両手仲介は大丈夫?|担当者が買主様も見つけた大阪市の家で聞く2つ
2026/10/26
「当社でご案内したお客様から、購入のお申込みをいただきました。ただ、価格のご相談が少しあります」
先に答えを3行で
- 大丈夫かどうかは、両手仲介かどうかでは決まりません。見るのは「値段の話がどう進められているか」です。
- 分かれ目は、相談された値段が「買主様の希望」なのか、「担当者の意見」なのか。ここを分けて聞くだけで、受けるかどうかを自分の物差しで決められます。
- 今日できるのは、担当者に「申込みの書面を見せてください。どちらの会社がご案内した方かも教えてください」と1通送ることです。
書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年、宅地建物取引士として売主様の側に立って仕事をしています。最初に正直に書いておくと、私の仕事でも両手仲介になることはあります。だからこそ「両手は危ない」で終わらせません。申込みが入ったその日に、売主様が自分の目で確かめられることを順番に書いていきます。
動画は2026年10月26日20時公開予定です。公開前は再生できません。
動画で見る|不動産売却の教科書 第14回(約15分)
読みながら「うちに来た申込み、どこを見ればいいの?」と思ったら、公式LINEに一言どうぞ。売る・売らないを決める前でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する
目次
第1章:「当社でご案内したお客様から申込みが入りました」——大丈夫かどうかは、両手かどうかでは決まらない
「当社でご案内したお客様から、購入のお申込みをいただきました」。このひと言で胸がざわっとしたなら、先に線を1本引いておきましょう。「両手かどうか」だけで良し悪しは決まりません。確かめたいのは「値段の話がどう進められているか」です。
▶ 昼休みに届いた1通のLINE
たとえば、こんな方を思い浮かべてください。東淀川区の築18年のマンションを、8月に売り出したBさん(47歳・説明のための架空の方です)。お子さんの進学に合わせて北摂の戸建てに住み替えることが決まっていて、新居の引渡しは2月の予定です。
10月下旬の平日、会社の昼休みにスマホが鳴ります。担当者からのLINEで「当社でご案内したお客様から申込みをいただきました。ただ、価格のご相談が少しあります。お電話できる時間を教えてください」。
うれしいはずなのに、指が止まるんですよね。売るのを頼んだ会社が、買う人の側も担当する? そういえば夫が「両手仲介」「囲い込み」って記事を読んでいたな……。値下げの話がついているのは、もしかして会社が両方から手数料をもらいたいから? そんな心の声が、一気に押し寄せてきます。
▶ 両手仲介は、販売活動の中で自然に起こる
両手仲介とは、売主様と買主様の両方を、同じ不動産会社が仲介することです。
どうやって起きるのか、私の仕事で説明します。売却を任されたら、私は写真を撮って販売資料を作り、SUUMOなどに載せます。同時にレインズ(不動産会社どうしが物件情報を共有するしくみ)にも登録して、ほかの会社にも紹介してもらいます。すると、買主様との出会い方は大きく2つになります。
1つは、ほかの会社がお客様を連れて来てくれる場合。このとき私は売主様の側だけを担当し、買主様には別の会社がつきます。もう1つは、私が出した広告を見た方から「SUUMOでこの家を見ました。内覧したいです」と直接お問い合わせが来る場合。その方が家を気に入って申込みをされたら、私の会社が両方を仲介することになります。これが両手仲介です。
広告を見て問い合わせた方が、その家を気に入って買う。これ自体は、ごく自然な流れなんです。売主様から見れば「家の良さが伝わって、買いたい人が見つかった」というだけの話。入口がどちらだったかだけで、良い話か悪い話かを決める必要はありません。
