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団信でローンが消えても、すぐには売れない|夫名義の大阪市の家を妻が売るまでの順番

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団信でローンが消えても、すぐには売れない|夫名義の大阪市の家を妻が売るまでの順番

団信でローンが消えても、すぐには売れない|夫名義の大阪市の家を妻が売るまでの順番

2026/09/15

団信でローンが消えても、すぐには売れない|夫名義の大阪市の家を妻が売るまでの順番

ご主人を亡くされて、銀行からは「団信でローンは完済になりました」と連絡が来た。それなのに、家はご主人の名義のまま。売っていいのか、誰に何を頼めばいいのか分からない…そんな状態で、この記事を開いてくださったのかもしれませんね。

この記事では、夫名義の家を妻が売主として売り出し、買主さんに引き渡すまでの「順番」を、最初から最後まで並べます。例に使うのは、大阪市東淀川区のマンションです。読み終える頃には、あなたの家が今どの段階にいて、次に何をすればいいのかが分かります。そして「今は急がなくていい」理由も。一緒に、ひとつずつ見ていきましょう。

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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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目次

    第1章:夫名義のままの家は今「順番のどこ」にいるか——登記簿の2か所で現在地を確かめる

    第1章:夫名義のままの家は今「順番のどこ」にいるか——登記簿の2か所で現在地を確かめる

    この章では、「私が売っていいの?」という漠然とした不安を、「今はこの段階」という現在地の把握に変えます。やることは1つ、登記簿を1通取って2か所を見るだけです。

    ▶ 「団信で完済」と「売れる状態」は別の話

    団信(団体信用生命保険。ローンを組んだ人が亡くなったとき、保険金で残りのローンを返す仕組み)で完済になった。だから家はもう「借金のない家」になった。ここまでは合っています。

    ただ、買主さんにお金と引き換えに家を渡せるのは、その家の名義人だけなんです。ご主人の名義のままでは、売買の最後の場である決済(買主さんから残りの代金を受け取り、同じ日に名義を買主さんへ移す手続き)ができません。しかも、ローンを返し終えても、登記簿(法務局にある、その不動産の持ち主や借金の記録)は自動では書き換わりません。銀行が勝手に直してくれることもないんです。

    決済の日を迎えるには、2つがそろっていないといけません。「名義が自分になっている」こと。そして「抵当権(ローンの担保として銀行が付けている権利)が消えている」こと。今の家は、たぶんどちらも「まだ」の状態です。それは何もおかしくないですし、あなたが何かを間違えたわけでもありません。

    ▶ 今日やること:登記事項証明書を1通取る

    現在地を確かめるいちばん確実な方法は、登記事項証明書(登記簿の写し)を取ることです。家に「権利証」が見つからなくても、これは誰でも取れます。

    ・どこで:お近くの法務局の窓口。物件の場所と違う法務局でも取れますし、オンラインでも請求できます

    ・何がいるか:物件の「地番」や「家屋番号」(住所とは少し違う番号)。分からなければ、固定資産税の納税通知書や、夫宛てに届いていた書類に書いてあることが多いです

    ・いくらか:窓口で1通600円。オンライン請求なら郵送で520円、窓口受け取りで490円です(法務省の手数料ページで確認。2025年4月改定後の額)

    マンションなら、建物(あなたのお部屋)の登記事項証明書を1通取れば、敷地の権利も一緒に載っていることがほとんどです。

    ▶ 見るのは「甲区」と「乙区」の2か所だけ

    取ってきた証明書は細かい字がびっしりですが、見るところは2か所だけです。

    1つ目は「甲区」。所有者が誰かが書いてある欄です。ここにご主人の名前があって、その後に何も書かれていなければ、名義はまだご主人のままです。

    2つ目は「乙区」。抵当権など、借金に関する権利が書いてある欄です。「抵当権設定」と銀行の名前が載っていて、その下に「抵当権抹消」の記載がなければ、抵当権はまだ残っています。団信で保険金が下りていても、ここは残ったままなのが普通です。

