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実家は解体してから売る?|大阪市の古家付きと更地渡しを比べる

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実家は解体してから売る?|大阪市の古家付きと更地渡しを比べる

実家は解体してから売る?|大阪市の古家付きと更地渡しを比べる

2026/10/15

実家は解体してから売る?|大阪市の古家付きと更地渡しを比べる

「解体の見積もり、210万円やって。今月中に返事がほしいらしいよ」

片付けの帰り道、妹からそんな LINE が届いた。写真の「合計 2,100,000円」を見ても、壊すのが先か売るのが先か、誰に聞けばいいのかも分からない。そのまま電車に揺られている——そんな方に向けて書きました。

先に答えを3行で

1. 壊すのは売れてからでも(あるいは壊さなくても)間に合う家が多いです。選び方は「古家付きのまま」「先に壊す」「契約の後に壊す」「買主様が壊す」の4つ。並べてから決めれば十分です。

2. ただし、見積書にハンコを押す前に確かめたい家もあります。建て直せないかもしれない土地と、大阪市の解体の補助を使いたい家です。

3. 今日は、固定資産税の納税通知書を出して、土地の欄に「住宅用地」と書いてあるかを見るところまでで十分です。

書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年、宅地建物取引士として売主様の側で仕事をしてきました。写真撮影も販売図面づくりも内覧の立ち会いも、私が自分でしています。

読みながら「うちの場合は?」と思ったら、公式LINEに一言どうぞ。売るかどうか決める前でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する

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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

〒532-0003
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目次

    第1章:壊すのは「売る前」だけじゃない——4つの売り方と、戻せない線が分かる

    第1章:壊すのは「売る前」だけじゃない——4つの売り方と、戻せない線が分かる

    「年内に壊しておいたほうが、売りやすいんじゃない?」

    家族からこう言われると、なんとなく「そうかも」と思ってしまいますよね。この章では、壊すタイミングに4つの選び方があることを見ていきます。解体はどの形でも元に戻せません。特に買主様が決まる前に壊すと、売れるまでの費用と時間を売主様が引き受けることも見ていきます。

    ▶ たとえば、こんな実家です

    少し具体的な場面で考えますね(人物も数字も、説明のための例です)。

    Aさん、58歳。神戸市に住んでいて、週4日パートで事務の仕事をしています。2025年2月にお母様が亡くなり、お母様が一人で暮らしていた大阪市旭区の実家を、奈良市に住む妹さんと2人で相続しました。昭和50年築の木造2階建てで、まわりの家とはくっついていない一戸建て。土地は約80㎡、前の道は幅4mほどです。

    遺産分割協議書(相続人どうしで「誰が何を受け継ぐか」を決めた書類)は、もう作ってあります。相続登記(家の名義を変える手続き)は、司法書士の先生にお願いしているところ。月に1回、阪急と地下鉄を乗り継いで1時間かけて換気に通っています。

    そこへ届いたのが、冒頭の210万円の見積書でした。妹さんは「年内に壊して売ろう」。ご主人は「壊したら税金が上がるらしいで」。Aさん自身が一番知りたいのは、「壊したら、結局いくら残るの?」ということです。

    ▶ 壊すタイミングは4つある

    「古い家は、壊してから売るもの」。そう思い込んでいる方は多いのですが、実際には次の4つから選べます。

    壊すタイミングは4つ。媒介契約→売り出し→売買契約→引渡しの線の上に、①古家付きのまま(建物を残して引渡し)②先に壊す(売り出しの前に売主が解体)③更地渡し(売買契約の後、引渡しまでに売主が解体)④買主が壊す(引渡しの後に買主が解体)を並べた図。解体はどの形でも元には戻せず、②は買主未定のリスクもある