同じ会社が両方の事情を知っているので、引渡しの時期の調整がしやすい場面もあります。ただ、値段だけは別です。売主様は高く売りたい、買主様は安く買いたい。希望がぶつかるところだからこそ、担当者がそれぞれの希望を正確に伝えて、勝手に話を決めないこと。見るべきはここです。
▶ 囲い込みとは、どこが違うのか
心配のもとになっている「囲い込み」は、両手仲介とは別のものです。違いは1つ。ほかの会社のお客様にも、買うかどうかを検討する機会が開かれていたかどうかです。
ほかの会社からの紹介も受けていて、その中で自社のお客様と条件がまとまった。これは問題ではありません。一方、自社で買主様を見つけたいからと、ほかの会社からの紹介を「もう決まりそうです」とはぐらかして断る。これが囲い込みで、問題なのはこちらです。仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事で書いています → 両手仲介と囲い込みの違い
ではBさんは、担当者との電話で何を聞けばいいのか。この記事で聞くのは2つだけです。①申込みの書面と「どちらの会社のお客様か」、②その値段は「誰の言葉か」。1つ目から一緒に見ていきましょう。
第2章:聞くこと1つ目——申込みの書面を見せてもらい、「どちらの会社のお客様か」を確かめる
▶ 申込みの書面とは
買いたい方が申込みをするときは、ふつう「買付証明書」や「購入申込書」と呼ばれる書面を出します。名前は会社によって少し違いますが、中身は同じで、「この金額で、この条件なら買いたいです」と書いた紙です。
電話で「3,100万円でどうかというお話です」とだけ聞くと、どうしても金額しか頭に残りません。でも、申込みの中身は金額だけではないんです。だから最初のお願いは、とてもシンプル。「書面を見せてください」。写真でもPDFでも構いません。
私は、申込みが入ったら書面を売主様にお見せしています。自社のお客様でも、ほかの会社のお客様でも同じです。
▶ 書面で見る5つの欄
書面が届いたら、次の5つの欄を探してください。
| 欄 | 何が書いてあるか | Bさんの家で気にすること |
|---|---|---|
| ①金額 | 買いたい値段 | 売り出し価格との差。差があるなら、その理由が書面や説明にあるか |
| ②住宅ローン | ローンを使うか、事前審査(銀行が借りられそうかを先に見る仮の審査)の状況 | ローンを使うなら、事前審査は申込み前か後か |
| ③手付金 | 契約のときに買主様が払うお金 | 金額が書いてあるか |
| ④契約の希望日 | いつ売買契約をしたいか | 仕事を休める日と合うか |
| ⑤引渡しの希望日 | いつ鍵を渡してほしいか(ほかの条件もここに書かれやすい) | 新居に移る2月に合うか |
Bさんの場合、一番大事なのは⑤かもしれません。いくら金額が良くても、引渡しが4月と書いてあったら、2月に新居へ移る計画とずれてしまいます。逆に①で少し値段の相談があっても、⑤がぴったり2月なら、話は前に進めやすいわけです。
「その他の条件」の欄も、ざっと目を通しておきましょう。「エアコンを残してほしい」のような一文が、さらっと書かれていることがあります。
▶ 「どちらの会社のお客様ですか?」は聞いていい
もう1つ、書面と一緒に聞いてほしいのがこれです。
「この方は、御社がご案内したお客様ですか。それとも、ほかの会社のお客様ですか?」
聞いたら失礼かな、疑っていると思われないかな、と迷う方は多いです。でも、これは担当者を疑う質問ではなく、取引の進み方を知るための質問です。言い方が気になるなら、こんな形でも十分伝わります。
- 「今後の流れを知りたいので、どちらの会社がご案内された方か教えてもらえますか?」
- 「ほかの会社の方なら、やり取りはどなたを通すことになりますか?」
私も、どの会社がご案内した方かは、売主様にお伝えしています。きちんとした担当者なら、さらっと答えてくれるはずです。
▶ 手を動かすこと:5つの欄をメモに写す
