建ぺい率オーバーの家は売れる?|大阪市で原因を3つに分けて確かめる
2026/10/19
「建ぺい率、少しオーバーしているかもしれませんね」。査定に来た担当者のこのひと言から、住み替えの計画が急に止まってしまった。そんな方に向けて書きました。
先に答えを3行で
1. 売れることが多いです。ただ、住宅ローンを使って買う方が減りやすく、値段と期間に出ることがあります。
2. 分かれ目は2つ。原因が「法律があとから変わった」「あとから増築した」「最初から・分からない」のどれかと、どれだけ超えているかです。
3. 今日できるのは、家の床面積と、マップナビおおさかで調べた建ぺい率・容積率を1枚のメモに並べることです。
書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年。今は宅地建物取引士として、売主様の側に立って仕事をしています。売り出す前の写真撮影も、販売図面や掲載文づくりも私が自分でしています。その作業の中で、家の面積と建ぺい率・容積率を確かめています。
読みながら「うちの場合は?」と思ったら、公式LINEに一言どうぞ。売ると決める前でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する
目次
第1章:建ぺい率オーバーの家は売れる?

「1階が敷地いっぱいなので、建ぺい率がちょっと……。買取も含めて考えましょうか」
こう言われると、「うちは違法な家なんか」と胸がざわつきますよね。でも、その怖さをほどいていくと、行き着くのは家の良し悪しではなく「買主様のローンの話」です。
▶ たとえば、こんな方です
少し具体的な場面で考えます(人物も数字も、説明のための例です)。
Aさん、56歳。メーカー勤めで、定年まであと4年。住まいは大阪市旭区の木造2階建てで、1985年に建った家を2005年に中古で買いました。お子さん2人は独立し、階段と冬の寒さがこたえるようになって、駅近のマンションへの住み替えを考え始めたところです。
査定の翌日、社員食堂で「建ぺい率オーバー 売却」と打ってみた。出てくるのは計算式の解説と「違反建築も即買取」の広告ばかり。「じゃあ、うちはどうしたらええねん」には、誰も答えてくれない——というのがAさんです。
▶ 建ぺい率と容積率を1行ずつ
建ぺい率は「敷地のうち、建物を建ててよい広さの割合」です。容積率は「敷地に対して、全部の階の床を合わせてよい広さの割合」です。どちらも場所ごとに上限が決まっていて、それを超えている状態を「オーバー」と呼んでいます。
▶ 困るのは「売れない」ではなく「借りて買える人が減る」こと
住宅ローンを貸す銀行は、家を担保(返せなくなったときの備え)として見ます。三菱UFJ銀行のサイトには、建ぺい率や容積率の超過など法令に抵触している物件について、こう書かれています。「担保として認められず、住宅ローンを利用できないケースもある」(2026年9月25日現在)。出典:三菱UFJ銀行の解説。
怖いのは、それがいつ分かるかです。私の進め方では、フラット35を除き、通常は売買契約の後に本審査へ進みます。審査の時期や必要書類は金融機関・商品によって違うため、先に確認します。契約書に判を押し、引っ越し先を探し始めたころに、本審査で家のことが分かって話が流れることもある。だから、オーバーは契約の前に分かっておきたいんです。
それでも、買う人がいなくなるわけではありません。現金で買う方、買取業者、事情を知ったうえで借り方を探す買主様もいます。なので「売れない家」ではなく、「借りて買える人の幅が狭まりやすい家」と考えるのが正直なところです。その分、値段や売れるまでの期間に出ることはあります。
では、本当にオーバーしているのか。次の章で、自分の数字で確かめてみましょう。
第2章:うちは本当にオーバー?
