株式会社ヒーローズプロパティ

不動産売却と大阪府の離婚後ペアローンを2人で残す場合の注意点と妻が大阪市マンションに住み続ける判断ガイド

  • #
お問い合わせはこちら

離婚後もペアローンは2人のまま|大阪市のマンションを「妻が住み続ける」前に確かめる4つのこと

離婚後もペアローンは2人のまま|大阪市のマンションを「妻が住み続ける」前に確かめる4つのこと

2026/09/13

「家はお前と娘で住んでいい。ローンは俺が払い続けるから」。そう言われて、正直ほっとした。でも、何かが引っかかったまま夜にスマホで「ペアローン 離婚 住み続ける」と検索して、「末路」という見出しに怖くなって閉じてしまう。そんな夜を過ごしている方に向けて、この記事を書きました。

ここでは、その合意を決める前に確かめてほしい4つのことを、売却専門の不動産会社の立場から一緒に見ていきます。4つとは、家の型・外れられるか・団信・住宅ローン控除です。そのうえで、「売る」「住み続ける」「今は待つ」を家計の数字で並べる方法もお伝えします。読み終わる頃には、今日やることが1つ決まっているはずです。

株式会社ヒーローズプロパティ

株式会社ヒーローズプロパティ

一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

〒532-0003
大阪府大阪市淀川区宮原4丁目4−64
新大阪千代田ビル9階C号室

06-6842-7377

目次

    第1章:「家は妻に、ローンは夫に」は、住み続ける側が先に止めないといけない

    この章では、一番ありがたく見えるあの提案が、実は「名義もローンも2人のまま放置する案」になっていることを確かめます。仕組みの話はまだしません。気づくところから始めましょう。

    ▶ 土曜の夜10時、リビングで

    大阪市西区の築8年のマンション。小学2年生の娘さんが寝たあと、Aさん(38歳・医療事務)はリビングでスマホを見ています。夫は今週から実家に戻り、来週、家のことを最終確認する予定。夫の言葉は「学区があるから、家はお前と娘で住んでいい。ローンは俺が払う」でした。

    ありがたい。本当にそう思う。でも、頭の片隅でこんな声がしていませんか。「私の名前、ローンのどこに残ってるの」「5年後に彼が払えなくなったら、この家はどうなるの」。この引っかかりは、正しいです。

    なお、この記事では読みやすさのために「妻が住み続け、夫が家を出る」形で書いていますが、逆の場合でも中身は同じです。「住み続ける側」と「家を出る側」に読み替えてください。

    ▶ 離婚しても、ローンは離婚しない

    最初の気づきはこれだけです。離婚届を出しても、銀行との契約は1ミリも変わりません。 離婚は夫婦の関係を終わらせる手続きで、ローンは銀行との約束。別の話なんです。

    だから「家は妻に、ローンは夫に」と2人で決めても、銀行の帳簿には離婚前と同じ名前が同じ立場で残ります。夫が払えなくなったとき、請求が来るのは、家に住んでいるあなたのところかもしれません。そして競売(銀行が担保の家を強制的に売る手続き)にかけられるのは、あなたと娘さんが暮らしているその家です。

    ▶ 珍しい話ではありません

    「うちだけこんなややこしいことに」と思うかもしれませんが、そうでもありません。大阪府の離婚件数は年間1万4千件を超え、離婚率は全国でも高い方です(2023年・人口動態統計)。住宅ローンをペアローンか収入合算(2人の収入を合わせて1本のローンを組む形)で組んでいる方は、全体の約4割。30代に限ると、ペアローンの割合はさらに高くなります(住宅金融支援機構の調査)。大阪市内で「離婚と2人名義のローン」を同時に抱える方は、毎年たくさんいるということです。

    ▶ 「止める」のは離婚ではなく、口約束です

    ここで「止める」と言っているのは、離婚そのものではありません。「家は妻に、ローンは夫に」という口約束を、確かめたうえでの合意に変えるということ。住み続ける側のあなたにとって、止めるのは一見不利に見えます。相手の気が変わるかもしれないし、「疑ってるの?」と言われるかもしれない。

