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二世帯住宅は売れない?|片方が空いた大阪市の家で登記の形から確かめる

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二世帯住宅は売れない?|片方が空いた大阪市の家で登記の形から確かめる

二世帯住宅は売れない?|片方が空いた大阪市の家で登記の形から確かめる

2026/11/06

二世帯住宅は売れない?|片方が空いた大阪市の家で登記の形から確かめる

「二世帯は買う人がおらんから、売るなら大変やで」

昼休みに同僚から言われたそのひと言が、夜になっても頭から離れない。父の持分の登記は亡くなった父の名義のまま、母は施設に入り、誰もいない部屋の電気の基本料金だけが毎月引き落とされていく。そんな二世帯住宅の2階で、スマホを開いている方に向けて書きました。

先に答えを3行で

  1. 二世帯住宅だから売れない、とは限りません。売り方を大きく左右するのは、間取りに加えて「登記の形」です。
  2. まず建物が区分されているか、その建物・1戸が単独所有か共有かを分けて確かめます。所有者と持分が、意思を確認する相手と「空いた側だけ売れるか」に関わります。
  3. 今日できるのは、建物の登記簿を1通取り、表題部と甲区で、現在の所有者と持分を確かめることです。

書いているのは、大阪市淀川区・新大阪で家の「売却」だけを扱っている株式会社ヒーローズプロパティの紙谷一徳です。業界に入って20年、宅地建物取引士として、今は売主様の側だけに立って仕事をしています。片方の世帯が空いた二世帯住宅を「登記の形」と「どちらが空いたか」の2つで分け、売るまでに自分で確かめられることを順にお話しします。

読みながら「うちの場合は?」と気になったら、公式LINEに一言どうぞ。売るかどうか、まだ決めていなくても大丈夫です。→ 公式LINEで相談する

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一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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目次

    第1章:「二世帯住宅は売れない」と言われる理由を、自分の家に当てはめて3つに分ける

    第1章:「二世帯住宅は売れない」と言われる理由を、自分の家に当てはめて3つに分ける

    「二世帯は買う人がおらんから大変やで」

    そう言われると、家まるごとに「売れない」と札を貼られたような気持ちになりますよね。でも、その「売れない」をほどいてみると、3つの理由に分かれます。どれが自分の家に当てはまるのか、一緒に見ていきましょう。

    ▶ 理由1:二世帯で住みたい買主様が多くない

    大阪市は、少ない人数で暮らす世帯が多い街です。大阪市の資料では、令和2年の1世帯あたりの人数は1.84人。2人を切っています。親子二世帯で一緒に住める家を探している買主様は、市内ではそう多くない、というのが私の見立てです。

    ただ、これは「買う人がいない」という意味ではありません。「少ない」です。買主様が少ない家は、値段の付け方や売れるまでの期間に影響が出やすい。ここは正直にお伝えしておきます。

    ▶ 理由2:名義が分かれていて、決める人が多い

    二世帯住宅は、親と子がお金を出し合って建てた家が少なくありません。すると登記簿の名前も1人ではなく、2人、3人と並んでいることがあります。そこに相続が重なると、決める人はさらに増えます。

    共有の家全体を通常の売買で売るには、所有者全員の意思と売却する権限を確認する必要があります。自分の持分だけを売る話とは別です。相続がある場合は、登記の名前だけでなく、現在の権利関係も調べます。

    ▶ 理由3:キッチンやお風呂が2つあり、一世帯で使うには手直しを考える場合がある

    1階にも2階にもキッチンがある。お風呂も2つ。玄関まで2つという家もあります。一世帯で住みたい買主様から見ると、「この台所、どうしよう」と考え込みやすい部分です。

    ▶ 3つの理由は、効くところが違う

    理由1と理由3は「いくらで、どのくらいの期間で売れるか」に効きます。値段と期間の話なので、比べる物件の選び方や見せ方で手を打てる余地があります。

    一方、理由2は「誰が売主になり、売却を決められるか」に関わります。売却の合意・権限の確認は必要ですが、査定や価格の相談はその前からできます。

    売れないと言われる理由を、値段・期間と売主・権限の確認に分ける

    同僚の「大変やで」は、たぶん理由1と理由3を思い浮かべての言葉でしょう。でも先に効いてくるのは、外からは見えない理由2の名義のほうです。私は売却だけを扱っているので、「売るとしたら何が引っかかるか」だけを切り分けて考えます。