    1. 古家付きのまま売る:家を残したまま、土地と建物を一緒に売ります。壊すかどうかは買った人が決めます

    2. 先に壊して、更地で売り出す:解体してから「土地」として売り出します

    3. 契約の後に売主が壊して渡す(更地渡し):家が建ったまま売り出します。買う人が決まって売買契約を結んだら、引渡しの日までに売主様が壊します

    4. 買主様が、買った後に壊す:古家付きで売り、引渡しの後に買主様が解体します

    この図の②は「買主様が決まる前に壊す」計画例です。①③④は、売り出しの時点では家が建っています。

    ▶ 解体は元に戻せない。②は買主が決まる前の判断

    ②・③・④のどの形でも、一度壊した家は元に戻せません。特に②は、買主様が決まる前に解体費を払い、売れるまで更地を持つリスクがあります。壊したら、もう家は戻りません。「やっぱり直して住みたい人に売ればよかった」と思っても、元には戻せないのです。

    逆に①で売り出しておけば、途中で③や④に切り替えることができます。買う人が「更地にしてほしい」と言えば③、「自分で壊します」と言えば④。③と④は、どちらも買う人が決まってから壊す形です。ただし③では、着工後に契約が解除されるリスクも残ります。買主様の資金や契約条件を確認してから進めます。

    だから、「まずは古家付きで売り出して、反応を見る」という進め方もあります。これは家と時期によるので、すべての家に当てはまるとは言えません。でも少なくとも、壊すかどうかを媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)の時点で決めてしまう必要はありません。

    ▶ 更地が好まれる場面、古家付きが好まれる場面

    公平に、両方書いておきますね。

    更地が好まれるのは、新しく家を建てたい人が買うときです。土地の広さや形がひと目で分かり、「ここにこんな家を」と絵を描きやすい。ハウスメーカーさんと一緒に見に来る方も、更地のほうが話を進めやすいことが多いです。

    一方、古家付きが好まれるのは、直して住みたい人や、建物を見てから壊すか決めたい人が買うときです。昭和の家でも、柱や梁がしっかりしていれば「手を入れて住みたい」という方はいます。

    どちらが高く売れるかは、家と土地と時期で分かれます。私も20年この仕事をしてきて、古家付きのまま売った家も、壊してから売った家も、どちらも経験があります。だから「更地のほうが売れますよ」と言われても、言った人を疑う必要はありません。「古家付きのままだといくらか、その数字もください」と聞いてみてください。比べる数字が2つそろえば、話はずっと落ち着きます。

    では、②を選ぶ前に確かめておくことは何か。次の章で、見積書にハンコを押す前の3つを見ていきましょう。

    第2章:見積書にハンコを押す前に——確かめる3つを1枚で調べられる

    第2章:見積書にハンコを押す前に——確かめる3つを1枚で調べられる

    この章では、「壊すと困る家かどうか」を、自分で3か所に確かめる方法を書きます。どれも難しい知識はいりません。何を、どこで見るかだけです。

    図解

    見積書にハンコを押す前に確かめる3つ。1 道路・接道・その他の建築条件を確認。2 補助の対象と申請・完了報告の期限を確認。3 各年1月1日の住宅用地の状況でその年度の税金を確認。1つでも分からないなら②(先に壊す)は保留

    ▶ 確かめる1:建て直せる土地か

    最初に見るのは、前の道です。家を建て直すには、原則として、建築基準法で「道路」と認められた道に土地が2m以上接している必要があります。これを接道義務といいます。

    接道などの条件を満たさず再建築できない土地なら、先に壊すことで、今ある建物を使い続ける選択肢まで失ってしまうことがあります。そうなると、更地にしても買う人がぐっと限られてしまいます。

    最初の手がかりは、前の道の幅と、土地がその道に接している長さです。現地での採寸は目安にとどめ、測量図や道路の資料と照合します。2m接していれば必ず建て直せるわけではなく、道路種別やほかの建築条件も確認します。そのうえで、市役所の建築の窓口で「この家の前の道は、建築基準法の道路ですか?」と聞いてみてください。どの窓口か分からなければ、市役所に電話して聞くのが近道です。「家の前の道が建築基準法の道路か知りたい」と伝えれば、担当の窓口につないでもらえます。