    登記事項証明書の見本。甲区の「所有者」欄と乙区の「抵当権設定」欄を丸で囲み、保険金が下りてもここは自動では変わらないと添えた図

    東淀川区で1996年築のマンションにお住まいのAさん(62歳・架空の例)も、そうでした。登記簿を取ってみると、甲区はご主人のお名前のまま。乙区には、ご主人が36歳のときに組んだローンの抵当権がそのまま載っていました。Aさんは「団信で終わったのに、名義はまだお父さんのままなん?」と驚かれましたが、これが「順番の一番最初」にいる状態なんです。

    現在地が分かったら、次は「じゃあ、どの順番で、誰に頼めば名義が自分になって抵当権が消えるのか」。次の章で並べていきます。

    第2章:団信で完済しても登記簿には抵当権が残る——相続登記→抵当権抹消の順番と頼む相手

    第2章:団信で完済しても登記簿には抵当権が残る——相続登記→抵当権抹消の順番と頼む相手

    「相続登記」と「抵当権抹消」。この2つは別の手続きですが、この順番でまとめて頼めます。この章ではそこを整理して、費用と期限、それから「団信が使えなかった場合」の分かれ道まで押さえましょう。

    ▶ 順番は「相続登記」が先、「抵当権抹消」が後

    なぜ順番があるのか。団信の保険金は、ご主人が亡くなった後に支払われます。ということは、ローンが完済になった時点で、家の持ち主はすでに「亡くなったご主人」です。亡くなった方の名義のまま抵当権だけ消す、ということは原則できません。

    だから順番はこうなります。

    1. 相続登記:家の名義を「夫」から「妻(あなた)」に変える

    2. 抵当権抹消:名義が自分になった家から、銀行の抵当権を消す

    この2つは、司法書士さんに「まとめて連件で(続けて)申請してください」と頼めば、一度に進めてもらえます。銀行からは、抵当権抹消に必要な書類(解除証書や委任状など)が届くか、取りに行くよう案内があります。その封筒は、司法書士さんに渡す書類として一式まとめておいてください。

    ▶ 頼む相手と、その前に決めること

    相続登記を頼む相手は司法書士さんです。私たちは登記の代行はできません。ここは「餅は餅屋」です。

    ただ、司法書士さんに頼む前に、ご家族で決めておくことが1つあります。それは「家を誰の名義にするか」。家を売る前提なら、名義は奥様1人にまとめる形(遺産分割協議)が多いです。名義が3人に分かれると、売るときも3人全員の署名と印鑑証明が要るので、手続きがそのぶん増えます。

    誰がどう分けるかの相談そのものは司法書士さんの領域です。Aさんの家では、長男は「売って近くに来てほしい」、長女は「急がなくていい」と意見が割れています。こういうときは、司法書士さんの前で一度、全員で話す場を作るのが早道です。

    ▶ 費用と期限の目安

    費用は大きく3つです。

    ・相続登記の登録免許税:不動産の固定資産税評価額の0.4%(国税庁の税額表で確認)。評価額1,000万円のマンションなら4万円です

    ・抵当権抹消の登録免許税:不動産1個につき1,000円。マンションは建物と敷地で2個と数えることが多いので2,000円です

    ・司法書士さんの報酬:事務所や物件の内容で幅があります。最初に見積もりを出してもらい、「相続登記と抵当権抹消をまとめて」と伝えて金額を確認してください

    期間は、戸籍の収集や遺産分割協議書の準備を含めて、私たちの経験では数週間から数か月です。相続人が全員近くにいて話がまとまっていれば早く、戸籍を全国から取り寄せる必要があると長引きます。

    もう1つ知っておいてほしいのが、相続登記の義務化です。2024年4月1日から、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記をすることが義務になりました。しないと、10万円以下の過料(罰金のようなもの)の対象になりえます。2024年4月1日より前に亡くなった方の相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です(法務省のページで確認)。Aさんのようにご主人が2025年に亡くなった方は「3年以内」のほうですが、売るならどのみち今やる手続き。期限に追われる前に進めてしまいましょう。