    じゃあ、自分の家の名義はどうなっているのか。次の章で、登記簿の見方を一緒に確かめていきましょう。

    第2章:表題部と甲区を見て、建物の区分と持ち主を確かめる

    第2章:表題部と甲区を見て、建物の区分と持ち主を確かめる

    登記簿は、見る場所さえ分かれば怖い書類ではありません。この章を読み終わるころには、現在の所有者と、確認が必要な相手を紙に書き出してみましょう。

    ▶ 登記簿は誰でも、近くの法務局で取れる

    登記簿(正式には登記事項証明書。土地や建物の持ち主などが書いてある公的な書類)は、法務局で誰でも取れます。その家の地域を受け持つ法務局でなくても、近くの法務局の窓口で大丈夫です。

    手数料は1通あたり、窓口や郵送の書面で頼むと600円です。インターネットで申し込むと、郵送で受け取れば520円、窓口で受け取れば490円です(法務省の一覧。2025年4月からの金額)。

    手元に用意しておきたいのは、固定資産税の納税通知書です。毎年春に届く書類で、同封の明細に土地の「地番」と建物の「家屋番号」が載っていることが多いです。住所と地番は違うことがあるので、これを見ながら申し込むと迷いません。申し込むときは、対象の土地は各筆、建物は各戸について別々に頼んでください。区分された2戸なら、両方の登記を確認します。

    ▶ 見るのは「表題部」と「甲区」だけ

    登記簿は、大きく3つに分かれています。表題部(土地や建物そのものの説明)、甲区(持ち主の記録)、乙区(住宅ローンなどの担保の記録)です。今日見るのは表題部と甲区だけで大丈夫。乙区は第5章で使います。

    ▶ 区分と、単独・共有は別の軸で見る

    この記事の表では「非区分・単独」「非区分・共有」「区分」の3行で整理します。ただし、区分された1戸も共有の場合があります。区分と共有を、互いに重ならない種類とは考えないでください。

    単独:甲区の現在有効な所有権の記録を読むと、所有者が1人の形です。最後の行の名前だけでは判断せず、持分の移転、抹消、住所変更なども含めて確かめます。

    共有:「共有者」として名前が2人以上並び、それぞれに「持分2分の1」のような割合が付いている形です。親子でお金を出し合って建てた二世帯住宅は、この形になっていることがあります。

    区分:表題部に「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」という欄がある形です。マンションと同じように、たとえば1階と2階がそれぞれ独立した専有部分として登記されていて、1戸ごとに甲区があります。

    ▶ 土地と建物は、別々に見る

    二世帯住宅で見落としやすいのがここです。土地と建物で、形が違うことがあります。

    たとえばAさん(54歳・架空の例)の家。東淀川区にある木造2階建てで、1998年ごろにお父様が建て、1階がご両親、2階がAさん一家という暮らしでした。土地はお父様1人の名義(単独)。建物はお父様とAさんが半分ずつ(共有)。2階の分の建築費を、Aさんがローンで出したからです。

    お父様は2024年1月に亡くなり、相続の登記はまだ。お母様は2025年の春から施設で暮らしています。

    この例では遺言や相続放棄がない前提で、確認する相手を書き出すと、こうなります。

    • 土地:お父様の名義 → 今は相続人(お母様・Aさん・妹さん)全員の話し合いで決める
    • 建物:Aさんの持分 → Aさん本人/お父様の持分 → 相続人全員の話し合いで決める

    紙に書くと、「父の持分」を引き継ぐ人を確認する必要があることが、はっきり見えてきます。

    ▶ 3つの形の早見表

    形表題部・甲区で見ること意思・権限を確認する人空いた側だけ売れるか
    非区分・単独現在の所有者が1人その所有者。死亡時は遺言・相続関係を確認今の登記では家全体で考える
    非区分・共有現在の共有者と各持分家全体なら共有者全員持分の売却は1階の売却とは別
    区分一棟・専有部分と各戸の所有者その1戸の所有者。共有なら全員土地・担保・融資などを確認して検討

