに次の未確認事項があります。

    • 2軒続きの長屋の片側なので、建て替えや切り離しにお隣が関わることがある
    • 前の道が狭く、建て替えるときに道の条件(再建築できるか、下がる必要があるか)が関わることがある
    • 一覧には前の道の幅が載っている行もありますが、自分の家の道がどんな扱いかまでは分かりません

    こうした条件があると、値段は幅から下がることがあります。どれくらい下がるかは、法令や道を調べないと分かりません。ここが、査定で見てもらうところです。

    再建築できない家の売り方については、こちらの記事で書いています → 再建築できないと言われた家の売却

    「自宅の値段が出ないなら、調べた意味がないのでは」と思うかもしれません。でも、比較した事例と違う条件を整理できれば、「どの条件をどう価格に反映しましたか」と聞けます。参考額は上限ではなく、査定の根拠を確かめる材料です。

    第6章:調べた幅を持って査定へ——査定書の事例と見比べて聞く1文

    第6章:調べた幅を持って査定へ——査定書の事例と見比べて聞く1文

    3件メモの幅は、ここで使うために出したものです。査定を頼み、出てきた査定書のどこを見て、何を聞けばいいかを決めておきましょう。

    ▶ 査定は2つの方法で、3〜4社に

    査定には、物件の情報と周りの成約から出す「机上査定」と、家を実際に見て出す「訪問査定」の2つがあります。長屋や古家付きの家なら、道や建物の状態が値段に関わるので、訪問査定のほうが話が早いことが多いです。

    頼むのは3〜4社がいいと私は考えています。2社だと、どちらが高いのか低いのか、比べる相手が足りないからです。

    ▶ 査定書が来たら、事例と3件メモが重なるかだけ見る

    査定書には、たいてい「成約事例」として、近くで売れた家が何件か載っています。会社が値段の根拠にした取引です。

    ここで、あなたの3件メモを横に置いてください。見るのは1つだけ。「査定書の成約事例と、自分の3件が、場所・種類・広さの面で重なっているか」です。

    • 重なっている → 比較の入口は近い。取引時期や建物・道の条件、調整方法も聞く
    • 重なっていない → 会社が別の取引を根拠にしている。どの取引を選んだかを聞く

    査定額そのものを幅と比べて「高い・安い」を決めるのは、ここではまだ早いです。額の違いの比べ方は、第2章でも紹介した記事に任せます。

    ▶ 聞く1文は「近くの成約は、どの事例を使いましたか」

    査定の席や、査定書を受け取ったときに、こう聞いてみてください。

    「近くの成約は、どの事例を使いましたか」

    この1文で、担当者がどの取引を根拠にしたのか、なぜその取引を選んだのかを話してもらえます。Aさんなら「土地として見た事例ですか、建物つきの事例ですか」と続けてもいいですね。

    調べた数字を見せるのは失礼じゃないか、嫌がられないか、と心配される方もいます。でも、この1文は相手を疑う言葉ではありません。根拠を一緒に確かめる言葉です。自分で幅を持っていると、説明を聞いたときに「なるほど」と「あれ?」の区別がつきやすくなります。

    ▶ 売り出した後は、登録証明書で確かめる

    私が大事にしている言葉に「買は情報、売は信頼」があります。家を買う人はたくさんの情報を見比べて選べますが、売る人は担当者の動きが見えにくく、信頼で任せるしかない。だからこそ、売る側にも同じ公開の数字を持っていてほしい、と私は思っています。

    その信頼を確かめる作業を、もう1つだけ。会社を決めてレインズに登録した後は「登録証明書」をもらい、売主向け確認画面で登録内容や取引状況を確認してください。専任・専属専任と一般媒介では登録義務が異なるため、登録の扱いも契約時に確認します。紙だけで実際の紹介対応すべてが分かるわけではありません。私は囲い込み(売却を任された会社が、ほかの会社からの買主様を通さないこと)をしません。そのうえで、どの会社に頼んでも、この紙があれば自分の目で確かめられます。