    前の道が4mより狭いときは、建て直すときに土地の一部を道として下げる「セットバック」が要ることもあります。

    ・再建築不可かもしれないときの考え方 → 大阪の再建築不可を高く売る方法!損しない売却・買取相場解説

    ・セットバックが要る家のこと → セットバックが要る大阪市の家を売る|後退済みかを確かめる順番

    建て直せない土地かもしれないなら、②(先に壊す)の前にいったん止まりましょう。

    ▶ 確かめる2:補助は「工事の契約より申請が先」

    大阪市には、古い木造住宅を壊す費用を補助する制度があります(狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度)。2026年度の条件を、大阪市のホームページで確認した範囲で書きますね。

    ・対象:重点対策地区にある、幅6m未満の道に面した、昭和56年5月31日以前の木造住宅(条件の違う「対策地区」もあります)

    ・補助の額:解体と整地の費用の5分の4以内、上限170万円(戸建て1戸あたり)。市が決めた1㎡あたりの額でも計算し、低いほうが元になります。割合と上限が違うエリアもあります

    ・順番:工事の契約より先に申請。工事の契約を先にすると、原則として対象外です

    ・日数:着工(工事を始める日)の40日以上前に申請

    ・受付:12月28日まで(予算の状況で、早めに締め切ることもあります)。工事の完了と完了報告の提出は2027年2月26日まで。補助金の請求は2027年4月30日まで

    ・お金が入る時期:解体の費用を全額払い終えてから振り込まれます

    Aさんの家は昭和50年築で、前の道は幅4mほど。条件の一部には当てはまりそうです。ただ、旭区のその場所が重点対策地区に入っているかどうかは、市の地図で確かめるまで分かりません。ここは私も、地図を見る前に「対象ですよ」とは言いません。

    気をつけたいのは順番です。解体業者さんの見積書に「ご契約はこちら」と書いてあっても、補助を使いたいならハンコはまだ。事前相談で、申請・交付決定・契約・着工の順番を確認してからです。着工の40日以上前に申請が要るので、今年度の受付に間に合わせるなら、11月中には動き始めたほうがよさそうです。

    第1章の③(更地渡し)と補助を組み合わせるなら、日付はさらに詰まります。売買契約後に申請する計画なら、交付判断まで約40日(書類訂正の期間を除く)を見込み、2027年2月26日までに工事と完了報告を終える必要があるからです。申請できる時期や契約・着工の順番は、売買の日程と一緒に市の窓口で確認します。市のページには「解体後の敷地の利用目的や用途は問いません」とあります。それでも、売る予定であることや相続登記の途中であることは、申請の前に窓口へ伝えておきましょう。申請できる人の条件も、そのとき一緒に確かめておくと安心です。

    ▶ 確かめる3:1月1日の住宅用地の状況と解体日

    3つ目は、税金の話です。

    土地の固定資産税には「住宅用地の特例」があります。住宅用地の条件を満たす土地では、税金の計算のもとになる額(課税標準)が下がるしくみです。住宅1戸あたり200㎡以下の部分は6分の1に、それを超える部分は3分の1になります(住宅の床面積の10倍まで)。Aさんの土地は約80㎡なので、全部が6分の1の側に入ります。

    ポイントは、その年の1月1日に家が建っているかで、その年度の土地の税金が決まることです。12月に壊すと、翌年1月1日には家が無いので、翌年度は特例が外れて土地の税金が上がることがあります。反対に、1月1日に住宅用地の要件を満たしていれば、1月2日以降に壊しても、その年度の判定は1月1日の状況によります。たとえば2026年12月に解体すれば、2027年1月1日の状況で2027年度分を判定します。買主様が引渡し後に壊す④も同じで、特例がずっと残るとは限りません。

    家があるだけで必ず対象になるわけではありません。管理不全空家・特定空家として勧告を受けた場合などの扱いや、建替え中の例外も、市税事務所で確認してください。

    ご主人の「壊したら税金が上がるらしい」は、ここの話です。ただ、「6倍になる」と言い切れるほど単純ではありません。建物の分の税金はなくなりますし、税額の計算には他の調整もあります。実際にいくら変わるかは、土地のある区を受け持つ市税事務所で聞くのが確かです。「この土地で家が無くなったら、土地の税額はどのくらいになりますか」と聞いてみてください。

