査定額が3社で違う大阪市のマンション|媒介契約の前に並べる順番
2026/10/05
平日の夜、子どもを寝かせたあとのダイニングで、スマホに3社の査定書を並べている。2,980万円、3,280万円、3,450万円。同じ家なのに、いちばん安いところと高いところで470万円も違う…。
この記事では、手元の3通を同じ物差しで1枚の表に並べる方法が分かります。そのうえで、媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)の前に何を聞き、どこに頼むかを決めるまでの順番をお伝えします。順番は、そろえる → 聞く → 期間で出し直す → 次の手を決める → 決める、の5つです。「一番高い会社はやめておけ」はもう読んだ、という方に向けて、その先の手の動かし方を書きました。
書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年、宅地建物取引士として売主様の側で仕事をしてきました。写真撮影も販売図面づくりも内覧の立ち会いも、私が自分でしています。
読みながら「うちの場合は?」と思ったら、公式LINEに一言どうぞ。売るかどうか決める前でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する
目次
第1章:3社で数百万違っても、どれかが嘘とは限らない——差が出る理由をつかむ
▶ 「一番高いところでいいやん」と言われた夜
ここからは、想定の例としてAさん(仮名・43歳)に登場してもらいます。東淀川区の分譲マンション、築22年・3LDK・約70㎡。お子さんの中学進学に合わせて、吹田市の戸建てへの住み替えを考えています。
3社に査定を頼んだら、届いた数字は2,980万円・3,280万円・3,450万円。ご主人は「査定額が一番高い会社にお願いしようと思ってる。担当の人も感じよかったし」。Aさんは「本当にその値段で売れるの?」と思いながら、うまく言い返せない。どの担当者も感じが良くて、決め手がないんですよね。
次の家の予算は、今の家がいくらで売れるかで決まります。だからこそ、470万円の差はそのまま「次の家の選択肢の差」に見えてしまう。夜中にもう一度、PDFを開き直したくなる気持ち、よく分かります。
▶ 差が出る理由は、だいたいこの3つ
結論から言うと、3社の数字が違うのは、たいてい次の3つのどれか(または組み合わせ)です。
1つ目は、使った成約事例(実際に売れた物件の記録)が違うこと。同じマンションの別の部屋を事例にした会社と、駅の反対側の似た築年数のマンションを使った会社。この2社では、出てくる数字が変わります。事例を何件、どこから、いつのものを選んだか。それだけで数百万円動くことは珍しくありません。
2つ目は、何か月で売る前提かが違うこと。「3か月くらいで売れる値段」と「半年かけてもいいならこのくらい」では、同じ家でも数字が変わります。ところが査定書には、この前提がはっきり書かれていないことがよくあります。
3つ目は、その会社の販売の考え方。最初は高めに出して反応を見るのか、最初から売れそうな値段で出すのか。どちらにも理由はあって、どちらが正しいとは一概に言えません。
20年この仕事をしてきて、事例の選び方ひとつで数百万円の差がつく場面を何度も見てきました。だから、3社の数字が違うこと自体は、そこまで心配しなくていいと思っています。困るのは、「どの数字が、何を根拠にしているか」が見えないまま決めてしまうことです。
「査定額」「売出価格」「成約価格」の3つの違いは、noteで詳しく書いています → 「いくらで売れる?」の答えは3つある。査定額・売出価格・成約価格は別物
では、そもそも査定額とはどんな数字なのか。次の章で、今の大阪の数字と一緒に見ていきましょう。
第2章:査定額は「売れる値段の約束」ではない——今の大阪の売出と成約の差を知る
▶ 査定額は「見立て」、約束ではない
まず押さえておきたいのは、査定額は「この値段で売れます」という約束ではない、ということ。不動産会社が「このくらいで売れそうです」と考えた見立てです。どれだけ丁寧な査定書でも、実際に買う人が現れるまで、値段は決まりません。
