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相続人に連絡が取れない大阪市の実家|3つに分けて決める最初の一手

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相続人に連絡が取れない大阪市の実家|3つに分けて決める最初の一手

相続人に連絡が取れない大阪市の実家|3つに分けて決める最初の一手

2026/10/11

相続人に連絡が取れない大阪市の実家|3つに分けて決める最初の一手

親の相続で、きょうだいの1人とどうしても連絡が取れない。司法書士さんには「その方の判子がないと協議書が作れません」と言われ、実家は空き家のまま、固定資産税だけが毎年届く……。そんな状態で止まっていませんか。

この記事では、「連絡が取れない」を3つの型に分けます。あなたの家がどれに当たるかが決まれば、最初の一手と、手続きを待つ間に進められる売却の準備が分かります。後半では、協議書ができてから売り出し・契約・決済までの流れも、カレンダーで見通せるようにしました。

書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年、宅地建物取引士として売主様の側で仕事をしてきました。写真撮影も販売図面づくりも内覧の立ち会いも、私が自分でしています。

読みながら「うちの場合は?」と思ったら、公式LINEに一言どうぞ。売るかどうか決める前でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する

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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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目次

    第1章:先に整えるのは「売却を進める根拠」——連絡が取れない人がいる実家で、止まることと止まらないこと

    第1章:先に整えるのは「売却を進める根拠」——連絡が取れない人がいる実家で、止まることと止まらないこと

    この章では、連絡が取れない相続人がいるとき「何が止まって、何は止まらないのか」をはっきりさせます。ここが分かるだけで、肩の力が少し抜けるはずです。

    ▶ まず正直に。その人を飛ばして売ることはできません

    最初に、耳の痛いことからお伝えしますね。遺言がなく、協議で遺産を分ける場合は、親の家を誰がどう受け継ぐかを相続人全員の話し合いで決めます。これを遺産分割協議(相続人みんなで遺産の分け方を決めること)といいます。連絡が取れない方がいても、その方を抜きにして話し合いを終わらせることはできません。

    ネットで「勝手には売れません」と書かれているのは、このことです。ここは、どなたに聞いても同じ答えになるところです。

    ただ、ここで「じゃあ何もできない」と思ってしまうのは、少しもったいないんです。

    ▶ 売却の流れで、先に確認すること

    家を売るまでの流れを、ざっくり5つに分けてみます。

    1. 査定(いくらくらいで売れそうかを出す)

    2. 媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)

    3. 売り出し(ネットに載せて買主を探す)

    4. 売買契約(買主と契約を結ぶ)

    5. 決済(代金を受け取り、家を引き渡す)

    この記事では、遺産分割で売却する人を決めてから進む道を中心に説明します。この道では、2の媒介契約以降に進む前に、協議書などで誰が家を取得し、売却する権限を持つのかを確認します。ただし、協議書だけが唯一の方法ではありません。調停が成立すれば調停調書、審判が確定すれば審判書と確定証明書など、その結果を示す書類で進められる場合もあります。家を全体として売るための権限と必要書類を司法書士・弁護士に確認してください。1の査定や、家の状態の記録、荷物の見通しを立てることは、今日からでも始められます。

    もう1つ、知っておいてほしいことがあります。協議書などで売却する権限と方針が確認できれば、相続登記(家の名義を親から相続人に変える手続き)の完了前でも、媒介契約→売り出し→売買契約まで進められる場合があります。ただし、決済には買主へ確実に所有権を移せる書類と条件が必要です。登記の申請と法務局での完了は別なので、相続登記を先に完了させるか、決済当日の連件申請が可能かを司法書士・金融機関と事前に調整します。

    「全部止まっている」と感じていても、まず整えるべきなのは、売却する権限を確認できる根拠です。協議書の署名を集める道も、裁判所の手続きを使う道もあります。家を見に行く、値段を知る、荷物の量をつかむ。署名がそろう日を待たずに、ここまでは動かしておけます。

    査定や家の記録は先に進める。媒介から先は売却権限と方針を確認し、決済には必要書類と登記条件を整える

    ▶ 連絡が取れない人は、こうして生まれます

    「うちだけ、こんなややこしいことになって」と思っている方も多いのですが、実は珍しいことではありません。昔に家を出て疎遠になったきょうだい。親の再婚で、会ったことのない異母きょうだい。若いころに家出をしたまま、という人もいます。