    相続登記の手順そのものは、こちらの記事で詳しく書いています → 相続登記の手順を詳しく見る相続登記に関する関連記事

    ▶ 分かれ道:団信が使えなかった場合

    ここまでは「団信で完済になった」前提で書きました。ただ、保険金が下りない場合もあります。団信に入っていなかった、途中で失効していた、加入時の告知に問題があった、といった理由です。

    その場合はローンが残ったまま相続することになるので、話がまったく変わります。相続放棄(借金ごと相続しないと決める手続き)には、亡くなったことを知ってから3か月という期限があります。銀行から「保険金の支払いはできません」という連絡が来たら、登記より先に、弁護士さんか司法書士さんに相談してください。

    ローンが残っている家を売る流れは、こちらに書いています → ローンが残っている家を売る流れ / ペアローンだった場合はこちら → 離婚後もペアローンは2人のまま|大阪市のマンションを「妻が住み続ける」前に確かめる4つのこと

    ご主人に前の結婚でのお子さんがいるなど、相続人が奥様とお子さん以外にもいる場合も、士業の方の領域です。私たちが口を出す話ではありません。

    ▶ 私たちが現場で見る「詰まり方」

    売却の仲介をしていて、よく見るつまずきがあります。相続登記は済んだのに、抵当権が残ったまま売り出してしまう。そして決済の直前に「抵当権が消えていないので決済ができない」と止まる。そんなケースです。だからこそ第1章で「乙区」を見てほしかったんです。相続登記のときに「抵当権抹消も一緒に」と一言添えるだけで、この詰まりは防げます。

    さて、登記が終わるまで数週間から数か月。「その間、何もできないの?」と思いますよね。実は、この期間にできないことは1つだけで、できることのほうがずっと多いんです。次の章で仕分けしていきましょう。

    第3章:相続登記が終わるまでに「今できること・まだできないこと」を分ける

    第3章:相続登記が終わるまでに「今できること・まだできないこと」を分ける

    「登記が終わるまで、ぼんやり待つしかないん?」——Aさんの長男さんが最初に聞いたのが、これでした。答えは「いいえ」です。この章では、待つ期間を「何もできない時間」にしないための仕分け表をお渡しします。「今すぐ売り出さなきゃ」でもなく「まだ何もできない」でもなく、待つ間にやっておくと後で効いてくることが5つあります。

    ▶ 今できる・まだできない仕分け表

    「今(登記前)→登記完了→決済」の時系列に、登記前から動ける「今できる5つ」と、遺産分割協議書があれば登記前でも進められる「媒介契約・売り出し・売買契約」、登記が終わるまでできない「決済(引渡し)」を並べた仕分け表

    まず「まだできないこと」から。これは1つだけで、はっきりしています。第1章で出てきた決済(引渡し)です。決済の日には、相続登記と抵当権抹消が終わっていることが条件になります。

    では、決済の手前はどうか。媒介契約(不動産会社に「売却をお願いします」と正式に頼む契約)、売り出し(ポータルサイトやチラシで買主さんを募集すること)、売買契約。この3つは、相続登記の前でも進められます。条件は1つ、相続人の間で遺産分割協議(誰が何を相続するかの話し合い)が終わっていて、遺産分割協議書があること。協議書で「この家は奥様が相続する」と決まっていれば、私たちは登記を待たずに媒介契約をお受けし、売り出しから売買契約まで進めています。登記は、決済の日までに間に合えばいいんです。

    逆に言うと、協議がまだなら、先に協議を終えて協議書を作るのが順番です。協議書がない状態では「誰が売主になるのか」が決まっていないので、媒介契約の手前で止まります。

