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家の名義が祖父のままでも売れる?|大阪市の実家で相続人と期限を先に数える

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家の名義が祖父のままでも売れる?|大阪市の実家で相続人と期限を先に数える

家の名義が祖父のままでも売れる?|大阪市の実家で相続人と期限を先に数える

2026/11/02

家の名義が祖父のままでも売れる?|大阪市の実家で相続人と期限を先に数える

「相続人が何人になるのか、見当もつかないんです」

父の四十九日が過ぎて、実家の登記簿を取ってみたら、名義の欄にあったのは父ではなく祖父の名前。そこから先、何をどう調べればいいのか分からず、ネットで「数次相続」の解説を読んで、余計に頭がこんがらがった。そんな夜を過ごしている方に向けて書きました。

先に答えを3行で

  1. 名義が祖父のままでも、相続関係を整理して売却を目指せます。募集・契約は売主や権限を確認して進め、決済に向けた登記の順番・日程は司法書士さんと調整します。
  2. 手間が分かれるのは「何代分、名義が止まっているか」。代が増えるほど、判子が要る人も増えやすくなります。
  3. 今日できるのは、登記簿の「甲区」で確認した所有者・持分・原因の日付を、紙に1行書き写すことです。

書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年、宅地建物取引士として、今は売主様の側だけに立って仕事をしています。名義を直す登記は司法書士さんの仕事、家を売る段取りは私の仕事。この記事では、その2つを分けたうえで、祖父名義の実家をどう数えて、どう売りに出していくかをお話しします。

動画で見る|不動産売却の教科書 第22回(約20分)

2026年11月3日20時公開予定です。公開前は再生できません。

読みながら「うちの場合は?」と気になったら、公式LINEに一言どうぞ。売るかどうか、まだ決めていなくても大丈夫です。→ 公式LINEで相談する

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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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目次

    第1章:登記簿に祖父の名前があっても売却を目指せる——名義と売る準備を分ける

    第1章:登記簿に祖父の名前があっても売却を目指せる——名義と売る準備を分ける

    「登記簿を取ったら、祖父の名前でした」

    その1行を見たとたん、「これ、売れないんじゃないか」と手が止まった方もいると思います。まずは、いちばん気になる「売れるのか、売れないのか」に答えを出しておきます。

    ▶ 売却に向けて、名義を直す順番と決済の日程を確認する

    先に結論を言うと、名義が祖父のままでも、相続関係を整理して売却を目指せます。ただ、亡くなった祖父の名義から、そのまま買主様へ名義を移せるわけではありません。相続による登記と、買主様への所有権移転登記を、正しい順番で進める必要があります。

    じゃあ、名義が直るまで何もできないのか。そうではありません。相続人や売主になる人、その権限を確認し、遺産分割協議書など必要な書類と合意が整えば、登記完了前に媒介契約・売り出し・売買契約を進められる場合があります。遺産分割協議書は、相続人全員で誰が何を受け継ぐかを決めた書類です。遺言や調停・審判などで進める場合は、必要な書類も変わります。

    「止まるのは決済だけ」と一律には言えません。協議が整っていない家は、募集や契約の前に確認すべきことがあります。また、相続登記を事前に完了させるのか、決済当日に買主様への移転登記と連続して申請するのかも、家ごとに違います。司法書士さん・不動産会社・金融機関で、書類と条件、日程を調整してください。

    ▶ 「数次相続」という言葉は、覚えなくていい

    調べていると「数次相続(すうじそうぞく)」という言葉が出てきたと思います。相続の手続きが終わらないうちに相続人が亡くなり、次の相続が起きることです。祖父の相続を整理する途中で祖母が亡くなり、さらに父なども亡くなった。そうしたとき、複数の相続関係を確認していきます。

    言葉は難しそうですが、やることは「止まった分を数えて、順に直す」だけ。言葉の定義を覚えるより、自分の家で何が止まっているかを数えるほうが、ずっと前に進めます。

    ▶ 名義を直す人と、売る準備をする人を分ける

    私は、名義を直す作業と売る準備を、最初から分けて考えます。戸籍を集めて相続人を確かめ、登記を申請するのは司法書士さんの仕事。登記簿や公図を取り、家の状態を見て、値段の目安を出し、売り方を一緒に決めるのは私の仕事です。