    大阪市の古い戸建てや長屋で多いのが、祖父や祖母の名義のまま代替わりしてしまった家です。名義を変えないまま次の相続が起きると、相続人がいとこや甥・姪にまで広がり、「名前も顔も知らない相続人」が出てきます。もし登記簿を見て祖父の名前が出てきたら、まずは司法書士さんに相続人の範囲を洗い出してもらうところからです。

    ▶ 2027年3月31日の期限は、脅しではなく「区切り」として

    2024年4月から相続登記が義務になりました。それより前に不動産を相続で取得したことを知っていた場合、原則2027年3月31日が申請期限です。施行後に取得を知った場合は、その日から3年以内が基本です。話し合いがまとまらない間は「相続人申告登記」(自分が相続人だと法務局に申し出る手続き)で、申し出た人の当初の申請義務を果たせます。ただし、売却のための相続登記の代わりにはならず、遺産分割後には別途、その結果に基づく登記義務があります。

    あわてて売り方を決める必要はありませんが、期限への対応は今から相談してください。家を売るなら、相続人申告登記とは別に、相続登記と買主への移転の段取りが必要です。税の特例には登記とは別の期限もあるので、第4章の年表と一緒に確認しましょう。

    参考:法務省・相続登記の申請義務化Q&A

    きょうだいと連絡は取れるけれど、意見が合わない。そんな方には、話し合いの材料をまとめた記事があります → きょうだいで相続した大阪市の実家、「全員の同意」の前に揃える4つの材料

    先に整えるのは売却を進める根拠です。では、協議や裁判所の手続きへ進むために何から始めるのか。カギは、連絡が取れない人が「どの状態なのか」を先に決めることです。

    第2章:「連絡が取れない」を3つに分ける——住所不明・返事がない・行方不明の見分け方

    第2章:「連絡が取れない」を3つに分ける——住所不明・返事がない・行方不明の見分け方

    「連絡が取れない」とひとことで言っても、中身はご家庭ごとにまったく違います。この章では、手元の情報で「どの状態なのか」を仮に決める方法をお話しします。型が決まると、最初に動く相手が決まります。

    ▶ 架空のBさんの話

    ここで、架空の例を1つ置かせてください。

    Bさん(63歳)は茨木市にお住まいで、2023年にお母様を亡くしました。実家は大阪市旭区の木造2階建て、築52年。相続人はBさん、堺市に住む妹さん、そして弟さんの3人です。弟さんは2008年ごろに家を出て、2014年ごろから年賀状も途絶えました。電話番号はもう使われていません。

    司法書士さんに相続登記を頼んだら「弟さんの分が揃わないと協議書が作れません」と言われ、そこから1年半。月に1回、実家の窓を開けに行くたびに、ポストの「持分だけでも買い取ります」というチラシにため息をつく。妹さんからは「お兄ちゃん、どうするの」と聞かれ、返す言葉が見つからない。

    「弟は住所が分からんだけなんか、ほんまに行方が分からんのか、それすら分からへん」。これが、多くの方のスタート地点だと思います。

    ▶ 物差しは2つだけ

    型を分ける物差しは、2つだけにします。

    ・物差し①:その方の今の住所を、書類でたどれるか(戸籍の附票=住所の移り変わりが記録された書類で、住所が出るか)

    ・物差し②:その住所に手紙を送ったら、反応があるか

    この2つで、次の3つに分かれます。

    型状態最初の一手主な相談先
    型1 住所が分からないだけ附票で今の住所が出る。まだ手紙を出していない附票で住所を確かめて、手紙を出す本籍地の役所・司法書士
    型2 住所は分かるが返事がない所在は確認できているが、連絡に反応がない遺産分割調停という手続きの名前を知って、弁護士に相談弁護士
    型3 行方が分からない附票の住所に住んでいないなど、調べても所在が分からない。生死不明の場合もある不在者財産管理人という手続きの名前を知って、司法書士か弁護士に相談司法書士・弁護士
    住所と連絡状況を整理する3つの型。郵便の到達だけで所在を断定せず追加調査する

    ▶ 落とし穴は「型2を型3だと思い込むこと」

    ここで1つ、遠回りしやすいポイントがあります。

    返事がないと、つい「行方不明みたいなもの」と思ってしまいますよね。でも、所在が確認できているのに返事がないだけでは、通常、不在者財産管理人の制度を使う理由にはなりません。一方で、郵便が戻らなかったことだけで、本人がそこに住んでいると断定することもできません。附票は住民登録上の住所の手がかりです。実際の所在や連絡状況を追加で調べ、管理人の要件に当たるかを専門家に確認してください。