    建物の区分と、現在の所有者・持分を分けて確認する早見表

    ▶ 私がすること

    売却を任せていただく媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)のときと、売買契約の前に、登記簿は私が取り直します。今日の入口は建物の1通からでも構いません。ただし、土地やほかの専有部分も含め、売る対象すべてを確認します。

    形が分かったら、次は「どちらの世帯が空いたか」です。同じ形でも、空き方によって最初に話す相手と期限が変わります。

    第3章:どちらの世帯が空いたかで、最初に決める人と「その家の期限」が分かる

    第3章:どちらの世帯が空いたかで、最初に決める人と「その家の期限」が分かる

    親世帯が空いたのか、子世帯が出たのか。ここでは、誰が売主になり、いつまでに何を済ませればいいのかを、自分の家の日付として書き出していきます。税金の話も1つだけ、境目をお伝えします。

    ▶ 親世帯が空いた(親が亡くなった)とき

    親の持分を誰が引き継ぐかは、遺言・相続放棄・遺産分割の有無も含めて確認します。遺言などで決まっていない場合は、相続人全員で「誰がこの部分を相続するか」を話し合います。決まったら、遺産分割協議書(相続人全員で決めた分け方を書き、全員が判子を押した書類)を作ります。

    相続の登記がまだでも、売主の権限や協議内容を確認したうえで、媒介契約、売り出し、売買契約を進められる場合があります。協議書があるだけで一律に進められるわけではありません。決済(代金を受け取って鍵を渡す日)に向けて、登記を事前に終えるか、決済当日に必要な登記を続けて申請する形が可能かを、司法書士さん(登記の手続きを代わりにしてくれる専門家)と金融機関に確認します。書類集めに数週間から数か月かかることもあるので、早めに相談してください。

    もう1つ、日付があります。相続の登記は2024年4月から義務になりました。2024年4月1日より前に相続による取得を知っていた未登記の不動産は、2027年3月31日までの申請が必要です。それ以降に取得を知った場合は、その日から3年以内が基本で、遺産分割成立後にも別の申請義務があります(法務省)。Aさんも2024年4月1日より前に取得を知っていた前提なら、この日付が申請期限になります。この記事を書いている2026年11月から数えると、5か月足らず。必要書類や相続人の確認に時間がかかるので、カレンダーに書いておいてほしい日です。細かな数え方は司法書士さんに確かめてください。

    ここで気をつけたいのが、施設にいるお母様も相続人の1人だということです。話し合いには、お母様も加わります。お母様がご自分で判断できる状態かどうかで、進め方が変わることがあります。判断が難しい状態だと、話し合いの前に家庭裁判所での手続きが要る場合もあります。司法書士さんに確かめてください。考え方は、こちらの記事で書いています → 認知症と売却の進め方

    ▶ 親世帯が空いた(親が施設に入った)とき

    親がご存命で名義が親のままなら、売主は親ご本人です。子どもが窓口になって動くことはできても、権限なく親御さんに代わって「売る」と決めることはできません。適切な委任や法定代理による手続きの可否は専門家と確認します。売る気持ちがあるかを、ご本人に確かめることから始まります。

    親御さんが名義人の家では、媒介の段階で、司法書士さんと一緒に親御さんに会いに伺うことが多いです。施設に入った親の家の進め方は、こちらにまとめています → 施設に入った親の家を売る

    ▶ 子世帯が出た(親だけが残った)とき

    子世帯が引っ越して、親だけが住んでいる二世帯住宅もあります。名義が親なら、売主は親です。子どもが窓口として話を進めることはできますが、決めるのは名義人。子世帯が出たからといって、親が所有者とは限りません。建物が親子の共有なら、家全体を売る際は出ていった子の意思と権限も確認します。

    ▶ 二世帯住宅の6マス表

    ここまでの2つの軸、「登記の形」と「どちらが空いたか」を掛け合わせると、6つのマスになります。自分の家がどのマスかを指で押さえてみてください。

    形親世帯が空いた子世帯が空いた
    非区分・単独現在の所有者を確認。死亡時は遺言・相続関係から住んでいる人ではなく実際の所有者を確認
    非区分・共有家全体は全員の意思・権限。親の持分の相続も確認出ていった子を含め現在の共有者を確認
    区分空いた1戸の所有者と土地・担保などを確認残す戸と売る戸を分け、各戸の所有者・条件を確認