    登記の解説は「名義が直るまで」、売却の案内は「名義が直ってから」の話が多いもの。その間に何をしていいかが抜け落ちがちです。だから私は「名義が直ってから来てください」とは言いません。名義を直している間にも、売る側の準備は進められるからです。

    では、何から数えればいいのか。数えるのは、たった3つです。私はこれを「名義の3つの数(代・人・日)」と呼んでいます。

    名義の3つの数。甲区の所有者・持分・原因日付、相続人、自分の申請期限と土地の免税期限を確認

    1つ目の「代」から、一緒に数えていきましょう。

    第2章:何代止まっているかを数える——登記簿の1行と亡くなった日で「代」が分かる

    第2章:何代止まっているかを数える——登記簿の1行と亡くなった日で「代」が分かる

    「祖父の名前だった」で止まっていると、どこまで古い話なのかも分かりません。これを「祖父・祖母・父の姉・父の4回の相続」と数で言えるようになると、司法書士さんにも親族にも、話がぐっと伝わりやすくなります。

    ▶ 用意する物:登記簿(全部事項証明書)

    まず用意するのは、実家の登記簿です。正式には「登記事項証明書(全部事項証明書)」といって、法務局の窓口で取れるほか、オンラインでも請求できます。手数料は請求の方法で変わるので、取る前に法務局のページで確かめてください。

    大事なのは、土地と建物の両方を取ること。土地は祖父、建物は父、ということもありますし、建物だけ登記されていないこともあります。増築した部分が登記されていない家の売り方は、こちらの記事で書いています → 未登記の増築がある家の確認

    ▶ 見る所:「権利部(甲区)」の所有者・持分・変更の記録

    登記簿を開くと、いくつかの欄に分かれています。見るのは「権利部(甲区)」。ここは「誰が持ち主か」の歴史が上から順に書いてある欄です。

    甲区のいちばん下の行だけで、今の所有者が分かるとは限りません。共有持分の移転や住所・氏名の変更が記録されている場合もあるからです。現在の所有者と持分を、変更や抹消も含めて確認し、それぞれの取得の「原因」と日付を見ます。判断が難しければ、全部事項証明書を司法書士さんに見てもらってください。

    ちなみに、売り出すときの登記簿は、媒介契約(売却を任せる契約)のときと売買契約の前に私が取り直します。ご自分で用意する場合も、まず必要な土地・建物の分を確認してください。

    ▶ 書き出す:亡くなった日を時間の線に並べる

    次に、名義人が亡くなったあと、家族の中で誰がいつ亡くなったかを、覚えている範囲で書き出します。正確な日付でなくて大丈夫。年だけでも十分です。

    ここで、架空の例を1人置かせてください。

    Aさん(56歳)は西宮市にお住まいの会社員。実家は大阪市生野区の木造2階建てで、祖父が建て、父と母が住んでいました。母は2015年、父は2024年1月に亡くなり、今は空き家です。月に1回、往復2時間かけて換気に通っています。登記簿を取り、甲区を確認すると、登記上の所有者は祖父のままでした。

    Aさんの例に関係する4回の相続。1998年祖父、2005年祖母、2019年父の姉、2024年父。登記回数は別に確認

    Aさんの場合、祖父、祖母、2019年に亡くなった父の姉、そして父の、4回の相続が関係します。父の姉の相続も、次の章の家系図につながる大切な1回です。ただし、相続が4回あるから登記も必ず4回必要、とは限りません。持分や協議内容に応じた登記経路は司法書士さんが確認します。祖父が亡くなった1998年から、2026年で28年が経っています。

    代が分かったら、次はその代ごとに「誰が相続人になるのか」です。

    第3章:相続人が何人になりそうかを数える——誰の判子が要るかの見当をつける

    第3章:相続人が何人になりそうかを数える——誰の判子が要るかの見当をつける

    「いとこまで入るの? 全部で何人になるの?」。ここで目指すのは、相続人の確定ではなく見当です。「たぶん4〜6人くらい。確定は司法書士さんに」と言えれば、この章は十分です。