    逆に、Bさんのように「何も分からない」状態は、まだ型1か型3か決まっていないだけ。附票を取ってみたら、今の住所が普通に出てくる可能性もあります。住所の手がかりがない場合は、まず附票の取得方法を確かめるところからです。すでに所在が確認できている場合は、その情報を持って相談できます。

    最初に型を決めないまま動くと、相談先を行ったり来たりして、時間がかかりやすくなります。

    ご自分の家がどれに当たるか分からないときは、LINEで状況を2〜3行送ってください。たとえば「母の相続で、弟と十数年連絡が取れていません。昔の住所は分かります。実家は旭区の戸建てです」くらいで大丈夫です。→ 公式LINEで相談する

    型が仮に決まったら、次は動く番です。一番多いスタート地点の型1から、附票の取り方と手紙の中身を見ていきます。

    第3章:型1「住所が分からないだけ」なら——戸籍の附票で住所をたどり、最初の手紙を出すまで

    第3章:型1「住所が分からないだけ」なら——戸籍の附票で住所をたどり、最初の手紙を出すまで

    この章では、戸籍の附票で住所をたどる入口と、最初の手紙に何を入れるかをお話しします。読み終えたら、今週中に1つ動ける状態を目指します。

    ▶ 戸籍の附票ってなに?

    戸籍の附票は、その戸籍に入っている人の住所の移り変わりが記録された書類です。住民票を移すたびに書き足されていくので、たどっていけば今の住所に行き着くことがあります。相続の手続きでは、相続人の住所を調べる手がかりとしてよく使われます。

    請求する先は、本籍地の市区町村です。弟さんが結婚して別の戸籍を作っている場合は、その新しい本籍地の役所になります。親の戸籍をたどると、弟さんがどこに本籍を移したかが分かる、という順番ですね。

    ▶ 自分で取るか、司法書士さんに任せるか

    他の相続人の附票を自分で請求するとき、どんな書類が要るかは、役所ごとに案内を確かめるのが確実です。「相続の手続きで、弟の附票を取りたい。何を持って行けばいいですか」と、本籍地の役所に電話で聞いてみてください。

    すでに相続登記を司法書士さんに頼んでいるなら、附票の取り寄せもまとめてお願いできないか、聞いてみるのが近道です。戸籍を集める作業の延長なので、話が早いことが多いです。

    ▶ 最初の手紙は「責めない・急がせない・選択肢を渡す」

    住所が分かったら、手紙を出します。十数年ぶりの連絡です。Bさんも、書き出しで何度も手が止まるはずです。

    心がけたいのは3つ。責めないこと、急がせないこと、そして相手が選べるようにすること。何年も連絡していない相手にとって、突然の手紙は身構えるものです。「なんで今まで連絡せえへんかったんや」という気持ちがあっても、その一行は入れないでください。

    手紙に書くこと・同封するもののチェックリストを置いておきます。

    ・☐ お母様が亡くなったことと、その日付

    ・☐ 実家の今の様子(空き家になっていること、固定資産税を誰が払っているか)

    ・☐ 家の値段の目安(不動産会社の査定のコピー)

    ・☐ こちらの連絡先と、返事をもらえるとありがたい時期の「目安」(期限として突きつけない)

    ・☐ 直接が気まずければ、弁護士や司法書士を通しての連絡でもかまわない、という一文

    文面そのものは、ご家族の関係によって変わるので、ここでは書きません。ただ、この5つが入っていれば、受け取った側が「何の話で、自分は何を選べばいいのか」をつかみやすくなります。

    Bさんの場合なら、旭区の実家の今の写真を1枚添えるのも一つの手です。弟さんが子どものころに過ごした家の、今の姿。長い説明より、状況がまっすぐ伝わることがあります。

    ▶ なぜ「値段の目安」を入れるのか

    3つ目の値段の目安は、意外に思われるかもしれません。でも、受け取る側の気持ちになってみてください。「実家の相続の件で」とだけ書かれた手紙は、いくらの話か分からないので、返事のしようがないんです。損をさせられるのでは、と警戒もされます。