    空いた世帯と登記の形で確認する相手を整理。持分は1階の所有権ではない

    Aさんの家は、土地が「単独×親世帯が空いた」、建物が「共有×親世帯が空いた」。どちらのマスも、最初にすることは相続人の話し合いです。

    ▶ 税金は「境目」だけ知っておく

    税金は試算をしなくていいので、境目だけ頭に入れておいてください。長年この仕事をしてきて、ここは思い込みが起きやすいところだと感じています。

    1つ目は、住んでいた家を売ったときの3,000万円の特別控除(売って出た利益から3,000万円を差し引ける仕組み)です。条件の1つは、住まなくなった日から3年がたつ日の、その年の12月31日までに売ること。親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合は使えません(国税庁 No.3302)。たとえば2023年に家を出た方なら、3年がたつのは2026年なので、期限は2026年12月31日になります。ただし、二世帯住宅全体に一律に使えるわけではありません。本人の所有・居住部分や持分など、ほかの要件も確認します。

    2つ目は、相続した空き家の特例。こちらは「区分所有の登記がされていない家であること」「亡くなる直前に、亡くなった方以外が住んでいなかったこと」などが要件です(国税庁 No.3306)。子世帯が同じ建物に住んでいた場合は、この居住要件を確認する必要があります。また、1981年5月31日以前の建築が要件なので、1998年ごろに建てたAさんの家は築年の条件を満たしません。施設への入居に関する要件や相続後の利用制限もあり、家屋と敷地の両方を取得した相続人が3人以上なら控除上限は1人2,000万円です。

    この特例は、期限も2つあります。特例そのものは2027年12月31日までの売却が対象です。それとは別に、その家ごとに「相続から3年がたつ日の、その年の12月31日まで」という期限があります。2つの日付を混ぜないでください。

    使えるかどうかの判断は、税理士さんにお願いしてください。持っていくのは次の1枚です。

    税理士さんに持っていく1枚書くこと
    登記簿の写し土地・建物それぞれ
    誰がいつまで住んでいたか親世帯・子世帯それぞれの入居と退去の年月
    親が家を出た日・亡くなった日施設に入った日も
    建てたとき・買ったときの書類契約書や領収書が「ある/ない」

    あと1つ、固定資産税は各年1月1日時点の所有者に、その年度分が課税されます。売る日を考えるときの材料の1つとして覚えておいてください。

    自分の家のマスと日付が分かったら、次に気になるのは「住み続けたまま、空いた側だけ売れないか」だと思います。次の章で見ていきます。

    第4章:住み続けたい・空いた側だけ売りたいとき、選べる道と選びにくい道

    第4章:住み続けたい・空いた側だけ売りたいとき、選べる道と選びにくい道

    夕飯のあと、奥様がぽつりと言う。「2階はこのまま住んで、1階だけ売れたらいいのにね」。気持ちはよく分かります。慣れた家を離れずに、空いた部屋の負担だけ減らせたら、いちばん楽ですから。

    その「片方だけ」が、自分の家の形で現実的なのか。選べる道と選びにくい道を並べてみます。

    ▶ 区分の家:1戸ずつ売ることはできる

    区分の形なら、空いた1戸だけを売ることを検討できます。ただし、その1戸が共有なら共有者の意思・権限を確認し、土地の権利、共用部分、担保の外し方、買主様の融資条件も先に調べます。ただ、売主様のご家族が住み続ける建物の、もう1戸を買いたいという方は限られやすいと私は考えています。屋根も外壁も階段も同じ建物で、将来の修繕も話し合いながら決めることになるからです。

    ▶ 単独・共有の家:家全体で考えることが多い

    単独や共有の形だと、建物の「1階だけ」を売るのは難しいです。登記の上で1階と2階が分かれていないので、今の登記のまま1階だけを切り離して売ることはできません。区分への変更を考える場合も、構造・利用上の独立性などを土地家屋調査士や建築士に確かめる必要があります。共有なら自分の持分を売ることはできますが、買主様が手にするのは「家全体の持分の一部」です。「1階の所有権」ではなく、1階を自由に使える権利でもありません。