▶ 用意する3つ
1. 建物の床面積:登記事項証明書(法務局で取れる家の記録)に、1階・2階と階ごとに載っています。固定資産税の課税明細書にも床面積が載っていますが、合計だけのことが多いです
2. 土地の面積:土地の登記事項証明書
3. 建ぺい率・容積率:大阪市の地図サービス「マップナビおおさか」の都市計画の地図で、住所から調べられます
ただ、マップナビおおさかは参考の表示で、内容を証明するものではないと大阪市自身が断っています。用途地域などを調べられる窓口として大阪市の資料にあるのは、大阪市役所7階の計画調整局「都市計画案内コーナー」です。阪神間・京都・奈良の家なら、それぞれの市町村の窓口になります。
▶ あくまで「当たり」にすぎない3つの理由
ただし、メモの結果だけで落ち込むのも、安心するのもまだ早いです。
1. 1階の床面積と「建築面積」は同じではありません。法律で数えるのは、建物を真上から見た広さです。2階が張り出している家や深いひさしがある家は、1階の床面積より大きくなることがあります
2. 上限が上がる緩和があります。角地などの緩和に加え、2019年6月25日からは新しい緩和も始まりました。防火地域・準防火地域で、法が定める耐火・準耐火などの性能条件を満たす建物には、建ぺい率の緩和があります。10%の緩和とは、例えば60%を70%にする10ポイントの加算です(国土交通省)。昔「オーバー」と言われた家が、今の基準では収まっている可能性もあります。当てはまるかは建物ごとに違います(国土交通省の案内)
3. 前の道が狭いと、容積率の上限が下がります。地図の数字より小さくなることがあるので、詳しくはセットバックの記事に書いています → セットバックが要る大阪市の家を売る|後退済みかを確かめる順番
メモは「結論」ではなく「窓口で聞くことを決める道具」。都市計画の指定は都市計画案内コーナーで、具体的な計算方法は大阪市の建築確認課で確認します。実際の建物と図面が合うか、緩和条件を満たすかは、資料や現況の確認も必要です。参考:大阪市の窓口案内、前面道路幅員による容積率制限。
当たりがついたら、次は「なぜ超えたのか」です。ここで売り出し前にすることが決まります。
第3章:原因を3つの箱に分けて、売り出す前に「書く・確かめる・並べる」を決める
▶ 箱A:法律や都市計画が、あとから変わった
建てたときは上限内だったのに、その後の法律や都市計画の変更で上限が下がった家です。「既存不適格」と呼ばれ、違反建築とは扱いが違うとされています。当てはまるかの判断は、建築士か市の窓口に確かめてください。
この箱で効くのは「建てたときの書類」です。確認済証・検査済証・図面があれば、当時は適法だったことを示す手がかりになります。見つからないときの取り方は、こちらに書いています → 検査済証がない大阪市の戸建てを売る|買主のローンから逆算して取る2枚
▶ 箱B:あとから増築して超えた
建てた後に部屋やサンルームを足して超えた家です。増築部分が登記されていないなら、まずこちらの記事を見てください → 未登記の増築がある大阪市の戸建てを売る|売り出し前に見比べる3枚
登記されていても、率を超えていればローンを使う買主様は狭まりやすいと私は見ています。
▶ 箱C:最初から、または経緯が分からない
Aさんのように中古で買った家や、相続した家に多い箱です。分かる範囲で家族や購入時の不動産会社に聞き、それでも分からないところは「不明」と正直に書きます。分からないことを分かったふりをしないのが、あとで揉めないいちばんの近道です。
▶ 箱ごとの表
| 箱 | どんな家か | ローンを使う買主様への届き方(目安) | 売り出し前にすること |
| A 法律があとから変わった | 建てたときは上限内 | 書類がそろえば話が進むこともある | 建てたときの書類を探す |
| B あとから増築した | 増築で上限を超えた | 狭まりやすい | 増築の時期と登記を確かめる |
| C 最初から・不明 | 中古・相続で経緯が不明 | 狭まりやすい | 分かる範囲を聞き、不明は不明と書く |
※届き方は推測を含む目安で、銀行や買主様によって変わります。
▶ どの箱でも「書く・確かめる・並べる」
書く。建ぺい率・容積率のオーバーは、私は販売図面にもSUUMOの掲載文にも書きます。物件状況確認書(売主様が家の状態を書いて買主様に渡す書類)にも書きます。私は基本、引渡し後の不具合の責任を負わない「免責」の特約で売りますが、知っていて書かなかったことには免責が効きません。書くことは、売主様ご自身を守ることでもあります。
確かめる。メモの当たりと箱の見立てを、窓口で確かめます。まず「この住所の指定建ぺい率・指定容積率」と「防火・準防火地域か」を調べます。道路幅による制限、使える緩和や面積の計算方法は、建築確認課に確認します。
そのうえで、私は銀行にも先に見てもらいます。建ぺい率・容積率オーバーの家は、私もこれまで何件も仲介で売ってきました。私はオーバーの家に限らず、どの家でも基本、買主様の事前審査のときに、登記簿謄本・公図・測量図・建築計画概要書などの物件の資料も銀行に渡して見てもらいます。オーバーしている家なら、最初から「オーバーしている物件」として事前審査をしてもらいます。本審査になって初めて家のことが分かって話が流れる、という形を避けやすくなるからです。ただし、資料を出して事前審査に通っても、本審査の承認が保証されるわけではありません。
並べる。書いた資料は、どの買主様にも同じものを渡します。レインズ(不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組み)で、他社の買主様にも広く届けます。事情を知ったうえで借り方を探してくれる担当者が付いた買主様を、入口で止めることはしません。囲い込みをしないというのは、こういう「扱いにくい家」でこそ意味がある約束だと思っています。
そのうえで、買取とも並べます。私は自社で買い取ることはしません。ただ、買取のほうが売主様のためになる家なら、高く買ってくれる業者を探します。仲介の手取りと買取の提示額の並べ方はこちら → 大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行
メモを書いてみて「うちはどの箱やろ?」と思ったら、公式LINEに2つの数字メモの写真を送ってください。どの箱に近いか、一緒に見ます。→ 公式LINEで相談する
ここまでで、売り出し前にすることは見えてきたと思います。次は、よく聞かれる質問に答えておきますね。
第4章:よくある質問
▶ Q. 言わずに売ったら、どうなりますか?