    でも、相手が払えなくなる可能性は誰にでもあって、そのとき影響を受けるのは家に住んでいるあなたと娘さんです。相手を疑うためではなく、2人と娘さんを守るために、住み続ける側が先に止める。私たちは売却専門の不動産会社ですが、「だから売った方がいい」とは言いません。まず4つ確かめて、それから決める。この順番だけは守ってほしいと思っています。

    じゃあ、何から確かめるのか。最初は「自分の家が、どの型のローンなのか」です。次の章で、契約書を開いて一緒に見ていきましょう。

    第2章:確認1|自分の家が「2本のローン」か「1本を2人で」かを、契約書で当てる

    この章では、「名義もローンも2人の家」に3つの型があることと、あなたの家がどれなのかを契約書で当てる方法を話します。ここが分かると、離婚後に自分の名前がどこに残るのかが見えてきます。

    ▶ 「名義」と「ローン」は別のもの

    先に、売却の現場でいつも感じる大事な話を1つ。名義(登記=法務局に登録された持ち主)と、債務(ローン=銀行との契約)は別物です。 離婚協議で「家は妻のもの」と決めれば、名義は手続きで妻に移せます。でも、それでローンの名前が変わるわけではありません。

    離婚協議で決まるのは、基本的に名義の方だけ。ローンの方は、銀行が「はい」と言わない限り動きません。ここを混ぜてしまうと、「家は私のものになったのに、彼のローンの保証人のまま」という状態が生まれます。

    ▶ 3つの型を早見表で

    言葉で説明するとこうなります。

    ペアローンは、夫と妻がそれぞれ別の契約でローンを組む型。契約は2本です。多くの場合、お互いが相手のローンの連帯保証人(借りた人が払えないとき、代わりに払う約束をした人)になっています。Aさんの家はこの型で、夫2,900万円・妻1,900万円の2本(金額は例です)。家を出た夫の名前は「夫のローンの借主」と「妻のローンの連帯保証人」の2か所に残ります。

    連帯債務は、1本のローンを2人が「それぞれ全額」の責任で背負う型。フラット35でよく使われます。契約は1本ですが、銀行から見ると2人とも借主。家を出た側の名前は「連帯債務者」欄に残ります。

    連帯保証は、1本のローンで借主は1人、もう1人が連帯保証人になる型。契約は1本で、家を出た側が借主なら「借主」欄に、保証人なら「連帯保証人」欄に名前が残ります。

    ▶ 手を動かす:3つの書類を出して、名前を丸で囲む

    ここからが今日の作業です。用意するのは次の3点。

    1.金銭消費貸借契約書(ローンを借りたときの契約書。銀行名が入った分厚い書類です)

    2.返済予定表(毎月の返済額と残高が並んだ表。銀行から郵送やネットで見られます)

    3.登記事項証明書(法務局で取れる、家の持ち主と持分が書かれた書類。ネットでも請求できます)

    契約書を開いたら、「借主」「連帯債務者」「連帯保証人」の3つの欄を探してください。そして、自分の名前が出てくる場所に丸を付ける。 夫の名前にも別の色で丸を。契約書が2通あればペアローン。1通で「連帯債務者」欄に2人の名前があれば連帯債務。1通で「連帯保証人」欄に片方の名前があれば連帯保証です。

    Aさんの場合、自分の1,900万円の契約書には「借主:A」と書かれていました。そして夫の2,900万円の契約書には「連帯保証人:A」。つまり、夫が払えなくなれば、自分の1,900万円に加えて夫の分も請求される立場だった、ということです。「ローンは俺が払う」の裏側に、自分の名前が2か所あった。この事実を知るだけで、来週の話し合いの中身が変わります。

    ▶ 持分と借入額のズレにも目を向ける

    登記事項証明書には「持分」(夫6:妻4 のような所有の割合)が書かれています。この持分と、2人の借入額の比率がズレていることがあります。Aさんは頭金300万円のうち200万円を親御さんが出していました。この分をどう扱うかで、財産分与のときにお金の話が絡んできます。ここは第5章で触れますね。