    共有の持分だけを買い取る業者もいます。ただ、使い道が限られる持分は、値段が下がりやすい。家全体で売る場合と比べてから決めたほうがいい道です。私は自社で買い取ることはしませんが、買取のほうが売主様のためになる場合は、高く買ってくれる業者を探します。仲介と買取の比べ方はこちら → 業者買取と仲介の比べ方

    ▶ 身内が買う道

    「妹が買ってくれたら」「息子に引き継いで」という道もあります。ただ、第3章の3,000万円の特別控除は、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却では使えません。相手がそこに当たるかは、続柄だけでなく暮らし方でも変わることがあるので、先に税理士さんに確かめてください。身内に売るときの考え方は、noteで書いています → 身内に売る場合の確認

    ▶ 一世帯に戻してから売る道

    「キッチンを1つ外して、普通の家にしてから売ったら?」と考える方もいます。私は基本はお勧めしていません。工事にかけた費用が、そのまま売り値に乗るとは限らないからです。買主様が自分の好みで直したいと考えることも多いです。雨漏りや目立つ傷みなど、最低限直したほうがいいところは別です。ただ、間取りを変える工事は、売る前にはしないほうがいいと思っています。くわしくはこちら → リフォーム前に工期と費用を比べる

    なお、空いた側を貸すという方法もありますが、私は売却だけを扱っているので、この記事では触れません。

    ▶ 形ごとのまとめ

    形現実的な道選びにくい道
    非区分・単独家全体を売る1階だけ売る
    非区分・共有共有者全員で家全体を売る自分の持分だけを業者に売る(値段が下がりやすい)
    区分家全体を売る/空いた1戸を売る(買主様は限られやすい)一世帯に戻す工事をしてから売る

    「うちの形だと、どの道になる?」と思ったら、建物の登記簿の写しを公式LINEに送ってください。どのマスに当たるか、一緒に見ます。→ 公式LINEで相談する

    道が見えてきたら、次はお金、とくにローンです。売ったらローンが消えるのかを、1枚の表で確かめます。

    第5章:親子のローンが残っているとき、売って消えるかを1枚の表で確かめる

    第5章:親子のローンが残っているとき、売って消えるかを1枚の表で確かめる

    引き出しの奥に、銀行から毎年届く封筒がたまっている。開けるのが億劫で、残りがいくらかも、はっきりとは覚えていない。二世帯住宅のローンは親子で組んでいることが多いので、なおさら見るのが怖くなりますよね。

    この章では、その怖さを、銀行に聞く2つの質問と、手元で書ける3行の引き算に変えていきます。

    ▶ まず、組み方を確かめる

    二世帯住宅のローンは、だいたい次のどれかです。

    • 親子リレーローン:親が借り、途中から子が返済を引き継ぐ形
    • ペアローン:親と子がそれぞれ別々に借りる形
    • 連帯債務:親子などが1つの借入れの返済義務を負う形
    • 連帯保証:どちらかが借り、もう一方が保証人になる形

    確かめる書類は、金銭消費貸借契約書(ローンの契約書)と返済予定表。それに登記簿の乙区を見ると、どのローンの担保(抵当権)が家に付いているかが分かります。

    ▶ 団信は、ご自身で銀行に確かめる

    団信(団体信用生命保険。ローンを借りた人が亡くなったとき、残りを保険で返す仕組み)が、どこまで効いたのか。親が亡くなったときの効き方は、誰が被保険者か、保障内容、ローンの組み方で違います。親が亡くなれば全額なくなるとは限りません。ここは、売主様ご自身で借りている銀行に確かめてください。聞くことは2つです。

    1. 今日時点の残高と、一括で返すときの額(手数料を含めて)
    2. 親が亡くなったことで団信の対象になったか。届け出は済んでいるか

    ▶ 手出しの1枚

    銀行の答えが出たら、次の3行を紙に書きます。

    行書くこと
    1売れそうな額(査定で出た額の幅)
    2− ローンの残り(一括で返すときの額)
    3− 売るときの諸費用(仲介手数料・抵当権を消す登記の費用・司法書士さんの費用・印紙など)
    答え= 比較用の概算(税金・未計上費用を引く前)。マイナスなら追加資金が必要

    売れそうな額からローンと費用を引く比較用の概算。税金・未計上費用は別

    Aさんの家なら、2行目に入るのは2階の分のローン、残り約900万円です(架空の例の数字です)。1行目は査定を受けるまで空けておいて構いません。この計算は最終手取りではなく、譲渡所得税などの税金や未計上費用は別に確保します。共有の場合は売却代金の帰属と費用負担、誰のローンを返すかを分けて、各人の資金も確かめます。