    ▶ 代ごとに「その人の相続人」が加わる

    数次相続で人数が増えるのは、代ごとに「その人の相続人」が加わっていくからです。

    Aさんの例で見てみます。祖父が亡くなったとき、相続人は祖母と、子どもである父と父の姉でした。祖母が亡くなると、祖母の分を父と父の姉が受け継ぎます。父の姉は2019年に亡くなっているので、その分は父の姉の夫と、子ども2人(Aさんのいとこ)へ。そして父が亡くなり、父の分はAさんと妹へ。

    Aさんの家系図。現在の相続人候補はAさん・妹・父の姉の夫・いとこ2人の5人。確定は戸籍等で確認

    こうして見ると、判子が要りそうなのは、Aさん・妹・父の姉の夫・いとこ2人の「5人くらい」と見当がつきます。ただ、ここで書いたのは考え方の筋道だけ。誰がどれだけの割合で受け継ぐか(相続分)の計算や、確定の判断は、家ごとに事情が違うので司法書士さんにお任せしてください。

    ▶ 戸籍は、まず自分で取れる直系の分を確認する

    相続人を確かめるには戸籍が要ります。2024年3月から「広域交付」という仕組みが始まりました。ご本人・配偶者・父母や祖父母といった直系の分は、本籍地が遠くても最寄りの役所でまとめて請求できます。広域交付は本人が窓口へ行き、顔写真付きの本人確認書類を示す必要があり、郵送・代理人による請求はできません。対象外の戸籍もあるので、役所へ事前に確認してください。

    ただし、兄弟姉妹・おじおば・いとこの分は、この仕組みの対象外です。請求する権限を確認したうえで、それぞれの本籍地の役所へ請求することになり、時間がかかることがあります。

    なので、全部をご自分でそろえようとしなくて大丈夫です。直系の分をご自分で取って、残りは司法書士さんに任せる。この分け方がいちばん負担が少ないと私は考えています。

    ▶ 確定を待つ間にも、査定は受けられる

    相続人が確定するのを待たずに、査定(いくらで売れそうかの見立て)は受けられます。10年ぶりに会ういとこに「実家のことで」と電話するとき、何も材料がないと切り出しにくいものです。「今の値段の目安はこのくらいらしい」と言える数字が1つあるだけで、話が具体的になります。

    ここまでで「代」と「人」がそろいました。最後の1つが「日」。2027年3月31日に何が終わるのかを整理します。

    第4章:2027年3月31日に関わる2つを知る——自分の申請期限と土地の免税

    第4章:2027年3月31日に関わる2つを知る——自分の申請期限と土地の免税

    「来年の3月を過ぎたら、罰金なんでしょう?」。そう思って検索を続けている方も多いと思います。まず、自分に当てはまる申請期限と、土地の登録免許税の免税期限を分けましょう。2027年3月31日は重要な日ですが、全員の申請期限が同じ日とは限りません。

    ▶ 2027年3月31日に関わる2つを分ける

    2027年3月31日に関わるのは、次の2つです。どちらも法務省が説明しています(「相続登記の申請義務化について」法務省の案内 )。

    ①登記の期限②登録免許税の免税
    何の話か相続の登記の申請が義務になった相続の登記にかかる税金(登録免許税)がかからない
    対象2024年4月1日より前に、相続の開始と所有権の取得を知っていた場合の未登記の不動産(1)相続で土地を受け継いだ人が、登記をしないまま亡くなった場合の、その人への登記 (2)価額100万円以下の土地の相続の登記
    いつまで左記の場合は2027年3月31日まで。施行後に知った場合などは個別確認2027年3月31日までに要件を満たす登記を申請
    過ぎたら正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象免税がなくなる(今の決まりでは、この日まで)
    建物は対象対象外(土地だけ)