    家の型が当てられたら、次に出てくる疑問はこれです。「じゃあ、私(または夫)は、そのローンから外れられるの?」。第3章では、銀行に聞く前に知っておきたい「答えの型」を一緒に見ていきます。

    第3章:確認2|「外れられるか」を銀行に聞く前に、答えの型を知っておく

    この章では、「銀行に言ったら一括で返せと言われるのでは」という恐怖を、「何を用意して、何を聞くか」に変えます。外れられる3つのルートと、外れられないときにどうなるかを正直に書きます。

    ▶ 銀行が「原則応じない」のには理由がある

    まず、多くの方が怖がっている「銀行に離婚を伝えたら、一括で返せと言われる」について。私たちの理解では、離婚を伝えたこと自体で即座に一括請求になるケースは多くありません。銀行が困るのは「払われないこと」であって、「離婚したこと」ではないからです。

    ただし、「連帯保証人から外してほしい」「連帯債務者から抜けたい」という相談には、銀行は原則として応じません。理由はシンプルで、そのローンは2人の返済能力を合わせて審査したからです。片方を外すと、貸したときの前提が崩れる。だから「外れたければ、外れても大丈夫な状態を作ってください」というのが銀行の答えになります。

    ▶ 外れる3つのルート

    外れられる道は、大きく3つです。

    ルート1:残る側が単独で借り換える。 家に住み続ける側が、自分1人の名前で新しいローンを組み、今の2本(または1本)を完済する方法。Aさんの場合、残債の合計4,300万円を年収380万円で1人で借りることになります(いずれも例)。これが通るかどうかは銀行によって異なりますが、正直なところ、簡単な審査ではないと思っておいた方がいいです。

    ルート2:代わりの連帯保証人を立てる。 出て行く側の代わりに、親御さんなどが保証人になる方法。ただし、銀行が認めるかどうかは相手次第で、認めない銀行も少なくありません。それに、親御さんの人生に自分のローンを背負わせることになります。

    ルート3:完済する=家を売る。 家を売ったお金でローンを全部返せば、2人の名前は一度に消えます。これが、ペアローン・連帯債務・連帯保証のどの型でも共通する「一番確実な解除の方法」です。

    ▶ 「売却が最短の解除手段になる」条件を正直に

    ここは売却専門の私たちが書くと「結局売れって言うんでしょ」と思われそうなので、条件をはっきり書きます。売却が最短になるのは、ルート1の借り換え審査が通らず、ルート2の保証人も立てられないときです。逆に言えば、借り換えが通るなら、売らずに住み続ける道は開けます。

    私たちには融資の商品も、購入のお客様をご紹介する仕事もありません。だから「借り換えましょう」と勧める動機も、「売りましょう」と急がせる動機も、構造的に薄いんです。その立場から見ると、世の中の「借り換えで解決」という記事の多くは、借り換え商品を持つ側が書いています。悪いことではありませんが、「通らなかった人がどうするか」がそこには書いていない。この記事は、そこも書きます。

    ▶ 銀行に持って行くもの

    銀行の窓口に行く前に、次の2つを揃えてください。

    返済予定表(今の残高と月々の返済額が分かるもの)

    源泉徴収票(残る側の直近のもの。単独で借り換えられるかの判断材料になります)

    契約書のコピーもあれば安心です。「離婚を考えていて、ローンの名義について相談したい」と電話で予約すると、ローン担当の方につないでもらえることが多いです。

    ▶ 銀行に聞く3つの質問

    窓口で聞くことは、この3つに絞ってください。

    1.「私の名前は、このローンのどの立場で残っていますか?」(借主・連帯債務者・連帯保証人のどれか。第2章で丸を付けた答え合わせになります)

    2.「単独名義に切り替える審査の条件は何ですか?」(年収・残高・勤続年数など。ルート1が現実的かどうかがここで分かります)

    3.「一括請求になるのは、どんな条件のときですか?」(滞納が何か月続いたとき、など。恐怖を「条件」に変える質問です)