    ただし「進められる」と「今すぐ売り出すべき」は別の話です。第5章の住まいの順番と第6章の急ぐ条件を見てから決めても、遅くはありません。

    ▶ 今できること①:机上査定で「だいたいの値段」を知る

    「いくらで売れますか?」——これ、登記前でも聞けます。机上査定(部屋を見に来ず、住所・広さ・築年数などのデータで出す概算の査定)なら、名義がどうであれ受けられます。

    大事なのは、この段階では「訪問査定」や「一括査定サイト」に進まないこと。目的は正確な値段ではなく、「このくらいなら次の住まいはこう考えられる」という家族の会話の材料を作ることです。机上査定と訪問査定の違いは、こちらで書いています → 机上査定と訪問査定の違い

    ▶ 今できること②:夫が家を買ったときの契約書を探す

    これがいちばん大事かもしれません。ご主人がこの家を買ったときの「売買契約書」と「領収書」を探してください。

    理由は第4章で詳しく書きます。ただ先に言うと、この書類があるかないかで、売ったときの税金が何十万円、場合によっては何百万円も変わることがあります。Aさんの書類箱からは団信の「支払完了のお知らせ」は出てきましたが、契約書はまだ見つかっていません。押入れの奥、銀行の貸金庫、当時の不動産会社の封筒。ご主人が「大事なもの」を入れそうな場所を、時間があるうちに探してみてください。

    見つからないときの扱いは、こちらに書いています → 大阪市の不動産売却で税金が数百万増える|取得費不明の5%ルール

    ▶ 今できること③:遺品整理は「処分」を先にしない

    家を売るなら片付けなきゃ、と思って業者さんを呼んで一気に処分…は、ちょっと待ってほしいんです。上の契約書のように、捨ててはいけない書類が紛れていることがあります。

    今できるのは「分ける」まで。「残す」「迷う」「捨てる」の3つの箱に分けて、「迷う」はそのまま置いておく。処分は売り出しの目処が立ってからで間に合います。詳しくはこちら → 大阪市の実家を不動産売却|残置物を先に処分すると損する3つの理由

    ▶ 今できること④:住まいの候補を、子と1回だけ話す

    「売ったあと、どこに住むか」。これを売り出す段になってから考え始めると、売り出しがさらに後ろにずれます。今のうちに、お子さんと1回だけでいいので話しておいてください。

    「1回だけ」と書いたのは、決めなくていいからです。「長男の家の近く」「今の区内で小さい部屋」「長女のいる奈良」——候補が2つ3つ出るだけで十分。決めるのは、第5章で順番を整理してからで間に合います。

    ▶ 今できること⑤:維持費の年額を1枚に書く

    今の家に住み続けるのに、1年でいくら出ていっているか。管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険、光熱費の基本料金。これを1枚の紙に書き出してみてください。

    Aさんの場合、月3万円超が出ていくとのことでしたが、年額にすると40万円近く。「月3万円なら、まあ」と思っていたものが、「年40万円」と紙に書くと見え方が変わります。この数字は、「急ぐべきか、待てるか」を判断する第6章で使いますし、お子さんと話すときの共通の材料にもなります。

    こうして並べてみると、登記を待つ数か月は「準備の時間」に変わります。そして準備の中でいちばん手取りに効くのが、税金の話。次の章で、FPの視点から一緒に見ていきましょう。

    第4章:使えるのは「相続空き家の特例」ではなく「自分が住んでいた家の特例」——手取りを決める3つの数字

    第4章:使えるのは「相続空き家の特例」ではなく「自分が住んでいた家の特例」——手取りを決める3つの数字

    「相続した家やから、3,000万円の控除があるんでしょ?」——Aさんの長男さんも、そう言っていました。よくある思い込みです。この章ではそれをほどきます。あなたの家がどちらの特例に当てはまるかを3つの質問で判定して、手取りを決める3つの数字まで整理しましょう。

    ▶ 「3,000万円控除」は2種類ある

    家を売って利益(譲渡所得。売った値段から、買った値段や売るのにかかった費用を引いた残り)が出ると、そこに税金がかかります。この利益から3,000万円を引ける特例が、実は2種類あるんです。