    目安の金額と、その根拠になる紙が入っていると、「自分の取り分はこのくらいか」と考える材料になります。

    私は自社で家を買い取ることはしないので、査定を低く見せる理由がありません。手紙に入れる目安は、実際に売り出したらいくらくらいで売れそうか、という実勢の値段(実際の取引で売れる値段)でお出しします。

    ▶ 手紙を出したあとの3つの結果

    ・返事が来た → 話し合いへ。弟さんの意向を聞いて、協議書づくりに進みます

    ・「あて所に尋ねあたりません」で戻ってきた → 型3寄り。第4章へ

    ・返事がない → 所在を追加確認。本人の所在が確認できれば型2として第4章へ

    手紙が戻ってきても、返事が来なくても、それで終わりではありません。型2・型3には、それぞれ裁判所の手続きという別の道が用意されています。

    第4章:型2・型3なら——調停・不在者財産管理人・失踪宣告の名前と、「親が亡くなって何年目か」で変わる道

    第4章:型2・型3なら——調停・不在者財産管理人・失踪宣告の名前と、「親が亡くなって何年目か」で変わる道

    「家庭裁判所」と聞くと、何年もかかって何十万円も取られる所、という印象を持つ方が多いと思います。Bさんも、まさにそうでした。

    この章では、型2・型3の方が専門家に何を相談すればいいかを、手続きの名前と相談先の1枚表でお渡しします。制度の細かい説明はしません。「名前を知って、誰に、何を聞くか」までです。

    ▶ 型ごとの手続きの名前と相談先

    状態手続きの名前どこで相談先ひとこと
    型2 返事がない遺産分割調停家庭裁判所弁護士裁判所で、調停委員を間に入れて話し合う手続き
    型3 行方が分からない不在者財産管理人の選任不在者の元の住所地の家庭裁判所司法書士・弁護士行方の分からない方の代わりに財産を管理する人を、裁判所に選んでもらう
    型3で長く生死が分からない失踪宣告家庭裁判所司法書士・弁護士普通失踪は生死不明7年が要件。法律上死亡とみなす重大な制度なので、結果まで専門家に確認
    型ごとの手続きの名前と相談先と聞くこと。型2は遺産分割調停・弁護士、型3は不在者財産管理人の選任・司法書士か弁護士、長く生死不明なら失踪宣告

    ▶ 不在者財産管理人で知っておきたいこと

    型3でいちばん出てくるのが、不在者財産管理人です。裁判所の案内では、申立ての収入印紙は800円。ただ、管理人の費用が足りなくなりそうなときは、予納金(あらかじめ裁判所に預けるお金)を求められることがあります。金額は事情によって変わり、数十万円になる例もあります。大阪の場合の目安は、申立てを考えている家庭裁判所に確かめてください。

    もう1つ知っておきたいのが、管理人がついてもすぐに家を売れるわけではないことです。管理人が遺産分割の話し合いに加わったり、家を売ったりするには、家庭裁判所の許可(権限外行為許可)が別に要ります。

    「管理人が付いたら、安く売らされるんじゃないか」。そう不安になる方もいると思います。家庭裁判所が管理人向けに出している案内には、管理人の役目がこう書かれています。行方の分からない方のために財産を管理し、その方が現れたときに引き渡すこと。遺産分割でも、その方の法定相続分(法律で決まっている取り分)を確保する形が基本だと、専門家の解説ではよく書かれています。

    さらに同じ案内では、家を売る許可を求めるときに、売買契約書と、不動産業者の査定資料などを添えるよう求めています。値段が妥当かどうかを、裁判所が書類で確かめるわけです。細かい扱いは裁判所ごとに違うこともあるので、相談する士業の方に確かめてください。

    ここで売る側の私ができるのは、裁判所に見てもらう値段の根拠を、きちんとした査定で準備することです。手続きは士業の方、売却の段取りは私、という役割分担になります。

    ▶ 士業の方に聞く質問リスト

    費用やお金の流れは、家ごとに違います。相談のときに、次の3つを聞いてみてください。

    1. 予納金や管理人の費用は、誰がいくらくらい立て替えることになりそうですか?

    2. 立て替えたお金は、家が売れたあと、代金から清算できる見込みはありますか?

    3. 申立てから、家を売れる状態になるまで、どのくらいの期間を見ておけばいいですか?