    この3つの答えをメモして帰ってくれば、怖さの正体が変わります。「言ったら一括請求される」という漠然とした怖さが、「こういう条件を守れば大丈夫」という具体的な話になるからです。Aさんも、質問2の答えを聞いて「1人での借り換えは今の年収では厳しい」と分かりました。がっかりする答えですが、知らないまま5年過ごすよりずっといい。

    外れられるかどうかが見えてきたら、次は離婚協議で誰も口にしない2つの話です。「万一のとき」と「毎年の税金」。第4章で、団信と住宅ローン控除を見ていきましょう。

    第4章:確認3・4|団信と住宅ローン控除は、出て行く側と残る側でこう変わる

    この章では、離婚の話し合いでまず出てこない「団信」と「住宅ローン控除」が、離婚後にどう変わるかを話します。どちらも家計に直接響くのに、弁護士さんも銀行も、離婚の文脈ではあまり教えてくれない部分です。

    ▶ 確認3:団信は「誰の分が消えるか」を知っておく

    団信(団体信用生命保険。ローンを借りた人に万一のことがあったとき、保険金でローンが返済される仕組み)は、型によって入り方が違います。

    ペアローンなら、2本それぞれに各自が加入しています。夫に万一のことがあれば夫の2,900万円は保険で消えますが、Aさんの1,900万円はそのまま残ります。逆もそうです。「片方に何かあっても、その人の分だけ」と覚えておいてください。

    連帯債務の場合、フラット35では加入の形が2つあります。「どちらか1人が加入する」か、夫婦で加入する「デュエット」(夫婦連生団信)か。1人だけの加入なら、もう1人に万一があってもローンは1円も減りません。民間の銀行では、主債務者だけが加入する形が一般的で、2人とも保障される「連生団信」を扱う銀行もあります。契約書と一緒に団信の申込書も探して、誰が加入しているかを確認してください。

    ▶ 元夫に万一があったとき、家はどうなる?

    ここに、離婚後ならではの盲点があります。ペアローンで元夫に万一のことがあった場合、元夫のローンは団信で消えます。よかった、と思いますよね。でも、元夫の持分(Aさんの家なら6割)は、元夫の相続人へ行きます。

    離婚していれば、元妻のAさんは相続人ではありません。相続人になるのは娘さん(子は離婚後も相続人です)と、元夫が再婚していればその配偶者や子。つまり、住んでいる家の6割を、会ったこともない人と共有することになる可能性があるんです。名義を移さないまま「住み続ける」を選ぶと、この形が5年後、10年後に待っていることがあります。

    ▶ 確認4:住宅ローン控除は「住んでいる人」しか受けられない

    住宅ローン控除(年末のローン残高に応じて所得税などが戻ってくる制度)には、国税庁が示す居住の要件があります。1つは、取得から6か月以内に住み始めていること。もう1つは、**「控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること」**です(国税庁 タックスアンサー No.1213)。

    これを離婚に当てはめると、こうなります。夫が家を出て、年末に住んでいなければ、夫はその年から自分のローン分の控除を受けられません。 住み続けるAさんが受けられるのは、自分の1,900万円分の控除だけ。夫の2,900万円分の控除を、代わりにAさんが受けることはできません。

    「ローンは俺が払う」と夫が言ってくれても、夫は控除を失い、Aさんは自分の分しか戻らない。世帯で見ると、これまで戻っていた税金の一部が丸ごと消えることになります。額は残高や所得で変わりますが、年単位で見るとまとまった金額になりやすいです。この差を知らずに「今のまま」を続けると、払う側の負担は、返済額の上昇と控除の消失で2重に増えていきます。

    ▶ FP の視点で「家計の年表」に置く

    ここで、ファイナンシャル・プランナー(家計と保険・税金を横断して見る資格。代表は2級を持っています)の視点を1つ足します。団信も控除も、効いてくるのは「離婚したその年」ではなく「3年後・5年後」です。団信は万一のときの話、控除は毎年の話。

    離婚協議の席では、感情と学区の話で手一杯になりがちです。だからこそ、この2つを紙に書き出して、「来年」「3年後」「5年後」の列に置いてみてください。それだけで、話し合いの土台が「気持ち」から「年表」に変わります。