だから、3,450万円という数字を見て「うちは3,450万円の家なんだ」と思ってしまうと、あとで苦しくなりやすいんです。住み替えの予算をその数字で組んでいると、なおさら。
▶ 「売りに出ている値段」と「実際に売れた値段」には差がある
ここで、今の数字を見てみます。
まず、近畿レインズ(近畿圏の不動産会社が物件情報を共有している仕組み)のマンスリーレポートから。2026年8月の近畿圏の中古マンションで、新しく売りに出された物件の㎡単価は57.98万円。実際に成約した物件の㎡単価は45.33万円でした。
大阪府・大阪市の数字も、近畿レインズの2026年8月度マンスリーレポートで確認できます。ここでの「売出」は、その月に新規登録された物件の平均です。2026年8月の大阪府の中古マンションは、平均で売出価格4,437万円・成約価格3,423万円。大阪市の中心6区(北・中央・西・浪速・天王寺・福島)だけで見ると、売出7,950万円に対して成約6,225万円です。

ただし、ここは大事なので強めに断っておきます。これはその月に新規登録された物件と、成約した物件の「平均どうし」の差です。同じ物件の売出時と成約時を追いかけた数字ではありません。売りに出ている物件には、広い部屋や新しい建物が多く混ざることもあります。「1戸ずつ1,000万円値下げして売れた」という意味ではありません。
実際、淀川区や東淀川区を含む大阪市のそれ以外の18区では、同じ8月に売出2,801万円・成約2,908万円。成約のほうが高く出ています。売りに出ている部屋のほうが平均で狭かった(55.5㎡と61.8㎡)ことが、理由の一つと考えられます。平均の差がそのまま値下げ幅ではない、よい例です。
▶ 区によって、動き方も違う
出典:近畿レインズ・2026年8月度マンスリーレポート(大阪府の新規登録・成約、大阪市の区別集計)。
もう一つ、同じ集計で見えてくるのが、区による動き方の違いです。中心6区の成約件数は前年の同じ月より31.3%減った一方で、18区は18.3%増えていました。
新大阪の事務所にいると、2つの話が同じ日に入ってきます。梅田や中之島のタワーマンションの話と、淀川区・東淀川区の築20年前後のファミリーマンションの話です。同じ「大阪市のマンション」でも、売れ方はけっこう違うんですよね。
Aさんの東淀川区は、18区の側です。ネットで見かける「大阪市のマンションの相場」が、中心6区の話なのか、自分の区の話なのか。そこを分けて読むだけでも、数字に振り回されにくくなります。
▶ この章の結論:査定書で見るのは「成約の事例」
ここまでをまとめると、こうなります。
販売中の物件の値段は「売りたい値段」。実際に買う人がついた値段は、成約の事例にしか出てきません。だから、3通の査定書を見比べるとき、いちばん確かめたいのは「どの成約事例を使ったか」です。手元の査定書の、後ろのほうのページをめくってみてください。
では、それをどうやって見比べるか。次の章で、Aさんの3通を実際に1枚の表に並べてみます。
第3章:3通の査定書を1枚の表に並べる——空いている欄が、聞くこと
▶ 用意するのは、3通の査定書とA4の紙1枚
用意するものはこれだけです。
・3社の査定書(PDFでも紙でも)
・A4の紙1枚とペン(スマホのメモでもかまいません)
・15分くらいの時間
紙を横向きにして、左に会社名を3行、上に5つの列を書きます。この表を、私は「査定書そろえ表」と呼んでいます。
▶ 列は5つ。左から順に書き写す
列はこの5つです。
1. 査定額
2. 成約事例(何件・どこの物件・いつ売れたか)
3. 販売中の物件を根拠に混ぜたか
4. 何か月で売る前提か
5. 反響が無いときの次の手
査定額は書いてあるので、すぐ埋まります。成約事例は、査定書の後ろのほうに「取引事例」「比較事例」といった名前で載っていることが多いです。そこから3つをメモします。件数、場所(同じマンションか、近くのマンションか、駅のどちら側か)、時期(何年何月に売れたか)です。