書面が届いたら、5つの欄と「どちらの会社のお客様か」を、スマホのメモか紙に写してください。書き写すと、電話では流れていった数字が手元に残ります。このメモが、第4章で使う「4行メモ」の1行目と2行目になります。
書面の中身が分かったら、次は一番モヤモヤする「価格のご相談」です。その値段は、いったい誰の言葉なのか。次の章で分けてみましょう。
第3章:聞くこと2つ目——その値段の話は「買主様の希望」か「担当者の意見」か
▶ 値下げの希望は、両手でなくても入る
「両手で決めたいから、値下げを勧めているのかな?」。Bさんでなくても、そう感じるのは自然なことです。
ただ、知っておいてほしいのは、値下げの希望は両手仲介に限った話ではない、ということです。ほかの会社のお客様からも「この金額なら買いたいです」という申込みは普通に入ります。値下げの相談があること自体は、両手かどうかとは関係がありません。
大切なのは、その希望を担当者がどう伝えてくれるかです。
▶ 「希望」と「意見」は、言葉で見分けられる
担当者の言葉は、だいたい次の2つのどちらかに分かれます。
| 担当者の言い方の例 | どういうことか | 売主様がすること | |
|---|---|---|---|
| 希望 | 「買主様は、この金額を希望されています」 | 買主様の言葉をそのまま伝えている(事実の伝達) | そのまま受け取り、自分の線と比べる |
| 意見 | 「最近の成約事例や販売状況から、この条件は検討の価値があると思います」 | 担当者が自分の考えとして勧めている | 理由を見せてもらう |
希望なら、それは買主様の言葉です。担当者がどちらの側に立っているかとは関係なく、「相手はこう言っている」という情報にすぎません。
「でも、その希望だって担当者さんが言わせているかもしれないでしょう?」。そう思った方もいるはずです。ただ、そこを突き止めなくても大丈夫です。希望でも意見でも、受けるかどうかは次の章で書く「自分の線」と比べて決めます。誰が言い出したかを探るより、自分の線を先に持つほうが確かです。
意見なら話は変わります。担当者が「受けたほうがいい」と考えているなら、その理由を説明する必要があります。理由を見せてもらうときは、次の3つが入っているかを見てください。
- 近くで最近売れた、似た家の値段(成約事例)
- 売り出してからの問い合わせと内覧の数
- 売り出してからの期間
この3つがあるだけで、提案が妥当と決まるわけではありません。成約事例の時期・面積・築年・立地や条件が自分の家に近いか、違いをどう価格に反映したか、反響や販売期間からなぜその値段を勧めるのかまで聞いてください。逆に、理由がなく「このへんで決めておいたほうが……」だけなら、もう少し聞いていい場面です。成約事例の見方は、査定額のばらつきを扱ったこちらの記事が参考になります → 査定額が会社ごとに違うときの比べ方
▶ 聞く一言は、この2つ
電話で迷ったら、この順で聞いてみてください。
- 「この金額は、買主様のご希望ですか?」
- 「担当者さんとしては、どんな理由で勧めていますか?」
1つ目で「希望」か「意見」かが分かれます。2つ目で、意見なら理由が出てきます。両手かどうかを探るより、ずっと判断の材料になります。
▶ 私がやっていること
私は、売主様が残したい手取りや売却の期限を、あらかじめ伺うようにしています。ただ、その事情を知っているからといって、売主様に代わって勝手に値下げを約束することはありません。買主様が私の会社のお客様でも、ほかの会社のお客様でも同じです。申込みの内容をお伝えして、判断は売主様にしていただきます。
「誰の言葉か」が分かったら、いよいよ返事です。ここで焦って答えないために、次の章では返事の前に書いておくものをお渡しします。
第4章:受ける・返す・断る——「申込みの日の4行メモ」で、自分の手取りと期限から返事を決める
▶ 手順1:先に「自分の線」を2つ書く
できれば申込みの金額を見る前に、まず次の2つを1行ずつ書いてください。すでに金額を見ている方も、家族の資金計画に戻って確かめましょう。