    住宅ローン控除の細かい話は、確定申告の時期に合わせて別の記事で書く予定です(離婚した年の控除の扱い方)。

    さて、4つの確認が揃いました。家の型、外れられるか、団信、控除。ここからが本題です。次の章で、「売る」「住み続ける」「今は待つ」を、同じ項目で3列に並べてみましょう。

    第5章:4つを確かめた上で、「売る」「住み続ける」「今は待つ」を家計の数字で並べる

    この章では、感情ではなく家計の表で決めるための「3列比較表」を、Aさんの数字を例にして一緒に埋めていきます。3つの選択肢を同じ項目数で並べるのがポイントです。「売る」を有利に見せるつもりはありません。

    ▶ 列1:売る ── 「いくらで売れるか」より「いくら残るか」

    Aさんの頭にある問いは「いくらで売れますか?」ではなく、「いくら残るの?」ですよね。だから、手取りから逆算します。数字はすべて「例」です。Aさんの想定値であって、あなたの家の数字ではありません。

    ●売却価格(想定):4,600万円

    ●残債(2本の合計):約4,300万円

    ●諸費用(仲介手数料・登記・印紙など、試算):約180万円

    手取り(例):約120万円

    この約120万円をどう分けるかが財産分与の話になります。2026年4月に施行された民法改正で、財産分与は「2分の1が原則」と明文化されました。請求できる期間も、離婚から2年→5年に延びています。ただし、Aさんの親御さんが出した頭金200万円は「特有財産」として扱われる可能性があります。特有財産とは、結婚前の貯金や親からの贈与など、夫婦で築いたものではない財産のことです。ここは弁護士さんの領域なので、金額と証拠(振込の記録など)を揃えて相談してください。

    税金についても2つ。財産分与で受け取る側には、贈与税は原則かかりません(国税庁 No.4414)。ところが、家そのものを分与する(渡す)側には、渡した時点の時価で譲渡所得の課税が行われることになります(国税庁 No.3114)。「家をあげるだけなのに税金?」と驚く方が多い部分なので、渡す形を選ぶときは税理士さんに確認してください。

    もし売却価格が残債を下回る「オーバーローン」なら、話は別の道に入ります。その場合の進め方はこちらの記事で書いています

    「【大阪】ローン残債がある家の不動産売却!安全に売る手順と対策」

    ▶ 列2:住み続ける ── 5年後の「3つの変数」を入れる

    住み続ける場合、家計は「夫が払い続けられるか」に全面的にかかっています。数字は借入時の条件(変動金利0.75%・35年・元利均等)でざっくり計算した例です。

    ●夫の返済(2,900万円・35年・元利均等・金利0.75%):月約78,500円 → 金利が0.25%上がって1.0%になると月約81,900円

    ●Aさんの返済(1,900万円・同条件):月約51,400円

    ●住宅ローン控除:夫の分が消える(第4章)

    ●管理費・修繕積立金:築8年なら、今後の改定で上がる可能性も

    ここに、夫側の3つの変数を書き加えてください。「再婚」「転職」「病気」。どれも悪意ではなく、普通に起こることです。再婚して新しい家庭の家計が増えれば、元の家のローンは後回しになりやすい。転職で収入が下がれば、返済額の上昇と重なる。病気で働けなくなれば、団信の対象になるかどうかで結果が変わる(第4章)。

    そして忘れがちなのが、Aさん自身の1,900万円はAさんが払い続けるということ。「ローンは夫が払う」は、夫の分の話です。自分の分の月約51,400円と、娘さんの教育費と、一人親になった後の家計。この3つを並べたとき、5年後も今の家に住めているかを冷静に見てください。

    ▶ 列3:今は待つ ── 待てる「条件」を書く

    「今は決めない」も1つの選択です。財産分与は5年あるので、法律上は待てます。ただし、ローンの引き落としは来月も来ます。 待てるのは、次の3つが揃っているときだけだと私たちは考えています。

    1.2人とも、今の返済を払い続けられる(別居後の2つの生活費を含めて)