    失踪宣告は、家を売るために単に署名を省く制度ではありません。法律上死亡とみなされ、本人の相続や婚姻関係にも影響します。死亡とみなされる時点によって相続人の範囲も変わり得るため、長く連絡がないというだけで選ばず、要件と結果を弁護士・司法書士に確かめてください。

    参考:裁判所・失踪宣告

    この3つの答えが手元にあれば、「何年かかって、いくら取られるか分からない」という怖さが、数字と日付に変わります。

    ▶ 「親が亡くなって何年目か」で道が変わる

    2023年4月から、行方の分からない共有者の持分を扱う新しい制度(所在等不明共有者の持分の制度)が始まりました。ネットで見て「これが使えるのでは」と思った方もいるかもしれません。

    ただし、遺産分割が済んでいない相続の持分には、相続が始まってから10年を過ぎないと使えない、という線があります。

    Bさんの例で年表にすると、こうなります。

    ・2023年2月:お母様が亡くなる(相続の始まり)

    ・2026年12月31日:Bさんの例で相続空き家の特別控除を使う場合の譲渡期限(相続開始から3年を経過する年の年末)

    ・2027年3月31日:相続登記の申請期限(2024年4月1日前に取得を知っていた場合。相続人申告登記で当初の義務を履行できる)

    ・2033年2月:相続開始から10年。10年の期間要件を満たす時期。利用には所在調査・裁判所の手続き・供託など他の条件も確認

    2023年2月相続の例。空き家控除の個別期限は2026年末、登記の申請期限は原則2027年3月末、10年の期間要件は2033年2月

    この例の控除期限は2027年末ではなく、2026年末です。制度全体の適用期限と、相続ごとに決まる期限を混同しないでください。年内に売り出すだけでは足りず、譲渡期限から逆算が必要です。また、2024年以後の譲渡では、家屋と敷地の両方を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上なら、1人当たりの控除上限は2,000万円です。Bさんは相続人が3人というだけでは決まらず、誰が家屋と敷地を取得するかを含め、築年・居住状況・耐震や取壊し等の要件を税理士さんに早めに確認してください。

    参考:国税庁・相続空き家を売ったときの特例

    親が亡くなって数年で、所在調査でも相続人が見つからない家では、不在者財産管理人が選択肢になります。「10年待てば楽になる」と考えて止まると、その間も家は傷み、固定資産税は出ていきます。今使える道を士業の方と確かめるほうが、家にも家族にも負担が少ないことが多いです。

    手続きには時間がかかります。じゃあ、その間はただ待つしかないのか。そんなことはありません。待つ時間のうちにできる売却の準備が、5つあります。

    第5章:手続きを待つ間に進めておく売却の準備——査定・家の状態・残置物・固定資産税

    第5章:手続きを待つ間に進めておく売却の準備——査定・家の状態・残置物・固定資産税

    この章では、手続きを待つ間に、代表相続人のあなた1人で進められる準備を5つお話しします。どれも協議書がなくても始められるものだけです。

    月に1回、実家の窓を開けに行って、少しずつ傷んでいくのを見ているだけ。それがいちばんつらいですよね。待つ時間を「準備の時間」に変えていきましょう。

    ▶ 待つ間の5つ

    ① 査定を取る

    まず、家の値段の目安です。最初の相談の目安なら、現地を見ない机上査定(資料だけで出す査定)から始められます。第3章の手紙に添える材料にもなります。裁判所に提出する評価資料は、求められる内容に応じて現地査定などを追加します。

    ② 家の状態を記録する

    雨漏りのシミ、床の傾き、給湯器やコンロが動くか。気づいたことを、写真と日付で残しておきます。売るときには、家の不具合を買主に伝える告知書(物件状況報告書)を書くことになるので、その材料になります。知っている不具合は細かく書くほど、売ったあとのもめごとを防ぎやすくなります。

    ③ 荷物は捨てずに、見通しだけ立てる

    実家の荷物は、相続人全員のものでもあります。協議が終わる前に処分してしまうと、後でもめる原因になりかねません。今は量をざっくり把握して、通帳や権利証などの書類、貴重品だけを分けておく。それで十分です。荷物の片付けの段取りはこちら → 大阪市の実家を不動産売却|残置物を先に処分すると損する3つの理由

    ④ 立て替えた費用の領収書を1つの封筒に

    固定資産税、草刈り、火災保険、たまに来てもらった業者さんの費用。Bさんのように代表相続人が立て替えている家は多いと思います。領収書を1つの封筒にまとめておくと、協議書に「誰がいくら立て替えたか」を書くときに、話がスムーズです。