    1つは「相続した空き家の特例」(国税庁 No.3306)。もう1つは「自分が住んでいた家(マイホーム)の特例」(国税庁 No.3302)。名前が似ているので、「相続した家=空き家の特例」と思い込んでしまう方がとても多いんです。でも、奥様が住み続けている家に、こちらは使えません。

    ▶ どちらの3,000万円控除か・3問判定

    どちらの3,000万円控除かを3問で判定するフローチャート。Q1 亡くなる直前ご主人だけが住んでいたか→Q2 建物はマンションか→Q3 今も住んでいるか。多くの方が「自分が住んでいた家の特例」に着地する

    Q1:ご主人が亡くなる直前、その家に住んでいたのはご主人だけでしたか?
    → 奥様も一緒に住んでいたなら、「相続した空き家の特例」は対象外です。この特例は、亡くなった方が一人で住んでいた家を空き家にしないための制度だからです。

    Q2:建物はマンションですか?
    → マンション(区分所有建物)は「相続した空き家の特例」の対象外です。さらに、建物が昭和56年5月31日以前の建築であることも条件なので、大阪市内の多くの家はここで外れます。

    Q3:あなたは今もその家に住んでいますか? もし引っ越したなら、住まなくなってから3年目の年末より前ですか?
    → 「はい」なら「自分が住んでいた家の特例」が使えます。この特例は所有期間を問わないので、相続で名義が変わったばかりでも大丈夫です。

    Aさんのケースは、Q1で「一緒に住んでいた」、Q2で「マンション」なので、使えるのは「自分が住んでいた家の特例」のほう。売却時の利益から3,000万円を引けます。多くの方がここに着地します。

    ▶ 取得費は「夫のもの」を引き継ぐ——だから契約書を捨てないで

    ここが第3章で契約書を探してほしかった理由です。相続した家を売るときの「買った値段(取得費)」と「買った時期」。これは、亡くなったご主人のものをそのまま引き継ぎます(国税庁 No.3270)。相続したときの評価額ではなく、ご主人が36歳で買ったときの値段が基準になるんです。

    問題は、その値段を証明する契約書が見つからなかったとき。この場合、取得費は「売った値段の5%」として計算されることになります。1996年に3,000万円で買ったマンションでも、契約書がなければ、買った値段は「売値の5%」扱い。差額はまるごと利益と見なされる可能性があります。

    ▶ 手取りを決める3つの数字(架空の例)

    手取りを左右するのは、大きく「売値」「取得費」「控除」の3つです。架空の例で見てみましょう。

    ・売値:2,800万円

    ・取得費:契約書が見つからない場合、売値の5%=140万円

    ・控除:「自分が住んでいた家の特例」で3,000万円

    この例だと、2,800万円−140万円=2,660万円が利益(仲介手数料などの費用は省略しています)。ここから3,000万円を引くとマイナスになるので、所得税・住民税はかかりません。

    「じゃあ契約書がなくても大丈夫?」と思われたかもしれません。この例ではそうです。でも売値が3,500万円、4,000万円となると、取得費140万円では控除を超えてしまい、税金が発生します。しかも控除を使うには確定申告が必要です。「いくらで売れそうか」が分からないうちは、契約書を探す手を止めないでください。実際の金額は税務署か税理士さんに確認してくださいね。

    ▶ 相続税は別の話、翌年の保険料はまた別の話

    ここまでは「売ったときの税金」の話でした。相続税(亡くなった方の財産全体にかかる税金)は、これとはまったく別物です。基礎控除の範囲に収まる方も多いのですが、預貯金や保険金を含めた財産全体で決まるので、ここは税理士さんに確認してください。