    ▶ ①期限:間に合わなくても、売れなくなるわけではない

    まず①から。過料(かりょう)は、刑事罰の罰金とは違う、行政上のお金の制裁です。正当な理由がないのに登記を怠った場合に、その対象になります。

    法務省は、正当な理由の例の1つに「相続人が極めて多数で、戸籍の収集などに多くの時間を要する場合」を挙げています。祖父名義の家は、まさにここに近い事情を抱えやすい家です。

    正直にお伝えすると、この日を過ぎたからといって、家が売れなくなるわけではありません。ただ、自分の家の事情が正当な理由に当たるかどうかは個別の判断です。法務局か司法書士さんに確かめてください。

    なお、相続が始まったことと、その不動産の所有権を取得したことを知ったのが2024年4月1日以降なら、原則としてその日から3年以内です。遺産分割で取得したときには、分割の日から3年以内の追加の義務もあります。「その人の申請期限」を司法書士さんに確認してください。

    ▶ ②免税:亡くなった相続人への土地の登記などが対象

    私がこの記事でいちばん伝えたいのは、②のほうです。

    相続の登記には、登録免許税という税金がかかります。基本の税率は0.4%ですが、持分を登記する場合は、その持分に対応する価額を基に計算します。数次相続では複数の登記が必要になる場合があり、登記経路によって税額も変わります。

    ところが今は、相続で土地を受け継いだ人が、登記をしないまま亡くなった場合に、その亡くなった人を所有者とするための登記について免税措置があります。Aさんの家でも、途中で亡くなった人への土地・持分の登記が対象となる可能性があります。ただし、誰へのどの登記が対象かは個別確認です。最後の相続人への登記でも、価額100万円以下の土地についての別の免税措置に当てはまる場合があります。

    たとえば土地全体の評価額が1,000万円で、その全部を1回の相続登記で移すなら、免税適用前の登録免許税は4万円の計算です。持分だけなら持分に応じて計算します。代が重なる家ほど、免税で浮く額も大きくなりやすい。ただし免税は土地だけで、建物は対象外です。自分の家に当てはまるか、いくら浮きそうかは、司法書士さんに見積もりを出してもらうのがいちばん早いです。

    数万円の差でも、相続人みんなで分ける前のお金の話です。親族を急かす理由にはしなくていいですが、切り出すときの前向きな材料にはなります。「期限内に要件を満たす申請ができれば、免税になる部分があるかもしれない」と。第6章の1枚にも書き込みます。

    ▶ 「相続人申告登記」だけでは売れない

    調べていると「相続人申告登記」という言葉も出てくると思います。これは「自分が相続人です」と法務局に申し出る仕組みで、基本的な申請義務を果たす方法の1つです。ただし、遺産分割後の追加の登記義務まで果たせるわけではありません。また、名義を受け継ぐ人に移す登記ではないので、売るには、相続人で分けた内容での相続の登記が別に要ります。連絡のつかない相続人がいる場合の考え方は、こちらで書いています → 相続人と連絡が取れないとき

    もう1つ。空き家を売ったときの税金の特例(いわゆる空き家の3,000万円控除)にも期限がありますが、これは登記の期限とは別物です。使えるかどうか、いつまでかは家ごとに違うので、税理士に確かめてください。空き家の特例の期限の考え方はこちら → 空き家の通知・税金と期限の確認

    代・人・日の3つが数えられました。では、名義を直している間に、売る側は何を進めておけるのか。時間の流れに並べてみます。

    第5章:司法書士さんの帯と私の帯——名義を直す間に、売る準備を並べて進める

    第5章:司法書士さんの帯と私の帯——名義を直す間に、売る準備を並べて進める

    「名義が直るまで、不動産会社に声をかけたらいけないんでしょう?」。そう思い込んで、何か月も手が止まっていませんか。名義を直す流れと売る準備の流れを2本の帯にして並べると、待たずに進めていいことが見えてきます。