3列目は少しややこしいのですが、大事です。査定書によっては、成約事例と一緒に「今売りに出ている物件」が並んでいることがあります。第2章で見たとおり、販売中の値段は「売りたい値段」。それが根拠に混ざっているかどうかで、数字の意味が変わります。
4列目と5列目は、査定書に書かれていないことがよくあります。それでかまいません。書かれていなければ、その欄に●を付けておきます。
▶ Aさんの3通で埋めてみると
Aさんの3通(想定の例)を書き写すと、たとえばこうなります。●は「査定書から読み取れなかった欄」です。
| 会社 | 査定額 | 成約事例 | 販売中を混ぜたか | 何か月で売る前提か | 反響が無いときの次の手 |
| A社 | 2,980万円 | 5件(同じマンション2件・近く3件/この1年) | なし | 3か月 | ● |
| B社 | 3,280万円 | 4件(近く4件/1年半以内) | 1件あり | ● | 「1か月ごとに相談」 |
| C社 | 3,450万円 | 3件(駅の反対側/2年前を含む) | 2件あり | ● | ● |

こうして並べると、PDFを眺めていたときとは見え方が変わりませんか? 3,450万円のC社は、事例が少し遠くて古く、販売中の物件も混ざっている。2,980万円のA社は、同じマンションの事例があって「3か月」と期間も書いてある。
これで「C社はダメ」と決めるわけではありません。ただ、「どの数字が、何に支えられているか」が初めて見えてきます。
▶ 3社の平均は取らない
ここでよくあるのが、「間をとって3,240万円くらいかな」と平均を出すこと。気持ちは分かるのですが、これはおすすめしません。
それぞれの会社が違う事例を使っているなら、平均した数字は「誰の根拠でもない数字」になってしまうからです。平均を出す代わりに、●の欄を見てください。
▶ ●の欄が、次に聞くこと
表の●は「その会社に聞けば埋まる欄」です。Aさんの場合なら、A社には「反響が無いときにどうするか」を聞く。B社とC社には「何か月で売る前提か」と「反響が無いときにどうするか」を聞く。聞くことが、表を作った時点で決まっているんです。
私は売却だけを扱っているので、ほかの会社の査定書が混ざっていても、同じ表で同じように見ます。どこの会社の数字かは関係なく、物差しは「根拠が確かめられるか」だけです。
ご自分の家がどれに当たるか分からないときは、LINEで状況を2〜3行送ってください。たとえば「3社に頼んだら2,980万・3,280万・3,450万でした。東淀川区の築22年のマンションです。どれで出せばいいですか」くらいで大丈夫です。→ 公式LINEで相談する
さて、●の欄を聞くとき、「こんなこと聞いて失礼じゃないかな」とためらう方は少なくありません。次の章では、根拠は聞いてよいものだ、という話をします。
第4章:根拠は聞いてよい——示す決まりがあることを知り、聞き方を持つ
▶ 「失礼かも」と思わなくていい理由
担当者さんが感じの良い人だと、なおさら「疑っているみたいで悪いな」と思ってしまいますよね。でも、ここは遠慮しなくて大丈夫です。
宅地建物取引業法(不動産会社のルールを決めた法律)の34条の2第2項に、こういう決まりがあります。不動産会社が「この値段で売れると思います」と意見を言うときは、その根拠を明らかにしなければならない。売主様が頼んだから示すものではなく、もともと示すことになっているものなんです。
根拠というのは、同じような物件の取引事例など、「なぜその金額なのか」を筋道立てて説明できるもののこと。「長年の勘です」では根拠になりません。
お客様から「囲い込みはしないですか?」と聞かれることがあります。私は、こういう質問をしていただけるのはありがたいと思っています。根拠を聞くのも同じで、売主様が自分の家のことを確かめるのは、失礼でもなんでもありません。
▶ 聞き方① 事例の場所と時期を聞く
第3章の「成約事例」の列が薄い会社には、こう聞いてみてください。
「この査定に使った成約事例を、場所と売れた時期が分かる形で教えていただけますか」
ポイントは「場所と時期」をセットで聞くこと。同じ東淀川区でも、駅から3分と15分では値段の付き方が違いますし、3年前の事例と今年の事例でも違います。
▶ 聞き方② 何か月で売る前提かを聞く