    もう1つ、FPとしてお伝えしておきたいのが「売った翌年」のことです。遺族年金は、家を売っても減りません。ただ、国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料は、売却で所得が出た翌年に上がることがあります。控除で税金がゼロになっても、保険料の計算では扱いが違う場合があるんです。詳しくはこちらで書いています → 税金ゼロでも翌年8月に来る3つの通知|親の実家売却と介護保険料

    税金の見通しが立ったら、次は「売ったあと、どこに住むか」。売ってから探すのではなく、順番を逆にする話を、次の章でします。

    第5章:売ってから住まいを探さない——「住まいの確保→売り出し→引渡し」の順番だけ決める

    第5章:売ってから住まいを探さない——「住まいの確保→売り出し→引渡し」の順番だけ決める

    この章では、「売ればなんとかなる」を「住まいの候補が決まってから売り出す」に順番を入れ替えます。どこに住むべきかは書きません。私たちが決めるのは順番だけです。

    ▶ 「売ってから探す」がうまくいきにくい理由

    家を売れば、まとまったお金が入る。それから次の住まいを探せばいい——そう考える方は多いです。ただ、ここで1つ知っておいてほしい現実があります。

    年齢を理由に賃貸の入口が狭くなる話は、経済メディアでも繰り返し取り上げられています。何十件も問い合わせて、前向きに応じてくれる大家さんがほんの数件、という声も珍しくありません。「売ってから探す」と、引渡しの日が迫る中で住まいが決まらない。そして条件の悪いところに慌てて決める。そういう順番になりやすいんです。

    これは「だから買え」という話でも「だから売るな」という話でもありません。順番の話です。

    ▶ 選択肢は並べるだけ。決め方は書きません

    住まいの候補はいくつかあります。お子さんの家の近くで賃貸を借りる。今より小さい部屋を買う。お子さんと同居する。どれがいいかは、ご家族の距離感や体力、お金の見通しで変わります。

    私たちは売却専門で、賃貸や購入の仲介を扱っていません。だから「うちで次の家も」と誘導する動機がありませんし、賃貸や購入の中身は専門ではないので触れません。順番だけを整理させてください。

    ▶ 決めるのは順番だけ

    順番はこうです。

    1. 住まいの候補を決める(契約まではしなくていい。「ここなら入れる」が2つあればOK)

    2. 売り出す

    3. 買主さんと契約する

    4. 引渡し日を、次の住まいの入居日に合わせる

    4番がポイントです。売買契約から引渡しまでは間が空くので、そこに次の住まいの契約と引越しを入れます。「引渡し日はいつ頃がいいですか」と不動産会社から聞かれる場面があります。そのとき「次の入居日がこの日なので、その後で」と答えられる状態にしておく。それが「住まいの確保→売り出し」の順番です。

    ▶ 「子の家に移ってから売る」なら、期限を1つだけ

    Aさんの長男は「先に吹田に来て、家はそれから売ればいい」と言っています。この順番もアリです。ただ1つだけ、第4章の「自分が住んでいた家の特例」には期限があります。住まなくなってから3年目の年末までに売ることが条件です。

    たとえば2026年の秋に引っ越したら、2029年12月31日まで。3年あるので余裕はありますが、「落ち着いてから」が「気づいたら4年目」にならないよう、カレンダーに印を付けておいてください。同じ構造の話を、施設に入った親の実家を例にこちらで書いています → 老人ホームに入った親の実家、3,000万円控除が使えるのは3年目の年末まで

    売り出してから引渡しまでの期間の目安は、こちらが参考になります → 売り出してから引渡しまでの期間の目安

    住まいの順番が決まると、もう1つ気になっていることがあるはずです。「あの電話してきた業者さん、信じてええんかな」。次の章で正面から答えます。

    第6章:夫を亡くした直後に来る「買取」「一括査定」の案内——急がなくていい期間と、それでも急ぐ条件

    第6章:夫を亡くした直後に来る「買取」「一括査定」の案内——急がなくていい期間と、それでも急ぐ条件

    「業者を信じていいのか」という不安を、この章では「登記が終わるまでは決済ができない。だから今日決めなくていい。急ぐなら条件は2つ」という判断軸に変えます。断り方の一言と、相談先を決めるときの確認の言葉も用意しました。