    ▶ 2本の帯を並べる

    名義直しと売却準備の2本の流れ。募集・契約前の権限確認と決済に向けた登記調整を分ける

    上の帯(司法書士さん)は、だいたい次の順に進みます。

    1. 戸籍を集める(直系の分はご自分で取って渡してもOK)
    2. 相続人を確定する
    3. 遺産分割協議書の案を作る
    4. 相続人全員に署名・実印を押してもらい、印鑑証明書を集める
    5. 登記を申請する
    6. 登記が完了する

    下の帯(私)は、こうです。

    1. 登記簿・公図(土地の形と位置を示す地図)を取る
    2. 家の状態を見て、査定をする
    3. 売り方(そのまま売るか、片付けや解体をどうするか)を相談する
    4. 売主・権限・協議書などを確認したうえで、媒介契約を結んで売り出す
    5. 買主様と売買契約を結ぶ
    6. 登記の必要書類・条件・日程を確認して、決済(代金の受け取りと鍵の引き渡し)

    下の帯の1〜3は、上の帯がまだ途中でも進められます。主な確認ポイントは、募集・契約に向けて売主・権限・協議内容を確認することと、決済に向けて登記の書類・条件・日程を調整することです。相続登記の事前完了が必要か、決済当日の連件申請で進められるかは、司法書士さん・金融機関と確認します。図は遺産分割協議で進める場合の一例です。

    ▶ 「年内は数える・年明けに並べる」で見ておく

    月数は家ごとに違うので、ここでは言い切りません。以下は期限に余裕がある場合の計画例です。個別の申請期限が近い場合は、年末年始を待たずに相談を優先してください。ただ、11月の今から動くなら、「年内は数える・年明けに並べる」くらいの気持ちで見ておくと、焦らずに済みます。

    年内に、登記簿を取り、家系図の下書きを作り、司法書士さんに相談して、私の査定を受ける。年が明けて協議書がそろったら売り出す。傍系(兄弟姉妹やいとこ)の戸籍は、時間がかかることがあります。年明けから3月にかけては、期限を前に司法書士さんへの依頼が集まりやすいのでは、と私は見ています。早めに声をかけておくと安心です。

    「冬に売り出しても買う人はいるの?」と思われるかもしれませんね。冬にも家を探している買主様はいて、春の新学期に合わせて年内から動く方もいます。急ぐ理由にはしなくていいですが、冬だから止まる、と考えなくて大丈夫です。

    古い抵当権(家を担保にした借金の記録)が残っている場合は、相続の確認と並行して、完済の証拠・必要書類・相手方の協力を確認します。書類の再取得などに数週間から数か月以上かかる場合もあります。事前に抹消を終えるか、決済当日に抹消申請するかは個別の調整が必要です。私は、消せるめどが立ってから売り出す順番にしています。その段取りはこちら → 抵当権を消す手続きの順番

    ▶ かかるお金を並べる

    かかるお金中身見ておくこと
    登録免許税相続の登記にかかる税金。評価額の0.4%が目安亡くなった相続人への土地の登記など、要件を満たす申請は2027年3月31日まで免税。持分・登記経路ごとに確認
    司法書士さんの報酬戸籍集め・協議書の案・登記の申請の手間賃相続人が多いほど手間が増えやすい。先に見積もりをもらう
    戸籍・住民票などの実費役所に払う手数料何通要るかは司法書士さんに確認
    登記簿の手数料法務局に払う手数料取り方で変わる

    ここに仲介手数料などを足して、最後に手元にいくら残るかを日付順に並べる方法は、こちらで書いています → 家を売ったお金が入る日と手取り

    司法書士さんに心当たりがなければ、私からご紹介できます。Aさんのように実家から離れて住んでいる方は、相談はオンラインでも進められますし、契約のときは私が伺うことも多いです。遠方からの売り方はこちら → 遠方から実家を売るときの段取り

    「うちはどっちの帯から動けばいい?」と迷ったら、公式LINEに登記簿の写しを送ってください。どちらから手を付けるといいか、一緒に見ます。→ 公式LINEで相談する