- 残したい手取りの下限:ローン完済・売却費用・税金を差し引いた後、新居の頭金などのために手元に残す必要がある金額
- 引渡しの期限:この日までに引き渡せないと困る、という日付
申込みの売値と比べるときは、手取りの額をそのまま並べません。必要売価の概算=残したい手取り+ローン完済額+売却費用+税金の見込額として、売値の下限に直します。費用や税金は売値や適用条件でも変わるため、具体的な申込み額で再計算してください。ポイントは、申込みの金額だけに合わせて自分の線を変えないこと。数字を先に見てしまうと、人はどうしてもその数字に引っぱられます。売った後に手元にいくら残るかを出したい方は、日付順に並べたこちらの記事が使えます → 家を売ったお金が入る日と手取り
▶ 手順2:「申込みの日の4行メモ」を埋める
次に、ここまでの材料を4行にまとめます。
| 行 | 入れるもの | 分かること |
|---|---|---|
| 1 | 書面の5つの欄(金額・ローンと事前審査・手付金・契約日・引渡し日) | 申込みの中身を、口頭ではなく自分の目で |
| 2 | どちらの会社のお客様か(自社/ほかの会社) | 進み方。良い悪いを決める材料ではない |
| 3 | 値段の話は「希望」か「意見」か(意見なら理由3つ) | 誰の言葉か、根拠があるか |
| 4 | 自分の線(必要売価の下限・引渡しの期限) | 受ける・返す・断るのどれにするか |
Bさんのメモは、たとえばこうなります(数字はすべて架空の例です)。
- 金額3,100万円(売り出し3,280万円)・ローン利用、事前審査はこれから・手付金100万円・契約は11月中旬希望・引渡しは3月末希望
- 担当の会社がご案内した方(両手)
- 「買主様のご希望です」とのこと=希望
- 自分の線:残したい手取りから逆算した必要売価の下限は3,180万円・引渡しは2月末まで
並べてみると、ぶつかっているのは金額だけではないと分かります。引渡しが3月末では、2月に新居へ移るBさんの期限に合いません。電話だけなら「180万円下げてほしい」という話で終わっていたはずです。書面を写して並べたから、時期のずれに気づけました。
▶ 手順3:3つから選ぶ
4行目と1行目を見比べたら、返事は3つのどれかです。
- 受ける:金額も時期も自分の線の内側に入っている
- 返す:どこかが線の外。ただ、条件を変えれば合いそう
- 断る:どう動かしても線に届かない
Bさんは「返す」です。返し方の文例を置いておきます。
- 「その金額では難しいです」
- 「引渡しが2月中なら、3,180万円で検討できます」
- 「家族と相談したいので、◯日まで時間をください」
担当者が買主様も見つけてきたからといって、その方の条件を受けなければいけないわけではありません。最後は売主様と買主様の双方が合意して、はじめて契約になります。時間がほしいと言うのも、立派な返事です。
20年この仕事をしてきて思うのは、担当者の仕事は買主様の希望をそのまま売主様にのんでもらうことではない、ということ。双方の希望を確かめて、合意できる条件があるかを探すことです。「返す」を受け止めて、もう一度買主様と話してくれる担当者なら、両手でも片手でも安心していいと私は考えています。
買主様の氏名・住所・連絡先や口座などの個人情報を隠した書面の写真を公式LINEに送っていただければ、どの欄を見ればいいか一緒に確かめます。4行メモの4行目だけ空いたまま、でも大丈夫です。→ 公式LINEで相談する
ここまでは申込みが1つの場合でした。では、ほかの会社のお客様からも同じころに申込みが入ったら? 次の章で並べ方をお話しします。
第5章:自社と他社から同じころに申込みが入ったら——会社ではなく条件で横に並べる
▶ 比べるのは「会社」ではなく「条件」
同じ週に、担当の会社のお客様と、ほかの会社のお客様の両方から申込みが入る。売主様からすれば、心配になって当然の場面です。