    まずは手元の納税通知書の課税明細を開いて、土地の欄に「住宅用地」とあるか、何㎡がそうなっているかを見てください。固定資産税の通知書の見方は、こちらでも書いています → 大阪市の家を売る日の固定資産税|4月1日から数える?契約前に見る1行

    3つのうち1つでも「分からない」が残ったら、②は保留。売却条件を明示して①古家付きで募集しながら確認する方法もあります。ただし危険な家は安全対応を優先し、控除や補助の期限から逆算して進めましょう。

    3つを確かめたら、いよいよお金の話です。次の章で、4つの売り方を「手元に残る額」と「日数」で並べてみましょう。

    第3章:4つを「手元に残る額」と「日数」で並べる——4列の売り方表を書ける

    第3章:4つを「手元に残る額」と「日数」で並べる——4列の売り方表を書ける

    この章では、4つの売り方を1枚の表に並べます。自分の家の数字を書き込むと、「壊したらいくら残るのか」「いつ売り出せるのか」の差が、目で見えるようになります。

    ▶ 4列の売り方表

    表の列は4つの売り方、行は次の6つです。

    1. 売値の見込み

    2. 解体費(いつ払うか)

    3. 立て替える期間(解体費を払ってから、売れたお金が入るまで)

    4. 固定資産税(どの年度に影響するか)

    5. 3,000万円控除の形

    6. 売り出せる日と、引渡しまでの日数

    4列の売り方表(Aさんの家の例)。①古家付きのまま②先に壊す③更地渡し④買主が壊すを、売値の見込み・解体費・立て替える期間・固定資産税・3,000万円控除・売り出せる日で比べた表。売価から費用・税金・ローン返済を引いた同じ尺度で比較する。各年1月1日の状況と控除の要件を確認する

    ▶ Aさんの家で書いてみる

    Aさんの例で、数字を入れてみます(どれも説明のための例で、実際の家の数字ではありません)。売値の見込みは、古家付きなら1,800万円、更地なら2,000万円とします。

    ①古家付きのまま②先に壊す③更地渡し④買主が壊す
    売値の見込み1,800万円2,000万円2,000万円古家付きに近い値段になりやすい
    解体費なし210万円(工事の前後に払う)210万円(契約の後に払う)なし(買主様が負担)
    立て替える期間解体費の立替なし支払日から決済まで支払条件による(決済時精算は事前相談)売主の解体費の立替なし
    固定資産税各年1月1日の住宅用地の要件で判定1月1日に家が無ければ、その年度の特例が外れる場合あり解体日・1月1日の状況で判定買主の解体日などによる。特例が必ず残るわけではない
    3,000万円控除の形耐震の証明がなければ対象外壊した土地を売る形で対象になりうる対象になりうる(売った日の扱いを確認)翌年2月15日までの工事など、各要件を満たせば対象になりうる
    売り出せる日・日数必要な準備が整い次第完成後に募集するなら1〜2か月後の例必要な準備後。契約から引渡しまで2〜3か月の例必要な準備が整い次第

    日数はどれも計画例で、家や業者さんの予定で変わります。②も、解体予定・引渡し条件などを正確に示して、解体前や工事中から募集できる場合があります。「解体が終わるまで売り出せない」という意味ではありません。成約までの日数と、契約から決済・引渡しまでの日数も分けて考えます。

    解体費だけを引いた参考額で比べると、②と③は2,000万円−210万円で1,790万円。①の売価1,800万円との差は10万円です。これは最終手取りではなく、税金・仲介手数料・測量や登記などの未計上費用・ローン返済前の比較です。

    最終手取り=売価−売主が負担する費用・税金−ローン返済。①も必要な費用を引き、同じ項目で比べます。この例では、売値の差(200万円)が解体費(210万円)より小さいので、「先に壊す理由は弱い」と見ることができます。もちろん、差が解体費より大きい家もあります。だからこそ、2つの数字が要ります。