書いて売るのが前提です。本審査で分かれば契約の後に話が流れることがありますし、知っていて書かなかったことには免責特約が効きません。黙って得をする場面は、私には思い当たりません。
▶ Q. 「買取しかない」と言われました。本当ですか?
そうとは限りません。まず、その会社がどの箱と見ているか、ローンを使う買主様に出したらどうなる見立てかを聞いてください。そのうえで、仲介で売った場合の手取りと並べてから決めても遅くありません。
▶ Q. 増築部分を壊してから売るべきですか?
壊す前に計算と工事内容の確認が先です。壊したら上限内に収まるのかを2つの数字メモで当たりをつけ、具体的な計算方法を市の建築確認課で確認します。工事の可否や残る建物の安全性も確認してから決めてください。壊しても収まらなければ、費用だけかかることになります。
▶ Q. 売り出し中に、買主様のローンが通らず流れました。家のせいですか?
家(担保)が原因か、買主様(借りる人)が原因かを、まず担当者に聞いて分けてください。分けないまま値下げを決めるのはもったいないです。私は20年この仕事をしてきて、住宅ローン特約で白紙になったのは1度だけです。契約前に弱みを出しておくと、流れるリスクは下げやすいと感じています。ローン特約の仕組みはこちら → ローン特約で白紙に?大阪市不動産売却を確実に成功させる5つのコツ
第5章:まとめ+次のアクション
▶ まとめ
・建ぺい率オーバーの家は売れることが多い。ただ、ローンを使う買主様は減りやすい
・原因の箱(法律が変わった/増築した/最初から・不明)で、届く買主様と準備が変わる
・どの箱でも、広告と物件状況確認書に書いて売る
▶ 今日できること(1つ)
「2つの数字メモ」を作ってください。登記事項証明書か課税明細書の床面積と、マップナビおおさかの建ぺい率・容積率を、紙1枚に並べるだけです。手元に書類がなければ、マップナビの数字を書き写すところまでで十分です。
▶ 1週間以内にすること(3つ)
1. 確認済証・検査済証・図面が入った封筒を探す
2. 都市計画案内コーナー(阪神間・京都・奈良は市町村の窓口)に、メモを持って行くか電話する日を決める
3. 家族や、家を買ったときの不動産会社に「いつ・どこを増築したか」を聞く
▶ 相談したくなったら
メモを書いてみて「この△、どう考えたらいい?」と思ったら、公式LINEで聞いてください。
送ってもらえると話が早いのは、2つの数字メモと課税明細書の写真です。売るかどうか、まだ決める必要はありません。
相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。
▶ 次に読むなら
・未登記の増築がある大阪市の戸建てを売る → 未登記の増築がある大阪市の戸建てを売る|売り出し前に見比べる3枚
増築した部分が登記と合っていない方に
・検査済証がない大阪市の戸建てを売る → 検査済証がない大阪市の戸建てを売る|買主のローンから逆算して取る2枚
建てたときの書類が見つからない方に
・大阪市の家を業者に売るか仲介か → 大阪市の家を業者に売るか仲介か|提示額を受け取ったら並べる5行
買取の提示額を受け取って、仲介と比べたい方に
おわりに
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
「オーバーしている」と言われると、長く住んできた家ごと否定されたような気持ちになりますよね。でも、多くの場合それは家の欠点の1つで、書いて伝えれば、その家を選んでくれる買主様に届けられます。
隠さず、慌てず、数字から。今日はメモを1枚書くところから始めてみてください。