ここで大事なのは、どちらの会社のお客様かだけで順番を決めないこと。比べるのは購入の条件です。私は次のように整理して、売主様と相談しています。
| 比べる行 | 担当の会社のお客様 | ほかの会社のお客様 |
|---|---|---|
| 金額 | ||
| 住宅ローンの見通し(事前審査の状況) | ||
| 契約と引渡しの時期 | ||
| その他の条件 | ||
| 申込みの順番と、これまでの交渉の状況 |
空いているところに、それぞれの書面から写していけば完成です。2列とも同じ行が埋まっていれば、会社ではなく条件で比べられている目安になります。
高い金額なら何でもいい、とは限りません。Bさんで言えば、「ほかの会社のお客様のほうが50万円高い。でも引渡しは4月希望」という申込みは、2月の新居に間に合いません。手数料が増えるかどうかではなく、売主様の希望に照らして考える。自社のお客様でも、ほかの会社のお客様でも、同じ物差しで条件をお伝えする。私が大切にしているのはここです。
なお、申込みが入った後にほかの方の案内を止めるかどうかも、担当者が自分の都合だけで決めるものではありません。私は、基本は買主様の住宅ローンの事前審査が通ってから止めていて、その扱いは自社のお客様でも他社のお客様でも同じです。内覧を止める判断と、レインズの取引状況の登録は別です。書面の申込みを受けた事実に沿って、機構のルールに従い取引状況を更新します。売買契約が成立したら広告の掲載を終了し、レインズには遅滞なく成約登録を行います。「掲載を下ろす」と一括りにせず、それぞれの処理を確かめてください。止める日・下ろす日の詳しい話は、こちらの記事にまとめています → 内覧を止める日と広告掲載を終える日
▶ 担当者の外から、自分で確かめられる場所
「同じ物差しで並べています」と言われても、本当かどうか気になりますよね。売主様が自分で確かめられる場所は、次の3つです。
| どこで | 何が分かるか | 見るタイミング |
|---|---|---|
| 販売状況の報告書 | ほかの会社から問い合わせがあったか、どう答えたか | 報告書が届くたび |
| レインズの登録証明書 | 自分の家がレインズに登録されているか。登録証明書に書かれた案内に沿って、取引の状況も確かめられる | 売り出してすぐと、申込みが入った日 |
| 媒介契約書の満了日 | いつまでこの会社に任せているか | 今日。カレンダーに書いておく |
2025年1月1日から、レインズに「取引の申込みの受付に関する状況」も登録することになりました(国土交通省の発表)。対象は、専任媒介・専属専任媒介で売っている家です。申込みが入っているのか、まだ紹介を受け付けているのかを、ほかの会社にも示すしくみです。登録証明書の見方はこちら → レインズ登録証明書の見方 、自分で登録を確かめる手順はこちら → レインズ登録を自分で確認する方法
登録・成約報告について:近畿レインズの登録制度、取引状況の登録案内
▶ 囲い込みをしない、を作業で見せる
私は囲い込みをしません。ほかの会社からの紹介も同じように受け、その問い合わせは売主様への報告書にも書いています。実際に、レインズを通じてほかの会社から購入希望のお客様をご紹介いただき、成約した取引もあります。上の3つは確認の手がかりになります。ただし、報告書などだけですべての対応が分かるとは限りません。不明な点は、個別の問い合わせと対応の説明を求めてください。
ここまでで、聞くことと並べ方はそろいました。最後に、よくいただく質問をまとめて片づけておきましょう。
第6章:よくある質問
▶ 「両手仲介なら、手数料は下げてもらえますか?」