    ▶ なぜ、このタイミングで案内が来るのか

    ご主人が亡くなってから、「買取のご相談はいかがですか」という電話やハガキが来た方は多いと思います。Aさんのところにも2回来ました。

    これは、特定の会社が悪いという話ではなく、構造の話です。相続が発生した家は、いずれ売りに出る可能性が高い。だから多くの会社が、そのタイミングで声をかけます。相手が悪意で動いているわけではなくても、「今の自分に必要な話かどうか」は別の問題です。

    ▶ 「急がなくていい期間」がある

    ここまで読んでくださった方なら、もう分かるはずです。相続登記と抵当権抹消が終わるまで、家の決済(引渡し)はできません。買取でも仲介でも、お金を受け取れるのは登記が終わってからです。だから、どの会社に「今すぐ」と言われても、今日決めなければいけない理由はないんです。数週間から数か月かかるこの期間は、相談先をゆっくり比べていい時間です。

    正直に書くと、私たちは自社で買い取ること(買取=不動産会社が自分で買い取ること)はしていません。買取のほうが売主様のためになる場合は、高く買ってくれる買取業者を探してご紹介する形です。自分で買う立場ではないから、「今決めなくていいですよ」と、自社の都合を挟まずに言えます。

    ▶ それでも急ぐ条件は2つ

    「急がなくていい」は「急いではいけない」ではありません。急ぐことが奥様の利益になる場面もあって、私たちはそれを否定する動機も持っていません。条件は2つです。

    1. 次の住まいの入居日が決まっていて、引渡しに期限がある

    2. 第3章で書き出した維持費の年額が、家計を目に見えて圧迫している

    この2つがそろっているなら、遺産分割協議書ができた段階で動き出し、登記が終わり次第すぐ決済できるように、買取を選択肢に入れるのは合理的です。買取は売値が仲介より下がりやすい代わりに、期日が読めます。仲介と買取の違いは、こちらで比較しています → 大阪の不動産売却|仲介と買取の違いと選び方を徹底比較

    逆に、どちらもそろっていないなら、急ぐ理由はありません。登記の手続きと並行して仲介で売り出し、時間をかけて買主さんを探すほうが、手取りは大きくなりやすいです。

    ▶ 断り方は、この一言でいい

    電話が来たときに、無理に話を聞く必要も、失礼にならないよう長く説明する必要もありません。この一言で十分です。

    「今は相続登記の手続き中なので、終わってから相談先を決めます」

    事実ですし、相手も「登記が終わるまでは決済に進めない」と分かります。物件の詳細を聞かれても、今は答えなくて大丈夫です。

    ▶ 相談先を決めるときの2つの確認

    遺産分割協議書ができて、いよいよ相談先を決めるとき。どの会社に頼んでもいいのですが、最初に2つだけ聞いてみてください。

    1つ目は「囲い込みはしないですか?」。囲い込みとは、売却を頼まれた物件を自社で抱え込み、他社が連れてきた買主さんを断る行為です。売主様の家が広く紹介されず、売れるまでの時間が延びたり、値段が下がったりする原因になります。私たちはこれをしないと決めています。

    2つ目は「レインズ登録証明書は出せますか?」。レインズ(不動産会社同士が物件情報を共有する仕組み)に登録した証明書を売主様に渡すのは、媒介契約の種類によっては会社の義務です。「出せます」と即答できる会社かどうかで、姿勢が見えます。詳しくはこちら → 囲い込みとレインズ登録証明書について