    段取りが見えたら、次はいちばん気が重い「親族への切り出し」です。

    第6章:年末年始に親族へ渡す1枚——相続人が多い家ほど、全員に同じ情報を出す

    第6章:年末年始に親族へ渡す1枚——相続人が多い家ほど、全員に同じ情報を出す

    ふだん会わない親族に、どう話を切り出すか。私の答えは「この1枚を見せて、窓口は自分だと伝える」です。年末年始は親族が顔をそろえやすい時期なので、そこに間に合わせるつもりで作ってみてください。

    ▶ 1枚に書く5つ

    Aさんがいとこと会ったのは、父の葬儀で10年ぶり。そんな相手に、いきなり「家を売りたいから判子を押して」とは言いにくいですよね。だからこそ、口で説明するより紙を1枚渡すほうが、相手も落ち着いて読めます。

    親族へ渡す1枚。現在の名義・家系図・個別の期限・査定と固定資産税・予定と窓口を記す

    1. 今の名義:甲区で確認した所有者・持分・取得原因と日付(第2章)
    2. 家系図の下書き:判子が要りそうな人の見当(第3章)
    3. それぞれの期限:個別の登記申請期限と、2027年3月31日までの土地の免税要件(第4章)
    4. 査定の目安と固定資産税の額:売ったらいくらくらいか、持ち続けると毎年いくらかかるか
    5. これからの予定と窓口:2本の帯(第5章)と、連絡はこの人に、という名前

    ④の固定資産税は、空き家でも毎年かかります。Aさんの家のように、通知が亡くなった父宛てのまま届いていて、誰が払うか話せていない家も多いはず。数字が書いてあるだけで、「このまま持っていても……」という空気が自然に生まれます。

    ▶ 切り出し方は「責めない・急がせない」

    渡すときの言い方は、「名義が祖父のままで、このままだと次の世代がもっと大変になるから、整理したくて」くらいで十分です。誰が悪いという話にしないこと。そして、その場で返事を求めないこと。「年明けに、司法書士さんから書類が届くかもしれないので、そのときはよろしく」と、次の一歩だけ伝えておきましょう。

    もう1つ、知っておいてほしいことがあります。相続人が多い家には、「あなたの持分だけ買い取ります」という手紙が届くことがあります。自分の分だけを先に売ることは、仕組みの上ではできます。ただ、家全体を売る話が進む前に1人だけ抜けると、残った親族と気まずくなりやすい、ということは頭に置いておいてください。

    ▶ 全員に同じ情報を出す

    相続人が多い家ほど、「自分だけ知らされていなかった」という不信が、話を止める原因になりやすいと私は考えています。

    私は囲い込み(売却を任された物件を自社で抱え込み、他社からの購入希望を通さないこと)をしません。売り出したら、レインズ(不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組み)に載せます。そして、どの会社の買主様にも同じ資料をお出しします。相続人のみなさんにも、それと同じで、窓口の方を通して同じ情報が届くようにしておく。それがいちばん揉めにくい形だと思っています。「買は情報、売は信頼」。売る側は、信頼がすべてです。

    窓口は1人に決めます。私からの販売の報告は、基本は窓口の方にお送りしますが、ほかの相続人の方へも、ご希望があればお出しします。

    ここまで読んで、「うちの場合はどうなる?」が残った方もいると思います。よく聞かれる4つにお答えします。

    第7章:よくある質問——4問

    第7章:よくある質問——4問

    本文で拾いきれなかった「うちの場合は?」に、1つずつ答えます。

    ▶ Q1. 「祖父名義の古い家、先に壊していいですか?」

    先に壊さず、売り方を決めてからにしてください。古い家が建ったまま売るか、更地にして売るかで、買主様の層も値段の付き方も変わります。それに、名義が祖父のままの建物を壊すときの同意の取り方は、相続人の状況で変わることがあります。相続人や権限については司法書士さんに、滅失登記(建物がなくなったことを登記する手続き)については土地家屋調査士さんに、解体する前に確かめてください。比べ方はこちら → 古家付きと更地渡しの比べ方

    ▶ Q2. 「相続人申告登記をしておけば売れますか?」

    それだけでは売れません。相続人申告登記は「相続人です」と申し出る仕組みで、名義を移す登記ではないからです。売るには、相続人で分けた内容での相続の登記が要ります(第4章)。連絡のつかない人がいて、ひとまず申告登記を考えている方は、こちらも読んでみてください → 相続人と連絡が取れないとき