両手仲介だからといって、自動的に値引きになるわけではありません。仲介手数料には法律で上限がありますが、定価ではなく、依頼する会社と確認して合意して決めるものです。私の場合は、両手仲介でも原則として、あらかじめ説明して合意いただいた手数料をお願いしています。売主様の売却に関する仕事も、買主様の購入に関する仕事も、それぞれあるためです。気になる方は、依頼する前に金額と業務の中身を確かめておくと安心です。すでに依頼している方は、お手元の媒介契約書で額を確かめられます。手数料の確かめ方はこちら → 800万円以下の家の仲介手数料
▶ 「両手かどうか聞いたら、担当者さんに失礼ですか?」
聞いて大丈夫です。第2章の聞き方のとおり、「どちらの会社がご案内された方ですか?」は取引の進み方を知るための質問で、相手を疑う質問ではありません。
▶ 「両手だと、値下げを断りにくくなりませんか?」
受け入れられない条件に、無理に応じる必要はありません。担当者が両方を担当していても同じです。返し方は、第4章の3つの文例がそのまま使えます。
▶ 「これから会社を選びます。何を聞けばいいですか?」
媒介契約の前に、この2つを聞いてみてください。「自社と他社から申込みが入ったら、どんな基準で進めますか?」「自社のお客様から申込みが入ったとき、価格の相談はどう進めますか?」。答えを聞くと、その担当者の考え方が見えてきます。会社選びそのものは、こちらの記事でも書いています → 大手と地元の会社の比べ方
第7章:まとめ+次のアクション——今日、担当者に1通だけ送る
▶ この記事のまとめ
- 大丈夫かどうかは、両手仲介かどうかでは決まらない。見るのは値段の話の進め方
- 聞くことは2つ。①申込みの書面と「どちらの会社のお客様か」 ②その値段は「買主様の希望」か「担当者の意見」か
- 返事は、先に書いた自分の線(必要売価の下限・引渡しの期限)から「受ける・返す・断る」の3つで選ぶ
▶ 今日できること(1つ)
担当者に、次の1通を送ってください。
「申込みが入ったら、金額と条件が分かる書面を見せてください。どちらの会社がご案内した方かも教えてください」
まだ申込みが来ていない方も、先に送っておけます。そのほうが、いざという日に慌てずにすみます。
▶ 1週間以内にすること(3つまで)
- 残したい手取りから必要売価の下限を出し、引渡しの期限と合わせて家族で決める
- 届いている報告書に、ほかの会社からの問い合わせが書かれているか確かめる
- 媒介契約書の満了日を、カレンダーに書き込む
▶ 相談したくなったら
ここまでは、この記事だけで進められます。そのうえで「この申込み、4行メモにしてみたけど、これで合っているかな」と思ったら、公式LINEで声をかけてください。
送っていただくのは、「申込みの書面の写真」か「担当者から届いたメッセージ」のどちらか1つ、多くても2つで十分です。買主様の氏名・住所・連絡先などの個人情報は、送る前に隠してください。今の会社を変えるかどうかも含めて、何かを決める必要はありません。
相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。
▶ 次に読むなら
- 申込みが入ったあと、内覧をいつ止めるのか知りたい方へ → 内覧を止める日と広告掲載を終える日
- 両手仲介と囲い込みの違いを、もう少し詳しく知りたい方へ → 両手仲介と囲い込みの違い
- 手取りの下限を出すために、売ったお金がいつ・いくら入るか知りたい方へ → 家を売ったお金が入る日と手取り
おわりに
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
申込みの連絡は、本来うれしい知らせです。それなのに「両手仲介」という言葉ひとつで、喜ぶより先に疑ってしまう。そうさせてきたのは、売主様ではなく、私もその中にいる不動産業界の側の積み重ねだと思っています。
だから、遠慮はいりません。書面を見せてもらい、どちらの会社のお客様かを聞き、その値段が誰の言葉かを確かめる。それだけで、担当者を疑わずに、自分の手取りと期限で返事を決められます。
あなたの家の良さが伝わって、買いたい方が現れた。その知らせを、納得のいく契約までつなげられますように。