    大阪市の補助が使える家なら、解体費の行は補助を引いた後の額で書き直してください。最終的な自己負担が変われば、②③の見え方も変わります。ただし、補助は工事費の全額支払い後に入るので、先に用意する資金まで補助分だけ減るわけではありません。

    ▶ 2つの売値は、根拠つきでもらう

    この表の一番上の行は、自分では埋められません。担当者に「古家付きならいくら、更地ならいくら」と、2つの数字を出してもらってください。それぞれに「近くでどんな土地が、いくらで売れたか」の根拠もつけてもらいます。

    数字が1つしか出てこないときは、「もう片方の数字もください」で大丈夫です。私は自社では買い取りません。買取が合う方には、高く買ってくれる業者を探します。買取を考えている方なら、この表に「買取」の列をもう1本足して並べることもできます。

    ▶ 控除の行は、売値の差より大きく効くことがある

    5行目の3,000万円控除は、相続した空き家を売ったときの特例です。売って出た利益から、最大3,000万円を差し引けます。そしてこの行は、売り方によって「形」が変わります。

    国税庁の説明では、昭和56年5月31日以前の家を家つきのまま売るなら、売る時に耐震の基準を満たしている必要があります。2024年以降の売却なら、売った後、翌年2月15日までに家を壊すか耐震の工事をする形も認められるようになりました。

    裏を返すと、①の「誰も壊さず、直さずに売る」形のままでは、耐震の証明がない昭和の家は控除の対象から外れます。Aさんの家も昭和50年築なので、売却時の耐震基準適合を確認できるかを調べます。築年だけで対象外と決めず、証明の取得可否も確かめましょう。

    ここで、表をもう一度見てください。解体費だけを引いた参考比較では、①と②③の差は10万円でした。でも控除が使えるかどうかで、売った後にかかる税金は、売値の差よりずっと大きく動くことがあります。①を選ぶ前に、「控除が使えた場合」と「使えない場合」の2つの税額を、税務署か税理士さんで確かめてください。

    だから①で売り出すときも、④(買主様が壊す)に切り替える道を残しておくと、控除の形を守りやすくなります。④の形と、そのための契約書の行は、次の章で書きます。

    ②は、壊してから土地を売る形です。相続してから壊すまで家を貸したり住んだりしていないこと、壊した後に駐車場などに使っていないことなどが条件になります。③は引渡しの時には家がありません。ただ、契約の日と引渡しの日のどちらを「売った日」にするかで、当てはまる形が変わることがあります。ここも確かめる行です。

    また、解体費を売ったときの経費として差し引けるかどうか、どこまでが入るかは、条件で変わります。ここも税務署か税理士さんに確かめてください。

    ▶ 住み替えの方は「立て替える期間」の行から

    自宅を売って新しい家の頭金にしたい方は、3行目を先に見てください。②を選ぶと、解体費を払ってから売れるまでのあいだ、そのお金は手元から離れたままです。頭金の予定とぶつかるなら、③の更地渡しのような形のほうが、お金の流れは組みやすいことが多いです。売れることが決まってから壊せるからです。

    自分の家で表を埋めようとして、「この数字、どこで分かるの?」と手が止まったら、そこで一度聞いてください。

    公式LINEに、「解体の見積書が210万円で届いたんですが、先に壊したほうがいいですか?」のように一言どうぞ。固定資産税の納税通知書の課税明細の写真と、解体の見積書(あれば)を添えてもらえると、表のどの行から埋めればいいかを一緒に見られます。→ 公式LINEで相談する

    表の中で、③と④は「売れてから壊す」形でした。次の章では、この2つを選ぶときに、契約書にどんな行を入れておけばいいかを見ていきます。

    第4章:契約の後に壊す2つの形——更地渡しと買主取壊しで、契約書に入れる行が分かる

    第4章:契約の後に壊す2つの形——更地渡しと買主取壊しで、契約書に入れる行が分かる

    この章では、「売れてから壊す」ときに、売買契約書に入れておきたい行を書きます。担当者に「この行は入りますか?」と聞けるようになるのが目標です。

    ▶ 更地渡しの契約書の4行

    ③の更地渡しは、家が建ったまま契約し、引渡しまでに売主様が壊す形です。順番を1つ間違えると困ることがあるので、次の4行が契約書(または特約)に入っているかを見てください。