「何か月で売る前提か」の列が●の会社には、こう聞きます。
「この金額は、何か月くらいで売れる前提の数字ですか」
答えが「特に決めていません」なら、それも1つの情報です。次の章で、期間をそろえて出し直してもらう方法をお話しします。
▶ 聞き方③ 販売中の物件が入っているかを聞く
「販売中を混ぜたか」の列がはっきりしない会社には、こう聞きます。
「根拠の事例の中に、今売りに出ている物件は入っていますか。入っていれば、どれか教えてください」
この3つは、メールやLINEでそのまま送れる文にしてあります。3社に同じ文を送れば、答えも同じ形で返ってくるので、表に書き写しやすくなります。
▶ 答えが返ってこなかったときの見方
もし答えがあいまいだったり、返ってこなかったりしたら、どう考えればいいか。
ここで「この会社はダメ」と決めつける必要はありません。忙しくて返事が遅れているだけかもしれないですし。表の●の欄に「確認できず」と書いておく。それで十分です。
大事なのは、「この数字は、根拠を確かめられない数字だ」と分かったうえで比べることです。高い数字が悪いわけでも、低い数字が正直なわけでもありません。物差しは「根拠を言えるかどうか」の1つだけ。
根拠がそろってきたら、次は期間の前提をそろえます。ここが、住み替えの予算に直結するところです。
第5章:「何か月で売る前提か」をそろえる——期間をそろえた見込みから次の家の予算を組む
▶ 同じ家でも、期間で値段は変わる
たとえば、同じ部屋でも「3か月で売りたい」なら、買う人がすぐ手を挙げやすい値段にする必要があります。「半年かけてもいい」なら、少し高めに出して、合う買主をじっくり待つこともできる。
A社の2,980万円が「3か月の数字」で、C社の3,450万円が「期間を決めていない数字」だとします。それなら、そもそも比べている物が違います。閉店前のスーパーで値引きシールが貼られたお惣菜と、夕方に並べたてのお惣菜の値段を比べているようなものです。
▶ 各社に「3か月なら」「6か月なら」を出し直してもらう
やり方はシンプルです。各社にこう頼みます。
「3か月で売る前提なら、いくらで出しますか。6か月かけてもいい前提なら、いくらですか。2通りで教えてください」
ここで聞いているのは「売出価格の提案」です。実際に成約しそうな金額とは分けて、「その期間での成約見込み額も、根拠と一緒に教えてください」と確認します。この記事の3か月・6か月は成約までの期間で、成約後には決済・引渡しまでの時間も必要です。
返ってきた売出価格案を、査定書そろえ表の横に2列足して書き込みます。

Aさんの例で、仮にこう返ってきたとします(想定の例です)。
| 会社 | 3か月で成約を目指す売出価格案 | 6か月で成約を目指す売出価格案 |
| A社 | 2,980万円 | 3,150万円 |
| B社 | 3,050万円 | 3,250万円 |
| C社 | 3,100万円 | 3,400万円 |
最初は470万円あった差が、3か月の数字では120万円ほどに縮まって見えます。期間の前提がそろっていない数字どうしを比べると、差が実際より大きく見えることもあります。
▶ Aさんの場合、上限は何か月か
次に、自分の家の「上限の期間」を書き出します。Aさんなら、お子さんの中学入学に合わせて春までに引っ越したい。次の家の契約や引越しの段取りから逆算すると、たとえば成約までに使えるのは長くて4か月くらい、と見えてきます。これは例で、実際は次の家の支払日や今の家の決済・引渡し日を先に確認し、必要な期間を差し引いて逆算します。
ここがはっきりすると、「6か月の数字は、うちには関係ないかもしれない」と分かります。逆に、急ぐ事情がない方なら、6か月の数字も選択肢に入ってきます。
▶ 次の家の予算は、期限に合う成約見込みから手取りを出して組む
住み替えの予算は、一番高い売出価格案をそのまま使わず、自分の期限に合う成約見込みを控えめに置いて考えます。Aさんなら、まず3か月程度での成約見込み額を各社に確認し、そこから仲介手数料・登記費用・税金などの必要費用と住宅ローンの残りを引いた「手取り」で組みます。表の2,980万〜3,100万円は売出価格案で、受け取れる金額の保証ではありません。