    2.周辺の中古マンション価格が上向きか、少なくとも下がっていない(築浅で駅に近い物件は動きが読みやすい面もありますが、局面は変わります)

    3.「名義」と「債務」をどうするかを、口約束ではなく書面にしてある(公正証書など。弁護士さんに相談を)

    3つとも揃っていないなら、「待つ」は「決めていないだけ」になりがちです。逆に揃っているなら、焦って売る必要はありません。

    ▶ 3列を並べて、初めて見えること

    売る:手取りは少ないけれど、2人の名前が一度に消える。住み続ける:学区は守れるけれど、5年後の家計は夫の3変数に左右される。待つ:時間は買えるけれど、条件付き。

    こうして並べると、「正解」が1つに決まるわけではないことが分かると思います。Aさんの場合なら、娘さんが小学校を卒業するまでの4年間を「条件付きで待つ」と決める。そのうえで、条件が崩れたらすぐ売却に動けるよう準備しておく。そういう選択もあります。大事なのは、感情で「今のまま」を選ぶのではなく、3列を自分の数字で埋めて、相手と一緒に見ることです。

    手取りの出し方は、note で書いた「査定より先に確かめる3つのこと」の「残債から手取りの4段」も参考になると思います

    「家を売ろうか迷ったら、査定より先に確かめる3つのこと」

    もし3列を見て「売る」に傾いたなら、ペアローンの家には売り方の順番があります。次の章で、間違えやすいところを先にお伝えします。

    第6章:それでも売ると決めたとき、ペアローンの家で順番を間違えないために

    この章では、3つの疑問に売却の現場の立場から答えます。「離婚届が先か、売却が先か」「相手に知られずに動けるか」「買い叩かれないか」。売ると決めた後も、急ぐ必要はありません。

    ▶ ① 売買契約には、共有者2人の署名が要る

    一番大きな注意点はこれです。家が2人の名義なら、売買契約書には2人とも署名・押印が必要です。片方だけでは売れません。

    ここで怖いのが、離婚後に相手と連絡が取りづらくなること。感情のもつれで返事が来ない、引っ越し先を教えてもらえない、となると、買主さんが決まっても契約が進みません。だから「売る」と決めたなら、まだ話ができるうちに約束しておくことが大事です。売却に必要な協力(署名・書類の提出・決済日への出席)を、できれば書面で

    ▶ ② 決済日に、2本のローンを同時に完済する

    ペアローンの場合、決済日(買主さんからお金を受け取り、家を引き渡す日)にやることが2つ重なります。夫の銀行と妻の銀行の両方で完済の手続きをすること。そして、抵当権(銀行が家に付けている担保の権利)を抹消すること。銀行が2社に分かれていれば、それぞれに事前に「完済予定日」を伝え、必要な書類を揃えてもらう段取りが要ります。

    この日程調整は、売却を担当する不動産会社と司法書士さんが進めます。ただ、売主様側で早めにやっておくと助かることが1つ。「2社の銀行に、売却で完済する予定だと伝えておくこと」です。第3章の窓口相談のときに一緒に伝えておくと、話が早いです。

    ▶ ③ 離婚の前と後、どちらで売るか

    これは状況によって変わります。話ができるうちに一緒に動ける「離婚前」の方が進めやすいことが多いです。ただ、財産分与の扱いや相手との距離感によっては、「離婚後」が向くこともあります。離婚のときの売却全体の流れは、こちらの記事にまとめています

    「離婚の不動産売却(大阪)で損しない手順!ローン・税金対策」

    ▶ 「相手に知られずに査定だけ」はできる。でも売り出しはできない

    「まず、相手に内緒で家の価値を知りたい」という気持ちは自然なことです。机上査定(家を見に来ずに、資料と周辺の取引事例から出す査定)なら、相手にも近所にも知られずに受けられます。 3列比較表の「売却価格」の欄を埋めるのには十分です。

    ただ、正直に書きます。共有者に黙って家を売り出すことはできません。第6章の①のとおり、契約には2人の署名が要るからです。「査定までは1人で」「売り出しからは2人で」。この線引きを知っておくと、無駄に不安になったり、逆に無理な進め方をしたりせずに済みます。近所に知られずに売る方法は、こちらでも書いています