    1行目:解体の期限と、引渡しの日

    いつまでに壊して、いつ引き渡すか。木造30坪前後の家なら、解体の工事そのものは数週間〜1か月ほどのことが多いです。そこに、近所へのあいさつや、次に書く調査の日数が乗ります。引渡しの日から逆に数えて、余裕のある期限にしておきましょう。

    2行目:着工は、買主様のローンの本審査が通ってから

    ローン特約とは、買主様の住宅ローンが通らなかったときに、契約を白紙に戻せる約束のことです。本審査が通る前に壊して、そのあと契約が白紙になったらどうなるか。残るのは「家が無くなった土地」と「払った解体費」だけです。だから私の場合、更地渡しの解体は、買主様の住宅ローンの本審査が通ってから着工してもらいます。承認の条件やローン特約の期限、ほかの解除条件も確認し、契約解除のリスクがゼロになるとは考えずに段取りを決めます。

    3行目:滅失登記(めっしつとうき)を、決済の前に

    建物を壊したら、登記簿から建物を消す「滅失登記」を、1か月以内に申請する決まりがあります(不動産登記法57条。申請を怠ると10万円以下の過料という定めもあります=164条)。代金を受け取る日(決済)までに済ませておく段取りにしましょう。手続きは、土地家屋調査士さんに頼む方が多いです。

    4行目:地中から出てきた物の負担と期限

    古い家を壊すと、地面の下から昔の基礎のコンクリートやガラ(がれき)、使っていない浄化槽などが出てくることがあります。これを誰が、いつまでに、いくらまで負担するかを決めておきます。

    解体の見積書に「地中障害物は別途」と書いてあれば、出てきたときに追加の費用がかかるという意味です。見積書の小さな字も、一度読んでおいてください。分かっていること(昔ここに井戸があった、など)は、物件状況報告書(告知書。家の状態を買主様に伝える書類)に書いておきます。告知書の書き方は、雨漏りの記事でも書いています → 家を売った後に雨漏り|大阪市で責任が残る線と売る前に決める順番

    ▶ アスベストの調査は、家の大きさにかかわらず

    解体の前には、アスベスト(石綿)が使われていないかの事前調査が、建物の大きさにかかわらず必要です。2023年10月からは、資格を持った人が調査することが義務になりました。解体する部分の床面積が80㎡以上なら、結果の報告も要ります(厚生労働省・石綿総合情報ポータル)。

    見積書にこの調査の費用が入っているかどうかは、業者さんによって書き方が違います。「調査は見積もりに入っていますか?」と1行聞いておくと、後から金額が増えて驚くことが減ります。

    ▶ 買主様が壊す形と、翌年2月15日

    ④の「買主様が壊す」形は、2024年に3,000万円控除のルールが変わって、選びやすくなりました。2024年1月1日以降の売却なら、売った年の翌年2月15日までに家を壊すか耐震の工事をすれば、控除の対象になりえます(国税庁 タックスアンサー No.3306)。

    国土交通省の資料では、この形は「売買契約等に基づき」買主が工事をする場合とされています。だから、買主様が期限までに壊す(または耐震の工事をする)ことを、売買契約書の特約に書いておきます。文の書き方は、担当者と税理士さんに確かめてください。

    ただ、売主様は買主様の工事を動かせません。「2月15日までに間に合うか」は、契約の前に買主様と話しておきましょう。たとえば2026年の秋に売ったなら、翌年2月15日まで数か月しかありません。

    ▶ Aさんの「2つの期限」

    3,000万円控除には、期限が2つあります。ここは取り違えやすいので、分けて書きますね(どちらも国税庁 タックスアンサー No.3306 による)。

    ・その家の期限:相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。Aさんはお母様が2025年2月に亡くなったので、2028年12月31日まで