もし実際の手取りが見込みより増えたら、上振れした分は次の家の頭金や引越し費用の余裕に回す。先に支払うお金がある場合は、金額だけでなく入金日もそろえておきます。
逆の順番、つまり3,450万円で予算を組んで、売れたのが3,100万円だったら…。次の家のローンや資金計画を組み直すことになり、気持ちも時間も削られます。
売れた金額から住宅ローンの残りや仲介手数料などを引くと、手元にいくら残るか。その計算は、noteで1枚の表にまとめています → 家を売ったら手元にいくら残る?査定書の下に書く「手取りの1枚表」
予算とローンの残りと手取りを一緒に並べるのは、売却だけを扱っている私の仕事の中身そのものです。査定額の比べ方と予算の組み方は、セットで考えたほうが迷いにくいんですよね。
期間までそろったら、最後に媒介契約の前に決めておきたいことがあります。それが「反響が無かったらどうするか」です。
第6章:媒介契約の前に「反響が無かったら」を決める——契約後に確かめる物も知る
▶ 「高い数字で預けて、放っておかれない?」という不安
査定額が高い会社に頼むとき、多くの方が心のどこかで心配しているのが、これだと思います。「売り出したはいいけど、問い合わせがなくて、数か月後に値下げしましょうと言われるだけだったらどうしよう」。
この不安は、契約前の「取り決め」と、契約後に「自分で確かめられる物」の2つで、かなり小さくできます。
▶ 契約前に聞く1文
査定書そろえ表の5列目、「反響が無いときの次の手」を埋めるために、各社にこう聞いてみてください。
「この金額で売り出して、何週間くらい問い合わせが無かったら、何をしますか」
答えを聞くときに見てほしいのは、出てくるのが「値下げ」だけかどうか、です。
反響が少ないとき、直せるのは値段だけではありません。たとえばポータルサイトの1枚目の写真、間取り図の見やすさ、掲載文の最初の1行。私は写真撮影も図面も掲載文も自分で作っています。だから反響が少ないときは、値段だけでなく、このあたりに見直す余地がないかも一緒に確かめられます。見せ方の直しが答えに入っている会社は、「出したあと」まで考えてくれている、と見ることができます。
内覧の申し込み自体がない、という状況で何を見直すかは、こちらの記事に詳しく書いています → なぜ?大阪市不動産売却・売り出して1ヶ月で内覧ゼロ、どうしたらいい?
▶ 専任の媒介契約は「最長3か月」。満了日を確かめる
もう一つ知っておきたいのが、契約の期間です。専任媒介契約(1社だけに売却を任せる契約)は、期間が法律で3か月までと決まっています。根拠は宅地建物取引業法34条の2第3項です。
3か月は上限なので、もっと短い期間の契約もあります。契約書の満了日を確かめ、その日に「この会社にもう一度任せるか」を売主様が改めて決めます。更新は売主様からの申出によるもので、自動更新ではありません。第5章の3か月は比べるための一例で、契約期間や引渡し期限に合わせて前提をそろえます。
また、反響や活動報告の確認は満了日まで待たず、契約中も行います。
媒介契約書のどの欄を、サインする日と3か月目に見ればいいかは、noteでまとめています → 「ここにサインを」と言われた日に。媒介契約書で私が読み上げる4か所
▶ 契約後は、レインズで自分で確かめられる
専任の媒介契約を結ぶと、不動産会社は物件をレインズ(不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組み)に登録します。そして売主様に「登録証明書」を渡します。
2025年1月からは、専任の媒介契約の物件について、新しい決まりが加わりました。不動産会社は、レインズに物件の「取引状況」も登録します。状況とは「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」といった区分です。登録証明書には、売主様がスマホで状況を確かめられる二次元コードも載るようになっています。確認画面へのログインに使うID・パスワードも、登録証明書で確かめてください。