    ⑤ 空き家の管理を続ける

    月1回の風通し、郵便物の回収、庭木のチェック。空き家について役所から通知が届いたときの対応は、こちらにまとめています → 空き家の通知が届いた大阪市の実家、年内に何を決める?段階と4択

    5つを一度にやる必要はありません。次に窓を開けに行く日に、②の写真を撮って、④の封筒を1つ用意する。①の査定は、その帰りの電車の中でも頼めます。

    冒頭でも書いたとおり、写真も図面も内覧の立ち会いも、私が自分で担当しています。だから、待つ間にあなたが残した写真やメモは、そのまま売り出しの準備になります。「この部屋は昔こうだった」という話も、販売図面や掲載文を作るときのヒントになるんです。

    ▶ 「持分だけ買います」のチラシが来たら

    Bさんのポストに入っていたチラシの話もしておきますね。「共有持分だけでも買い取ります」というものです。

    自分の持分(家全体のうち自分の取り分)だけを売ることは、法律上はできます。ただ、持分だけの売却は、家全体を売ったときに自分が受け取れる金額より、かなり安くなりやすいです。持分だけ買っても、買った側は家を自由に使えないからです。

    もちろん、「とにかく早く現金が要る」という事情があれば、向いている場合もあります。だからこそ、乗る前に「家全体で売った場合の、自分の取り分の目安」と並べてから決めてください。①の査定があれば、この比較がすぐにできます。

    私は自社で家を買い取りません。なので、待つ間に買取へ誘導する理由がありません。ただ、買取で進めたほうが売主様のためになる場合は、高く買ってくれる買取業者を探すこともできます。どちらが合うか並べて見たい方は、こちらの記事をどうぞ → 大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行

    準備が進んだら、いよいよ協議書ができたあとの話です。売り出しから決済までを、カレンダーの形で並べてみます。

    第6章:協議書などが整ってから決済まで——売り出し・売買契約・決済の時系列

    第6章:協議書などが整ってから決済まで——売り出し・売買契約・決済の時系列

    協議書や裁判所の書類で、売却する権限と方針を確認できた日。ここからは、士業の方の記事ではあまり書かれない「売却の後半」です。この章では、協議書が完成したあとの流れと、管理人が付いた場合に何が変わるかをお話しします。

    ▶ 協議・調停・審判で売却の根拠が整った場合(型1・型2)

    弟さんと連絡がつき、協議書が完成した場合は、その書類を確認します。調停が成立した場合は調停調書、審判が確定した場合は審判書・確定証明書などを確認します。裁判所の手続きで結論が出たあとに、別の協議書へ全員の署名・実印を集め直すことが常に必要なわけではありません。誰が売主となるか、どの書類で登記するかを司法書士に確かめてから進めます。調停が不成立なら、原則として審判手続きに移ります。

    参考:裁判所・遺産分割調停

    基本の流れは、次のとおりです。

    1. 協議書・調停調書・確定審判書などで、売却する権限と方針を確認

    2. 媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)

    3. 売り出し

    4. 売買契約(買主が決まる)

    5. 相続登記・(あれば)抵当権抹消の書類と日程を調整(2〜4と並行して準備)

    6. 決済・引き渡し

    第1章でお話ししたとおり、権限と方針を確認できれば、2〜4は相続登記完了前でも進められる場合があります。5は売買契約後まで待たず、早めに司法書士へ頼みます。決済には所有権移転・抵当権抹消に必要な書類と条件がそろうことが必要です。相続登記などを先に完了させるか、決済当日に連件で申請できるかは、司法書士・金融機関と個別に調整します。申請と登記完了を分けて考え、古い抵当権の事前抹消が必要かも確認してください。書類収集や登記には数週間から数か月、事情によってはそれ以上かかります。

    だから、決済日は「必要書類・許可・登記の条件がいつ整うか」から逆に数えて決めます。司法書士さんに見込みを聞いて、少し余裕を持たせた日にするのが安心です。登記簿に古い抵当権(昔の借入れの担保の記録)が残っていたら、進め方はこちら → 抵当権が残ったままの大阪市の家を売る|決済日から逆算して消す順番

    ▶ 管理人が付いた場合(型3)

    型3で不在者財産管理人が付いた場合は、管理人が弟さんの代わりに話し合いに加わります。ただ、第4章でお話ししたように、管理人が遺産分割をしたり、家を売ったりするには、家庭裁判所の許可が要ります。