    ・特例そのものの期限:2027年12月31日までの売却が対象(延長されるかどうかは、今の時点では分かりません)

    2つのうち早いほうが締切になります。Aさんの場合は、今のところ2027年12月31日です。

    控除は特約を書くだけで使えるものではなく、工事の完了・必要書類・確定申告まで確認します。使う本人が家屋と敷地の両方を相続・遺贈で取得していることや、相続後の利用制限など、他にも条件があります。昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、亡くなる直前まで一人で住んでいたこと、売値が1億円以下であることなどです。2024年以降の売却で、被相続人居住用家屋とその敷地の両方を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上なら、1人あたりの上限は2,000万円になります。自分の家が当てはまるかの判断は、税務署か税理士さんに確かめてください。老人ホームに入っていた場合の考え方は、こちらに書いています → 老人ホームに入った親の実家、3,000万円控除が使えるのは3年目の年末まで

    ここまでは「壊す」側の話でした。次の章は反対に、壊さずに古家付きで売るとき、私が何をしているかを書きます。

    第5章:古家付きのまま売るとき、私がすること——写真と図面で「建てる絵」を足す

    第5章:古家付きのまま売るとき、私がすること——写真と図面で「建てる絵」を足す

    この章では、家を壊さなくても、買う人に「更地になったらこんな土地」と想像してもらう方法を書きます。古家付きで売り出すときに、私が自分の手でしている作業です。

    ▶ 写真も図面も、私が自分でつくる

    私は、写真撮影も、販売図面や掲載文づくりも、内覧の立ち会いも、自分でしています。掲載先は SUUMO です。

    古家付きの家でいちばん困るのは、写真を見た人が「古い家だな」で止まってしまうこと。だから見せ方を工夫して、建物の向こうにある土地を見てもらうようにしています。

    ▶ 見せ方3つ

    1. 土地の形と道の幅が分かる1枚:家の正面だけでなく、前の道と土地の境目が分かる角度で撮ります。Aさんの家のように前の道が4mほどあるなら、それが分かる写真は、建てる人にとって大事な材料です

    2. 建物を除いた土地の図を、図面に添える:販売図面に、建物を描かない土地だけの形と寸法を載せます。「ここに車が1台、ここに家」と、買う人が頭の中で描きやすくなります

    3. 解体の見積書があれば、買主様にお渡しすることも:買主様の側で壊して建て直す場合、「壊すといくらかかるか」が分かると資金の計画を立てやすくなります。見積もりを取っていれば、売主様と相談のうえでお渡しすることもあります

    ▶ どの売り方でも、同じ資料を全員に

    どの売り方でも、私は同じ資料をレインズに載せます(レインズは、不動産会社どうしが物件の情報を共有するしくみ)。他の不動産会社を通じて来た買主様にも、同じものをお渡しします。囲い込み(自社のお客様にだけ売ろうとして、他社からの購入の希望を通さないこと)はしません。

    売主様への報告書には、他社からの問い合わせも書いています。実際に、レインズを通じて他社様から購入希望のお客様をご紹介いただいて成約した取引もあります。古家付きの土地は、建てたい人・直したい人・業者さんと、買う人の幅が広いぶん、窓口を狭めないことが大切だと考えています。

    ▶ 解体の見積もりは、どこで取ってもいい

    解体の見積もりは、ご自身で取ってもかまいませんし、私から解体業者さんをご紹介することもできます。取るなら、3つが入っているかを同じ条件で比べてください。アスベストの調査、地中から出た物、整地(壊した後に地面をならすこと)です。

    次の章では、相談のときによく聞かれる質問に短く答えます。

    第6章:よくある質問

    第6章:よくある質問

    「うちの場合は?」と聞かれやすい質問に、答えの向きだけ短く書きます。

    ▶ Q. 古家付きのままだと、いくらで売れますか?