    ▶ 抵当権の抹消申請を決済日と合わせる

    ローンが残っていても、家は売れます。決済の日に、受け取った代金でローンを返し、必要書類・条件を司法書士と銀行が確認したうえで、同じ日に所有権移転とあわせて抵当権の抹消を申請する流れがあります。申請と登記完了は別で、すべての案件が同じ日程で進むわけではありません。くわしい順番はこちら → 抵当権を消す手続きの順番

    私は、売り出しの話に入る前に、この手出しの額を先に一緒に出しておくようにしています。手出しがいくらになりそうか分からないまま売り出すと、値段の相談のたびに不安が大きくなってしまうからです。

    お金の見通しが立ったら、いよいよ「どう売り出せば見てもらえるか」です。

    第6章:買主様が少ない家ほど、比べる物件と見せ方と窓口で差が出る

    第6章:買主様が少ない家ほど、比べる物件と見せ方と窓口で差が出る

    週末にポータルサイトで「二世帯」と検索してみたら、近所に1件も出てこない。比べるものがないと、自分の家がいくらなのか見当もつきませんよね。

    買主様が多くない家ほど、どう比べて、どう見せて、どこまで広く届けるかで差が出ます。順に見ていきます。

    ▶ 比べる物件:近所の普通の戸建てと土地

    二世帯住宅の売り出しは、近所で探しても見つからないことが多いです。なので、比べる相手は近所の普通の戸建てと、土地の成約(実際に売れた例)にします。「戸建てとしての幅」と「土地としての幅」の2つを見ておくと、自分の家の値段の幅がつかみやすくなります。相場の見方はこちら → 売れた値段を自分で調べる方法

    査定は3〜4社に頼むのがお勧めです。平均や真ん中の数字を正解とせず、比較事例の時期・場所・建物・道路の条件と、査定の根拠を聞いて比べてください。土地の価格と建物付きの総額も、そのまま混ぜて比べないようにします。

    ▶ 買主様の像を3つ思い浮かべる

    この家を買う人を、3つの像で考えてみます。

    1. 親子二世帯で住みたい家族
    2. 一世帯で、広く使いたい家族
    3. 建て替える前提で、土地として見る人

    誰に向けるかで、撮る写真も、図面の描き方も、掲載文の1行目も変わります。私は写真撮影、図面と掲載文づくり、内覧の立ち会いを自分でしているので、ここは売主様と相談しながら決めていきます。

    キッチンが2つある家は、「一世帯でも使える」と見せるか、「二世帯向け」と見せるかで、伝わり方が変わります。私はどちらか1つに絞らず、一世帯で使う場合の提案と、そのまま二世帯として使う提案の両方をお出ししています。

    二世帯住宅は、私もこれまでに何件か売ってきました。二世帯で住める家を探していた方が買われたこともあれば、リフォームして一世帯で住む方が買われたこともあります。どちらの買主様にも届くように見せておくと、話が広がりやすくなります。

    ▶ 窓口は狭めない

    買主様が少ない家ほど、大事なのは届く範囲を狭めないことです。二世帯で住みたい家族は、市内のあちこちに少しずついます。その数少ない1組が、私ではない会社の窓口に来ているかもしれません。

    私は囲い込み(売却を任された物件を自社で抱え込み、他社からの購入希望を通さないこと)をしません。売り出したら、レインズ(不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組み)に載せ、他社の買主様にも同じ資料をお出しします。申込みが入ったあとに他の案内を止める部屋止めも、基本は買主様の住宅ローンの事前審査が通ってから。その扱いは、私の買主様でも他社の買主様でも同じです。この内覧停止の方針と、レインズの取引状況の登録は別です。申込みなどの事実を機構のルールに沿って更新し、広告の終了と成約報告も区別します。

    実際に、レインズを通じて他社様から購入希望のお客様をご紹介いただき、成約した取引もあります。「囲い込みはしないですか?」と聞かれたら、この進め方をそのままお見せします。

    ▶ 冬だから見送る、とは限らない

    冬にも家を探している方はいます。新学期に合わせて年内に中古の家を決め、年明けに手を入れて春に住み始める方もいます。急いで売り出す必要はありませんが、季節を理由にあきらめる必要もありません。

    最後に、よく聞かれる質問をまとめておきます。

    第7章:よくある質問

    第7章:よくある質問

    ここまでで拾いきれなかった4つの疑問に、短く答えます。

    ▶ Q1. 親の部分の相続登記がまだですが、売り出せますか?