    確かめ方の手順は、こちらの記事で書いています → レインズ登録を自分で確認する方法

    ここまでで、調べ方と使い方はひと通りそろいました。最後に、よく聞かれる質問に短く答えておきます。

    第7章:よくある質問

    第7章:よくある質問

    ▶ Q1「SUUMOに同じマンションが出ています。うちもその値段ですか?」

    その値段で売れるとは限りません。ポータルの値段は売主様の希望の値段です。相場として見るのは、不動産情報ライブラリなどに出る「成約価格(売れた値段)」のほうです。公開情報だけで同じマンションと断定せず、近い条件の事例を第4章のやり方で参考として比べてください。

    ▶ Q2「調べた値段と査定額が違ったら、どっちを信じればいいですか?」

    どちらか一方を選ぶより、査定書の成約事例を聞いてください。「近くの成約は、どの事例を使いましたか」と聞けば、違いの理由が見えてきます。会社ごとに額が違うときの比べ方はこちら → 査定額が会社ごとに違うときの比べ方

    ▶ Q3「AI査定や相場サイトの数字はあてになりますか?」

    根拠になった事例が見えるなら、参考になります。個別のサイトの良し悪しはここでは言いませんが、見るのは「どの取引から出した数字か」が分かるかどうかです。分かるなら、自分の3件メモと並べて比べられます。見えないなら、参考の1つにとどめておくのがいいと思います。

    ▶ Q4「長屋で、似た例が1件も出ません」

    種類を「宅地(土地)」に切り替えて、土地として見てください(第5章)。時期を2年に広げる、隣の町まで見る、でも見つかりやすくなります。それでも出なければ、無理に数字を作らず、査定で「近くの成約はどれを使いましたか」と聞くところから始めれば十分です。

    第8章:まとめ+次のアクション——今夜、3件を写す

    第8章:まとめ+次のアクション——今夜、3件を写す

    最後に、この記事のポイントを振り返って、今日からできることを3段に分けておきます。

    ▶ 3行で振り返ると

    • 見る数字は1つ:近所で実際に売れた値段(成約価格)。売り出し中の値段・地価・評価額とは役割を分ける
    • 3件を選んで幅に直す:場所・種類・面積・築年・時期の近い3件を写す。戸建ては総額と条件を比べ、面積換算は売値と区別する
    • 家の種類で画面を変える:マンションは単価を参考に、長屋・古家付きは土地事例も見る。分からない条件は査定で聞く

    家の相場は、ここまでなら自分で調べられます。

    ▶ 今日できること

    不動産情報ライブラリを開いて、自分の区で売れた家を3件、メモに写してください。Aさんなら、種類を「宅地(土地)」にした生野区の3件です。15分ほどが目安です。

    ▶ 1週間以内にすること

    1. 3件メモを家族と共有して、同じ幅で話す(Aさんなら弟さんに、幅の1行をLINEで送る)
    2. 固定資産税の納税通知書(いっしょに届く課税明細書)で、土地と建物の面積を確認する。マンションでは課税上の面積と専有面積が違う場合があるため、売買契約書や登記事項証明書とも照合する
    3. 査定をどう頼むか、何社に頼むかを決める(下の「次に読むなら」の1本目が参考になります)

    売れた後に手元にいくら残るのかが気になってきたら、こちらの記事で日付順に並べています → 家を売ったお金が入る日と手取り

    ▶ 相談したくなったら

    調べて、メモして、家族と話す。ここまでは、この記事だけで進められます。そのうえで「この3件で合っているか、一度だれかに見てほしい」と思ったら、公式LINEで声をかけてください。

    → 公式LINEで相談する

    送ってもらうのは、「3件メモ(写真でも1行でも)」と「家の種類と区(たとえば、生野区の長屋)」の2つで十分です。売ると決める必要はありません。

    相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。

    ▶ 次に読むなら

    おわりに

    ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

    「いくらで売れますか?」は、売却を考える方からいちばん多く聞く言葉です。その答えを、会社に聞く前に少しだけ自分で持っておきたい。それは用心深いのではなく、家のことを大事に考えている証拠だと私は思います。

    自分で出した幅は、正確な値段ではありません。でも、家族と同じ物差しで話せるようになり、査定の席で「この事例はどれですか」と聞けるようになります。それだけで、知らない人に任せる不安は、ずいぶん小さくなるはずです。

    今夜は、3件を写すだけで十分です。その3行が、あなたとご家族が納得して次の一歩を決めるための、最初の手がかりになりますように。

    参考:国土交通省 不動産情報ライブラリ(価格情報の説明・利用規約を確認、2026年10月24日)

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