    ▶ Q3. 「いとこの1人と連絡がつきません」

    まず、「住所が分からない」のか「連絡はつくけど返事がない」のかなど、状況の型を分けて、最初の一手を決めます。その分け方は、Q2で紹介した記事に書いています。この記事の「代・人・日」の数え方は、連絡がつかない人がいる家でもそのまま使えます。家系図の下書きに、その人の四角を書き込むところから始めてみてください。

    ▶ Q4. 「来年3月に間に合わなかったら、売れなくなりますか?」

    売れなくなるわけではありません。期限を過ぎると、正当な理由なく怠った場合に10万円以下の過料の対象になる、というのが法務省の説明です。相続人が極めて多くて時間がかかる場合は、正当な理由の例に挙げられています。自分の家が当たるかは、法務局か司法書士さんに確かめてください。土地の免税は、今の決まりでは2027年3月31日までです。

    最後の章では、ここまでをまとめて、記事を閉じたあとにすることを3段に分けます。

    第8章:まとめ+次のアクション——今日・1週間以内・相談したくなったら

    第8章:まとめ+次のアクション——今日・1週間以内・相談したくなったら

    大阪市の実家の名義が祖父のままでも、何から手を付ければいいか。最後に1つに絞ります。

    ▶ まとめ:代・人・日

    • 代:甲区で所有者・持分を確認し、関係する相続を亡くなった日順に並べる
    • 人:代ごとに加わる相続人を家系図に書き、判子が要りそうな人数の見当をつける
    • 日:自分の登記申請期限を確認し、2027年3月31日までの土地の免税要件も分けて確認する

    名義を直すのは司法書士さん、売る準備は私。2本の帯は、決済の日まで並べて進められます。

    ▶ 今日できること

    甲区で確認した現在の所有者・持分と、取得の「原因」の日付を紙に書き写してください。最下行だけで判断せず、読み方が分からないときは証明書全体を見てもらいましょう。手元に登記簿がなければ、法務局のオンライン請求で取り寄せるところまで。この1行が、すべての数え方の出発点になります。

    ▶ 1週間以内にすること

    1. 亡くなった家族の年を、時間の線に書き並べる(何代止まっているかが見える)
    2. 直系の戸籍の広域交付について、必要書類と対象を役所に確認して取る
    3. 固定資産税の通知書で、土地の評価額を見る(免税でどのくらい浮きそうかの見当がつく)

    ▶ 相談したくなったら

    ここまでやってみて、「この先、誰に何を頼めばいいか分からない」と思ったら、公式LINEで声をかけてください。

    → 公式LINEで相談する

    送っていただくのは、登記簿の写しと、家系図の下書き(手書きの写真で大丈夫です)があれば十分です。どちらの帯から動くか、査定はいつ受けるか、一緒に整理します。売るかどうか、今決める必要はありません。

    相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。

    親御さんがまだお元気で、実家の名義が祖父母のままだと気づいた方もいると思います。今のうちに数えておくと、相続人が増える前に整理しやすくなります。

    ▶ 次に読むなら

    制度の確認先:法務省・相続登記義務化のQ&A/国税庁・相続登記の登録免許税の免税措置/法務省・戸籍証明書等の広域交付

    おわりに

    最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

    登記簿に祖父の名前を見つけたとき、手が止まるのは当然のことです。何十年も前から止まっていた時計を、急に自分が動かさなければいけなくなったようなものですから。

    でも、その時計を止めたのは、あなたではありません。そして、一度に全部を動かす必要もありません。今日は1行を書き写す。来週は家族の年を並べる。そうやって数えているうちに、怖さは「やることのリスト」に変わっていきます。

    月に1回、換気のために実家へ通う週末が、いつか「もう通わなくていい日」に変わるように。親族と気持ちよく話を終えられるように。あなたのペースで進めてもらえたらうれしいです。迷ったときは、いつでも声をかけてください。

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