    協議書の内容と売主の権限などを確認したうえで、進められる場合があります。登記を事前に終えるか、決済当日の申請が可能かは、司法書士・金融機関と日程を調整します(第3章)。

    ▶ Q2. 施設にいる母の判子は、どうすればいいですか?

    お母様ご本人に確かめていただくのが基本です。子どもが権限なくお母様に代わって決めることはできません。委任・法定代理も含めた適切な手続きを確認します。判断する力によって手続きが変わることがあるので、司法書士さんに相談してください(第3章)。

    ▶ Q3. 一世帯に戻すリフォームをしてから売ったほうがいいですか?

    基本はお勧めしていません。雨漏りなど最低限の手当ては別です(第4章)。

    ▶ Q4. 売るかどうか決めていなくても、査定だけ頼んでいいですか?

    大丈夫です。値段の幅が分かると、家族で話すときの材料になります。頼むなら3〜4社に。片付けの前でも査定は受けられます。

    第8章:まとめ+今日からやるべきこと

    第8章:まとめ+今日からやるべきこと

    ▶ まとめ

    1. 二世帯住宅が売れるかを左右するのは、間取りに加えて登記の形。区分の有無と各建物・1戸の所有者・持分を分けて確認する
    2. 親世帯が空いたか、子世帯が出たかで、最初に話す相手と「その家の期限」が変わる。6マス表で自分の家の位置を押さえる
    3. お金は「銀行に聞く2つ」と「税理士さんに持っていく1枚」に落とす。買主様が少ない家ほど、窓口は狭めない

    ▶ 今日できること

    建物の登記簿を1通取り、表題部と甲区で現在の所有者と持分を確かめてください。最後の名前だけで判断せず、不明なら司法書士に見てもらいましょう。手元に固定資産税の納税通知書があれば、家屋番号を見ながらネットで申し込むところまでで十分です。

    ▶ 1週間以内にすること

    1. 返済予定表を出して、銀行に2つ聞く(今日の残高と一括返済の額/団信の対象になったか)
    2. 「税理士さんに持っていく1枚」を埋める(登記簿・誰がいつまで住んでいたか・親が出た日・建てたときの書類の有無)
    3. 年末年始にご家族で決める3つをメモにしておく(売るかどうか・窓口は誰か・親の部分を誰が相続するか)

    ▶ 相談したくなったら

    ここまでやってみて、「うちのマスだと、この先どう進めればいい?」と思ったら、公式LINEで声をかけてください。

    → 公式LINEで相談する

    送っていただくのは、建物と土地の登記簿の写しと、あればローンの返済予定表の写真です。口座番号・顧客番号などは隠し、登記識別情報の12桁は送らないでください。どのマスに当たるか、誰と何を決めればいいか、一緒に整理します。売るかどうか、今決める必要はありません。

    相談には代表の私が2日以内を目安にお返事します。営業電話はしません。

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    おわりに

    最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

    二世帯住宅は、親と子が「一緒に暮らそう」と決めて建てた家です。片方が空いたあとの静かな1階は、ただの空き部屋ではなく、思い出の詰まった場所だと思います。だからこそ、「売れない」のひと言で気持ちが沈んでしまうのも無理はありません。

    でも、売れるかどうかは、間取りだけで決まるものではありませんでした。登記簿1通で形が分かり、銀行に2つ聞けばお金の見通しが立ち、家族で3つ決めれば道が見えてきます。一度に全部やらなくて大丈夫です。

    今日は登記簿で今の所有者を確かめるところから。そこから先は、あなたとご家族のペースで進めてもらえたらうれしいです。迷ったときは、いつでも声をかけてください。

    株式会社ヒーローズプロパティ

    一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応を心がけており、お客様のお困りごとを解決に導く不動産売却を手がけています。丁寧なヒアリングを通じて、理想的なプランを大阪でご提案している会社です。

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