    家と土地によって分かれます。分かれ目は、建物に「直して住みたい」と思える価値が残っているかと、まわりで土地がいくらで売れているかです。担当者に「古家付き」と「更地」の2つの数字を、近くの売れた例と一緒にもらってください。並べ方は第3章で書いたとおりです。

    ▶ Q. 壊してから売ると、どのくらいで売れますか?

    早く売れるとは限りません。完成後の写真で募集を始める計画なら、見積もり・アスベストの調査・工事・滅失登記などの期間を先に見込みます。解体前から募集できる場合もあるので、募集開始と工事の工程を分けて担当者と相談してください。売れるまでの期間は、更地か古家付きかよりも、値段と見せ方で決まることが多いです。売却の期間全体の目安は、こちらの記事に書いています → 大阪の不動産売却の期間は?早く売るための具体的な流れと短縮法

    ▶ Q. 解体費は、売れてから払えますか?

    更地渡しなら、工事そのものは売買契約の後なので、売れることが決まってから払う形にしやすいです。決済の日に受け取った代金から精算できるかは、建物の大きさやかかる費用にもよりますが、解体業者さんによっては相談できます。見積もりの段階で「支払いはいつですか?」と聞いておいてください。

    ▶ Q. 囲い込みはしないですか?

    しません。どの売り方を選んでも、同じ資料をレインズに載せ、他の不動産会社から来た買主様にもお渡しします。報告書には、他社からの問い合わせも書いています。

    第7章:まとめ+次のアクション——壊す前に、納税通知書の1欄を見る

    第7章:まとめ+次のアクション——壊す前に、納税通知書の1欄を見る

    ▶ まとめ

    ・壊すタイミングは4つ。解体はどの形でも元に戻せず、先に壊すと買主未定のリスクも負います。迷っているうちは古家付きで募集しながら考える方法もあります

    ・ハンコの前に確かめるのは3つ。建て直せる土地か、補助を使うなら申請が先か、1月1日に家が建っているか

    ・手元に残る額は、2つの売値の差と解体費、それに控除が使えるかで比べます。売れてから壊すなら、契約書の4行と2つの期限を見ておきます

    ▶ 今日できること(1つ)

    固定資産税の納税通知書を出して、課税明細の土地の欄に「住宅用地」とあるかを見てください。あれば、何㎡がそうなっているかも。これだけで、第2章の「確かめる3」が半分終わります。

    ▶ 1週間以内にすること(3つ)

    1. 第2章の確認シートの3つを調べて、「はい・いいえ・分からない」に丸をつける(道の幅と接する長さ/補助の地図/住宅用地の欄)

    2. 担当者に、古家付きと更地の2つの売値を、根拠と一緒にもらう

    3. 第3章の4列の表に自分の家の数字を書き込み、家族(Aさんなら妹さんとご主人)に送る

    ▶ 相談したくなったら

    表を書いてみて「この行が分からない」「うちは補助の地区に入る?」と思ったら、公式LINEで聞いてください。

    → 公式LINEで相談する

    送ってもらえると話が早いのは、固定資産税の納税通知書の課税明細の写真と、解体の見積書(あれば)です。相談したからといって、売る・私に頼むを決める必要はありません。

    相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。

    おわりに

    最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

    実家を壊すかどうかは、お金の話であると同時に、家族の思い出の話でもありますよね。「年内に壊そう」と言う人も、「税金が上がるらしい」と言う人も、きっと同じように実家のことを考えています。

    だからこそ、決める前に4つを並べて、数字を家族で一緒に見てほしいのです。選ぶのは売主様です。私は、選ぶための材料をできるだけ正直に並べます。今日は通知書の1欄だけ。そこから、ゆっくり始めてみてください。

    次に読むなら

    ・空き家の通知が届いた大阪市の実家、年内に何を決める?段階と4択

    空き家のまま持っている実家の、次の一歩を考えたい方に

    ・リフォームしてから売ると何か月遅れる?

    壊すのではなく「直してから売るか」で迷っている方に

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    売り出しから引渡しまで、全体でどのくらいかかるかを知りたい方に

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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