    「大阪で不動産売却を早期現金化!近所に知られず売るコツ」 

    ▶ 「買い叩かれないか」という不安に

    離婚の売却で私たちがよく感じるのが、「足元を見られるのでは」という不信です。ここは私たちの立場をはっきり書いておきます。私たちは買取業者ではなく、仲介(売主様と買主様の間に立つ立場)です。売却の依頼を受けた物件を自社で抱え込み、他社の購入希望を通さない「囲い込み」はしません。 他社の買主様からの申し込みも、そのまま売主様にお伝えします。購入のお客様を抱えていないので、「自社のお客様に安く売らせる」動機もありません。

    新大阪・梅田から近い大阪市内の築浅マンションは、私たちの事務所(淀川区宮原)からも動きやすいエリアです。売ると決めたあとも、「急いで安く」ではなく「2人の名前がきちんと消える形で」を優先して進めます。

    さて、ここまで長い道のりでした。最後に、4つの確認をもう一度並べて、今日からやることを3段に分けて整理します。

    第7章:まとめ+次のアクション

    この章では、4つの確認を1枚にまとめて、記事を閉じた直後にできることを「今日」「1週間以内」「相談したくなったら」の3段で書きます。全部やらなくて大丈夫。まず1つだけ。

    ▶ 4つの確認をもう一度

    1.家の型:ペアローン(2本)か、連帯債務(1本を2人が全額)か、連帯保証(1本で借主1人・保証人1人)か。契約書の「借主」「連帯債務者」「連帯保証人」欄で当てる

    2.外れられるか:単独借り換え・代わりの保証人・完済(売却)の3ルート。銀行に3つの質問をする

    3.団信:誰の分が消えて、誰の持分が相続人に行くか

    4.住宅ローン控除:出て行った側はその年から受けられない。世帯の税負担がどう変わるか

    ▶ 今日できること

    契約書・返済予定表・登記事項証明書を探して、自分と相手の名前に丸を付ける。 それだけです。契約書が見当たらなければ、銀行に再発行や写しの請求ができます。登記事項証明書は法務局のオンライン請求で取れます。今夜は探すところまでで十分。

    ▶ 1週間以内にすること

    1.3列比較表を、自分の数字で埋める。 売却価格の欄は机上査定で。残債は返済予定表で。返済額は今の引き落とし額で

    2.相手と一緒に表を見る時間を作る。 「疑ってる」ではなく「2人とも困らない形を探したい」と伝えると、話が進みやすいです

    3.銀行に電話で予約して、3つの質問をする。 返済予定表と源泉徴収票を持って

    ▶ 相談したくなったら

    役割分担を知っておくと、相談先で迷いません。離婚の条件・財産分与・特有財産は弁護士さん。ローンの名義と審査は銀行。家の価格と売り方は不動産会社。 それぞれ得意な領域が違うので、1か所で全部を聞こうとしなくて大丈夫です。

    私たちは売却専門の不動産会社ですが、3列比較表を一緒に見た結果が「売らない」でも構いません。それが4つを確かめたうえでの答えなら、その方がいいと本気で思っています。机上査定は、相手にも近所にも知られずに受けられます。

    おわりに

    ここまで読んでくださって、ありがとうございます。長い記事になりましたが、伝えたかったことは1つです。「家は妻に、ローンは夫に」という一番ありがたく見える提案を、住み続けるあなた自身が一度止めて、4つ確かめてから決めてほしい、ということ。

    止めるのは勇気がいります。相手を疑っているように見えるかもしれない。でも、確かめたうえでの合意は、口約束よりずっと2人を守ります。今夜、契約書を探すところから始めてみてください。丸を付けた名前が、来週の話し合いの土台になります。あなたと娘さんの暮らしが、5年後も安心して続いていることを、心から願っています。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    〒532-0003
    大阪府大阪市淀川区宮原4丁目4−64
    新大阪千代田ビル9階C号室

    06-6842-7377

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。