    この2つに嫌な顔をせず答えてくれる会社なら、話を進めていいと思います。

    ここまでで、順番の全体が見えてきたはずです。最後の章で1枚にまとめて、今日からの動きを決めましょう。

    第7章:まとめ+次のアクション——今日・1週間以内・相談したくなったら

    第7章:まとめ+次のアクション——今日・1週間以内・相談したくなったら

    ここまでの順番を、1枚に再掲します。そして、記事を閉じた直後に手が動くように、「今日」「1週間以内」「相談したくなったら」の3段で行動を並べます。

    ▶ 妻が売主になるまでの順番表

    1 団信で完済→2 遺産分割協議書を作る→3 相続登記・抵当権抹消を司法書士に頼む(4〜7と並行)→4 住まいの候補→5 査定・媒介契約→6 売り出し→7 売買契約→8 決済・引渡し(3が終わっていることが条件)という8段の順番表
    何が起きる/何をする状態の目印
    1団信の保険金でローンが完済になる銀行から「完済」の通知
    2遺産分割協議書を作る(家を誰の名義にするかを決める)相続人全員の署名と実印がそろう
    3相続登記・抵当権抹消を司法書士さんに頼む(4〜7と並行して進む)甲区に自分の名前、乙区に「抹消」が載る
    4次の住まいの候補を決める「ここなら入れる」が2つある
    5査定・媒介契約相談先が決まる
    6売り出しポータルサイトに載る
    7売買契約買主さんが決まる
    8決済・引渡し(3が終わっていることが条件)入居日に合わせて鍵を渡す

    多くの方は、この記事を読んでいる時点で1〜2の間にいます。2の協議書ができたら、3は司法書士さんにまとめて頼んで、あとは待つだけ。その間に4〜7を進められます。つまり3と4〜7は並行して走ります。8の決済だけは、3が終わっていることが条件です。

    ▶ 今日できること

    ・登記事項証明書を1通取る(窓口600円)。甲区と乙区を見て、自分が「順番のどこ」にいるか確かめる

    ・ご主人が家を買ったときの契約書の在りかを、探し始める。見つからなくても「ここにはなかった」を1つ潰すだけで前進です

    ・維持費の年額を、紙1枚に書き出す

    ▶ 1週間以内にすること

    ・司法書士さんに「相続登記と抵当権抹消をまとめてお願いしたい」と連絡し、見積もりをもらう。銀行から届いた書類は一式そのまま渡す

    ・お子さんと、住まいの候補を1回だけ話す。決めなくていい。候補が2つ出れば十分

    ・営業の電話やハガキには「今は相続登記の手続き中なので、終わってから相談先を決めます」と伝える

    ▶ 相談したくなったら

    登記が終わる前でも、机上査定と「順番の確認」は受けられます。「うちの場合、今どの段階?」「この順番で合ってる?」だけでも構いません。

    私たちは自社で買い取ることをしない、売却専門の会社です。だから、登記前のお客様にも「協議書があれば売り出せます。ただ、引渡しは登記が終わってからです」と、順番を正直にお伝えできますし、売主様の利益から仲介か買取(買取なら高く買ってくれる業者を探します)かを一緒に考えることもできます。もし相談先の候補に入れていただけるなら、サイト(ヒーローズプロパティ公式サイト)かメール(info@heroes-property.co.jp)からどうぞ。もちろん、他の会社に相談されるときも、第6章の2つの質問だけは持っていってくださいね。

    おわりに

    長い記事を、ここまで読んでくださってありがとうございました。

    書類の山と、家族それぞれの意見と、知らない会社からの電話に囲まれて、「私が売っていいの?」と立ち止まっていたかもしれません。でも今は、家が「順番のどこ」にいるか分かって、次の1手が「登記事項証明書を1通取る」だと決まっているはずです。

    急がなくていい期間は、ちゃんとあります。決済(引渡し)は登記が終わってからなので、その日までに誰かに急かされて決める必要はありません。その間に契約書を探して、維持費を書き出して、お子さんと住まいの話を1回する。それだけで、売ったあとの暮らしが少し違ってきます。

    ご主人が残された家を、納得のいく形で次に渡せますように。順番に迷ったときは、この記事に戻ってきてください。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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