    ここで日程を左右するのが、遺産分割と売却のどの行為に許可が必要か、契約と許可をどう並べるかです。許可を条件にした契約案などを求められる場合もあります。許可前に管理人が自由に契約してよいという意味ではありません。申立てに必要な契約書案・査定資料、許可の条件、契約の効力が生じる時点を、管理人・家庭裁判所・専門家と事前に確認します。

    参考:裁判所・不在者財産管理人選任

    どの進め方でも、裁判所に出す査定などの資料を早めにそろえておくと、話が長引きにくくなります。ここは売る側の私の仕事です。

    協議書・調停調書・確定審判書などを確認して媒介から決済へ。登記準備は販売と並行し、管理人の許可と契約の順序は個別調整

    ▶ 売り出したら、どの会社の買主にも同じ資料を

    売り出したら、レインズ(不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組み)に登録します。他の不動産会社を通じて来た買主にも、私のところに直接来た買主にも、まったく同じ資料をお渡しします。管理人が付いていることや、裁判所の手続き中であることの説明も含めてです。

    「囲い込みはしないですか?」と聞かれることがあります。私は囲い込み(売却を頼まれた物件を抱え込み、他社の買主を通さないこと)をしません。事情のある家ほど、買主の入口を狭めないことが、相場で売るための近道だと考えているからです。

    ここまでで、型から決済までの道がひと通りつながりました。最後に、今日からやることを1枚にまとめます。

    第7章:まとめ+次のアクション——今日・1週間以内・相談したくなったら

    第7章:まとめ+次のアクション——今日・1週間以内・相談したくなったら

    この章では、ここまでの話を1枚に戻して、記事を閉じたあとすぐに動けることを3段に分けてお渡しします。

    ▶ あなたの型と最初の一手

    型最初の一手相談先
    型1 住所が分からないだけ附票で住所をたどり、責めない手紙を出す本籍地の役所・司法書士
    型2 住所は分かるが返事がない遺産分割調停の名前を知って相談する弁護士
    型3 行方が分からない不在者財産管理人(長い場合は失踪宣告)の名前を知って相談する司法書士・弁護士

    どの型でも、売却する権限と必要書類を整えることが先です。協議書の署名を待つ道だけでなく、調停・審判や管理人の手続きもあります。査定や家の記録は、今から進められます。

    ▶ 今日できること

    1. 連絡が取れない方について、分かっていることを紙に3行書く(最後の住所、最後に連絡した年、連絡の手段)

    2. 親の除籍謄本(亡くなった人が載っている戸籍の写し)や戸籍が手元にあるか、引き出しを確認する

    3. 「持分だけ買います」のチラシは捨てずに保管し、今は返事をしない

    ▶ 1週間以内にすること

    1. 本籍地の役所か、相続登記を頼む司法書士さんに、附票の取り方を聞く

    2. 不動産会社1社から、机上査定を取る

    3. 立て替えた費用の領収書を、1つの封筒にまとめる

    ▶ 相談したくなったら

    手続きの相談先は、相続登記と附票なら司法書士さん、調停なら弁護士さんです。管理人の申立てなら司法書士さんか弁護士さん、税金なら税理士さん。そのうえで、売却の段取りと家の値段の目安は、私に聞いてください。

    送っていただくのは、「連絡が取れない方との続き柄と、最後に連絡した年」と「実家の住所(区と町名まで)」の2つで足ります。どの型に当たりそうか、待つ間に何を進めるかを一緒に整理します。相談したからといって、売る・私に頼むを決める必要はありません。→ 公式LINE(友だち追加)公式LINEで相談する

    相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。
    (サイト:https://heroes-property.jp /メール:info@heroes-property.co.jp)

    おわりに

    ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

    連絡が取れない家族のことは、人に話しにくいものです。「なんで連絡してこないんや」という気持ちと、「何かあったんじゃないか」という心配が、同じ胸の中にあると思います。

    でも、その方を飛ばさなくても、家を売る道はあります。住所をたどって手紙を出す道。裁判所に間に入ってもらう道。その方の取り分を守る人を立ててもらう道。どの道も、その方の取り分を守りながら、家を全体として売るところまでつながっています。

    まずは紙に3行。それだけで、止まっていた時間が少し動き出すはずです。あなたのペースで、一歩ずつ進めていきましょう。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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