私は囲い込みをしません。申込みも入っていないのに「書面による購入申込みあり」や「一時紹介停止中」になっていないか。登録証明書の二次元コードから、売主様ご自身で確かめられます。「囲い込みはしないですか?」と聞かれたら、まずこの画面を一緒に見ていただきます。ただし、「公開中」と表示されているだけで囲い込みがないと証明できるわけではありません。活動報告や他社からの問い合わせへの対応も併せて確認しましょう。
制度の案内:国土交通省・レインズの取引状況の登録について。
レインズの登録証明書の見方は、こちらの記事に詳しく書きました → レインズ登録証明書ってなに?大阪市不動産売却で絶対に確認すべき必須の1枚
取引状況の読み方と、売主様が自分で確かめる手順は、こちらにまとめています → レインズ登録を自分で確認する方法!売主向けの手順を解説
これで、そろえる・聞く・期間で出し直す・次の手を決める、の4つがそろいました。残るのは「決める」だけです。最後の章で、今夜からやることを整理しておきましょう。
第7章:まとめ+次のアクション——今夜は表を1枚、今週は質問を各社へ
▶ 今日できること(15分)
3通の査定書を、A4の紙かスマホのメモに「査定書そろえ表」として書き写してください。列は、査定額・成約事例・販売中を混ぜたか・何か月で売る前提か・反響が無いときの次の手、の5つ。読み取れなかった欄に●を付けたら、今夜の作業はおしまいです。
▶ 1週間以内にすること
●の欄の質問を、各社に送ります。第4章の3つの聞き方と、第6章の「何週間反響が無かったら何をしますか」は、そのままコピーして使ってください。あわせて「3か月なら」「6か月なら」の2通りの売出価格案と、それぞれの成約見込み額・根拠も頼んでおくと、やりとりが1回で済みます。
答えがそろったら、ご夫婦で「次の家の予算は、どの数字で組むか」を話してみてください。Aさんの家なら、ご主人の「一番高いところで」と、Aさんの「本当に売れるの?」が、同じ表を見ながら話せるようになっているはずです。
3社のうち1社が「仲介」ではなく「業者が買い取る金額」を出してきていたら、比べ方が少し変わります。こちらを先に読んでみてください → 大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行
一括査定の電話の多さに疲れてしまった方。そもそも一括査定を使うか迷っている方。その段階なら、こちらの2本が役に立つと思います → 大阪の不動産売却で一括査定!相場把握と失敗しない手順 / 不動産売却の一括査定で後悔しない!安全な選び方と注意点
▶ 相談したくなったら
3社の査定額と、物件の住所かマンション名。この2つだけ送ってください。並べ方の相談から受けます。査定書の写真があれば、一緒に送っていただいてもかまいません。●が多すぎて何から聞けばいいか分からない、という段階でもどうぞ。
相談したからといって、売る・私に頼むを決める必要はありません。相談には代表の私(紙谷)が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。→ 公式LINE(友だち追加)公式LINEで相談する
お電話の場合は 06-6842-7377(10:00〜19:00・水曜定休)へどうぞ。
ここではAさんの東淀川区のマンションを例にしましたが、北摂や阪神間、京都・奈良の家でも、戸建てでも、並べ方は同じです。3通の数字を1枚にそろえるところから始めてみてください。
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
3社の数字が違うと、「どこかに騙されているんじゃないか」「自分が判断を間違えたらどうしよう」と、不安が先に立ちますよね。でも、数字が違うのは、たいていは材料と前提が違うから。1枚の表に並べて、空いている欄を聞いていけば、どの数字が何に支えられているかは、ちゃんと見えてきます。
家を売るのは、何度も経験することではありません。だから迷って当たり前です。今夜15分だけ、3通の査定書を並べてみるところから始めてみませんか。その1枚が、ご家族で次の家の話をするときの、落ち着いた土台になればうれしいです。













